2018年4月 6日 (金)

更新停滞のお知らせ

パソコンが故障して入院させる予定です。
しばらく更新は停滞します。
復旧の見込みは立っていません。

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2018年4月 5日 (木)

エン・ジャパンによる「適性テストの結果から見る 2018年度新入社員の特徴と育成ポイント」やいかに?

採用された新入社員が4月にいっせいに職場に入り、その特徴がいろんな場で取りざたされているところかと想像していますが、エン・ジャパンから3月27日に「適性テストの結果から見る 2018年度新入社員の特徴と育成ポイント」と題する調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。私は一向に詳しくないんですが、3Eテストを2018年度の新卒採用で受検した学生から、500名を抽出して統計処理した結果のようです。なお、サブタイトルとして、極めて明確に調査結果をサマライズし、「慎重に空気を読み、出る杭になりたがらない。安定的なキャリアと私生活重視」となっていたりもします。まず、エン・ジャパンのサイトから、2015年と2018年のテスト結果の変化を簡単に取りまとめた結果を引用すると以下の通りです。

テスト結果の変化 (2015年と2018年)
性格特性
低下 - 「主体性」「外向性」
仕事へのスタンス
上昇 - 「安定指向」「私生活重視」
低下 - 「行動性」「競争性」「野心性」「仕事の負荷量に対するストレス耐性」「アントレプレナー」「チャレンジャー」

ということで、2018年度の新入社員に対する育成ポイントとして、以下の3点を上げています。

  1. コンディションを把握し、自主的な報連相を促す。
  2. 理不尽さを排除し、具体的な目標設定の提示を。
  3. 将来のキャリアプランと重ね、新たなミッションを任せる。

2018年度新入社員の3Eテスト受検結果について、2015年の結果と重ね合わせた詳細グラフをpdfの全文リポートから引用すると以下の通りです。

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テスト結果からは、繰り返しになりますが、性格的には、出る杭になりたがらず、場の空気を慎重に読み、調和を保つことに長けている可能性が指摘されており、仕事に対しては、安定的なキャリア形成を第1に考え、将来を見据えたスキルアップ習得を重視しつつ、プライベートな時間を大切にし、仕事はほどほどに取り組む傾向がある可能性が示唆されています。さて、いかに応用すべきでしょうか?

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2018年4月 4日 (水)

先発小野投手のナイスピッチングで横浜に先勝!!

  RHE
阪  神010010000 282
横  浜000000010 141

シーズン開始のジャイアンツ戦こそ負け越しましたが、今夜は先発小野投手のナイスピッチングで横浜に先勝でした。帰宅した時点で1点リードしていて、夕食中に追加点を奪ったんですが、入浴中に1点を失い、お風呂から上がるとゲームセット間近になっていました。相変わらずの貧打ながら、投手陣が踏ん張っての勝利でした。小野投手は昨年あれほど勝てなかったにもかかわらず、今年は最初の登板で勝ち星に恵まれました。今シーズンの活躍を期待します。

明日は2タテ目指して、
がんばれタイガース!

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マクロミルの「2018年ゴールデンウィーク調査」結果やいかに?

プライベートでは週末に下の倅の下宿先アパートに行って日帰りしたり、お仕事では年度末と年度初めのバタバタだったり、の時期を何とか乗り切って、そろそろゴールデンウィークの休暇予定に目が向く余裕ができ始めました。やや旧聞に属する話題ながら、マクロミルから3月27日に「2018年ゴールデンウィーク調査」の結果が明らかにされています。まず、調査結果の概要につき、マクロミルのサイトから3点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 2018年のゴールデンウィーク、最大「4連休」が最多の44%、「9連休」は11%。
    理想と現実には3日間のギャップあり。現実は平均「4.3連休」に対し、理想は平均「7.7連休」
  • 働く男女のゴールデンウィーク、平均予算は32,972円。
    過ごし方1位は「睡眠」41%、外出予定は「買い物」4割、「日帰り旅行」「泊りの国内旅行」が2割
  • ゴールデンウィークに向け、4割が事前消費「あり」。
    項目は、「乗車券や、ツアー・施設等のチケット」や「ファッション・身だしなみ」など

なかなか、的確かつ包括的によく取りまとめられている気がします。ゴールデンウィークといえば、年末年始やお盆を含む夏休みなどとともに、1年の中でいくつかある「消費が活発な時期」といえ、エコノミストとしてはお休みだけでなく消費動向とも併せて気にかかるところです。マクロミルのサイトから、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、マクロミルのサイトから 2018年ゴールデンウィークの最大連休日数 のグラフを引用すると上の通りです。TOPICSにもあった通り、圧倒的なピークは4日の44.0%となっていますが、その次のピークはそれほど高くないとしても10.5%で9連休というのがあります。4日というのは、単純に考えると、5月3日から6日なんだろうという気がしますが、週休2日で土曜日を休むことが出来て、今年2018年の場合は5月1~2日に休暇が取れれば、4月28日スタートで5月6日までが9連休となります。ただ、TOPICSで引用した最初の項目にあった通り、理想の休暇日数の7.7連休に対して、現実は4.3連休だそうですから。働き方改革の真っ最中とはいえ、まだまだ理想と現実のギャップは大きいと言えます。

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次に、マクロミルのサイトから 2018年ゴールデンウィークの過ごし方 上位7位 のグラフを引用すると上の通りです。睡眠と買物がツートップとなっています。それから、グラフには現れませんが、海外旅行は2%だそうです。実は、私もどちらかといえば睡眠派であり、睡眠に加えるに、7番目のスポーツもアリではないかと考えていますが、まあ、エコノミストの立場からいえば、睡眠は消費の拡大ひいてはGDPの成長には貢献が低いかもしれません。でも、睡眠を除いてほかの6項目は、それぞれに違いは当然あるとしても、消費の伸びを高めてGDPの成長に寄与しそうな気がします。

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次に、マクロミルのサイトから 2018年ゴールデンウィークに向けた事前消費内容 上位7位 のグラフを引用すると上の通りです。大きく分けて、乗車券やツアー・施設等のチケットとファッション・身だしなみ、となっています。事前消費かどうかは定かではないものの、お金を使う予定がある人について平均予算は32,972円だそうです。大きいと見るか、小さいと見るかは、ビミョーなところかもしれません。

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2018年4月 3日 (火)

ニッセイ基礎研「医療費は各年齢でどれくらいかかるものなの?」に見る年齢別の医療費やいかに?

昨日の4月2日付けで、ニッセイ基礎研から「医療費は各年齢でどれくらいかかるものなの?」というタイトルのリポートが明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。なかなか興味深いところであり、国民1人当たり年間医療費は33.3万円、生涯医療費は2,700万円となっています。単純に割り算すると平均寿命の81歳ということになりますが、もちろん、年齢により医療費は大きく異なるところ、10代後半から20代前半を底にしたU字型のカーブがクッキリと描き出されています。

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まず、ニッセイ基礎研のサイトから 図表1. 1人当たり医療費 [1年間] を引用すると上のグラフの通りです。5歳きざみで表章されています。そして、グラフから明らかな通り、平均で見た国民1人当たり年間医療費は33.3万円なんですが、それにほぼ相応する年代は、実は、私の属する55-59歳であり、60歳以降はものすごい勢いで医療費が上昇します。極めて大雑把に、50代後半で平均レベルの後、70代前半で平均の2倍、80代前半では3倍に達する医療費を要するとの結果が示されています。
さらに、これらの年間医療費の累積額である2015年度の生涯医療費は、男女平均で2,700万円、すなわち、女性は2,822万円、男性は2,584万円となっています。女性の方が平均寿命が長いので当然やや高額になっています。なお、グラフは引用しないものの、生涯医療費2,700万円に対して、50代後半までの累積医療費は1,000万円に達しない一方で、70代前半で1,500万円を超え、80代前半で2,000万円に達しています。まあ、リポートでも指摘していますが、50歳に達すると、生活習慣病を発症しやすくなったり、特に女性を中心に更年期障害が生じたりしますし、65歳からは医療サービスの利用が本格化します。なお、生涯医療費の約6割(男性は56%、女性は60%)は65歳以上の期間で、約4割(男性は36%、女性は44%)は75歳以上にかかることも明らかにしています。高齢化が進む中で、医療費をいかに抑制するかは、エコノミストの狭い料簡かもしれませんが、財政の健全性確保の観点からも重要です。

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2018年4月 2日 (月)

日銀短観は総じて企業マインドの高さを示すも先行き不透明感も!

本日、日銀から3月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは昨年2017年12月調査から▲2ポイント低下して+24を記録し、本年度2018年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比▲0.7%の減少と日銀短観としてはかなり高いところから始まっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

日銀短観、2年ぶり悪化 原材料高・人手不足で見通しも慎重
日銀が2日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス24だった。前回2017年12月調査(プラス26)から2ポイント悪化した。悪化は2016年3月調査以来、8四半期ぶりとなる。原材料価格の高騰や金融市場の混乱が響いた。鉄鋼や非鉄金属などの悪化が目立った。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。3月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス25も下回った。回答期間は2月26日~3月30日で、回収基準日は3月12日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス20と悪化する見通し。市場予想の中央値(プラス22)も下回った。米国の保護主義的な通商政策や株安・円高などを背景に慎重な見通しが多かった。
18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=109円66銭。17年度の実績見通しは110円67銭だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回を2ポイント下回った。悪化は16年9月調査以来、6四半期ぶり。人手不足が響いた。3カ月先のDIは3ポイント悪化のプラス20だった。
中小企業は製造業が横ばいのプラス15、非製造業は1ポイント改善のプラス10だった。先行きはいずれも悪化を見込む。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス22となり、前回(マイナス19)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、26年ぶりのマイナス幅となった。
18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比2.3%増と、市場予想の中央値(0.6%増)を上回った。
大企業・製造業の販売価格DIはプラス4と前回のプラス1から上昇した。販売価格判断DIは、販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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繰り返しになりますが、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは昨年12月調査の+26から▲2ポイント悪化して+24を示し、先行きについてはさらに▲4ポイント低下する見込みとなっています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは大企業製造業で+25でしたので、わずかに下振れました。12月調査から3月調査にかけての変化幅を見て、大企業製造業で業況判断DIが大きく低下したのは化学と鉄鋼であり、ともに▲9ポイントの低下幅を記録しました。ただし、機械類でははん用機械はむしろ+7ポイント、そして、生産用機械は+8ポイント、とそれぞれ改善を示しており、先行きの低下幅もともに▲1ポイントにとどまっています。また、我が国リーディング産業のひとつである自動車も+2の改善です。ですから、大企業の中で、素材業種は12月調査から3月にかけて▲5ポイントの悪化を示し、さらに先行きは▲8ポイントの低下を見込む一方で、組立業種は12月から3月までの悪化が▲1ポイントにとどまり、先行きも▲2ポイントの悪化しか見込まれていません。不動産以外は総じて悪化した非製造業とはかなり異なる特徴を見せていると見られ、その背景には円高や国際的な貿易戦争のおそれ、さらに、株価の下落による全般的なマインド悪化に加えて、国際商品市況における商品価格の上昇を忘れるべきではないと私は考えています。ただ、国際商品市況の上昇は中国をはじめとする新興国の景気拡大とコインの裏表の観もあり、評価が難しいところです。最後に、得体の知れない地政学的な北朝鮮リスクは、米朝首脳会談の設定により、かなりの程度に和らいだものと私は考えています。総じて見て、一部に「景気の変調」を主張する見方もある中で、単なる表現上の問題かもしれませんが、「景気変調」とまではいわないとしても、景気循環の中で景気のステージが成熟化しつつあり、その意味で、モメンタムが低下していることは事実だろうと感じています。加えて、国際的な貿易戦争や米国の金融政策動向など、先行き不透明感も生じ始めています。ただ、中小企業と中堅企業の非製造業の業況判断DIが、小幅ながら改善を続けていますので、国内での景気拡大の波及が続いていることを示唆しており、大企業レベルから中小企業まで景気回復・拡大を波及させるために、もう少し景気拡大局面を継続させる必要がありそうな気がします。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。新卒採用計画は3月調査では実施されていませんが、各種報道によれば、就活は売り手市場が続くようです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2018年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲0.7%減という高い水準で始まっています。昨年度2017年度の設備投資計画は、前回12月調査よりもやや下方修正されたものの、3月調査の実績見込みでは+4.0%増となっており、その2017年度が▲1.3%で3月調査をスタートさせていることを考えると、日銀短観の設備投資計画は、統計のクセとして、3月調査はほぼほぼ必ず前年度比マイナスで始まり、12月調査でピークを迎え、結局、6月調査ないし9月調査の結果あたりで着地する、という実績になるような気がするんですが、人手不足や企業業績も考慮に入れて、今年度2018年度の設備投資は期待してよさそうです。

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2018年4月 1日 (日)

下の倅の下宿に行く!

エイプリル・フールではなく、一浪の末にようやく下の倅が大学に合格し、先週、我が家を巣立って行きました。出発の前夜には寿司盆を取って一家でお祝いしたりもし、しばらく親戚の家に厄介になりながら、大学の新入生向けオリエンテーションに出たり、不動産屋でアパートを探したりしていましたが、ようやく気に入った物件を見つけて、本日アパートの契約を済ませました。当然、保証人は父親の私です。
我が家の親戚筋は、基本的に、都会立地を進めており、ほとんどが東海道新幹線ののぞみ・ひかりの停車駅周辺です。すなわち、本拠地は京都であり、私自身は東京に、そして、他の親戚は大阪と名古屋に進出を果たしており、下の倅はその範囲内ながら、東京の我が家から飛び出していきました。上の倅は現在就活中であり、来年にも巣立って行く可能性があります。私も歳を取るハズです。
なお、下の写真は下の倅の大学校舎と下宿先のスナップです。これら以外に、アパートにはフローリング床のリビング・ダイニングがあるんですが、諸般の事情でプライバシーに配慮して写真は割愛してあります。

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2018年3月31日 (土)

今週の読書は印象的な経済書をはじめとして計6冊!

今週の読書は、オクスファム出身のエコノミストによる経済書をはじめとして、広い意味での歴史を解説した新書2冊を含めて計6冊を読みました。まあ、読書のボリュームとしてはいいセンではないかという気がします。

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まず、ケイト・ラワース『ドーナツ経済学が世界を救う』(河出書房新社) です。著者は英国の研究者であり、長らくオクスファムのエコノミストを務めていました。英語の原題は Doughnut Economics であり、邦訳タイトルはそのまんまです。2017年の出版です。極めて大胆に表現すれば、新しい経済学の構築を模索しています。先週の読書感想文で取り上げたユヌス教授のソーシャル・キャピタルに基づく経済学といい勝負で、基本的には、同じように貧困や不平等、あるいは、環境問題や途上国の経済開発などを視野に入れた新しい経済学だと言えます。それを視覚的にビジュアルに表現したのがドーナツであり、本書冒頭の p.18 に示されています。成長に指数関数を当てはめるのではなく、S字型のロジスティック曲線を適用し、ロストウ的な離陸をした経済は着陸もする、という考え方です。そして、現在の先進国はその着陸の準備段階という位置づけです。同時に、平均的な統計量としての成長ばかりではなく、分配にも目を配る必要があるというのが第7章でも主張されています。また、本書ではこういった視点を含めて7点の転換を主張しており、例えば、第3章では行動経済学や実験経済学、あるいは、ゲーム理論の成果も含めて、合理的な経済人から社会適用人への視点を変更した経済学を志向していたりします。とても素晴らしい視点の新しい経済学を目指しています。先週取り上げたユヌス教授の本とともに、私は2週連続で大きな感銘を受けました。

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次に、木内登英『金融政策の全論点』(東洋経済) です。著者は野村総研のエコノミストであり、本書の基となる公的活動としては、2012年から17年にかけて5年間、日銀政策委員を務めています。とても非凡なエコノミストなんですが、民主党内閣期に就任したものですから、その後の黒田総裁の下の日銀執行部の議案には反対する場面もあり、少し違った見方を示したような気がします。しかし、少なくとも私が認識している限り、公式のボード・ミーティングでは2%のインフレ目標に反対したのではなく、ごく初期の2年間での達成とか、その後の期限を切った目標達成に反対したのであって、いわゆる「拙速批判」ではあっても、2%のインフレ目標に反対したわけではないと受け止めています。本書は3部構成でタイトル通りの内容なんですが、いわゆる非伝統的金融政策、政府からの独立を含む日銀の役割、そして、ごく手短にフィンテックを取り上げています。私が強く疑問に感じたのは、日銀と金融政策をかなり国民生活や日本経済から遊離した観点を強調していることです。政府や内閣からの中央銀行の独立というのはインフレ抑制の観点から先進国では当然と考えるとしても、中央銀行や金融政策がその時々の国民生活や経済状況から無関係に運営されるはずはありません。しかし、本書の著者は、どうもその観点に近く、例えば、本書の著者に限りませんが、日銀財務についてバランスシートを膨らませ過ぎると債務超過に陥る、との指摘がなされる場合があるところ、こういった見方は国民生活や日本経済の実態から遊離した見方との批判は免れません。日銀財務の健全性と国民生活のどちらが重要なのか、もう一度考えてみるべきではないでしょうか。こういった日銀中心史観も、白川総裁時代で終了したと私は考えていたんですが、まだまだ大きな船が舵を切るには時間がかかるようです。

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次に、伊丹敬之『なぜ戦略の落とし穴にはまるのか』(日本経済新聞出版社) です。著者は著名な経営学者であり、一橋大学を退職してから国際大学学長を務めています。本書では、「戦略」というあいまいな表現ながら、何らかの企業行動を実行に移す際の落とし穴について論じています。第Ⅰ部が戦略を考え練り上げる際の思考プロセスの落とし穴、第Ⅱ部が戦略を実行する際の落とし穴、をそれぞれ論じています。具体的には、「ビジョンを描かず、現実ばかりを見る」、「不都合な真実を見ない」、「大きな真実が見えない」、「似て非なることを間違える」、「絞り込みが足りず、メリハリがない」、「事前の仕込みが足りない」などなど、落とし穴にはまるパターンとそれをどのように回避したり、リカバリしたりするかを解き明かそうと試みています。経営学の読み物としてはめずらしく、成功事例と失敗事例を割合とバランスよく取り上げています。でも、相変わらず、私の経営学不信の源のひとつなんですが、結果論で議論しているような気がします。基本はケーススタディですから、現実の事例をいかに解釈するかで勝負しているんですが、成功した例から成功の要因を引き出し、失敗事例からその要因を引き出そうとする限り、その逆はあり得ず、どこまで科学的な事例研究になっているかは私には計り知れません。すなわち、バックワードな研究になっていると考えざるを得ず、成功事例と同じ準備をしたところで、戦略が成功するかどうかは保証の限りではないような気がしなくもありません。

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次に、エミリー・ボイト『絶滅危惧種ビジネス』(原書房) です。著者は、米国のジャーナリストであり、サイエンス・ライターでもあります。本書の英語の原題は The Dragon behind the Glass であり、2016年の出版です。本書で著者はアロワナにまつわるビジネスを追跡するとともに、ハイコ・ブレハなる魚類を専門として前人未到の冒険をしている怪人物とともに、実際に特殊な野生のアロワナを求めて冒険に加わっています。その原資はピューリッツァー研修旅行奨学金だそうです。英語の原書のタイトルは、中国でアロワナを「龍魚」と称するところから由来しています。そして、邦訳本の表紙は、原書を踏襲して赤いアロワナをあしらったデザインとなっていますが、本書では「スーパーレッド」と呼ばれています。また、邦訳書の表紙では頭部が欠けていますが、本書を紹介しているNational Geographics のサイトでは、この真っ赤なアロワナの画像を見ることが出来ます。本書では、ワシントン条約で取引を禁止ないし制限された絶滅危惧種に指定されると、闇市場での取引価格が上昇し、むしろ、絶滅に至る可能性が高い、ないし、早まる、という仮説が提示されています。要するに、絶滅危惧種に指定されると希少性が広く認識されるため、価格が上昇するというメカニズムが発動する可能性は、確かにエコノミストでも否定しないだろうという気はします。そして、絶滅危惧種として指定されると、自然系に存在して、いわゆる野生の種は絶滅に向かう一方で、養殖の種が量産されて、世の中にはいっぱい出回る、と本書の著者は主張しています。そして、養殖の魚類と自然系の野生の魚類は、まったく違う生き物と認識すべきとも主張しています。すなわち、ダックスフントをツンドラに放り出すようなものであると表現しています。そして、本書では絶滅危惧種の魚を巡って犯罪行為が横行しているプロローグから始まって、本書の最終章のいくつかでは、冒険家とともに著者自身がアジアのアロワナを追っています。すなわち、ボルネオでスーパーレッドのアロワナを、政治体制も極めて閉鎖的なミャンマーでバティックアロワナをもとめ、ともに失敗した後、ブラジルのアマゾン川源流でシルバーアロワナを捕獲しています。そのあたりはサスペンス小説顔負けだったりします。

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次に、磯田道史『日本史の内幕』(中公新書) です。著者はメディアなどで人気の歴史研究者であり、今年のNHKの大河ドラマ「西郷どん」の時代考証を担当しているらしいです。書物としては、私は映画化もされた『武士の家計簿』を読んだ記憶があります。また、別の著者ながら、中公新書では『応仁の乱』のヒットを飛ばすなど、日本史の類書が話題となっていて、私の大学時代の専攻は基本的に西欧経済史なんですが、まあ、歴史は好きですので読んでみました。サブタイトルは『戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』であり、著者が読み解いた古文書を手がかりに、主として、戦国時代に始まって織豊政権期から江戸幕府期、さらに、幕末期にかけての歴史のエピソードが60話以上収録されています。基本的に文学でいえば短編集であり、繰り返しになりますが、著者が読み込んだ古文書から日本史の裏側、というか、決して高校の教科書なんぞでは取り上げないようなトピックを選んで、なかなか興味深く仕立てあげています。

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最後に、小山慶太『<どんでん返し>の科学史』(中公新書) です。著者は早大出身の物理学系の研究者であり、本書のサブタイトル通りに、「蘇る錬金術、天動説、自然発生説」に加えて、不可秤量物質やエーテルなど、近代科学では一度否定されながら、何らかの意味で別の視点から復活した科学について取り上げています。一例として、本書の冒頭で取り上げられている錬金術については、近代科学の基礎を提供したといわれるほどの流行振りだったそうですが、まあ、「賢者の石」が空想的である限りにおいて、少なくとも化学的に混ぜたり熱したりという範囲では金は作り出せないことは科学的に明らかにされた一方で、原子レベルで電子と陽子と中性子を自由に操作できるのであれば金の元素は作り出せる可能性はあるわけで、ただ、市場価格と照らし合わせてペイしない、ということなんだろうと、科学のシロートである私なんぞは理解しています。別のトピックとしては、空間がエーテルで埋め尽くされている、という見方も、ダーク・エネルギーやダーク・マターに置き換えれば、決して的外れな主張ではなかったのかもしれません。アマゾンのレビューがとても高いのでご参考まで。

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2018年3月30日 (金)

増産ながら物足りない鉱工業生産指数(IIP)と悪化したものの完全雇用に近い雇用統計!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数 (IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも2月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で前月から+4.1%の増産を示し、失業率は前月から0.1%ポイント上昇しつつも2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率は前月からやや低下したものの1.58倍と高い倍率を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、2月は前月比4.1%上昇 自動車・土木建機が寄与
経済産業省が30日発表した2月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は前月に比べて4.1%上昇し、103.4だった。上昇は2カ月ぶり。自動車や土木建設機械の生産の増加が寄与した。ただ、「1月の落ち込みに対する上昇幅としては物足りない」として経産省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」に据え置いた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値(5.0%上昇)は下回った。
1月の生産指数は15業種のうち11業種が前月から上昇し、3業種が低下した。米国向け自動車輸出が好調で、輸送機械工業が10.3%上昇した。土木建設機械が伸び、はん用・生産用・業務用機械工業も3.6%上昇した。一方で石油・石炭製品工業は2.4%低下した。
出荷指数は前月比2.2%上昇の100.4だった。在庫指数は0.9%上昇の109.9、在庫率指数は0.1%低下の114.1だった。経産省は「出荷の回復の勢いは弱い」としている。
同時に発表した、メーカーの先行き予測をまとめた3月の製造工業生産予測指数は前月比0.9%の上昇となった。前回予測(2.7%の低下)を大きく上回った。はん用・生産用・業務用機械工業や化学工業が伸びる見通し。4月の予測指数は5.2%上昇だった。
失業率2.5%、求人倍率は1.58倍 2月統計
総務省が30日公表した労働力調査によると、2月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で前月比で0.1ポイント悪化した。悪化は17年5月以来9カ月ぶり。総務省は1月に雪の影響で失業率が大きく低下した反動が出たとしている。厚生労働省が同日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント低下し1.58倍だった。
完全失業率は働く意欲のある人で職がなく求職活動をしている人の割合を指す。求人があっても職種や年齢などで条件があわない「ミスマッチ失業」は3%程度とされ、0.1ポイント悪化してもなお完全雇用状態にある。
就業者は6578万人で前年同月比で151万人増えた。有効求人倍率は12年9月以来、5年5カ月ぶりに低下したが、引き続き1970年代以来の高い水準にある。企業では人材の確保が難しく、人手不足が深刻になっている。求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は15.0%だった。
正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.07倍で前月と同水準で1倍を超えた。新規求人数を産業別にみると、自動車関連が好調な製造業で前年同月比5.4%増えたほか、3月が繁忙期になる運輸・郵便業で6.6%増えた。

やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは中央値で+5.0%の増産、予測レンジの下限でも+3.9%の増産でしたので、実績の+4.1%の増産も、製造工業生産予測調査の2月+9.0%ッ像は当然に届かないとしても、かなり物足りない結果と私は受け止めています。もちろん、1月の減産の大きな要因は中華圏の春節によるカレンダー要因というのは当然としても、それだけだと2月生産で戻ってもよさそうなものですが、物足りない結果というのは別の何らかの要因が作用していると考えるべきで、私は円高に振れた為替要因も無視できないと指摘しておきたいと思います。製造工業生産予測調査の3月予測は+0.9%増で、4月が+5.2%増ですから、実績に対してやや過大評価する傾向のある指標とはいえ、13月期は生産にやや一服感が出た一方で、4月以降の伸びに期待すべきだという気もします。ただ、先行きについては、世界経済の回復・拡大につれて、また、国内要因としては人手不足に起因する省力化投資や合理化投資も期待できることから、我が国の生産は持ち直しの動きが続くものと私は考えています。ただ、先行きリスクはいずれも米国に起因し、ひとつは通商政策動向であり、もうひとつは金政策動向です。米国の通商政策が世界貿易の停滞を招いたり、利上げによる米国経済の下押し圧力は、我が国生産の下振れリスクにつながる可能性があります。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。小幅な変動とはいえ、失業率は上昇し、有効求人倍率は低下したわけですから、ほぼほぼ完全雇用に近い労働市場動向の中で、さらなる指標の改善は難しい、というか、完全雇用の定義に近い意味でこれ以上の失業率の低下などは望めない水準に達したのかもしれません。しかしながら、本日の雇用統計では明らかではありませんが、毎月勤労統計などを見る限り、労働市場はまだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、完全雇用には達していない可能性がある、と私は考えています。他方で、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしているのではないかと私は考えています。そうは言っても、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼしますから、マクロの所得だけでなく今春闘では個人当たりの賃上げも何とか実現して欲しいと思います。

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2018年3月29日 (木)

商業販売統計の小売販売は緩やかな持ち直しが続く!

本日、経済産業省から2月の商業販売統計が公表されています。商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.6%増の10兆9630億円を、また、季節調整済みの系列の前月比は+0.4%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の小売販売額、前年比1.6%増 4カ月連続プラス
経済産業省が29日発表した商業動態統計(速報)によると、2月の小売販売額は前年同月比1.6%増の10兆9630億円だった。前年実績を上回るのは4カ月連続。原油高で石油製品の販売額が伸びた。経産省は小売業の基調判断を「緩やかに持ち直している」で据え置いた。
業種別では、燃料小売業が12.7%増と伸びが目立った。スマートフォンや高付加価値家電の販売が堅調で、機械器具小売業も4.6%増えた。訪日外国人向けなど化粧品販売も好調で、医薬品・化粧品小売業は2.3%増だった。一方、自動車小売業は2.1%減少した。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.5%増の1兆4565億円だった。既存店ベースも0.6%増だった。スーパーで野菜や畜産類など食料品の販売が増えた。
コンビニエンスストアの販売額は1.6%増の8675億円だった。加熱式たばこやファストフードの販売が伸びた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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ということで、消費の代理変数である小売業販売は4か月連続で前年同月比プラスを続けているものの、2月の+1.6%増は消費者物価のヘッドライン上昇率である+1.5%とそれほど違わない伸びですので、バスケットが異なることから単純な比較は困難とはいえ、実質の伸びはかなり小さいと受け止めています。でも、各種報道によれば、4月からは生鮮野菜の価格なども落ち着きを取り戻す方向にあるようで、株価への連動性が高いマインドはやや懸念残るものの、春闘に代表される賃上げ次第では、緩やかながらプラスの伸びを継続する可能性が十分あると私は考えています。
なお、小売業販売を季節調整していない原系列の統計に基づいて前年同月比で少し詳しく業種別に見ると、燃料小売業が+12.7%の増加、機械器具小売業が+4.6%の増加、飲食料品小売業が+2.3%の増加、医薬品・化粧品小売業が+2.3%の増加、となった一方、先月からマイナスに転じた自動車小売業がマイナス幅を拡大して▲2.1%の減少となっています。ただ、燃料小売業の販売増は国際商品市況における石油価格の上昇に起因する物価上昇の寄与を含みますので、過大に評価すべきではありません。他方、機械器具小売業の伸びが家電などの耐久消費財に支えられている点は評価されるべきです。また、医薬品・化粧品小売業の販売増がインバウンド消費の寄与を含んでいる点も、各地で観察されている事実と整合的ではないかという気がします。なお、政府観光局による訪日外国人数の統計によれば、今年2018年2月は中華圏の春節が含まれていることもあって、250.9万人で前年同月比+23.3%となり、2月としては過去最高を記録しています。

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