2018年12月16日 (日)

今朝は今季一番の冷え込みでいよいよ本格的な冬に突入!

ウェザーニュースによれば、「各地で今季一番の寒さ 東京都心で『初霜』大阪で『初氷』観測」だそうです。
私はその昔から朝に弱かったんですが、60歳に達してそろそろ「老人性早起き」になりつつあり、週末の土日でも平日と同じように起きてたところ、今朝はさすがに10時近くまで寝坊しました。朝寒かったんだろうと思います。いよいよ本格的な冬に入り、「南岸低気圧」も通るそうですので、地球環境の大きな変化により気候が激しくなる方向に振れている気もします。年齢とともに、寒さがこたえる域に達していますので、体調管理に注意したいと思います。
下の画像は今朝のウェザーニュースのサイトから引用しています。

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2018年12月15日 (土)

今週の読書は経済書中心にボリュームたっぷりの計6冊!!

今週はいろいろあって、経済書を中心、というのは通例通りなんですが、小説や新書なしで以下の通りの計6冊でした。いつもと変わらぬ冊数なんですが、今週の読書では、1冊1冊のボリュームがかなりあり、400ページを超える本も少なくなかったので、経済書中心の質感とページ数の量感ともに、かなり充実した読書だったような気がします。

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まず、安達誠司・飯田泰之[編著]『デフレと戦う-金融政策の有効性』(日本経済新聞出版社) です。著者・編者は、巷間、よくリフレ派と呼ばれているエコノミストであり、私の知り合いはもちろん、その昔にミク友だったところ、mixiが廃れるとともにやや疎遠になった方、あるいは、その昔に書いた論文の共著者も含まれていたりします。ですから、私にはとてもスンナリと頭に入ってくる論文集でした。冒頭の編者によるエディトリアルを読めば、各チャプターの概要や結論は明らかですが、基本的に、現在の黒田総裁の下での日銀の異次元緩和をサポートする内容となっています。その中でも、特に私の印象に残ったのは、第1章では、p.35の図1-5に見られるように、多くのエコノミストの直観的な理解と整合的にも、日銀の金融緩和が生産に及ぼした影響についてVARプロセスで分解すると、株価を通じた影響がもっとも大きい、というものです。ほかに、ブロック・リカーシブ型のVARプロセスの応用、フィリップス曲線のレジーム転換、連邦準備制度理事会(FED)の議長も務めたバーナンキ教授の研究にも応用されたファイナンシャル・アクセラレータに着目した分析、ソロス・チャートとして人口に膾炙したマネタリーベースの為替への影響、さらに、企業パネルデータを用いた為替の影響の分析、各種の予想インフレ率のパフォーマンス測定などなどですが、第8章では定量分析というよりも理論モデル分析で財政政策の物価理論(FTPL)についてサーベイがなされています。ただ、やや厳しい見方に過ぎるかもしれませんが、物価目標達成の時期については何らかの分析は欲しかった気がします。副総裁就任時の国会での所信表明で、当時の副総裁候補であった岩田教授は「2年で達成できなかったら辞任する」と見得を切ったわけですから、現在の金融緩和政策が有効であるとの分析結果を示すだけでなく、動学的というと少し違うのかもしれませんが、どういった期間で物価目標が達成できるのか、についての分析が今後進むよう期待しています。

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次に、岩田規久男『日銀日記』(筑摩書房) です。著者は、ご存じの通り、リフレ派の経済学者から日銀副総裁として金融政策の現場に乗り込み、今年2018年春に退任しています。就任前の国会での所信表明で、2年間で物価目標2%を達成できなければ辞任すると大見得を切って話題になったりもしました。そして、本書では、その2%の物価目標を達成できなかった最大の要因として、2014年4月の消費増税によるリフレ・レジームの転換と国際商品市況における石油価格の下落によるコスト面からの物価下押し圧力を上げています。リフレ派エコノミストの末席を汚している私にはとても判りやすい内容でした。ただ、後に取り上げる権丈先生のご本にあるように、手にした学問が異なれば答えは違ってきますので、私と同じ意見かどうかは手にした学問次第かもしれません。ただ、アベノミクス登場前のリフレ的な経済政策は、どうしても日陰の花だっただけに、本書でもかなり過激な言説が現れています。こういったあまりに率直な、率直すぎる議論の展開で、逆に、リフレ派経済学が国民一般から遠ざかった点は反省が進んでいると私は考えていたんですが、公職を退かれた勢いもあるとはいえ、やや下品に感じる読者もいるかも知れません。そういった率直すぎる感想は、特に、アベノミクスの登場とともに野党に転じた副総裁就任当時の民主党議員との国会論戦に典型的に見受けられます。それを総称して「経済音痴」と表現されていますが、米国のクリントン大統領のころの選挙キャンペーンで人口に膾炙した "It's the economy, stupid!" ということなのだろうと思います。要するに、「経済音痴」であれば選挙に勝てず、政権から脱落する、あるいは、政権を取れない、ということです。

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次に、ダーシーニ・デイヴィッド『1ドル札の動きでわかる経済のしくみ』(かんき出版) です。著者は英国HSBC銀行の立会場でエコノミストとして働いていたときにBBCにヘッドハンティングされキャスターに転身したキャリアの持ち主です。ファーストネームから私はインド系を想像します。英語の原題は The Almighty Dollar であり、2018年の出版です。ということで、世界の基軸通貨たるドルがどのように世界を駆け巡るか、同時にその逆方向にどのような財サービスがドルと交換されるか、について、それぞれのドル札の行き先の国とともに経済現象について、極めて上手に取りまとめています。最初はドル札が米国の消費者によって中国製のラジオを買い求めるのに使われ、もてん派的な比較生産費説による交易の利益が解説され、ドル札の行き先の中国の為替制度に関連して変動相場と固定相場の説明があり、石油と交換されてナイジェリアに注目されて石油開発のための直接投資について、さらに、インドではロストウ的な経済の離陸と発展段階説などの開発経済学とともに、モディ政権下での高額紙幣の廃止による混乱、などが取り上げられ、最後の方では金融資産の購入の意味やバブルとその終息によるリーマン証券の破たんに伴う経済の収縮に触れています。お約束のように、英仏の南海バブルやオランダのチューリップ・バブルにも言及しています。全体として、繰り返しになりますが、とてもよく取りまとめられています。そもそも通貨や貨幣がどうして物々交換に取って代わったかは、とてもシンプルに説明しているのはいいとしても、いきなり基軸通貨の米ドルから始まっていて、英ポンドが米ドルに取って代わられた、という歴史的事実も付け加えて、基軸通貨が交代する可能性についても、もう少し非経済的な要因とともに取り上げて欲しかった気がします。でも、経済に詳しいビジネスパーソンなどは物足りないと感じるかもしれないものの、初学者の大学生とかにはとてもよく出来た経済の解説書だと私は考えます。

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次に、ティム・ハーフォード『50 いまの経済をつくったモノ』(日本経済新聞出版社) です。著者はファイナンシャル・タイムズ紙のジャーナリスト・コラムニストです。英語の原題は Fifty Things That Made the Modern Economy であり、2017年の出版です。ということで、50の財・サービス・システムなどを上げて、ただし、決して重要性の観点から順序付けをしたのではないと著者は断りつつ、近代社会成立への貢献を明らかにしています。50の項目は出版社のサイトにありますので、ご興味ある向きは参照できます。パフォーマンスを保存できる蓄音機、もちろん、現在の電子本やデジタル録画されたDVDなども含めて、その蓄音機などからスーパースター経済の1人勝ち経済社会の基礎ができ、有刺鉄線による囲い込みから私有財産が守られるようになり、などなどなんですが、制度学派が財産権の確立をもってイングランドにおける産業革命の発生の要因としているくらいですから、本書にそのような明記なくとも、そういったバックグラウンドを知っておくとさらに本書の読書が楽しめるかもしれません。加えて、本書では冷凍食品に関連してTVディナーの功罪を取り上げるなど、本書で着目された50のコトが近代社会を作り上げた重要な要素とはいえ、必ずしも、経済社会が倫理的・道徳的に正しい方向に導かれたかどうかは一部に懐疑的な姿勢を示しています。とくに、最後の電球の第50章で、100年前の年収7万ドルと現時点での年収7万ドルのどちらの生活が望ましいか、と大学生に問えば、かなりの学生が100年前に圧倒的に実質価値の高かった年収7万ドルよりも、現時点での年収7万ドルを選ぶ、というポイントは外せません。物価をはじめとする統計に表れない近代・現代生活の利点がいっぱいあるわけです。そして、こういった利点をもたらした発明・発見に本書では焦点を当てています。Google検索やiPhoneといった現在のデジタル・デバイス、銀行・紙幣・保険に有限責任株式会社などの現在経済の基礎的なシステム、紙や時計やプラスチックなどの近代社会の不可欠だったモノ、などとともに、とても意外なモノや制度なども取り上げられています。例えば、日本ではピル解禁が遅れたので女性の社会進出が進まなかった、などの観点も私には目新しかったりしました。その意味で、なかなか興味深く、近代ないし現代の経済社会を論じる好著でした。

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次に、権丈善一『ちょっと気になる政策思想』(勁草書房) です。著者は慶應義塾大学の研究者であり、社会保障の分野の専門家です。従って、短期的な合理性や整合性とともに、長期的なサステイナビリティにも目が行き届いたエッセイに仕上がっていますが、講演やスピーチなどのオーラルなプレゼンをいくつか収録していますので少し重複感を感じる読者はいるかもしれません。冒頭に著者から著書がシリーズ化される弱点があるとの指摘がありますが、私は不勉強ながらこの著者のご本は初めて読みましたので、それなりに新鮮でした。ということで、まず、著者は、需要サイドの経済学を左側、供給サイドの経済学を右側と定義し、現在のような一部の消費の飽和が見られるような経済社会ではなく、その昔の必ずしも生産力が十分に発達しておらず、作れば売れる時代の供給サイド分析を中心とする右側の経済学から、スミスやリカードをはじめとして、究極のところ、セイの法則などが出現した、と分析し、他方で、左側の経済学はケインズの直前のマルサスを起源に据えています。そして、その観点から社会保諸、特に年金の政策思想を分析しようと試みています。特に強調しているのが、社会保障に限らず企業活動もご同様と私は考えるんですが、将来に対する不確実性です。すなわち、シカゴ学派のナイト的なリスクと不確実性の区別に基づき、確率分布が既知であるリスクに対して、事前には情報のない不確実性があるからこそ、貨幣と実物を二分する貨幣ベール説からケインズ的な流動性選好の学説が生まれ、将来の不確実性への対処のひとつの形として貨幣が保蔵される、と主張します。その上で、経済成長とともに平等と安定の実現による経済厚生の向上を政策目標と示唆しています。なお、私が深く感銘したのは、手にする学問が異なれば答えが変わる、という著者の主張です。名探偵コナンではありませんが、よく理想的に真実はひとつとの主張も見かけますが、私は実務的に経済政策に携わって30年超ですから、何となく理解できます。ニュートン的に表現すれば、どの巨人の肩に乗るかで見える風景が違うんだろうという気がします。

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最後に、片岡義男『珈琲が呼ぶ』(光文社) です。小説家の手になるコーヒーに関するエッセイです。ただ、もうすぐ幕を閉じようとしている平成のエッセイではなく、昭和のエッセイです。ですから、本書では「グルメ・コーヒー」と称されているスターバックスとかのプレミアム・コーヒーではなく、伝統的な喫茶店で飲むコーヒーを主眼にしています。その喫茶店の立地は東京が中心なんですが、本書冒頭ではなぜか、京都が中心に据えられていたりします。私は京都大学に通っていましたから、それなりに、京都における昭和の喫茶店は詳しいと自負していたんですが、ほとんど知らないところでしたので、やや不安を覚えたりもしましたが、まあ、こんなもんなんでしょう。こういったエッセイを読んでいると、私自身も片足突っ込んでいるんですが、年配の読者層を意識した本の出版がこれからも増えそうな気がして、少し怖いです。

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2018年12月14日 (金)

日銀短観は底堅い企業マインドを示し設備投資計画は上方修正!

本日、日銀から12月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査から変わらず+19を記録した一方で、本年度2018年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+10.4%の増加と9月調査の+8.5%からさらに上方修正されました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月日銀短観、大企業・製造業DIは横ばいのプラス19 市場予想上回る
日銀が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス19だった。前回9月調査から横ばいだった。
企業収益の拡大傾向や7~9月期の自然災害の悪影響の一巡や復興需要などが支えとなった。造船・重機等のほか、石油・石炭製品の改善が目立った。半面、海外需要や設備投資の鈍化を受けて生産用機械や業務用機械が悪化した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。12月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス17を上回った。回答期間は11月13日~12月13日で、回収基準日は11月28日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス15と悪化する見通し。市場予想の中央値(プラス16)を下回った。米中貿易摩擦に対する警戒感が聞かれ、海外需要の先行きに対する不透明感が強かった。
18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=109円41銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。前回(107円40銭)からは円安方向に修正された。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス24と前回を2ポイント上回った。改善は2期ぶり。国内消費は堅調に推移しており、景況感が改善した。業種別では通信や不動産などが改善した。3カ月先のDIは4ポイント悪化のプラス20だった。人手不足や人件費の上昇などが重荷となった。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス23となり、前回と同じだった。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、マイナスは人員不足を感じる企業の割合の方が高いことを表す。
18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比14.3%増と、市場予想の中央値(12.5%増)を上回った。前回(13.4%増)から上方修正した。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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まず、引用した記事にもある通り、企業の景況感は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスを上回りました。今年春ごろから、企業マインドはやや下降気味と私は考えていたんですが、意外と堅調ないし底堅いと評価できようかと考えています。その要因としては、国際商品市況における石油価格がようやく頭打ちとなって、まだまだ原油価格は高いものの、さらに先行き上昇するという雰囲気ではなくなった点と、9月にやや集中した自然災害の悪影響が一巡したことが大きな要因と私は受け止めています。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。入管法改正による外国人材の受け入れについても、まだ未確定な要素が大きいと受け止めている企業が多そうです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2018年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲0.7%減という高い水準で始まった後、6月調査では+7.9%増に大きく上方改定され、9月調査ではさらに+8.5%まで高まった後、今日発表の12月調査では+10.4%まで上方改定されています。上のグラフを見ても判る通り、6月調査以降の今年2018年度の設備投資計画はかなり高い伸びを見込んでいてる、というか、ここ数年の設備投資計画をぶっち切りで上回っています。もともと、企業の手元にあるキャッシュフローは潤沢な上に、失業率が2%台前半まで低下した人手不足へ対応した合理化・省力化投資需要の高まり、加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、今年度2018年度の設備投資は大いに期待できそうです。

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2018年12月13日 (木)

2018年今年の漢字は「災」!

いろいろあって、1日遅れの話題ですが、昨日午後、今年の漢字に「災」が選ばれました。私は実は「力」で投票したんですが、何とか20位以内に入るのが精一杯だったようです。
下の写真は、どこから引用したのか忘れてしまいましたが、いつもの通り、清水寺での今年の漢字の揮毫です。

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明日公表予定の日銀短観予想やいかに?

今週金曜日14日の公表を明日に控えて、シンクタンクから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2018年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、足元から先行きの景況感に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)+19
+22
<+8.5%>
n.a.
日本総研+21
+23
<+9.3%>
先行き(2019年3月調査)は、全規模・全産業で12月調査対比▲1%ポイントの低下を予想。雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費の持ち直しが期待されるほか、政府の消費増税対策への期待感が景況感の下支えに作用。もっとも、中国経済の減速や、米国トランプ政権の保護主義姿勢の強まりなど、海外情勢の先行き不透明感が重石となり、慎重な姿勢が残る見通し。
大和総研+19
+21
<+9.1%>
2018年の業況感は、生産活動の足踏み、コスト上昇、貿易戦争懸念、自然災害などの要因から、悪化傾向が続いた。しかし、少なくとも自然災害の悪影響は一巡している。また、先行きを見通しても、原油価格下落に伴う交易条件の改善は好材料となる。また、2019年度の懸案事項であった消費増税の影響は、財政拡張によって大部分が相殺されるとみられる。業況感の悪化モメンタムは一旦緩和する公算が大きい。
みずほ総研+18
+22
<+7.5%>
先行きの製造業・業況判断DIは小幅な悪化を予測する。
中国経済の減速や米中貿易摩擦などの要因から、世界経済の減速懸念が広がっており、企業マインドを下押しするとみている。加えて、年明けには日米間で物品貿易協定(TAG)に関する議論が本格化するとみられる。仮に自動車に関税がかかった場合、自動車だけでなくそれ以外のあらゆる業種に影響が出る恐れがあり、TAGを巡る状況次第では、今後の企業景況感を更に押し下げかねない点には注意が必要だ。
非製造業については、先行き堅調な推移を見込む。冬季賞与や良好な雇用環境を背景に個人消費は回復するとみられ、小売業やサービス業の業況は改善するだろう。また、オリンピックやインバウンド対応需要も、引き続き改善の押し上げに寄与するとみている。ただし、労働需給のひっ迫に伴う人件費上昇が引き続き下押し要因となり、改善は限定的となるだろう。
ニッセイ基礎研+16
+20
<+8.3%>
先行きの景況感も幅広く悪化すると予想。製造業では、海外経済減速や貿易摩擦激化に対する懸念が示されそうだ。米中貿易摩擦の終結は依然として見通せないうえ、来年初からは日米通商交渉が開始され、米政権による対日圧力が強まることが想定される。非製造業もインバウンドを通じて世界経済との繋がりが強まっているだけに海外情勢への警戒が現れやすいほか、人手不足深刻化に対する懸念も現れそうだ。
第一生命経済研+17
+21
<大企業製造業+15.6%>
先行きの予想は、貿易戦争の深刻化によって、さらに△2ポイントの悪化を見込む。Quick短観の月次データでは、11・12月の落ち込みは大きい。その水準は、2017年初の水準まで落ちてきている。筆者の予想では、そこまで極端な変化を織り込まなかったが、もしかすると△2ポイントよりも大きく下振れすることが起きるかもしれない。予想よりも変化する可能性があるとすれば、より下向きへの変化があり得るとみている。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+18
+22
<大企業全産業+13.1%>
日銀短観(2018年12月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、小幅ながら4四半期連続の悪化となり、前回調査(2018年9月調査)から1ポイント悪化の18になると予測する。
三菱総研+19
+17
<+8.2%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は+16%ポイント、非製造業は+20%ポイントと、いずれも業況悪化を予測する。国内経済は堅調持続が予想されるものの、保護主義化の連鎖が、金融市場や貿易・投資を通じて日本経済に波及するリスクには警戒が必要であり、企業マインドの重石となるであろう。
富士通総研+17
+21
<+9.2%>
景況感は製造業、非製造業とも悪化すると予想される。大企業製造業の業況判断DIは今回調査で17と9月調査から2ポイント悪化、大企業非製造業の業況判断DIは今回調査で21と9月調査比1ポイント悪化すると見込まれる。先行きについては、人手不足や世界経済の不透明感から、製造業、非製造業とも悪化すると考えられる。

見れば明らかな通り、日本総研を例外と見なせば、景況感については小幅に悪化との予想が中心となっています。ただ、9月の台風や豪雨などの自然災害によるマインド悪化はほぼほぼ出尽くし感もあるようで、国内要因としては企業マインドはさらに悪化することは見込まれていません。とくに、私のようなリフレ派のエコノミストからすれば、期間的な意味で日銀短観のスコープ外なのかもしれませんが、来年10月からの消費増税については、まだ織り込まれていない、というか、むしろ消費増税直前の駆け込み需要の方が企業にとっては注目点なのかもしれません。ただ、米中間の貿易摩擦に加えて中国をはじめとする世界経済の減速などの海外要因については、先行き企業マインドを悪化させる要因が山盛りの印象です。少し前までは、海外要因は輸出を通じて製造業への影響が中心で、ある意味では、今でもそうなのかもしれませんが、非製造業についても世界経済の減速が特に中国に現れていることからインバウンド消費を通じて世界経済との結びつきが、以前に比べて、かなり大きく感じられているようですし、国内要因ながら人手不足が進み、来年2019年4月から施行される入管法改正の影響が読めないだけに、懸念材料となる可能性もあります。また、今年度2018年度の設備投資計画については、9月調査からの改定幅は小さいながら、上振れと下振れがいずれもあり得る、との結果が示されています。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから 業況判断DIの予想 のテーブルを引用しています。

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2018年12月12日 (水)

上の倅の22歳の誕生日を祝うごちそう!!!

去る12月8日は上の倅の22歳の誕生日でした。誠にめでたい限りで、諸般の事情により、本日の夕食の折にお祝いしました。下の写真はお誕生日のお祝いのごちそうです。

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大学4年生になって就活も終わり、来年2019年4月からは新社会人として巣立って行きます。私なんぞよりも優秀でしょうから心配はいらなさそうな気もしますが、同時に私よりもずっと酒飲みですのでやや懸念もあります。それから、どうでもいいことながら、昨年の上の倅の誕生日は、大学の恩師のお別れの会に行っていた私が不在のまま決行されたように記憶しています。
いつものクス玉を置いておきます。倅の誕生日をめでたいとお考えの向きはクリックしてクス玉を割ってやって下さい。

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9月の自然災害からのリバウンドが物足りない機械受注と上昇幅が縮小した企業物価(PPI)!

本日、内閣府から10月の機械受注が、また、日銀から11月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比+7.6%増の8632億円を示しています。また、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.3%と前月の+3.0%から上昇率が大きく縮小したものの、引き続き、高い上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の機械受注7.6%増、2カ月ぶり増も基調判断は下方修正
内閣府が12日発表した10月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比7.6%増の8632億円だった。増加は2カ月ぶり。製造業、非製造業ともに受注額が増えたが、QUICKがまとめた民間予測の中央値(10%増)を下回った。
内閣府は「3カ月移動平均でならしてみると、2カ月連続で減少している」として、基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正した。基調判断を下方修正するのは今年6月以来、4カ月ぶり。「受注額は高い水準にあるが、10月の戻りが弱く、方向感としては足踏みがみられる」(内閣府)という。
10月の受注額は製造業が12.3%増の4226億円だった。増加は2カ月ぶり。17業種のうち12業種が増加した。石油製品・石炭製品の受注が増えたほか、自動車・同付属品で工作機械などの受注が増えた。
非製造業も2カ月ぶりに増え、4.5%増の4537億円だった。電力業で発電機などの受注が増えた。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は4.5%増だった。
11月の企業物価指数、前月比で8カ月ぶり下落 原油下落の影響
日銀が12日発表した11月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は102.1で、前年同月に比べて2.3%上昇した。23カ月連続で前年同月を上回ったが、10月確報値(3.0%上昇)からは鈍化した。前月比では0.3%下落と、8カ月ぶりに下落に転じた。
10月から11月にかけて原油相場が下落した影響が出た。米中間の貿易摩擦に対する懸念も重荷となった。
品目別では、石油・石炭製品が前年同月比14.8%上昇したが、10月確報値(24.9%上昇)から大幅に鈍化した。また、非鉄金属が前年比3.6%下落したことも影響した。
今後の企業物価動向について、日銀は「原油価格の下落が続けばより広範囲で下押ししやすいほか、米中貿易摩擦の影響が出始めており、注視したい」(調査統計局)との見方を示した。

長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの前月比で見て+10.3%増でしたので、やや物足りない結果と私も受け止めています。9月は台風や豪雨といった自然災害による供給制約や物流停滞のため、前月比で▲17.8%減でしたからリバウンドもやや弱い気がします。ただ、いわゆる「挽回生産」がもう少し続く可能性もありますので、統計作成官庁である内閣府で基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に半ノッチ下方修正したのは、そこまでする必要があるか、という気がしないでもありません。もちろん、上のグラフの上のパネルに見られる通り、私の計算による6か月後方移動平均で見たトレンドでもまだ下向きですし、引用した記事にもある通り、3か月移動平均でもご同様のようです。他方で、10~12月期のコア機械受注見通し+3.6%については、9月実績の発射台がかなり低い点を別にすれば、10月の滑り出しはまずまずと評価できます。月曜日に公表された7~9月期GDP統計では設備投資が前期比マイナスに振れましたが、先行きについては、少なくとも来年10月からの消費増税までは緩やかな増加が期待できるだけに、機械受注も堅調に推移すると考えるべきです。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。ヘッドラインの国内物価を前年同月比で見ると、7月から10月まで+3.0%を4か月連続で記録した後、11月は+2.3%と上昇幅を縮小させています。大きな要因は国際商品市況における石油価格の動向なんですが、国内物価のコンポーネントで1,000分の59.5のウェイトを持つ石油・石炭製品の前年同月比上昇率は10月の+24.9%から11月は+14.5%と、まだ2ケタの上昇率であるものの大きく低下しています。季節調整されていない原系列の指数の前月比ながら、石油・石炭製品に加えて、化学製品や金属製品などの素材についても下落を示しています。ただし、円建て輸入物価の石油・石炭・天然ガスは10月上昇率の+36.7%から11月の+35.2%にしか上昇幅が縮小しておらず、やや不思議な気もします。それはともかく、こういった石油価格やそれに連動する財の価格とともに、引用した記事の最後のパラにあるように、日銀では米中貿易摩擦の影響も出始めている、と指摘しており、物価の基調が弱いのであれば、金融政策で何らかの追加緩和が模索される可能性も否定できません。ただ、私がかねてからこのブログで主張しているように、我が国の物価動向は、日銀金融政策よりも国際商品市況における一次産品の価格動向により敏感に反応するような気がしないでもありません。

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2018年12月11日 (火)

法人企業景気予測調査に見る景況感と設備投資動向の乖離は何が原因か?

本日、財務省から10~12月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は今年2018年10~12月期+4.3の後、先行き来年2019年1~3月期には+4.7と見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月大企業景況感、プラス4.3 建材・自動車向け好調
財務省と内閣府が11日発表した法人企業景気予測調査によると、10~12月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス4.3(7~9月期はプラス3.8)となった。プラスは2四半期連続。建材や自動車向けの需要が好調だった。
大企業のうち非製造業はプラス3.7(7~9月期はプラス2.4)。卸売業で建材向けの需要が好調だった。鉄鋼やエネルギーの販売価格上昇も寄与した。製造業はプラス5.5(7~9月期はプラス6.5)だった。化学工業で自動車向けの需要が増えた。
先行き2019年1~3月期の見通しは大企業全産業でプラス4.7だった。製造業がプラス4.2、非製造業がプラス5.0だった。4~6月期の見通しは全産業でプラス1.4だった。
18年度の設備投資は前年度比9.1%増となる見通し。前回調査(9.9%増)から小幅に下方修正した。19年度の設備投資見通しを見ると、大企業で「増加」が「減少」を上回った。
18年度の経常利益の見通しは0.4%増と前回調査(0.4%減)から上方修正した。
財務省と内閣府は企業の景況感について「政府の月例経済報告で『景気は緩やかに回復している』という判断が示されているが、そうした経済全体の傾向を反映した動き」としている。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は11月15日時点で、資本金1000万円以上の企業1万2895社が回答した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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今回の結果は、上のグラフの景況感とテーブルの引用はしませんが設備投資計画で企業マインドが乖離しているように見える点に絞って考えたいと思います。まず、結論から明らかにすると、景況感については、足元の今年2018年10~12月期から先行き2019年1~3月期の見通しは上向くわけで、今週金曜日公表予定のの日銀短観も見てみたい気はしますが、この法人企業景気予測調査については2018年4~6月期にマイナスをつけた後に上昇に転じており、統計の特性からして1期くらいリードを取るとしても、今年2018年年央くらいが企業マインドの一時的な底だったのかもしれません。日銀短観で確認したいと思いますが、景況感に現れる企業マインドは目先は上向きなのかもしれません。ただ、設備投資計画は下方修正されていますから、もっと長い期間を考えると、設備投資につながるような長期的なマインドは決して上向きではないように見えます。このあたりの乖離はビミョーな違いながら直観的にはあり得るところで、短期的に目先の景況感は決して悪くないものの、設備投資に現れるようなもう少し先の長い企業マインドはそれほど楽観できない、というふうに取りまとめられるのではないかと私は考えています。

いずれにせよ、今週金曜日に日銀短観が公表され、企業マインドの決定版のような統計ですので、さらに詳細な情報が明らかになることと期待しています。その前に、明日か明後日にでも各シンクタンクの日銀短観予想を取りまとめておきたいと予定しています。

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2018年12月10日 (月)

大きく下方修正された7-9月期GDP統計2次QEから景気の現状をどう見るか?

本日、内閣府から7~9月期のGDP統計速報、いわゆる2次QEが公表されています。1次QEの前期比年率▲0.3%のマイナス成長から2次QEでは▲0.6%と大きく下方改定されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP、年率2.5%減に下方修正 7-9月改定値
内閣府が10日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算では2.5%減だった。速報値(前期比0.3%減、年率1.2%減)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.5%減、年率2.0%減となっており、速報値から下振れすると見込まれていた。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.7%減(速報値は0.3%減)、年率は2.7%減(同1.1%減)だった。
実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比0.2%減(同0.1%減)、住宅投資は0.7%増(同0.6%増)、設備投資は2.8%減(同0.2%減)、公共投資は2.0%減(同1.9%減)。民間在庫の寄与度はプラス0.0ポイント(同マイナス0.1ポイント)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス0.5ポイント(同マイナス0.2ポイント)、輸出から輸入を差し引いた外需はマイナス0.1ポイント(同マイナス0.1ポイント)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてマイナス0.3%(同マイナス0.3%)だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/7-92017/10-122018/1-32018/4-62018/7-9
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.7+0.4▲0.30.7▲0.3▲0.6
民間消費▲0.8+0.4▲0.3+0.7▲0.1▲0.2
民間住宅▲1.8▲3.3▲2.1▲1.9+0.6+0.7
民間設備+1.7+1.1+0.4+2.8▲0.2▲2.8
民間在庫 *(+0.4)(+0.2)(▲0.2)(+0.0)(▲0.1)(+0.0)
公的需要▲0.3▲0.1+0.0▲0.0▲0.2▲0.2
内需寄与度 *(+0.1)(+0.5)(▲0.4)(+0.8)(▲0.2)(▲0.5)
外需寄与度 *(+0.6)(▲0.1)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.1)
輸出+2.7+2.1+0.5+0.3▲1.8▲1.8
輸入▲1.0+3.1+0.2+1.0▲+1.4▲+1.4
国内総所得 (GDI)+0.8+0.1▲0.6+0.6▲0.6▲0.9
国民総所得 (GNI)+1.0▲0.1▲0.8+0.9▲0.7▲1.0
名目GDP+1.0+0.5▲0.6+0.5▲0.3▲0.7
雇用者報酬+0.9▲0.4+1.0+1.6▲0.5▲0.4
GDPデフレータ+0.2+0.1+0.5+0.0▲0.3▲0.3
内需デフレータ+0.6+0.6+0.9+0.5+0.7+0.7

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年7~9月期の最新データでは、前期比成長率がマイナスを示し、特に、水色の設備投資がマイナス寄与が大きいのが見て取れます。

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基本的には、7~9月期GDP2次QEのマイナス成長幅の拡大は、自然災害に伴う供給面の制約、物流の停滞などに起因し、それが企業マインドや消費者マインドを冷やした結果であり、足元の10~12月期にはこれらの制約や停滞を脱して我が国経済は緩やかながら回復ないし拡大の軌道に回帰する、というエコノミストのコンセンサスは特に変更を必要としない結果であった、と私は受け止めています。特に、1次QEからの下方修正の主因は法人企業統計にの結果を受けた設備投資の下振れであることは明らかで、上のグラフでも設備投資の水色の積上げ棒グラフが大きなマイナスを示していることが読み取れます。同時に、1次QEから2次QEへの修正については、消費が小幅に下方修正され、住宅投資がこれも小幅に上方修正されています。
ただ、現時点での我が国の景気認識として、足元の今年2018年10~12月期にはプラス成長に回帰するとはいえ、ちょうど1年前の2017年10~12月期くらいからの実質成長率を見ると、2017年10~12月期+0.4%の後に2018年1~3月期が▲0.3%、4~6月期に+0.7%とプラス成長に回帰した後、本日公表の7~9月期にはまたまた▲0.6%とマイナス成長と、プラスとマイナスが交互に並んでおり、2016年1~3月期から2017年10~12月期までまる2年8四半期に渡ってプラス成長を継続していたころの拡大局面とは異なり、やや景気の踊り場的な認識を持っているエコノミストも少なくないと私は考えています。もちろん、この踊り場からそのまま景気後退局面に入るとは、私は必ずしも考えていませんが、先々週の12月5日付けの記事では「来年2019年後半に景気後退の可能性はあるか?」とのタイトルで、来年後半にも景気転換点が来る可能性も無視できないとのリポートを紹介したところです。いずれにせよ、景気拡大局面は後半に入っていることは忘れるべきではありません。そして、その現状認識の下で、来年2019年10月からの消費増税の影響を正しく評価する必要があることはいうまでもありません。

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最後に、本日は7~9月期GDP統計2次QEだけでなく、11月の景気ウォッチャーが内閣府から、また、10月の経常収支が財務省から、同時に公表されています。いつものグラフだけ上に示しておきます。景気ウォッチャーは季節調整済の系列で見て、現状判断DIは前月差+1.5ポイント上昇の51.0を、先行き判断DIは前月差+1.6ポイント上昇の52.2を、それぞれ示しています。経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆3099億円の黒字を記録しています。

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2018年12月 9日 (日)

先週の読書は経済・金融の専門書や話題の海外ミステリをはじめ計7冊!

昨日に米国雇用統計が割り込んで、読書日が1日多くなったこともあり、先週の読書は計7冊です。経済や金融の専門書に歴史分野などの教養書、さらに、話題の海外ミステリなどなど、盛りだくさんに以下の通りとなっています。今週もすでに図書館回りを終え、経済書や金融専門書など数冊を借りてきています。

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まず、馬奈木俊介[編著]『人工知能の経済学』(ミネルヴァ書房) です。経済産業総研(RIETI)に集まった研究者による研究成果であり、タイトルといい、馬奈木先生の編著であることからも、かなり期待したんですが、さすがに、せまいAIだけの研究はまだ成り立たないようで、かなり広くICT技術の進歩に関する経済学の論文集と考えるべきです。特に、最後の第Ⅳ部のAI技術開発の課題に含まれているICT技術と生産性については、まだ、生産工程にAIがそれほど実装されているわけではなく、チェスや囲碁といったボードゲームやクイズ番組でチャンピオンを破ったからといっても、特定の産業の生産性が向上するわけではありません。もちろん、AIならざるICTばかりが取り上げられているわけではなく、ドローンや自動運転技術の開発なども含む内容となっています。英国オックスフォード大学のフレイ&オズボーンによる有名な研究も着目されており、AI導入に伴う雇用の喪失についての結果は、極端であると結論しています。また、第Ⅱ部のAIに関する法的課題といったタイトルながら、選択理論においてはゲーム理論のナシュ均衡をはじめとして経済学の思考パターンが応用されており、タイトル通りの狭義AIだけでなく、AIをはじめとする幅広いICT技術の経済学と考えた方がよさそうです。

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次に、ジョナサン・マクミラン『銀行の終わりと金融の未来』(かんき出版) です。著者にクレジットされているジョナサン・マクミランとは架空の存在であり、実は2人の人物、すなわち、マクロ経済学者と投資銀行家という意外な組み合わせと種明かしされていますが、誰かは明記されていません。英語の原題は The End of Banking であり、2014年の出版です。ということで、本書の定義する「バンキング」とは、信用からマネーを作り出すこと、と定義し、産業経済時代には小口の短期的な流動性高い預金から大口の貸付を行って資本蓄積を進める必要あったものの、デジタル経済時代には、本書でいうソーシャルレンディング、我が国では一般にクラウド・ファンディングと呼ばれる手法により、金融機関に小口の預金を集中させることなく資金調達が可能となっており、本書で定義するバンキングなしの金融活動は可能であるし、望ましい、と結論しています。そして、そのひとつの方法としてナローバンキング、すなわち、投資行為なしに決済だけを業務とする銀行・金融機関などを提唱しています。私はなかなか理解がはかどらなかったんですが、現時点の金融システムは、ある程度は、政府や中央銀行がデザインしたものも含まれるとはいえ、それなりに資本制下で歴史的な発展を遂げてきたものであり、政府や中銀の強力な規制により著者の目論むようなバンキングのない金融システムを構築する合理性が、単に、金融危機の回避だけで説明でき、国民の納得を得られるのか、という疑問は残りました。さらに、その上で、金融機関による決済業務の重要性について、キチンとした分析ないし説明がなされるべきではないか、と思いますし、自己資本比率の引き上げによりマネーの創造の上限を抑制できるわけですから、自己資本比率の引き上げとの違いについてももう少し詳しい議論の展開が求められるような気がします。とても良い目の付け所なんですが、少し、そういった点で、手抜きではないにしても、説明不足あるいは不十分な考察結果のような気がします。

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次に、スティーブン・レビツキー & ダニエル・ジブラット『民主主義の死に方』(新潮社) です。著者は2人とも米国ハーバード大学の研究者であり、英語の原題は How Democracies Die となっていて、2018年の出版です。タイトルからも明らかな通り、最近におけるポピュリズムの台頭を民主主義の危機と受け止め、特に米国トランプ政権が多様性を認め寛容な米国民主主義に対する大きな挑戦をしている点を、いかに米国の伝統的な民主主義を守るか、という観点から考察を進めています。そして、ひとつのゲートキーパーとして、以前は政党やその指導者が過激勢力を分離・無効化、ディスタンシングし、インサイダーが査読していたのが、シチズンズ・ユナイテッド判決以降に少額寄付も含めて外部からの政治資金が膨大に利用可能となり、その昔の大手新聞やメジャーなテレビなどの伝統的なメディア以外のCATVやSNSなどの代替的なメディアで知名度を上げる道が開かれた点をあげています。トランプ政権の戦略について考察を進め、司法権などの審判を抱き込み、主要なプレーヤーを欠場に追い込み、対立勢力に不利になるようなルール変更を行う、の3点の戦略で典型的な独裁政権と同じと結論しています。さすがに、あまりに刺激的と著者が考えたのか、授権法によるナチスの独裁体制の確立やイタリアにおけるファシスト政権などを引き合いに出すことはためらっているように見えますが、戦後のマッカーシーズムはいくつかの点で参照されており、米国的な寛容な民主主義を取り戻すための一考にすべきような気がします。

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次に、氏家幹人『大名家の秘密』(草思社) です。著者は我が国近世史を専門とする歴史学者だそうですが、国立公文書館勤務とも聞いたことがあります。私は詳細を知りません。本書は上の表紙画像に見られる通り、江戸期の大名家、特に、水戸藩と高松藩の藩主について記した小神野与兵衛『盛衰記』を中心に、その後年に『盛衰記』について徹底的に検討を加えて削除と加筆をほどこした、というか、主君に対するやや冒涜的な内容を徹底的に批判した中村十竹『消暑漫筆』、加えて、『高松藩 盛衰記』などの類書を読み解いた結果を取りまとめています。私は、フィクションの時代小説ながら、かつて冲方丁の『光圀伝』を読んだことがありますので、光圀とその兄の間で子供を交換した、などの水戸藩と高松藩の歴史については、それなりに把握しているつもりでしたが、なかなか、高松藩の名君藩主の動向など、興味深いものがありました。基本的に、戦国期を終えて3代徳川家光くらいからの文治政治下では、武士は戦闘要員たる役割を終えて役人化している中で、さすがに、大名=藩主だけは役人が成り上がるのではなく、代々家柄で決まるものであり、圧倒的に家臣団から超越した存在ですから、現在の公務員の事務次官とは大きく異なるわけで、もっと大胆、というか、当時の時代背景もあって独善的に決断を下していたものだと私は想像していたんですが、名君とはこういう思考パターン、行動様式を持つのかと感心してしまいました。そして、部下たる侍も武士道や忠義一筋、といったステレオ・パターンと異なり、かなり実務的、実益本位の面があったというのも、薄々知識としては持っていたものの、歴史書に触れて感慨を新たにした気がします。第3章の子流しと子殺しについては、必ずしも大名家をフォーカスしたものではなく、ややおどろおどろしい世界ですので、読み飛ばすのも一案か、という気がします。

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次に、鹿島茂・井上章一『京都、パリ』(プレジデント社) です。著者は明治大学の仏文学者と京都の建築史の専門家で『京都ぎらい』がベストセラーになった井上先生です。共著というよりは、対談を収録しています。タイトル通りに、パリと京都だけでなく、フランスと日本を対照させた文化論なども展開しています。私が印象的だったのは第5章の食文化で、食べ物、というか、食文化については京都ではなく大阪、パリではなくローマ、というのがおふたりの共通認識で、なかなか参考になりました。また、鹿島先生が最近のフランス語の変化について判りやすく、ガス入りの水がかつての eau gazeuse から eau pétillante が主流になった、とのことで、私が大昔に読んだスタンダールの『赤と黒』にムッシュ95という人が登場し、どうしてこんなあだ名かというと、95をquatre-vingt-quinze(4x20+15)というその時点、というか、今現在そうである表現ではなく、nonante-cinq(90+5)という昔ふうの表現をするそうで、フランス語とは数の数え方という基礎的な表現ですらかなり短期間に変化する言語である、という印象を受けた記憶があり、それを思い起こしてしまいました。もっとも、ベルギーではまだ90をnonante-cinqで表現する、ということはEU勤務の経験ある友人から聞いたことがあります。といったことを早くも始まった忘年会でおしゃべりしていると、日本でも100年ほど前に「ひい、ふう、みい」から「いち、に、さん」に変更されたんではないのか、と反論されてしまいました。それはともかく、第2章から第3章にかけては、フェミニストにはそれほど愉快ではない論点かもしれませんし、かなり「下ネタ」的な内容もあったりするという意味で、品位に欠けると見なす読者もいるかも知れませんが、私が読んだ範囲でも、井上先生の『京都ぎらい』はかなり斜に構えた本でしたので、そういった観点で文化論とかいうのではなく半分冗談のつもりで軽く読み飛ばすべき本なのかもしれません。

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最後に、A.J.フィン『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』上下(早川書房) です。著者はエディタから本作品で作家デビューを果たしています。英語の原題は日本語訳そのままに、2018年の出版です。ということで、主人公のアナ・フォックスはアラフォーの精神分析医であるものの、夫と娘の生活と離れて暮らし、広場恐怖症のためにニューヨークはハーレムの高級住宅街の屋敷に1年近くも閉じこもって暮し、古いモノクロ映画のDVDを見て、ワインを浴びるほど飲み、そして、隣近所を覗き見して場合により一眼レフのデジカメに収める、という生活を送っています。そして、そのご近所で1人の女性が刺殺されるのを偶然にも見てしまいます。いろんな物的証拠が主人公の精神異常性を指し示していながら、実は、最後にとても意外な殺人犯が明らかになる、というストーリーです。決して、本格推理小説のような謎解きではありませんが、ミステリの範疇には入りそうな気がします。私は精神状態の不安定な主人公の動きの中で、デニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』と同じプロットではなかろうか、と考えながら読み進んだんですが、最後の解説ではギリアン・フリンによる『ゴーン・ガール』との比較をしていたりしました。『ゴーン・ガール』では妻が夫を殺人犯に仕立てようとする中で、最後のどんでん返しは、何と、この夫婦が仲睦まじく夫婦生活を再開する、というところにオチがあったんですが、本書はそういったオチはありません。ただひたすら意外などんでん返しが待っていて、サイコパスの犯人が明らかになるだけです。その分、やや『ゴーン・ガール』から見劣りすると受け止める読者もいそうな気がします。実は、私もそうです。出版社の謳い文句ながら、ニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに初登場で1位に入る快挙を成し遂げ、その後も29週にわたりランクインした、とか、英米で100万部以上の売り上げを記録した、とか、早くも映画化されて来年2009年の封切り、とか、宣伝文句に大いに引かれて借りて読んでみたんですが、少し、私の期待するミステリ小説とは違っているかもしれません。なお、どうでもいいことながら、上巻巻末に主人公などが見ているモノクロの古いフィルム・ノワールのリストが収録されていますが、加えて、本書で言及されている処方薬の効能書きなんぞも必要ではないか、と私は感じてしまいました。

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