2018年2月23日 (金)

2018年に入ってともに+1%近い上昇率を続ける消費者物価(CPI)と企業向けサービス物価(SPPI)!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、また、日銀から企業向けサービス物価指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも1月の統計です。どちらも前年同月比上昇率でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月と同じ+0.9%を、また、SPPI上昇率は前月からやや上昇幅を縮小して+0.7%を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の全国消費者物価0.9%上昇 エネルギーが押し上げ
総務省が23日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.4と前年同月比0.9%上昇した。プラスは13カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.8%上昇)を上回った。電気代や石油製品などエネルギー品目が押し上げた。17年12月は0.9%上昇だった。
生鮮食品を除く総合では、全体の58.5%にあたる306品目が上昇し、165品目が下落した。横ばいは52品目だった。生鮮食品を除く総合指数を季節調整した前月比でみると0.2%上昇だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は100.7と前年同月比0.4%上昇した。安売り規制の影響でビールなど酒類が上昇した。婦人用コートなど衣服及び履物も押し上げに寄与した。
生鮮食品を含む総合は101.3と1.4%上昇した。消費増税の影響を除くと2014年7月(1.4%上昇)以来の高水準だった。天候不順や不漁でレタス、ミカン、マグロなどが高騰し、指数を押し上げた。
政府が進める統計改革の一環で、総務省は全国CPIの公表を今回から1週間早めた。調査項目として「格安スマホ通信料」「SIMフリー端末」「加熱式たばこ」の3点を加えた。総務省統計局は新品目に「価格は安定しており、指数への影響は限定的」との見方を示した。
1月の企業向けサービス価格、前年比0.7%上昇 テレビ広告が堅調
日銀が23日発表した1月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.7で、前年同月比で0.7%上昇した。テレビ広告が堅調だった。人手不足を背景にソフトウエア開発や土木建築サービスの価格も上昇した。前月比では0.6%下落した。
テレビ広告は年始にあった人気の映画の放送が寄与した。前年と比較して積極化した仮想通貨の広告も価格上昇につながった。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。対象147品目のうち、前年比で価格が上昇したのは80品目、下落は31品目だった。上昇から下落の品目を引いた差は49品目だった。
宅配便など道路貨物輸送関連の価格は伸び悩んだ。ただ「これまでの値上げ幅が落ち着いてきたものの、上昇トレンドは変わっていない」(調査統計局)という。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、やや長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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昨年2017年12月統計に続いて、今年2018年1月もコアCPI上昇率は+0.9%を記録し、エコノミストの間では早ければ2月にも+1%に達し、場合によってはデフレ脱却宣言も遠くない、との憶測が飛び交っていますが、それでも日銀のインフレ目標の+2%にはほど遠く、しかも、エネルギー価格に伴う物価上昇ですから、コスト・プッシュの要因が強く働いていると考えられ、どこまでが順調な景気回復・拡大に基づくディマンド・プルなのかは疑問が残ります。私は決して「悪い物価上昇とよい物価上昇」を区別しようと思いませんが、少しくらいは考えてみる必要もありそうです。すなわち、石油価格などのエネルギー価格の上昇に牽引された物価上昇では、実質所得の減少につながる場合があると考えるべきですが、逆に、同じコスト・プッシュでも石油価格をはじめとするエネルギー価格ではなく、賃上げによる賃金に起因する物価上昇であれば、所得の増加が伴うので物価上昇による実質所得の低下は小幅で済むのはいうまでもありません。いずれにせよ、賃上げ動向次第で政府がデフレ脱却宣言を発する可能性があることは可能性なしとしません。

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エネルギー価格に牽引された物価上昇ということで、少し違う角度から消費者物価上昇率を考えてみたのが上のグラフです。いずれも前年同月比の上昇率で、上のパネルは購入頻度別に見た物価上昇率、月1回程度以上と未満のそれそれの上昇率であり、下のパネルは基礎的・選択的支出別の物価上昇率です。なお、基礎的支出と選択的支出の定義については、ホンワカと理解できるところですが、「消費者物価指数のしくみと見方」pp.35-36 で解説されています。ということで、グラフから明らかな通り、頻度高く購入する品目、また、基礎的な支出に当てる必需品の物価上昇率が最近時点で高く、しかも、ここ2~3か月で急上昇を示していることから、どうも国民一般には物価上昇が実感としては統計以上に感じられている可能性があるんではないかと懸念しています。

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最後に、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、SPPIも引き続き堅調な推移を見せています。特に、1月には景気動向と密接な関係を持つと考えられる広告が、前年同月比で+1.4%の上昇、前年比寄与度前月差でも大きな寄与を示しています。引き続き、人手不足を背景として企業向けサービス物価もプラスを続けそうです。

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2018年2月22日 (木)

ジャパンネット銀行によるシェアリングサービスに関する調査結果やいかに?

先週金曜日2月16日付けの記事に、私はエコノミストとして、Airbnb とか Uber などのシェアリング・エコノミーに興味がある、と書きましたが、2月15日付けでジャパンネット銀行から「ミレニアル世代の "シェア消費" 事情は?」と題する利用意向・利用実態を調査した結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ジャパンネット銀行のサイトから調査結果トピックスを3点引用すると以下の通りです。

調査結果トピックス
  1. ミレニアル世代のシェアサービスに対する興味・関心
    場所・モノ・交通手段...3分野のシェアサービスについて、利用実態・利用意向を調査
    利用に関心を持つミレニアル世代は6割超、受容度は親世代の約3倍に!
  2. ミレニアル世代にとってのシェアサービスの魅力
    ミレニアル世代にとって、シェアサービスは「お得」で「合理的」な、賢い選択
    「他ユーザーとの交流のきっかけになる」の声も半数超え
  3. シェアサービスと親和性が高い、ミレニアル世代の消費傾向
    「モノをあまり持ちたくない」「合理性を重視する」「体験・つながりを大事にしたい」...
    ミレニアル世代の消費傾向は、シェアサービスの特性とリンクする部分が多数

私のような中年を対象にした調査ではなく、2000年以降に成人あるいは社会人になるミレニアル世代対象の調査です。米国などではシェアリング・エコノミーの牽引役はミレニアル世代であるといわれており、ややバイアスあるものの、我が国でもそれなりに興味深い結果が出ています。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、ジャパンネット銀行のサイトから シェアサービスに対するミレニアル世代の利用意向 の画像を引用すると上の通りです。各分野の利用意向とは、「すでに利用している」と「ぜひ利用したいと思う」と「機会があれば利用したいと思う」の合計ですから、濃淡はあるんでしょうが、まずまず利用意向としては高い方ではないかという気がします。ただし、欧米先進国などで考えられているシェアリング・エコノミーとはやや定義がズレているような気がします。私が考えるシェアリング・エコノミーとは、事業者がインターネット上にマッチングのためのプラットフォームを設置し、それによって消費者同士が、すなわち、CtoC で取引がなされ、その仲介手数料がプラットフォーム企業の収益になる、というもので、最初に書いた通り、Airbnb とか Uber などが典型です。でも、上の画像の各分野の1位から3位までを見る限り、極めて伝統的で従来型の貸衣装とか、レンタカーなども「シェアリング・サービス」と称してマーケティングを行っているような気がします。かつて、電気製品で何でもかんでも「ファジー」を付けたマーケティングがありましたが、そういった売込み上のテクニックと化しているのかもしれません。

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次に、ジャパンネット銀行のサイトから シェアサービスに対するミレニアル世代の考え方 のグラフを引用すると上の通りです。「シェアサービスを利用するのは賢い選択だと思う」と答えた人は66%と約7割に上り、ほかにも、「シェアサービスは経済的だと思う」(77%)、「シェアサービスは合理的だと思う」(73%)と答えた人も、それぞれ7割を超えています。そのバックグラウンドとして、「モノをあまり持ちたくない」(51%)、「お金を使うときには合理性を重視するほうだ」(66%)、「モノよりも体験や人とのつながりを大事にしたい」(51%)などの結果も示されており、消費に対する意識がシェアリング・エコノミーとの親和性高いとの結果が示されています。

やや、本来のシェアリング・エコノミーを一部に誤解しつつ、売込み上のテクニックのように見えなくもありませんが、ミレニアル世代に対するシェアリング・サービスの浸透度はそれなりに高い結果が示されているように受け止めました。私は、たぶん、こういったシェアリング・サービスは利用する機会は少ないような気がしますが、エコノミストとして消費や経済への影響を考えたいと思っています。

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2018年2月21日 (水)

帝国データバンクによる「2018年度の賃金動向に関する企業の意識調査」やいかに?

春闘における賃上げ3%の政府目標(?)が掲げられている中で、先週2月15日付けで帝国データバンクから「2018年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。まだまだ不十分との意見もあるでしょうが、少しは期待できる内容かという気もします。まず、調査結果(要旨)を帝国データバンクのサイトから4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2018年度の賃金改善が「ある」と見込む企業は56.5%と過去最高を更新。前回調査(2017年度見込み、2017年1月実施)を5.3ポイント上回った。「ない」は18.4%にとどまり、2018年度の賃金改善は概ね改善傾向にある。
  2. 賃金改善の具体的内容は、ベア45.4%(前年度比5.1ポイント増)、賞与(一時金)31.8%(同3.0ポイント増)。ベア・賞与(一時金)とも過去最高を更新
  3. 賃金を改善する理由は「労働力の定着・確保」が8割に迫る79.7%と4年連続で増加。人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は一段と強まっている。「自社の業績拡大」(47.0%)が5年ぶりに増大するなど、上位5項目はいずれも前年を上回った。改善しない理由は、「自社の業績低迷」(55.6%)が4年ぶりに5割台へ低下。「人的投資の増強」(20.2%)は横ばいで推移した一方、「内部留保の増強」(17.9%)は3年連続で増加
  4. 2018年度の総人件費は平均2.84%増加する見込み。そのうち、従業員の給与や賞与は総額で約3.7兆円(平均2.65%)増加すると試算される

やや長くなってしまいましたが、リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートからベースアップと賞与(一時金)に分けて、賃金改善の具体的内容について問うた結果のグラフは上の通りです。賃金改善を予定している企業はまだまだ少数で50%を割り込んでいるとはいえ、昨年度と比べてベアが5.1%ポイント、賞与が3.0%ポイント、それぞれ増加を示しており、いずれも過去最高だそうです。そして、賃金を改善する実施する理由としては、複数回答制で、「労働力の定着・確保」の79.7%がもっとも高く、ここ3年間でジワジワと割合が拡大しています。逆に、賃金を改善しない理由としては、「自社の業績低迷」が55.6%とトップとなっていますが、ここ3年間でジワジワと割合を下げています。

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私は、我が国の賃金が1人当たりでは上がる余地が小さいと考え始めてから、雇用の増加、しかも、正規雇用の増加と賃金上昇のかけ合せたマクロでの総人件費が消費に効いてくることから、マクロでの賃金動向にも目を配っているところ、次に、リポートから 2018年度の総人件費見通し のグラフを引用すると以下の通りです。ここ3年間で総人件費が増加する企業の割合が高くなってきており、逆に、減少の割合が低下しているのが読み取れます。ホントは、1人当たり賃金の上昇が加わって、物価上昇への圧力となるのがさらに望ましいような気もしますが、取りあえず、現時点では実感薄い景気回復・拡大の要因のひとつは消費の伸び悩みだと私は受け止めていますので、その消費の原資となるマクロでの総所得が伸びる方向にあるのは評価できるのではないかと考えています。

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2018年2月20日 (火)

連合総研による「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」結果やいかに?

先週2月16日付けで、連合総研から「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」の結果が明らかにされています。ネット調査であり、調査対象は加盟組合員だけでなく、働く男女1,000名の有効サンプルを集計したとされています。まず、リポートから調査結果の概要を6点引用すると以下の通りです。


  • AIのイメージ1位「記憶力や情報量が多い」
    臨機応変な対応や創造性の能力は、苦手なイメージ
  • AI導入で「自分の仕事が変わる」と3人に2人が予想
  • AIの導入で仕事は楽になる?それとも負担が増える?
    4割半ばが「仕事が楽になる」と予想
  • AI導入で労働時間がどう変わる? 2割半ばが「減る」と予想
    減少予想は「運輸」「金融・保険」で高く、AI導入で長時間労働の緩和に期待
  • AIの活用で「勤務先が維持・成長・発展する」と考える人は約6割
  • AIが導入されたら現在のスキル・知識で対応できる? 「できないと思う」が7割弱
    AIに関する知識やスキルに自信のない人が多いという結果

ということで、とても興味あるテーマですので、図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、グラフは引用しませんが、AIに対する認知度ですが、「意味をよく知っている」は31.5%、「言葉自体は聞いたことがある」が57.8%と、合わせて9割近い認知度を示しており、男女差は大きくないものの、わずかに男性の方が認知度高く、年齢的には20代から60代以上まで大雑把に90%近くで大差ありません。
これも図表は引用しませんが、「記憶力や情報量が多い」で76.8%、「ミスが少なく正確な判断ができる」が67.5%、「複数の事象を把握・対応ができる」が64.2%、「経験にもとづいた対応ができる」が61.4%で続いており、記憶力や正確性、マルチタスク能力などに優れているとの印象が持たれている一方で、臨機応変な対応や創造性の能力については他に比べて優れているとイメージしている人が少ないようです。私が印象的だったのは、業種別に、「ミスが少なく正確な判断ができる」や「複数の事象を把握・対応ができる」とのイメージを持っている人の割合がもっとも高かったのは金融・保険業だった点で、それぞれ約8割に上っています。

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まず、リポートから 今後、AIが普及することに対してどう思うか に関するグラフを引用すると上の通りです。先ほどの正確性などに対する期待が大きかった金融・保険業で、期待感ももっとも高く70%超を示しています。建設業や飲食・宿泊業などの人手不足の影響大きい業種では期待度は決して高くなく、逆に、公務等で不安感がもっとも大きく20%に達しています。公務員のひとりとして判る気もします。

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次に、リポートから 今後、自分の勤務先が、AIの活用によって、維持・成長できると思うか に関するグラフを引用すると上の通りです。何と、AIを活用しても縮小したり、存続も難しいとする回答も一定割合あって、「維持・成長・発展が見込める」と一括されている割合が60%にとどまっています。私の実感としてはかなり悲観派が多い気もします。その背景として、これもグラフは引用しませんが、冒頭の調査結果概要にあるように、AIに関して現在のスキル・技術で対応できると思うか聞いたところ、「できると思う」は32.7%、「できないと思う」は67.3%で、後者が圧倒的多数でした。このあたりが今後のAI化推進の阻害要因のひとつになるのかもしれません。

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2018年2月19日 (月)

1月貿易統計の大きな赤字は先行き日本経済の悲観材料か?

本日、財務省から1月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+12.2%増の6兆856億円、輸入額も+7.9%増の7兆290億円、差引き貿易収支は▲9434億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の貿易収支、8カ月ぶり赤字 9434億円、原油高で輸入増
財務省が19日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9434億円の赤字(前年同月は1兆919億円の赤字)だった。貿易赤字は8カ月ぶり。原油相場の高止まりが続き、輸入が増加した。
輸入額は7.9%増の7兆290億円だった。13カ月連続で増加した。原油や液化天然ガス(LNG)など資源価格上昇の影響を受けた品目が全体を押し上げたほか、医薬品の輸入も増えた。対中国の輸入額は3.3%減少したが、11カ月連続の貿易赤字だった。対米国の輸入額は9.4%増加し、貿易黒字幅は2カ月連続で縮小した。
輸出額は前年同月比12.2%増の6兆856億円と、14カ月連続でプラスだった。地域別に見ると、アジア向け輸出は3兆3503億円と16.0%増えた。このうち中国向けは30.8%増の1兆1600億円で、いずれも1月としては過去最高だった。輸出全体の増加に寄与したのは、中国向けのハイブリッド(HV)車や車両用エンジン、IC製造装置などだった。
中国は毎年、春節(旧正月)前に輸入を絞る傾向がある。1月の中国向け輸出額の伸び率が高かったのは春節の時期の違いが影響した面がある。今年の春節は2月16日だったため「対中輸出への影響は2月にずれこむ可能性がある」(財務省)という。
税関長公示レートは1ドル=112.47円。前年同月に比べ3.4%円高にふれた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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毎年、この1~2月の季節になると、いかんともしがたく貿易統計の輸出額には中華圏の春節の影響が現れます。春節は、昨年2017年は1月28日、今年2018年は2月16日でしたので、月が違うと季節調整すらままならず、前年同月比で見ても大きなバイアスがかかりかねません。ただ、輸入額は我が国経済の回復・拡大と国際商品市況における石油価格の上昇により着実に増加を示しています。もっとも、NY市場における原油価格は、貿易統計の1月ではなく2月の現時点で、1バレル60ドルを少し超えたくらいのレンジですので、かなり上昇したとはいえ、それほどムチャな水準ではありません。そして、上のグラフの季節調整済みの系列の方の下のパネルに見られる通り、傾向を見る目的で引用している季節調整済みの系列ではまだ貿易収支は黒字であり、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスを下回り、大差ありませんから、原系列統計での貿易赤字をもって悲観材料とは考えられません。ただ、ひとつだけ、為替相場については、最近時点でも円高に振れていることから、例えば、最近の株式市場の乱高下などを見るにつけ、貿易にとどまらず、株価やマインド面も含めて為替の影響は大きいと、改めて感じています。

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輸出の動向については、繰り返しになるものの、春節効果による振れが大きく、それだけ我が国輸出に対する中国経済の影響度合いが大きくなったことを実感します。最近時点では、特に昨年2017年12月と直近統計の今年2018年1月には、為替相場における円高の影響から輸出価格上昇の抑制が観察されましたが、輸出数量の方で伸びを確保しているのがグラフから見て取れます。一番上のパネルです。輸出の先行きについては、中国をはじめとする新興国や先進国ともに世界経済が緩やかに回復・拡大する中で、我が国輸出も堅調に推移するものと見込んでいます。ただし、もう一度確認ですが、為替相場が安定的に推移するという前提の下ですので、米国が金融政策の正常化を進めて米国金利の動向が不透明な中で、為替だけは相場モノでもあり先が見通せません。

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2018年2月18日 (日)

英国『エコノミスト』誌のガラスの天井指数 = glass-ceiling index やいかに?

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毎年3月8日は International Women's Day であり、今年のテーマは PRESS for progress だそうです。第2インターナショナルを起源とする社会民主主義的な要素を持つ記念日ですが、この3月8日を前にして、英国『エコノミスト』誌が、上に引用したような Environment for working women のランキングを明らかにしています。The Economist's glass-ceiling index と名付けているようです。やっぱり、我が国はこういった分野は遅れているんでしょうね。

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2018年2月17日 (土)

今週の読書は経済史や経済学の学術書を中心に計6冊!

今週はペースダウンできず、結局、経済書をはじめ6冊を読みました。実は、今日の土曜日に恒例の図書館回りをしたんですが、来週はもっと読むかもしれません。

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まず、ロバート C. アレン『世界史のなかの産業革命』(名古屋大学出版会) です。著者はオックスフォード大学の経済史研究者であり、オランダ生まれで米国ノースウェスタン大学のモキーア教授とともに、産業革命期の研究に関しては現時点における到達点の最高峰の1人といえます。本書の英語の原題は The British Industrial Revolution in Global Perspective であり、2009年の出版です。産業革命に関しては生活水準の低下や過酷な工場労働の現場などから悲観派の見方もありますが、本書の著者のアレン教授はアシュトンらとともに楽観派に属するものといえます。ということで、このブログの読書感想文ほかで何度か書きましたが、西洋と東洋の現段階までの経済発展の差については、英国で産業革命が開始され、それが米国を含む西欧諸国に伝播したことが西洋の東洋に対する覇権の大きな原因である、と私は考えていて、ただ、どうして英国で産業革命が始まったのかについての定説は存在しない、と考えていました。本書を読み終えてもこの考えは変わりないんですが、本書における見方としては、やや定説と異なり、プロト工業化を重視する一方で、農業生産性の向上による生活水準の上昇、ロンドンを中心とする高賃金、石炭などの安価なエネルギーの活用、そして、機械織機、蒸気機関、コークス熔工法による製鉄を3つの主軸とする技術革新などの複合的な要因により、英国で世界最初の産業革命が始まり進行した、と結論づけています。私はマルクス主義史観一辺倒ではないにしても、何かひとつの決定的な要因が欲しい気がしますし、また、産業革命の担い手となる産業資本家の資本蓄積に関する分析も弱いですし、さらに、機械化の進行については馬や家畜などによる動力源を代替する蒸気機関だけでなく、手工業時代における人間の手作業を代替する機械の使用をもっと重視すべきだと考えており、やや本書の分析や結論に不満を持たないでもないんですが、繰り返しになるものの、世界の経済史学界における現時点でのほぼ最高水準の産業革命の研究成果のひとつといえます。よく私が主張するように、産業革命期の研究に関しては、英国=イギリスとイングランドをキチンと区別する必要があるという見方にも、当然、適合しています。完全なる学術書ながら、テーマが一般的ですので、研究者だけでなくビジネスマンなどの研究者ならざる、という意味での一般読者も楽しめるんではないか、という気がします。

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次に、ジェフリー・ミラー『消費資本主義!』(勁草書房) です。著者は米国の進化心理学の研究者であり、本書は必ずしも経済書とはいえないと考える向きもあるかもしれませんが、ツベルスキー・カーネマンのプロスペクト理論のような例もありますし、かなり経済書に近いと考えるべきです。英語の原題は Spent であり、2009年の出版です。ということで、大昔のヴェブレンによる見せびらかしの消費やガルブレイスの依存効果など、決して使用価値的には有益な利用ができないにもかかわらず、事故の何らかの優越性を誇示するための消費について、心理学的な側面も含めて分析を加え、最後の方ではその解決策の提示も行っています。まず、もちろん、見せびらかしでなく使用価値に基づく利用が行われている消費も少なくなく、典型的には食料などが含まれると私は考えていますが、本書では一貫してある種の自動車をヤリ玉に上げています。私は自動車を持っていませんので、まったくその方面の知識がないんですが、ハマーH1アルファスポーツ車です。いろんな特徴ある中で、私の印象に残っているのは燃費がひどく悪い点です。こういった見せびらかしの消費を本書の著者は「コスト高シグナリング理論」と名付けて、要するに、生物界のオスの孔雀の尾羽と同じと見なしています。ある麺では、要するに、将来に向けてその人物のDNAを残すにふさわしいシグナリングであると解釈しているわけです。そうかもしれないと私も思います。その上で、こういったプライドを維持するに必要な中核となる6項目として、開放性、堅実性、同調性、安定性、外向性を上げています。そして、解決策として、第15章でいくつか示していて、買わずに済ませるとか、すでに持っているもので代替するとか、有償無償で借りて済ませるとか、新品でなく中古を買うとか、といったたぐいです。しかしながら、その前にマーケターによるこういった見せびらかしの消費の扇動について触れながら、情報操作による消費活動の歪みを是正するという考えには及んでおらず、少し不思議な気もします。いずれにせよ、私のような専門外のエコノミストから見ても、消費の際の意思決定において心理学要因がかなり影響力を持ち、しかも、その心理要因をマーケターが巧みについて消費を歪めている、というのは事実のような気がします。ですから、行動経済学や実験経済学のある種の権威はマーケターではなかろうか、と私は考えています。

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次に、井堀利宏『経済学部は理系である!?』(オーム社) です。著者は長らく東大教授を務めた経済学者であり、本書は冒頭で著者自身が「単なる経済数学の解説書ではない」と明記しているものの、否定されているのは「解説書」の部分ではなく、「単なる」の部分だと私は受け止めました。ですから、経済学で取り扱うさまざまなモデルを数式で解析的に表現し、微分方程式を解くことによりエレガントに解を求めようとする経済書です。しかも、ミクロ経済学にマクロ経済学、短期分析に長期分析、比較静学に動学、さらに、経済政策論として財政学や金融論まで、極めて幅広く網羅的に解説を加えています。最近の動向は必ずしも把握していないものの、私のころでしたら公務員試験対策にピッタリの本だよいう気がします。ですから、おそらく学部3#xFF5E;4年生向けのレベルであり、経済学部生であっても初学者向きではありません。一般のビジネスマン向けでもありません。実は、私は30年超の昔に経済職の上級公務員試験に合格しているだけでなく、20年ほど前には人事院に併任されて試験委員として、経済職のキャリア公務員試験問題を作成していた経験もあります。当時は、過去問だけを勉強するのでは不足だという意味で新しい傾向の問題を作成する試みがあり、私はトービンのQに基づく企業の設備投資決定に関する問題を作成した記憶があります。また、すでに役所を辞めて大学の教員になっている別の試験委員がゲーム理論のナッシュ均衡に関する問題を持ち寄ったのも覚えています。そして、本書ではナッシュ均衡についても解説がなされていたりしますから、さすがに、先見の明のあった試験問題だったのかもしれないと思い返しています。20年前にはほとんど影も形もなかった地球環境問題とか、さらに進んで排出権取引を数式でモデル化するといった試みも本書では取り上げられています。なお、本書の冒頭で偏微分記号の ∂ について「ラウンドディー」と読む旨の解説がなされていますが、これについては党派性があり、京都大学では「デル」と読ませていた記憶があります。大昔に、英語の planet を東大では「惑星」と訳した一方で、京大では「遊星」と訳し、現状を鑑みるに、東大派の「惑星」が勝利したように、偏微分記号の読み方でも京大派は敗北したのかもしれません。

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次に、中西聡[編]『経済社会の歴史』(名古屋大学出版会) です。本書は、同じ名古屋大学出版会から既刊の『世界経済の歴史』と『日本経済の歴史』を姉妹編とする3部作の最終巻という位置づけだそうですが、私は単独で読みました。20人近い歴史の研究者が集まって、各チャプターやコラムなどを分担執筆しています。副題が上の表紙画像に見られる通り、「生活からの経済史入門」ということで、4部構成の地域社会、自然環境、近代化、社会環境というように、やや強引な切り口から、災害、土地所有、エネルギー、健康と医薬、娯楽、教育、福祉、植民地などなど、ハッキリいってまとまりのない本に仕上がっています。アチコチで反省的に書かれている通り、経済史を考える場合は生産様式、というか、生産を供給面から追いかけるのが主流であり、生活面からの社会の変化は、まあ、服装の近代化とか、食生活の西洋化とか、住居の高層化とか、それなりに興味深いテーマはあるものの、誠に残念ながら、学問的な経済史の主流とはならない気がします。もっとも、私の読んでいない姉妹編の方で取り上げられているのかもしれませんが、それはそれで不親切な気もします。正面切ってグローバル・ヒストリーを押し出して、西洋中心史観から日本などの周辺諸国の歴史をより重視する見方も出来なくはありませんが、まあ、これだけの先生方がとりとめなく書き散らしているんですから、統一的な歴史の記述を読み取るのは困難であり、井戸端会議的な雑学知識を仕入れるのが、本書の主たる読書目的になるのかもしれません。その意味で、トピックとして雑学知識に寄与するのは、エネルギーのチャプターで、20世紀初頭に英国よりもむしろ日本で電化が進んだのは、実は、安全規制が疎かにされていたためである、とか、第2次世界大戦時の日本における戦時体制はかなりの程度に近代的・現代的かつ合理的であったと評価できる、とか、植民地経営の中で、安い朝鮮米を日本本土に飢餓輸出した朝鮮は満州から粟を輸入したとか、そういったパーツごとにある意味で興味深い歴史的な事実を発見する読書だった気がします。

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次に、平山雄一『明智小五郎回顧談』(ホーム社) です。著者は翻訳家であり、シャーロッキアンでもあり歯科医だそうです。本書は引退した明智小五郎を警視庁の箕浦刑事が「警視庁史」を取りまとめるために取材するという形で進行します。でも、最後に、この箕浦刑事の正体が明らかにされます。何といっても豪快に驚かされるのは、明智小五郎はシャーロック・ホームズの倅だった、という事実です。例のライヘンバッハの滝でホームズが死んだと思わせた後に日本に渡り、日本人女性、その名も紫とホームズの間に誕生したのが明智小五郎であり、結核で紫がなくなった後に明智小五郎に養育費を送付し、一高から帝大を卒業できるようにロンドンから仕送りをしたのがその兄のマイクロフト・ホームズです。もう何ともいえません。私は滂沱たる涙を禁じ得ませんでした。そして、明智小五郎が度々外地に赴くのはホームズと会うことも重要な目的のひとつであり、上海においては明智小五郎はホームズとともにフー・マンチュを追い詰めたりします。そして、もうひとつの驚愕の事実は怪人20面相は明智小五郎の親戚縁者であるという事実です。明智小五郎と怪人20面相は同じ師匠から変装を学んでいるのです。本名平井太郎こと江戸川乱歩は、当然ながら、明智小五郎の友人であり、明智小五郎が解決したさまざまな事件を記述しています。すなわち、「屋根裏の散歩者」であり、「D坂の殺人事件」であり、「二銭銅貨」であり、「心理試験」であり、「一枚の切符」などなどです。ただ、主たる事件は終戦までであり、戦後の小林少年を主人公のひとりとする少年探偵団の行動範囲までは本書では追い切れていません。これはやや残念な点です。そして、もっとも残念な点は、明智小五郎が戦時下で軍部の諜報戦に協力していることです。おそらく、江戸川乱歩も、横溝正史なんかも、言論の自由を封じ込め、伏せ字だらけの出版を余儀なくした軍事体制というものには反感を持っていたと、多くの識者が指摘しています。明智小五郎が軍部の戦争遂行に協力することは、当時の政治的な状況下で致し方ないのかもしれませんが、とても残念に感じるのは私だけではないでしょう。最後に、明智小五郎ファンにはかねてより明らかな事実なのですが、小林少年は3人います。本書冒頭で明らかにされています。こういった事実を整合的にフィクションとして記述しています。イラストは、集英社文庫で刊行された「明智小五郎事件簿」と同じ喜多木ノ実です。日本のミステリファンなら、是が非でも読んでおくべきです。

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最後に、玉木俊明『物流は世界史をどう変えたのか』(PHP新書) です。著者は京都産業大学の経済史の研究者なんですが、経済史ながら経済学ではなく、いわゆる文学部の一般的な史学科のご出身と記憶しています。本書では経済学帝国主義ならぬ物流帝国主義、物流中華思想、物流中心史観から、物流が世界史をどう形作って来たのかを分析しています。ローマとカルタゴ=フェニキア人との物流を巡る確執、7世紀からのイスラーム王朝の伸長、ヴァイキングはなぜハンザ同盟に敗れたか、ギリシア・ローマの古典古代における地中海中心の交易からオランダなどのバルト海・北海沿岸諸国が台頭したのはなぜか、英国の平和=パクス・ブリタニカの実現は軍事力ではなく海運力により達成された、英国の産業革命は物流がもたらした、などなど、極めて雑多で興味深いテーマを17章に渡って細かく分析記述しています。ひとつの注目されるテーマとして、ポメランツ的な大分岐の議論があり、要するに、明初期の鄭和の大航海をどうしてすぐにヤメにしてしまったのか、という疑問につき、本書の著者は、明帝国はほとんどアウタルキーのできる大帝国であって、外国との交易に依存する必要がなかった、との視点を提供しています。まあ、ありきたりの見方ではありますし、今までも主張されてきた点ではありますが、同意できる観点でもあります。ほかにも、学術のレベルではなく、井戸端会議の雑学のレベルではありますが、私のような歴史に大きな興味を持つ読者には、とてもタメになる本だという気がします。2時間足らずですぐ読めます。

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2018年2月16日 (金)

MM総研による「フリマアプリ・オークションサイトの利用動向調査」の結果やいかに?

ここ数年、シェアリング・エコノミーの利用が広がっています。Airbnb や Uber などのプラットフォーム企業がマッチングをして、CtoC で空き部屋のシェアリングや自動車による移動のシェアリング、あるいは、日本でいえばココナラなどのスキルのシェアリングが注目されています。もっとも、ココナラのサイトを見る限り、スキルのシェアというよりは、イラストを売っているに近い気もしないでもありません。
こういった中で、MM総研から先週2月6日付けで「フリマアプリ・オークションサイトの利用動向調査」の結果が明らかにされています。まず、MM総研のサイトから調査結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

  • フリマアプリ・オークションサイトの利用率は38.0%、年代別には20代が47.6%でトップを占め、スマートフォン利用と親密性が高い
  • 購入品目1位は「衣類・服飾品」、次いで「チケット・クーポン」「コスメ・香水・美容」「タレントグッズ・アニメグッズ」「PC・タブレット」と続く
  • フリマアプリのサービス別の利用率は「メルカリ」が77.9%で1位
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まず、上のグラフはMM総研のサイトから フリマアプリ・オークションサイトの利用有無 を引用しています。出品か購入か、いずれか一方しかしない人を含めて40%近い人がフリマアプリやオークションサイトの利用をしており、決して無視できない割合といえます。グラフは省略していますが、年代別には、特に20代では47.6%と半数近い割合で利用しており、フリマアプリやオークションサイトがいわゆる「スマホ世代」に広く浸透していることがうかがえます。同時に、50代以上でも30.8%が利用しており、いろんな年代に渡って、男女ともに利用実態が幅広いことが確認できます。

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次に、上のグラフはMM総研のサイトから フリマアプリ・オークションサイトでの購入品目 を引用しています。この裏側では出品も同じようになっていると想像されます。「衣類・服飾品」がトップになった背景にはフリマアプリの多くが「ファッションアイテム」に注力していることも後押ししている可能性が指摘されます。2位の「チケット・クーポン」は、ライブやスポーツ観戦チケットなどがメインですが、株主優待券や抽選の応募券、割引チケットなどもあるようで、私なんぞが新橋あたりで買い物するリアルのチケット・ショップと変わりないようです。また、3位の「コスメ・香水・美容」で特徴的なのは、使い残しの出品が多いことが指摘されています。自分用にいったん買ったものながら、さまざまな理由から容器にまだ8~9割残っているものを出品するのだということで、購入者側も格安のためテスターとして試すケースもあるようです。

私はフリマアプリというよりも、Airbnb とか Uber などのシェアリング・エコノミーに興味があり、それなりに研究もしようと考えていますが、企業から大量生産品などとして市場に供給される製品やサービスに比べて、シェアリング・エコノミーのような C to C の場合は市場における情報の非対称性が問題になる可能性があると考えています。アカロフ教授がノーベル経済学賞を受賞した中古車市場のレモンとピーチです。さらに、フリマのように中古品を出品するとなれば、この非対称性がさらに大きくなる可能性もあるわけで、これもテーブルの引用は省略しますが、この調査では、フリマアプリのサービス別の利用率は「メルカリ」が77.9%で1位、との結果も示されており、メディアにメルカリがよくない意味で取り上げられるケースが散見されるのも、こういった情報の非対称性に起因している可能性があるような気がしてなりません。

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2018年2月15日 (木)

2017年12月統計で大きな減少を示した機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から昨年2017年12月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲11.9%減の7926億円と大きなマイナスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年12月の機械受注、前月比11.9%減 17年は5年ぶり減少
内閣府が15日発表した2017年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比11.9%減の7926億円だった。減少は3カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中央値(2.9%減)を大きく下回った。製造業と非製造業がともに減少した。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」とした。
製造業の受注額は3648億円と前月比13.3%減少した。減少は2カ月連続。原子力原動機の反動減などによる「非鉄金属」が大幅な減少が響いた。非製造業は7.3%減の4457億円。3カ月ぶりに減少した。運搬機械など「卸売業・小売業」などが減少した。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は5.0%減だった。
併せて公表した2017年10~12月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は2兆5427億円と前期比0.1%減少した。内閣府が前月時点で示していた17年10~12月期見通しは3.5%減だった。
17年の船舶・電力を除いた民需の受注額は10兆1431億円と前年比1.1%減少した。減少は5年ぶり。非製造業は5.1%減の5兆6817億円と3年ぶりに減少した。一方で製造業は4.2%増の4兆4828億円と2年ぶりに増加した。
18年1~3月期の船舶・電力を除いた民需の受注額は0.6%増の見通し。製造業が5.7%減、非製造業が7.4%増とみている。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの中心値は前月比で▲2.9%減であり、レンジの下限でも▲7.5%減でしたので、2ケタ減はかなり大きいと受け止めています。ただ、報道などでは明らかではありませんが、統計作成官庁である内閣府が基調判断を「持ち直しの動き」と総括しつつ、12月統計のイレギュラーさを浮き彫りにした表現を加えていますから、何らかの特殊要因で大幅減がもたらされたのかもしれません。です。いずれにせよ、2017年12月統計の大幅減をどう見るかには、いくつかの解釈が可能かと受け止めています。加えて、その先行きをどう予想するか、もいくつかの見込みがあり得ます。第1に、単純にイレギュラーな特殊要因による大幅減として、基調は「持ち直しの動き」で変わりないとの解釈です。根拠のひとつは2018年1~3月期のコア機械受注の見通しが前期比で+0.6%と増加を示している点です。第2に、為替要因を重視し、特に、足元での円高傾向から先行きを悲観視する見方です。根拠のひとつは、12月統計の前期比でコア機械受注のうち、船舶・電力を除く非製造業が▲7.3%減を示したのに対し、製造業は▲13.3%減であったからであり、2018年1~3月期見通しでも、製造業は前期比マイナス、船舶・電力を除く非製造業はプラスと見込まれています。第3に、足元は楽観しつつ、2019年以降くらいに消費増税の実施と資本ストックの循環要因から設備投資が減速する、という見方です。実は、私自身はこの第3の見方にやや近く、2019年10月の消費増税と2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催後の設備投資は明らかに減速すると予想しています。2019年後半よりはもう1年オリンピック・パラリンピックで需要が支えられる可能性が高いものの、2020年後半には明らかに設備投資は減速すると考えるべきです。ただ、足元や目先については、為替要因が小さいならば、まだ一進一退ないし横ばい圏内の動きを続けるものと考えています。もちろん、為替要因はかなり大きい可能性もあります。それなりのボラティリティを持つ相場モノの予想は私には出来ません。

最後に、四半期データが利用可能になりましたし、先行き四半期である2018年1~3月期見通しも明らかにされています。いつもでしたら、四半期データである達成率のグラフをお示しするんですが、引き続き、エコノミストの経験則である景気転換ラインである90%は超えていません。2017年7~9月期99.0%の後、10~12月期には103.1%となっています。念のため。

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2018年2月14日 (水)

2017年10-12月期GDP統計1次QEは8四半期連続のプラス成長!

本日、内閣府から昨年2017年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.1%、年率では+0.5%を記録しました。8四半期連続のプラス成長で内需主導ながら、+1%をやや下回るといわれている潜在成長率に達しない成長率でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年10~12月GDP、年率0.5%増 内需けん引
内閣府が14日発表した2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.1%増、年率換算では0.5%増だった。プラスは8四半期連続で、同じ基準で数値をさかのぼることができる1980年以降では約28年ぶりの長さ。輸入の伸びで外需は振るわなかったが、個人消費や設備投資など内需の伸びで補った。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.2%増で、年率では0.9%増だった。生活実感に近い名目GDPは前期比0.0%減、年率では0.1%減だった。名目は5四半期ぶりにマイナスだった。
前期比で0.1%増となった実質GDPをけん引したのは内需で、0.1%分の押し上げ効果があった。個人消費は0.5%増と、2四半期ぶりにプラスだった。設備投資は0.7%増と、5四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は2.7%減。公共投資は0.5%減。民間在庫の変動は成長率を0.1%分押し下げた。
外需は0.0%分の押し下げ効果があった。輸出は2.4%増、輸入は2.9%増だった。半導体製造装置などが好調でアジア向けを中心に輸出が拡大したが、輸入も増加した。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.0%上昇した。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%上昇した。
同時に発表した17年通年のGDPは実質で前年比1.6%増、生活実感に近い名目で1.4%増だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/10-122017/1-32017/4-62017/7-92017/10-12
国内総生産GDP+0.4+0.3+0.6+0.6+0.1
民間消費+0.1+0.3+0.9▲0.6+0.5
民間住宅+0.8+1.2+0.9▲1.5▲2.7
民間設備+1.6+0.1+1.2+1.0+0.7
民間在庫 *(▲0.1)(▲0.0)(▲0.1)(+0.4)(▲0.1)
公的需要▲0.5+0.1+1.2▲0.5▲0.2
内需寄与度 *(+0.1)(+0.2)(+0.9)(+0.0)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.1)(▲0.3)(+0.5)(▲0.0)
輸出+2.7+2.0+0.0+2.1+2.4
輸入+0.6+1.7+1.9▲1.2+2.9
国内総所得 (GDI)+0.1▲0.1+0.8+0.5▲0.2
国民総所得 (GNI)+0.1+0.1+0.9+0.7▲0.3
名目GDP+0.4+0.1+0.9+0.6▲0.0
雇用者報酬 (実質)+0.1▲0.2+1.1+0.6▲0.4
GDPデフレータ▲0.1▲0.8▲0.3+0.2+0.0
内需デフレータ▲0.4+0.0+0.4+0.5+0.5

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2017年10~12月期の最新データでは、前期比成長率が8四半期連続でプラスを示し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を叩き出している一方で、黒の外需(純輸出)や灰色の在庫がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは中央値が前期比+0.2%成長、年率では+0.9%だったわけで、何人かのエコノミストも「物足りない」感を表明しているようですが、すでに、1次QE予想を取りまとめた先週金曜日2月9日付けの記事で指摘しておいたように、この市場の事前コンセンサスは高過ぎます。ただ、成長率の水準として素直に見ても、潜在成長率をやや下回るくらいですから、市場の事前コンセンサスと比較して、というよりは、潜在成長率と比べて、やや物足りない成長であった、ということは出来るかもしれません。また、あくまで言い訳ですが、私の実感は前期比でマイナスとなったGDIやGNIの所得面に起因しているのかもしれません。繰り返しになりますが、苦しい言い訳です。他方、ちゃんと数字を見ると、昨年2017年年央は4~6月期も7~9月期もともに前期比で+0.6%、前期比年率ではともに+2.0%を超える高成長を続けており、2017年通年でも前年比で+1.4%成長でしたから、10~12月期にこの程度の下振れはあり得る許容範囲だという気がしないでもありません。特に、天候条件などに起因する部分が小さくなさそうな印象ですので、なおさらです。10~12月期の成長を牽引した消費については、4~6月期に大きなプラスを記録した後、7~9月期にマイナスとなり、また、10~12月期にプラスに戻るなど、矢荒っぽい動きですが、天候要因もあって、ならして見る必要があるというのは私の従来からの主張です。住宅投資はやや下向き加減の動きながら、設備投資はジワジワと増勢を加速させる可能性もあります。在庫投資は成長にはマイナス寄与ながら、在庫調整が進んでいると考えるべきです。ただ、輸出の動向については為替がやや円高に振れていることもあり、先行きは注視する必要があります。そして、何といっても、金融市場の動向には不透明感が残ります。米国の長期金利の動向や、もちろん、為替動向など、相場モノだけに見通しがたいものがありますが、我が国の金融政策がさらに緩和を進めることがどこまでできるのか、私にはよく判りませんので、不透明感は不透明感として残るような気がします。

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今回の2017年10~12月期1次QEで着目したのは物価の動向です。すなわち、上のグラフは少し長めのスパンでデフレータの上昇率をプロットしています。GDPデフレータ、国内需要デフレータ、消費デフレータです。消費者物価(CPI)などと同じように、いずれのデフレータも季節調整していない原系列のデフレータの前年同期比を取っています。GDPデフレータの動きで注意すべきなのは、企業物価(PPI)や消費者物価(CPI)と違って、輸入物価が控除項目となることです。ですから、石油価格が上昇して輸入デフレータが上昇すると、他の条件にして同じであれば、GDPデフレータは下落します。そのため、2017年10~12月期にはGDPデフレータ上昇率はゼロでしたが、消費デフレータや国内需要デフレータが上昇し、同時に輸入デフレータも上昇してのキャンセルアウトの面もあります。例えば、2017年10~12月期には輸入デフレータは+8.4%の上昇を示しています。しかし、それを加味しても、消費デフレータと国内需要デフレータについては2017年年初から、GDPデフレータについても2017年年央から、上昇率がマイナスの下落からプラスに反転し、少しずつ上昇幅を拡大しているのが見て取れると思います。ホームメード・インフレにつながる動きと私は受け止めています。今春闘に本格的な賃上げが実現されれば、デフレ脱却が加速するのではないかと期待しています。

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