2019年7月17日 (水)

巨人に続いて中日にも3タテされて泥沼の6連敗!!!

  RHE
阪  神012010000 4100
中  日01012002x 6110

甲子園で巨人に3タテされた後、何と中日にも3タテされて泥沼の6連敗でした。あまりにもベンチワークがつたなく、ただただ漫然とした試合運びに見えます。投手の打順で代打を送って継投、以外のベンチワークはほとんど見られません。それにしても、木浪選手をスタメン落ちさせたのはいいとしても、ショートの先発が鳥谷選手でなく植田選手だったのには唖然とさせられました。私は鳥谷選手の猛烈なファンです!!!

もうやけくそで、
がんばれタイガース!

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日銀の考える「賃金上昇が抑制されるメカニズム」やいかに?

先週7月12日金曜日に日銀ワーキングペーパー「賃金上昇が抑制されるメカニズム」が、日銀調査統計局の職員と東大社研の玄田教授との共著で明らかにされています。もちろん、pdfでもアップされており、ダウンロードができます。玄田教授は、先年、『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』という本を編集しており、私もこのブログの2017年5月20日付けの読書感想文で取り上げています。ということで、本論文を私が読んだ範囲でのエッセンスについて簡単に取り上げると以下の通りとなります。

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まず、第1に、本論文では、非正規雇用の労働市場がルイス転換点を迎えると、それ以前に比べて賃金はより急速に上昇する、と基本的な考えを明らかにしています。それが上のグラフで、ワーキングペーパーの p.4 (図表2) から引用しています。ルイス転換点に達すると労働供給曲線の傾きがスティープになります。ただ、上のグラフの右上がりの太線の労働供給曲線が賃金に対して弾力的であれば、すなわち、少しの賃金上昇で労働供給が大きく増加するのであれば、均衡賃金の増加は小幅にとどまり、2000年代には非正規雇用の労働供給の主要な担い手であった女性や高齢者は、まさに、この通りに労働供給の賃金弾力性が高かった、と指摘しています。
第2に、企業マインドや企業行動のひとつのパターンとして、賃金の上方硬直性を指摘する見方も紹介されています。すなわち、賃金はもともとケインズの指摘を待つまでもなく下方硬直性があるわけですが、この下方硬直性に起因して、将来の賃金引き下げを回避するために現時点では賃上げしない、という企業マインドや企業行動が観察されると指摘します。

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第3に、ルイス転換点にホントに近づいているのか、という疑問に答えるため、留保賃金の動向からの分析があります。それが上のグラフで、ワーキングペーパーの p.10 (図表4) から引用しています。私はこの点がもっとも大きな疑問となっており、実は、ルイス転換点はまだそれほど近づいていないのではないか、別の表現をすれば、賃金上昇がみられない現状は完全雇用ではない、と考えなくもないんですが、この疑問にかなり正面から回答しようと試みています。その結果、男性と55歳以上高齢者は留保賃金が高くてまだルイス転換点には近づいておらず、潜在的な労働供給拡大の余地が残されている一方で、女性は留保賃金が低くてルイス転換点が近づいており、女性の労働供給をさらに増加させるためには大幅な時給上昇は不可欠、と結論しています。追加的に、労働力調査のフローデータの分析から、労働力人口ストックの拡大は女性と55歳以上高齢者が労働市場から退出あるいは引退しないことにより押し上げられていると指摘しています。

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第4に、ある意味で日本的な賃金支払い方法として賞与の分析がなされています。それが上のグラフで、ワーキングペーパーの p.28 (図表20) から引用しています。見れば理解できる通り、特別給与=賞与は好景気-賃金上昇局面と不況期-賃金抑制局面で非対称性があり、企業の売上高利益率の1%の下落は今期のボーナスに対して4~5%程度の変化をもたらす一方で、利益率1%の上昇はボーナスを1~2%程度しか押し上げておらず、ボーナスには賃金上昇を抑制する方向での非対称性が存在する、と結論しています。ただ、惜しむらくは、この非対称性の原因は追求されていません。加えて、ボーナスと雇用流動性や転職との関係も分析されており、特別給与は人材流出対策として中高年よりも流動性が高い若年に手厚く配分されてきており、この点も賃金上昇を抑制する要因のひとつとなっていると指摘しています。
最後に、必ずしも賃金上昇に完結するトピックではなく、賃金上昇から物価上昇につながるルートについても分析が行われており、賃金と生産性と単位労働コストの関係については、特に、製造業、建設業、飲食・宿泊業等で賃金上昇を生産性の向上が相殺し、単位労働コストの上昇を抑制して、さらに、物価上昇に波及しないようなメカニズムができている、と指摘しています。ただし、運輸・郵便業では生産性向上は見られるものの、人手不足による賃金上昇の方が大きく、単位労働コストは結果として上昇しており、また、医療福祉業では賃金上昇とともに生産性も低下しており、単位労働コストが上昇している、と結論しています。
最後の最後に、今後の課題として上げられているうちで私の目を引いたのが、外国人労働者の就業は人工知能(AI)による技術革新とともに、労働需要の増大を緩和し賃金上昇を抑制する可能性です。その通りだと思います。

途中でも書いたように、私は、ホントに労働市場がルイス転換点に近づいているのか、別の表現をすれば、フィリップス曲線の傾きがスティープになる局面に入っているのか、その意味で、ホントに人手不足なのか、という疑問がありました。本論文による留保賃金の分析から、その点はかなりクリアになった気がします。ただ、1点だけマクロ経済の観点から労働分配率の低下が見逃されている気がします。すなわち、昨年2018年8月23日のこのブログで取り上げたように、IMF Working Paper WP/18/186 では、「先進国において雇用保護規制の緩和は15パーセントに相当する平均的な労働分配率の低下に寄与した可能性がある」("job protection deregulation may have contributed about 15 percent to the average labor share decline in advanced economies") と指摘しており、この労働分配率の低下が賃金上昇の抑制にどのような影響を及ぼしたのか、あるいは、逆なのか、すなわち、賃金上昇の抑制が労働分配率の低下につながったのか、が残されたマクロ経済学的な論点のひとつだという気がします。

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2019年7月16日 (火)

消費税率引き上げに関する企業の見方やいかに?

先週相次いで、7月9日に東京商工リサーチから、さらに、7月11日に帝国データバンクから、消費税率の引き上げに関する企業の意識を問うアンケート調査の結果が明らかにされています。私の見るところ、ビミョーに結果が異なっています。

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まず、上のグラフは東京商工リサーチから引用しています。見れば判る通り、予定通りの実施が51.4%の過半を制しています。また、昨年2018年9月時点の調査から、+4.4%ポイントの上昇となっています。ただし、消費税率引き上げの帰結として、景気がよくなるはわずかに0.7%であったのに対して、悪くなるは65.0%に上っています。

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他方、上のグラフは帝国データバンクから引用しています。こちらは、予定通りの実施は44.1%を占めるに過ぎず、延期や実施しないなどの否定的見方が44.3%とほぼ拮抗する水神に達しています。しかも、昨年2018年10月の調査から+0.8%ポイントしか上昇していません。ですから、東京商工リサーチの調査結果に比較して、帝国データバンクの方は消費税率引き上げにやや否定的な見方を示している、というふうに私は受け止めています。

まあ、大雑把に、企業規模が小さくなるほど消費税率引き上げには否定的ですから、帝国データバンクに比較して東京商工リサーチの調査対象がやや大企業に偏っているんだろうと私は想像しています。あるいは、業種別に見ると、おそらく、小売業が飛び抜けて否定的な見方を示すでしょうから、そのあたりのサンプルのバイアスがあるんだろうと思います。当然ながら母集団は同じと考えるべきですから、このやや似通った両社の調査結果を見る時のサンプルの偏りを垣間見たような気がします。

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2019年7月15日 (月)

ペナントレースは負けっぱなしで中日にも競り負ける!!!

  RHE
阪  神001001000 250
中  日10000102x 4100

オールスター戦でのタイガース選手の活躍こそ華々しかったんですが、甲子園でジャイアンツに3連敗した後は、中日にも競り負けました。チームのシーズンスローガンを実践しようという気がまったく感じられず、誰も何もぶち破ることなく、ただただ漫然とした試合運びに見えます。ベンチワークはほとんど見られず、投手の打順で代打を送って継投を考えるだけ、なんでしょうか。ベンチだけでなく、打者も投手も、誰も何もぶち破ろうという気はなく、私が長らく勤務していたお役所仕事のような野球でした。

がんばれタイガース!

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2019年7月14日 (日)

インテージによる「汗とニオイ対策調査2019」の結果やいかに?

とても旧聞に属するトピックで、まだ梅雨も明けていない段階ながら、先々週の木曜日7月4日にインテージから「汗とニオイ対策調査2019」の結果が明らかにされています。かなり大きなタイトルなんですが、中身は制汗剤市場の動向から始まっています。グラフをいくつか引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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ということで、まず、上のグラフはインテージのサイトから制汗剤の市場規模推移と形状の構成比推移のグラフを引用しています。実は、2枚の別のグラフなんですが、私の方で勝手に結合させています。今年の調査結果の特徴のひとつは、上の棒グラフに重ねてある折れ線グラフに見えるように、2018年度に、長らく制汗剤市場でトップシェアを誇っていたパウダースプレータイプをシートタイプの売り上げが抜いた点であるとインテージは主張しています。調査で判明している15年間で、パウダースプレータイプは205億円から116.2億円と4割以上の減少を見た一方、シートタイプは41億円から116.4億円と3倍近く増加を示しています。ただ、私はトータルの制汗剤市場の規模にも着目していて、基本的に右肩上がりの売れ筋商品ながら、2014年度に落ち込みを見せているのは消費税率の引き上げがあったからなのかどうか、制汗剤市場を取り巻く個別の何らかの要因もあるのかもしれませんが、やや気にかかるところです。いずれにせよ、私はほとんど制汗剤を使用したことがなく、市場規模などについてもやや実感に薄いところです。というのも、やや理屈っぽいんですが、制汗するというよりも、自然に汗をかいた上で、そのニオイをどうするかの対策の方がいいんではないか、と考えていたりするからです。

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ほかにも興味深い調査結果はいくつかあるんですが、大胆に割愛して最後に、上のグラフはインテージのサイトから行っている汗・ニオイ対策のグラフを引用しています。上位15位までであり、トータルのほかに男女でも判るようになっています。少し縮小していますので見にくいかもしれませんが、明らかに、女性の方が対策を実施している割合が高く、逆に、何もしていない割合は男性の方が高くなっています。当然です。特に大きな差が見られるのは、本調査のメインテーマである「制汗剤を使う」となっているようです。ただ、洗濯や食事で気を遣うのは家族任せにしている男性もいそうな気はします。ちなみに、私自身は汗をかきやすい季節だけでなく、オールシーズンで「フレグランスや香水を使う」だったんですが、定年退職する前の研究所と違って、今のオフィスはやや人口密度が高いような印象があり、加えて、まだ本格的に汗をかく夏の前の梅雨が続いていて、現状は「対策はしていない」ということになっています。私の場合は、それほど汗かきでもなく、むしろ、プールで泳いだ後のカルキのニオイが抜けなかったりして、ついついフレグランスに頼ってしまいます。プールの後のカルキのニオイも含めて、あるいは、年齢的な加齢臭まで含めて、まあ、定年退職した60代ですので、多少のエチケット違反は大目に見てもらえるんではないか、という甘い気がしなくもありません。でも、そのうちに今の職場でもフレグランスにチャレンジしたいとは思っています。

最後に、実は、インテージのサイトにある最新の調査結果のニュースは、7月9日に明らかにされた「食事法・食スタイル実態2019」であり、ローカーボ食とか、ヴィーガンやマクロビアンとかのベジタリアンとか、グルテンフリーとか、ファスティングなどの食スタイルに着目しているんですが、少なくとも、私は60歳を超えてからは、ダイエットや体重についてはまったく関心を失いました。というのは、年齢的に暴飲暴食の機会も多くありませんし、暴飲暴食の量も昔ほどではなく、たとえ暴飲暴食で体重が増加したとしても、その後、下痢や食欲不振に陥って数日で体重が戻ります。知り合いの、特に、女性からはとてもうらやましがられる場合があるんですが、それほど健康的というわけでもないような気がしてなりません。

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2019年7月13日 (土)

今週の読書はバルファキス教授の素晴らしい経済書をはじめとして計7冊!!!

このところ、経済書はやや失敗読書が続いていたんですが、今週は一昨日に取り上げた『左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議』もよかったですし、バルファキス教授の話題の本もよかったです。ということで、今週も経済書をはじめとして、計7冊の読書でした。今日、読書感想文でまとめて取り上げるのは6冊ですが、ご寄贈いただいた『左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議』を一昨日に取り上げており、これを勘定に入れて計7冊という意味です。なお、梅雨の中休みをついて、本日のうちに、すでに自転車で図書館をいくつか回っており、来週も数冊の読書になりそうです。

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まず、ヤニス・バルファキス『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモンド社) です。著者は、ギリシア出身の経済学の研究者にしてギリシアが債務危機に陥った際に政権を取った急進左派連合シリザのツィプラス政権で財務大臣に就任し、大胆な債務削減を主張しています。このブログの4月28日付けの読書感想文で取り上げたバルファキス『黒い匣』で詳細にレポされている通りです。本書も『黒い匣』以上に話題の書です。原書はギリシア語だそうですが、邦訳の底本となった英訳書の原題は Talking to My Daughter about the Economy であり、2013年の出版です。ということで、10代半ば、ハイスクールに通う娘にエコノミストの父親が経済について解説しています。ここで経済とは資本主義経済のことを指しています。ですから、まず、経済格差の解明のために経済史を振り返ります。すなわち、必要最低限の生産だったものが余剰が出ることにより、それを我が物にする階級が現れ、その根拠付けのために宗教などが動員されるわけです。明記はされていませんが、背景には生産力の増進があります。そして、この歴史の考えはマルクス主義的な唯物史観そのものです。その中で、産業革命がどうして英国で始まったのかについて、p.67で解説されています。3番目の観点は、いかにもノースらの制度学派的な見方で、私は目を引かれました。そして、産業経済から金融経済の勃興、さらに、産業経済の中でも製造業における機械化の進展、20世紀に入って世界恐慌からケインズ経済学による政府の経済への介入、最後は、ギリシア的にアリストテレスのエウダイモニアに行き着くんですが、その前に、すべてが商品化される資本主義経済に対して、著者は「すべてを民主化しろ」と叫びます。常々、このブログで私が主張しているところですが、資本主義経済と民主主義は矛盾します。民主主義は1人1票の制度ですが、資本主義経済では株主総会のような購買力による格差があります。この矛盾を背景に、著者は資本主義経済ではなく民主化の方向を志向します。この点はキチンと読み取るべきです。

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次に、飯田泰之『日本史に学ぶマネーの論理』(PHP研究所) です。著者は、明治大学の経済学の研究者であり、リフレ派に近いと私は認識しています。本書は、タイトル通りの内容を目指しているようなんですが、前半の「日本史に学ぶ」部分はともかく、タイトル後半の「マネーの論理」はどこまで迫れているのか、やや疑問です。本書の対象とする期間は、7世紀の律令制の時代、我が国では古典古代の時代から、19世紀の江戸期までで、近代は対象外となっています。そして、本書の冒頭は、白村江の戦いで倭が唐の水軍にボロ負けするところから始まり、唐に敗北した国家の再建、というか、国家とは広範囲における安定した統治の実現である、というところから貨幣の鋳造が志向された、と解説しています。まあ、本書のスコープからすればそうなんでしょうが、もちろん、貨幣鋳造以外にも、律令という名の法制度の整備、碁盤目状の街路を整備した首都、あるいは、宗教上のシンボルとしての大仏、などなど、少しは言及して欲しい気もします。そして、本書のスコープそのものであるマネーの論理、というか、貨幣論についても、かなりガサガサだというふうに私は受け止めました。貨幣とは、あくまで、他の人々も貨幣として受け取ってくれる、という同義反復的な定義が適用されるというのは、私もその通りだろうと思います。ただ、歴史を紐解いているわけですから、もう少し厳密に歴史に当たって欲しかったです。特に、史料の残っている江戸期については、私でも徳川幕府による三貨制の金貨・銀貨・銭だけでなく、いかにも封建的な領主による藩札の発行もあれば、堂島の米切手が貨幣と同じように、すなわち、みんなが貨幣として受け取ってくれるがゆえに貨幣の役割を果たしていた点も、中央政府の発行する貨幣でないから無視したのか、それともご存じないのか、私には判りかねますが、マネーの論理とともに、歴史についても、もう少し読み応えある展開が欲しかったです。決してブードゥー・エコノミクスではありませんし、右派的な経済論が展開されているわけでもないんですが、ピント外れというか、経済書にしてはとても物足りなかった読書でした。

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次に、リジー・コリンガム『大英帝国は大食らい』(河出書房新社) です。著者はイングランドの歴史研究者です。本書の英語の原題は The Hungry Empire となっており、直訳すれば「腹ペコの帝国」とでもなるんでしょうか。2018年の出版です。ということで、大英帝国における食の探求と大英帝国の形成そのものの密接な関係について、グローバルな視点から歴史的に解き明かそうと試みています。4部20章の構成となっています。各章のタイトルが中身のトピックをかなり詳細に表現しています。大英帝国とは、明らかに、海の帝国であり、世界各地からいろんな食材と調理方法を本国に持ち帰ります。ただ、基本は食べる方ですので、カリブ海のラム酒なども垣間見えますが、お酒をはじめとする飲み物はメインではありません。大英帝国の本国は欧州の西端に位置する島国であり、産業革命を経て工業や商業、とりわけ金融業については世界をリードしていた時期が長かったわけですが、農業や食料生産については決して恵まれた条件にはなく、世界各地、特に北米植民地や大洋州のオーストラリア・ニュージーランドなどの農業生産に適した植民地からかなり大量に食料を輸入して食卓が出来上がっているわけです。また、帝国主義時代には戦争や軍事衝突も少なくなく、保存食の研究なども世界に先駆けて行われています。大英帝国の前のポルトガルやスペインなどによる大航海時代には、アジアの胡椒を入手するのが大きな目標だった時代もあるんですが、大英帝国では食そのものの通商が盛んになります。インドの紅茶にカリブ海やブラジルの砂糖を入れ、カナダやオーストラリアの小麦で作ったパンを食べる、といった大英帝国の食生活が徐々に確立していく段階を歴史的に跡付けています。ただ、必ずしも記述の順が一貫性なく、少なくとも編年体では構成されていません。ですから、場合によっては、章を進むと時代がさかのぼる、といったことも起こります。ただ、さすがに歴史から敷く、イングランドとイギリスの区別はちゃんとされています。ユーラシア大陸の反対側の東端に位置する島国の日本はほとんど登場しませんが、世界的な食生活の歴史がとても分かりやすく展開されています。グローバル化の進展の中で、EUを離脱しようとしている英国の栄光の時代の記録かもしれません。最後に、注を入れれば400ページを超えるボリュームで、とても面白い本ながら、読むにはそれなりの覚悟を要します。

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次に、北岡伸一『世界地図を読み直す』(新潮選書) です。著者は、長らく東大の政治学の研究者だった後、国連代表部大使を務め、現在では国際協力機構(JICA)の理事長職にあります。実は、私の高校の先輩で、その昔には東京の同窓会会長だったりもしたと記憶しています。本書は、新潮社の『フォーサイト』に連載されていたコラムを単行本に取りまとめています。副題は「協力と均衡の地政学」となっていて、確かに地政学的な考察も盛り込まれていますが、まあ、基本はJICA理事長として訪問した世界各国の紀行文に近いと私は受け止めています。ですから、悪くいえば、世界各国の実情について国際協力の供与サイドから「四角い部屋を丸く掃く」ような紀行文と考えるべきです。しかも、国際協力=ODA実施機関の理事長の訪問先ですので、ほぼほぼすべてが途上国となっていて、欧米をはじめとする先進国は取り上げられていませんし、中国も対象外となっているのかもしれませんから、やや世界地図や地政学を銘打つにしては対象が狭い印象があります。ということで、著者の視線としては3つのポイントを据え、すなわち、第1に、先進国や中国が抜けているにもかかわらず、地政学の観点からのアプローチを取ろうと試みています。この点は、私は専門外ながらハッキリいって、失敗しているよな気がします。これは取り上げている国に偏りがあるからで、先進国や中国に加えて、アジアでもASEAN創設時のオリジナル加盟国5か国がスッポリと抜け落ちています。第2に、日本とのかかわりの中で途上国をとらえようと試みています。この点はまあいいんではないでしょうか。ただ、JICAの前身が海外移住事業団でしたから、ブラジルなどはしょうがないんでしょうが、やや現地移住者からの情報に偏りがあるような気がしないでもありません。かなりさかのぼって、歴史的に我が国との関係を把握しているのは心強い限りです。最後に第3に、著者のJICA理事長職としての機能的あるいは権能的な部分だけでなく、研究者や国連大使経験者としての幅広い観点からの人脈が生かされているように見えます。この点はさすがであると受け止めています。JICA理事長には、かつての緒方貞子女史のような個性豊かな国際派が就任したりしていましたが、政治学の研究経験者もいいんではないか、と思わせるものがありました。でも、開発経済学の専門家もJICA研だけでなく、JICA本体のトップにもいかがでしょうか?

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次に、横山秀夫『ノースライト』(新潮社) です。著者は、ファンも多いベテランのミステリ作家です。最近では、映画化もされた『64』の原作を私は読んだ記憶があります。本書は、建築家、というか一級建築士の青瀬稔という人物を主人公に、その建築士が設計して、「平成すまい200選」にも選ばれた家の施主が一家ごと集団で失踪した事件を、その建築士が自ら謎を解明すべく事実の確認に当たる、というものです。そこに、主人公の家族、子供のころも父母と少し前までの妻と子供、離婚してから思春期に差しかかった娘、そして、勤務する小規模な建築事務所の直面する危機などを織り交ぜながら、かなり時間軸として長い物語が展開します。なぞ解きのミステリとしてはともかく、家族や人生を長期に展開する大作といえます。ということで、主人公の青瀬の子供時代は、父親がダム建設に関する熟練工でありことから、経済的には恵まれた状態にありながら、高度成長期の日本各地を転々とする生活を送ります。大学は中退したものの一級建築士の資格を取得し、バブル経済期には豪勢な生活を送って結婚もし子供もできる一方で、バブル崩壊後は転落の人生の危機を迎え、結局、大学の同級生が所長をする建築事務所に勤務するものの、結婚生活は破綻し子供とは月に1度しか会えません。そして、青瀬の代表作となり「平成すまい200選」にも掲載されたY邸の施主と連絡が取れなくなり、信濃追分のY邸まで青瀬が出向いたところ、Y邸には施主一家が引っ越した後がなく、タウトの椅子が置いてあるだけでした。他方で、青瀬の勤務する建築事務所は著名芸術家の記念ミュージアム建設のコンペに参加する権利を獲得したものの、市政との癒着を全国紙で指摘され、コンペは辞退し建築事務所の所長は入院した病院から転落死してしまいます。最後が、かなり一気に終わる、というか、途中までタマネギの皮をむくようにジワジワと真実に迫った青瀬なんですが、なぞ解き部分が建築事務所の所長の葬儀あたりから一気に進んで、割合とあっけなく謎が解明されます。そうでなくても、かなりのボリュームを要した大作ですから、これ以上長くするのにはムリがあったのかもしれませんが、ここまで余剰を残した終わり方なのであれば、もう少しなぞ解きの部分もゆっくりと進めるわけにはいかなかったのか、と、やや残念に思わないでもありませんが、途中まで見事に読者をミスリードしながら、実に見事、というか、やや不自然ながらも予期せぬ終わり方には、それなりの感慨もなくはありません。なお、タイトルは北からの採光を意識した住まいのつくりのことで、北半球では柔らかな採光になるような気がしますが、何度かこのブログでお示ししたように、私の在チリ大使館勤務のころの経験として、ごく当然ではあるんですが、南半球では太陽は北を回りますから、北向きのベランダの採光がすぐれています。どうでもいいことながら、ご参考まで。

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最後に、朝倉かすみ『平場の月』(光文社) です。何となく、舞台が東武東上線沿線っぽくって、朝霞、新座、志木といったあたりの地域性が出ているような小説です。基本は長編小説ですが、各章を短編に見立てて読めば立派な連作の短編集といえるかもしれません。読み方次第だという気もします。作者は北海道出身の小説家であり、私は不勉強にして、この作品を初めて読みました。この作品で山本周五郎賞を受賞するとともに、直木賞候補に上げられています。私はこの作品は大衆小説とかエンタメ小説ではなく、純文学であると受け止めています。まあ、私の解釈からすれば、落ちはない、ということです。そして、ラブストーリーです。50歳に手が届く中学校の同級生だった中年男女のラブストーリーです。ということで、舞台は埼玉の中でも東京に近い地域であり、登場人物は主人公の男性、青砥のほか、中学の同級生が多く登場します。特に、青砥が中学のころに告白したこともある須藤が青砥とペアをなします。青砥は検査を受けた腫瘍が良性であった一方で、須藤の腫瘍の方はがんと宣告されたりもします。そして、第6章、あるいは、第6話から須藤はストーマ、すなわち、人工肛門を付けることになります。抗ガン剤治療で髪も抜けます。そして、最後には須藤は死にます。50歳でがんなんですから、常識的に死ぬんだろうと思います。そういう意味では、ラブストーリーの中でも悲恋の物語なのかもしれません。第2章のタイトルにもなっていますが、「ちょうどよくしあわせ」というのがひとつのキーワード、というか、本書のテーマになっています。でも、ラブストーリとしては物足りません。50歳だから、というのでもないのでしょうが、燃え上がるものがない一方で、生活感が充満しています。ただ、それを評価する読者も少なくなさそうな気がします。私は、まあ、もういいかな、というカンジです。ワクワクする読書ではありませんでした。ただ、何度も逆接でつなぎますが、それがいいという読者もいそうな気がします。

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2019年7月12日 (金)

マクロミル・ホノテ「2019年会社員の夏休み」の調査結果やいかに?

旧聞に属する話題ながら、先週木曜日の7月4日付けで、マクロミル・ホノテから「2019年会社員の夏休み」調査の結果が明らかにされています。私の勤務するオフィスでも、今週あたりから夏休みの休暇予定の取りまとめが始まり、梅雨も明けないうちから雰囲気が盛り上がっているのかもしれません。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを6点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 会社員の夏休み、タイミングは"お盆"がダントツ。一方で、会社員の5人に1人が"夏休みなし"
  • 連休日数は平均「6.5連休」。最多は「9連休」で22%
  • 連休日数の"理想と現実"の間には1.2日の差。昨年よりも差が縮まる
  • 4月からスタートした有給休暇の取得義務化。
    "夏休みにつなげて有休取得"が「推奨されている」26%、「義務付けられている」5%
  • 休みの予算は、平均48,977円。昨年よりも大きく減少
  • 夏休みの過ごし方、1位は「家でゆっくり」49%。その2人に1人が「たっぷりと睡眠をとる」

元官庁エコノミストとして気になっているのは、5点めの夏休み予算の激減なんですが、それも含めて、いくつか図表を引用しつつ、週末前のお気楽なテーマとして、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上はマクロミル・ホノテのサイトから会社員の夏休みの有無と時期のグラフを引用しています。「夏休みの有無」というのが、会社員ではなく公務員だった私には判りにくいんですが、製造ラインを止めるとかで特定の日付を休みにする制度がある、という意味なんでしょうか。私が定年退職まで勤務していた役所には、連続であれば有給休暇にプラスして3日の休みが追加で取れる、という制度はありました。これも夏休みなんでしょうか。よく判らないながら、8割の会社員は夏休みがあり、その夏休みの時期は8月のお盆周辺が過半を占めています。これは判りやすい結果となっています。

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次に、上はマクロミル・ホノテのサイトから夏休みと有給休暇をつなげることが推奨または義務付けられているかのグラフを引用しています。見て判る通り、推奨が26%、義務が5%となっています。その昔から、日本人は働き過ぎで労働時間が長い、とされていますので、夏休みがあるケースでは有給休暇とすなげて、より長い休暇を取るように推奨したり、あるいは、義務付けたりするのもアファーマティブ・アクションとしてよさそうな気もします。ただ、パーソナルな予定とミートしない夏休みの設定の場合、義務とされてしまうとかえって苦しくなる可能性もあるんではないかという気がします。

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最後に、上はマクロミル・ホノテのサイトから最大連休日数の理想と現実、また、予算の平均を示す画像を引用しています。連休日数の理想と現実については、昨年2018年のその差2日余りから、今年2019年は1日余りに激減しました。ついでに、平均予算も1万円近く激減しています。マクロミル・ホノテのサイトでも考慮しているように、今年はゴールデンウィークが10連休と超大型でしたので、お休みもお休みで使う予算もゴールデンウィークと夏季で分散したのだろうと私は受け止めています。

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2019年7月11日 (木)

ご寄贈いただいた松尾匡『左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議』(青灯社) を読む!

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ご寄贈いただいた松尾匡『左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議』(青灯社) です。ご著者は、松尾先生と「ひとびとの経済政策研究会」となっていて、私は松尾先生にお礼のメールを差し上げておきました。すでに、役所を定年退職して、もともと大したことのなかった影響力がすっかりなくなったにもかかわらず、いまだにご著書をご寄贈いただけるのは有り難い限りです。
まず、どうでもいいことかもしれませんが、少しは気にかかるところで、本書タイトルの「左派・リベラル派が勝つ」というのは、何に勝つのか、という点なんですが、基本的に選挙に勝って政権を奪取する、という意味のようです。まあ、単なる選挙での躍進で議席数を増やして、与党が改憲に必要な議席数に到達するのを阻止する、というのも意味あるかもしれませんが、私はそれでは物足りません。政権を取って政策を実行する足がかりとすべきと考えます。また、どうでもいいことながら、自称マルキストの中には、政権奪取のためには選挙ではなく、もっと暴力的な手段に訴えかねない人たちがいる可能性は否定しませんが、私自身はそんなことはありませんし、おそらく、ご著者の方々も私と同じではなかろうかと想像できます。しかも、政権選択選挙ではありませんが、参議院議員選挙という国政選挙がすでに公示されているタイミングです。
本書は2部構成で、前半は松尾先生が左派・リベラル派の経済政策のバックグラウンドとなる理論を展開し、第1部の末尾にはQ&Aまで付し、第2部では選挙の際のマニフェストの案が示されています。ということで、世論調査や内閣支持率の分析から本書は始まります。そして、若い世代では経済政策を重視し現政権支持率が高い一方で、年配世代は内閣支持率低い、という事実を明らかにしています。私も定年退職するまで、総理大臣官邸近くのオフィスに通っていましたから、官邸や国会議事堂などに向けて何らかの意思表明する人々を見かけることも少なくなかったんですが、大雑把に、年配は左翼的な主張、若者は右派的な意見表明、というパターンが多かったような実感を持っています。そして、少なくとも、現在の安倍内閣で経済や雇用が改善したのは事実です。本書でも、pp.38-40のいくつかのグラフで定量的に実証しています。もちろん、背景には、その前の民主党政権の経済政策がパッとしない、というか、ハッキリいえば、ひどいものだったので、安倍内閣になってその前に民主党政権時の経済政策が否定されただけでOK、という面があるのも確かです。ただ、さらにその前を振り返れば、小泉内閣の時のいかにも右派的な構造改革という名の供給サイド重視の経済政策で実感なき景気回復の果てに、2008年の米国のサブプライム・バブル崩壊による世界不況が民主党への政権交代を促したのも事実です。ですから、1992年の米国大統領選挙時に、当時のクリントン候補が標榜していた "It's the economy, stupid!" というのは今でも真実なんだろうと思います。それに対して、本書で指摘しているように、左派・リベラル派は景気拡大に対してとても冷たい態度を示し、「脱成長」を主張する場合すらあります。ですから、年金をもらってぬくぬくと生活している高齢世代はともかく、リストラされないように必死に働いている若い世代の間で左派への支持が低いのは、ある意味で、当然です。本書でも、米国のトランプ大統領、フランス大統領選挙で一定の支持を集めたルペン党首、など、経済政策的には反緊縮で金融緩和支持の左派的な政策志向を示すポピュリストが少なくないと指摘しています。実は、ナチスのヒトラーがそうだったわけですが、同時に、現在では、欧米の主要な左派、すなわち、英国労働党のコービン党首、スペインのポデモス、米国のサンダース上院議員などと大きな違いはありません。ですから、本書で明確に指摘されているわけではありませんが、右派と左派で大きく経済政策が異なるのは先進国では日本くらいのものかもしれません。第2部の選挙マニフェスト案では、消費税を5%に戻すとともに、法人税を増税し、所得税の累進性を強化することにより、医療や教育の充実を図る、との方向が示されています。従来から、私はインフラ投資はまだ必要なものが残っている、と主張しているんですが、第2部のマニフェスト案でも必要な公共投資は実行するとされています。そして、ベーシックインカムの導入に加えて、目立たないんですが、TPPは白紙に戻すとされています。私は全面的に賛成です。ただ、私の単なる趣味かもしれませんが、ベーシックインカムが格差是正の政策というのは理解するものの、ベーシックインカムと累進税制の強化のほかにも何か格差是正策があれば、なおいいんではないかと思います。

最後に、本書でも簡単に触れられているんですが、米国のサンダース上院議員の経済ブレーンであるケルトン教授らの支持する現代貨幣理論(MMT: Modern Monetary Theory)に関して、現時点では直感的に成り立つ可能性を私は感じているんですが、不勉強にして、それほど大きな確信があるわけではありません。その昔の税収に関するラッファー曲線は、レーガン大統領の時のブッシュ副大統領が "voodoo economics" と評したらしいんですが、よく考えると、税率ゼロで税収ゼロは当然としても、税収は税率の上昇に従った単調な増加関数ではない可能性も十分あり、どこかで税収を最大にする税率がありえることは直感的に理解できなくもありません。ラッファー曲線と同列に議論するのは気が引けるものの、現時点では日米両国の財政当局や中央銀行からMMTはかなり批判されているように見受けられる一方で、確かに、財政赤字がGDP比で発散すれば何らかの不均衡を招く可能性が高いと私は考えるものの、自国通貨建ての国債発行で財政資金を調達し、その国債は中央銀行が市中から買い上げれば、いわゆる「雪だるま式」に発散しない可能性も理解できなくもありません。もう少し勉強したいと思うのですが、なかなか能力も時間も不足しています。

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2019年7月10日 (水)

先発メッセンジャー投手が早々に崩れてジャイアンツに甲子園で3タテされる!!!

  RHE
読  売130000000 4100
阪  神000001000 180

メッセンジャー投手が早々にノックアウトされて、なすすべなく巨人にボロ負けでした。スカイAでテレビ観戦していたんですが、解説の掛布さんの分析がいちいちごもっともで、早く監督になっていただきたいと感じずにいられませんでした。原口選手を早めに代打で投入して勝負をかける、というのは、私が昨夜の試合で主張した8回の糸原キャプテンの打席での投入、というのと相通ずるものがあったような気がします。いずれにせよ、メッセンジャー投手がボロかった一方で、先発をつないだリリーフ陣はほぼほぼ完璧だったんですが、いつもの貧打が続き、決定打なく得点力に欠けます。ベンチも、選手も、漫然と野球しているような気がしてなりません。

オールスター期間はしっかり休んで、
がんばれタイガース!

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とうとう下落に転じた6月の企業物価(PPI)をどう見るか?

本日、日銀から6月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲0.1%の下落と、とうとうマイナスになってしまいました。前年比マイナスは2016年12月の▲1.2%以来、1年半ぶりです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
6月の企業物価、前年比で下落に転じる 2年半ぶり 米中摩擦響く
日銀が10日発表した6月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は101.2と、前年同月に比べて0.1%下落した。前年比で下落に転じるのは2016年12月以来2年半ぶり。前月比でも0.5%下落した。米中間の貿易摩擦懸念の高まりを背景に国際商品市況の悪化が国内企業物価を押し下げた。
米中の追加関税引き上げ措置などを受けて米中貿易摩擦への懸念が再燃した。商品市況の悪化を背景に、銅など非鉄金属が前年比9.3%下落と前月から下落幅を拡大したほか、スクラップ類も同15.4%下落した。
日銀調査統計局は「米中摩擦に対する市場の見方が商品市況にどう影響するかに大きく左右される展開が続くとみられる」という。
公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは378品目、下落したのは275品目だった。上昇から下落を引いた品目がプラスとなるのは27カ月連続だった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、ヘッドラインの国内物価の前年同月比上昇率で見て+0.3%と、大きくプラス幅が縮小するものの、まだプラス圏内ということだったんですが、実績ではマイナスの結果となりました。予測のレンジでも、下限がゼロでしたので、その下限を突き抜けたマイナスですので、ややびっくりです。米中貿易摩擦に起因する国際商品市況の下落が大きな要因と考えられ、例えば、すべて前年同月比で見て、国内物価では非鉄金属が▲9.3%、石油・石炭製品が▲5.5%、化学製品が▲2.4%などが大きなマイナスをつけています。ただ、電力・都市ガス・水道についてはタイムラグがあって+5.4%の上昇を記録しています。また、同じように、輸出物価でも化学製品▲12.2%、金属・同製品▲5.8%が大きなマイナスで、輸入物価でも金属・同製品▲8.4%、石油・石炭・天然ガスが▲7.0%、化学製品が▲6.8%などとなっています。国際商品市況における動きの激しい品目や中国の需要に大きく左右される品目の下落が大きい印象です。そして、これらの国際商品市況の動向については、実需もさることながら、米中間の貿易摩擦やそれに基づく世界経済の先行きなどに関する期待の影響が大きく、ひょっとしたら、企業物価については日本国内の金融政策よりも国際経済動向の方にウェイトがあるのかもしれません。日銀の物価目標はあくまで消費者物価(CPI)、それも生鮮食品を除くベースのコアCPIですが、当然ながら、その川上に当たる企業物価(PPI)の影響も強く受けます。合わせて、為替動向も見極めて、米国連邦準備制度理事会(FED)の金融政策動向も考慮に入れつつ、日銀による金融政策の舵取りが難しくなってきたように感じています。

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