2017年10月22日 (日)

明日ははたして出勤できるか?

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台風21号が関東に迫っています。明日23日の未明から明け方に強い勢力で東海地方へ上陸するおそれが強く、関東地方の通勤通学時は大荒れで、交通の足が乱れるおそれが大きいと報じられています。私はこんな日に限って、午前と午後にていねいにも2つも会議が入っていたりします。定年まで1年余りで、そうでなくても若いころから勤務評価は気にもせず、従って、まったく出世できなかったんですが、同僚に迷惑をかけることにもなりかねませんから、明日は出勤したいと予定しています。なお、上の画像はいずれも日本気象協会の日直予報士のサイトから引用しています。

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2017年10月21日 (土)

今週の読書は経済書のほかに話題の新刊ミステリなど計7冊!

今週は、経済書は大したことのないのを1冊だけで、売れっ子作家によるミステリの新刊書を2冊ほど読みました。新書も入れて計7冊、以下の通りです。

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まず、ジョン・ケイ『金融に未来はあるか』(ダイヤモンド社) です。著者は英国のエコノミストであり、金融関係で政府のレビューなども執筆したこともあるそうですが、私はよく知りませんでした。英語の原題は Other People's Money であり、直訳すれば「他人のおカネ」ということになるのかもしれません。2015年の出版です。2008年から始まる金融危機とそれに伴う景気後退(Great Recession)について論じており、今さらながらの金融本なんですが、ハッキリいって、期待外れです。金融に限らず複雑に絡まり合った需要供給構造は経済の発展に即した現状の歴史的経緯を反映しており、もちろん、いわゆるグローバル化が複雑怪奇さを一層促進したのはいうまでもないとして、かつての小さな地理的商圏を発想の原点として、いわゆる「顔の見える範囲」での大昔の金融取引に戻れ、的な志向はややうんざりします。歴史認識の違いとしかいいようがないんですが、私は西洋人的に一直線に進む歴史を念頭に置いており、グルッと回って元に戻る円環的な歴史観を持っているのであれば、あるいは、ビッグデータの活用などから個人や企業に関する詳細情報をかつての「顔が見える」に代替して活用することも可能かもしれません。人工知能(AI)が現状のように金融スコアを機械的に弾き出すだけでなく、より詳細な個別情報を分析できるようになれば、あるいは可能かもしれないと思いつつも、本書で著者自身が防衛線を張っているように、かなりナロー・バンクに近いような銀行業務の縮小とか、フィクスト・インカムなどの債券に特化したカストディアンに近い決済専業に近い業務体系とか、時計の針を逆回しにするような処方箋であるとしか思えません。それほど指摘される点ではありませんが、少なくとも、too big to fail というのは、同時に、too complexed to be regulated であり、複雑すぎて規制できない、というのも単純化し過ぎている点を別にすれば、ほぼほぼ真実に近いような気もします。その上で、金融正常化の主体となるのが政府から企業へのラインであるというのは、余りにも発想が古いというか、従来通りであり、ムリがあります。注目したがるのは規制当局の金融庁くらいのものだという気がします。せめて、政府から消費者に情報が伸びて、消費者自らが市場で選択が出来るような情報の流れを想定するくらいの発想は出来ないものでしょうか?

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次に、ジョーン C. ウィリアムズ『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』(集英社) です。著者は米国の大学の法律の研究者なんですが、長らく女性の地位向上に携わって来たらしいです。英語の原題は White Working Class であり、今年2017年の出版です。ということで、昨年2016年の米国大統領選挙でトランプ政権誕生の原動力のひとつと見なされている白人労働者階級について論じています。出版社のサイトなどで章別の構成を見れば明らかなんですが、白人労働者階級の特徴を章別に解説しています。14章から成る構成のうち、10章超を白人労働者階級の特徴の解説に当てています。そして、その前提として、米国をザックリと3つの階層に分類しています。すなわち、エリート、労働者階級、貧困層です。そして、エリートはさらに専門職と富裕層に大雑把に分けています。白人の労働者階級はエリートの中でも専門職には反感を持っている一方で、富裕層にはそれなりの敬意を払っているという特徴も指摘されています。続いて、仕事のある場所に引っ越さない、大学に行こうとしないし子供の教育には熱心ではない、人種差別や性差別の傾向がある、製造業の仕事が増加しないことを理解していない可能性がある、看護師などの女性向のピンクカラーの仕事に就こうとしない、政府の福祉政策に対して極めて無理解であ利自身が恩恵を受けていることを知らない、などと行った白人労働者階級の特徴を論じつつ、その要因についても分析を行っています。英語の原題も class ですし、邦訳でも階級と明確に訳しているように、日本以外の国ではそれなりの階級らしき構造があることは明白であり、それは貴族や王族のいない米国でも同様です。私が米国連邦準備制度理事会(FED)のリサーチ・アシスタントをしていたころも、おそらく本書では専門職のひとつに分類されるんでしょうが、ビールは日本でも有名なバドワイザーは労働者階級のビールであり、エコノミストはクアーズを飲む、といった違いがありました。そして、酒を飲んだ席のジョークながら、その昔のニクソン大統領の最大の功績のひとつは、クアーズをロッキー山脈を越えさせたことである、などといい合っていたモノです。日本ではクアーズよりもバドワイザーの方が圧倒的に知名度が高いので、私は少しびっくりした記憶があります。本書でも、p.50あたりから記述しており、買い物をするスーパーマーケット、視聴するテレビ番組などなど、目には見えにくいながら明確な階級的な特徴があります。こういった階級の特徴を、とてもステレオ・タイプながら、本書ではなかなかよく捉えていそうな気がします。ただ、私には実態をどこまで自分自身で理解しているかが不明ですので、本書の記述についてもどこまで正確なのかは十分な把握ができません。ただ、少し前に『ヒルビリー・エレジー』や『われらの息子』などを読みつつ感じたのは、ポピュリズムの交流は、確かに、米国トランプ政権誕生がもっとも画期的だったかもしれませんが、英国のBREXITや大陸欧州のいくつかの選挙でも実際に観察されることですし、こういった欧米諸国の現状を総合的に分析する必要があるような気がします。強くします。米国が典型的でドミノの倒れ始めかもしれませんが、さらに、国別ではなく世界的なポピュリズムの台頭を分析するべきではないでしょうか。かつて、ドイツのナチズム、イタリアのファシズム、日本の国粋主義など一連の思想的な流れの中で戦争に行きついてしまって、こういった流れを止められなかっただけに、世界的な分析の必要を強く感じます。

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次に、古市憲寿『大田舎・東京』(文藝春秋) です。社会学者である著者が、東京の都バス100路線に乗ってエッセイを綴っています。著者の発見というわけでもないんでしょうが、都バスは東京23区の東部でよく走っており、新宿から西ではそれほど見かけません。もちろん、バスはそれなりに走っているんですが、都バスではなく私鉄会社などが走らせているバスが増える気がします。ですから、都バスに乗るということは、いわゆる下町やウォーター・フロントを回る確率が高くなります。著者の表現では、そこに「昭和」を見ることになります。世界に冠たる大都会の東京ではなく、高齢化が進み、場所によってはシャッター商店街と化しているところもありで、花の都東京というよりも地方の印象に近いのかもしれません。私が都バスを通勤に利用したのは、1990年から91年に在外公館に出向する前に外務研修所に通うのに都02の都バスを使っていました。外務研修所は現在では相模大野だか町田だかに移転しましたが、当時は茗荷谷にあり、私は大関横丁近くの荒川区と台東区の境目あたりに住んでいました。御徒町、というか、春日通りまで地下鉄で出て、そこから大塚車庫行の都02の都バスで半年近く通勤していました。通勤はそれだけですが、都バスで馴染みあるのはやっぱり都01です。なぜか、年末12月のベートーベン第9のコンサートに何年か続けて聞きに行くことがあり、なぜか、サントリー・ホールでしたのでこの都バスで行った記憶があります。後は、都バスとの連想ゲームで、私の場合は「統計局」という回答が飛び出したりします。その昔、副都心線や大江戸線の地下鉄が出来る前、霞が関から若松町の統計局に行くのには都バスを使っていました。そのころ、私自身が統計局勤務になるとは思っても見なかったんですが、統計局勤務になって驚いたのは、朝夕の通勤時に都バスが統計局のビルに横付けされることです。本書でも、いくつか片道180円で短距離の通勤・通学バスの紹介がありますが、私は乗ったことはないながら、たぶん、新宿と統計局の間の直通の都バスが平日の朝夕に運行されていました。通勤途上で追い抜かれたり、役所の建物に都バスがデンと駐車されているんですから、なかなか壮観だったと記憶しています。

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次に、東野圭吾『マスカレード・ナイト』(集英社) です。シリーズ第3作最新作です。日本橋のホテルコルテシア東京を舞台に、ホテルのコンシェルジュである山岸尚美と警視庁の刑事である新田浩介のコンビがホテルでの犯罪を未然に防止します。しかも、事件が起こる確率がもっとも高いのは大晦日から新年を迎えるカウントダウンパーティの会場であり、しかもしかもで、そのカウントダウンパーティが仮装で行われますので、まさにこの作品のタイトル通りのマスカレード・ナイトになってしまうわけです。関西弁をしゃべる若い夫婦に、金に糸目をつけずにサプライズでプロポーズをもくろむ米国在住の日本人男性、夫婦2人を装いつつも女性1人でしかも予約時と苗字の異なるクレジットカードを使おうとする女性、ネームプレートのないゴルフバッグを持ち込んだ暗い感じの男性、家族連れで宿泊した一家の亭主の浮気相手が突然鉢合わせ、などなど、怪しさ満点の宿泊客に加えて、ホテルのスタッフは山岸尚美と総支配人の藤木は前作からのお馴染みとしても、新田をサポートする氏家の頑迷固陋な融通の利かなさとホテルへの愛情から生じた警察への非協力的な態度もあり、時刻の経過とともに、いろんな事実が明らかになる一方で、同時に複雑怪奇な様相も混迷を深めて真犯人にはたどり着かない、という結果になります。もともと、大衆瀬包摂というか、エンタメ小説ではミステリの東野圭吾と企業小説の池井戸潤が、キャラ設定やストーリ・テリングの点で、読者に訴えかける筆力といったものが抜群の双璧と私は考えていたんですが、さすがに、ミステリですので、この作品についてはプロットがやや複雑怪奇に過ぎる気がします。黙秘を続けていた犯人が、最後に新田に対してだけ自白するわけですが、何と申しましょうかで、その犯罪に対する犯人の解説がやたらと長い気がします。犯行の動機や実行の経緯などについて、しっかり読めば判らないでもないんですが、冗長というよりは長々とした説明の必要なプロットなんだろうと思います。私はエコノミストとして経済の現象について説明する場合、「オッカムの剃刀」を念頭に置きますが、どうもその観点からは、この作品はどこまで評価できるか疑問です。ただ、シリーズ第2作の『マスカレード・イブ』はもちろん第1作の事前譚の短編集でしたし、第1作の『マスカレード・ホテル』も連作短編のような構成でしたので、第3作の本作品『マスカレード・ナイト』がシリーズ初めての本格長編である、という見方も出来ます。長編ファンにはいいんではないでしょうか。

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次に、道尾秀介『満月の泥枕』(毎日新聞出版) です。作者は『月と蟹』で直木賞を受賞した売れっ子、というか、私の注目のミステリ作家であり、この作品は1年に渡って毎日新聞夕刊に連載されていたものを単行本をして出版しています。ということで、幼い娘を亡くして離婚も経験した30代半ばの主人公の男性が、姪に当たる兄の娘の小学生が母親から捨てられた際に引き取り、とともに貧乏アパートに暮らすわけありの仲間とともに、よく実態の知れない冒険を繰り広げます。アパートの仲間はバイオリン趣味の老夫婦、物まね芸人、アパートの大家の倅、売れない画家などで、この小説でマドンナ役を演じる女性がアパートの外から参加します。どういう冒険家というと、町内の剣道場の小倅から行方不明の祖父について、実は殺害されて池に沈められている恐れがある、というか、その確率が高いとして、一計を案じて1年の準備期間を経て、夏祭りの時期に町内の人々を池を浚う役割に引き込みます。案の定、池からは頭蓋骨が発見されるんですが、その後、それを持って剣道場の師範親子孫とアパート住人の面々が岐阜県に行ったりと冒険が続きます。何となく、『透明カメレオン』に似たストーリーで、わけありで過去のやや暗い主人公に対して、同じ色彩を持ちつつ、じつはかなり嘘で固めた、とまではいわないまでも、決してすべての事実を明らかにすることなく、かなりの程度にうそや隠し事を持った周囲の人が主人公を巻き込んで、何らかの事件が展開して、でも、かなり際どいご都合主義によりハッピーエンドで終わる、というミステリです。この作者の場合、初期の作品はかなり本格的な謎解きミステリ、あるいは、ホラーやサスペンスの作品が多かったような気がしますが、受賞作品が増えるに従って、わけありの登場人物がうそを交えつつ事件を進行させ、人物や事件をていねいに描写する、という作品が多くなっている気がします。別の表現をすれば、だんだんと重松清の作品に近づいている気がしてなりません。その意味で、少し私の好みから外れつつあるのが残念です。

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次に、銀座百点[編]『おしゃべりな銀座』(扶桑社) です。銀座百店会が発行するタウン誌「銀座百点」に掲載されたエッセイ50篇を収録しています。最近、とはいうものの、2004年から2016年までの掲載です。見事に、執筆者の50音順で収録されており、どうしても、私の苗字である「やゆよ」の行とか、和田さんなどは日本語の50音順でも、アルファベット順でも最後の方になります。ということは別として、執筆者は作家やエッセイストなどのライターが多いんですが、それ以外にも映画や演劇、あるいは、建築家や画家・デザイナーなどの広い意味での文化人です。もちろん、銀座がお題ですので東京の人が中心になりますが、関西人をはじめとして地方在住者も何人か見受けられます。銀座ですので、どうしても、お酒を含む食べ物のエッセイとか、ファッション関係が目立った気がします。でも、なぜか、音楽関係はほとんど出て来ませんでした。山野楽器にヤマハもありますし、私自身はヤマハでスコアを買い求めた記憶もあります。それから、食べる方では竹葉亭を取り上げた執筆者が何人かいますが、やっぱり、竹葉亭はウナギではないだろうかと思います。銀座に興味ある方には何かしら参考情報になりそうな気がします。

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最後に、小山聡子『浄土真宗とは何か』(中公新書) です。著者は日本中世宗教史の研究者だそうで、タイトル通りに浄土真宗にフォーカスしていますが、あくまで著者ご専門の中世史からの視点であり、明治以降の清澤満之などの宗教論もなくはないですが、より近代的・現代的な浄土真宗についてはフォローし切れていないように見受けました。哲学、というか、宗教論からの解明ではありません。ということで、浄土真宗の信徒として少し不満の残る内容ではあるんですが、まずまず、よく取りまとめられています。ただ、本書では否定されていますが、キリスト教になぞらえて、浄土真宗や日蓮宗などの鎌倉新仏教を宗教改革以降のプロテスタント、それまでの南都北嶺の国家鎮護仏教をカトリックになぞらえるのは、もちろん、決して全面的ではあり得ないものの、部分的ながらかなりの程度に当たっていると考えていいと私は考えています。それと、法然の浄土宗と親鸞の浄土真宗の違いは、確かに本書で指摘されている通り、神道などの他宗教や仏教の他宗派に対する寛容性もありますし、それはそれでとても大衆的な理解ではあるんですが、実は、俗の部分ではなく聖の部分の違いが大きいと私は考えており、要するに、浄土宗では僧が受戒する必要があり、僧と信徒の区別が厳格であるのに対して、浄土真宗は戒がなく、従って、僧と信徒の差はかなりの程度にあいまいです。もちろん、他宗派との違いも浄土真宗の場合は大きく、死ぬことを往生というのは同じような気がしますが、戒名ではなく法名ですし、従って、仏壇に位牌は置きません。卒塔婆を立てないのは追善供養を否定するといいつつも、七回忌くらいまでは営んだりもします。でも、冥福という言葉を浄土真宗の信者に用いつことはかなりの程度に失礼に当たりますし、呪術はもちろん、霊という言葉も使用を避けます。ほぼほぼ一神教に近いのは同じながら、浄土真宗の方がその程度は強く、しかも、かなり天上天下唯我独尊で独善的というか、排他的な色彩が強いですから、織田信長ではありませんが、戦国武将にはそれなりの脅威だったのかもしれません。

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2017年10月20日 (金)

ニッセイ基礎研「中期経済見通し」を読む!

先週10月13日付けで、ニッセイ基礎研から「中期経済見通し」が明らかにされています。対象年度は2027年度までのほぼ10年間です。主要国別を含む世界経済の中期見通しと、もちろん、日本経済の見通しをセットでリポートにしています。今日びのことですから、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ニッセイ基礎研のサイトからリポートの要旨を4点引用すると以下の通りです。

要旨
  1. 世界経済は緩やかな回復が続いているが、労働需給が引き締まる中でも賃金、物価上昇率は依然として低水準にとどまっている。今後10年間の平均成長率は先進国では過去10年平均を上回るが、新興国は少子高齢化に伴う潜在成長率の低下などから過去10年平均を下回ることが予想される。
  2. 日本はすでに人口減少局面に入っているが、そのペースは想定されていたよりも緩やかで、先行きの見通しも上方修正されている。今後10年程度は人口減少による経済成長への影響を過度に悲観する必要はない。2027年度までの実質GDP成長率は平均1.0%となり、過去10年平均の0.5%よりも高まると予想する。名目GDPの伸びは平均1.8%となり、2023年度に政府目標の名目GDP600兆円が達成されるだろう。
  3. 人口減少、少子高齢化が進む中で経済成長率を高めるためには、女性、高齢者の労働参加拡大を中心とした供給力の向上と高齢化に対応した潜在的な需要の掘り起こしを同時に進めることが重要である。
  4. 消費者物価上昇率は10年間の平均で1.3%(消費税の影響を除く)と予想する。日本銀行が「物価安定の目標」としている2%を安定的に続けることは難しいが、1%台の伸びは確保し、デフレ脱却は実現する可能性が高い。

なかなか包括的によく取りまとめられている印象です。なお、世界経済の中期見通しも興味あるところながら、今夜のブログでは日本経済に関して、リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。なお、この見通しでは消費税については、2019年度と2024年度にそれぞれ消費税率を2%ポイント引き上げることを想定しており、従って、予測期間最終年度には消費税率は12%に達します。

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まず、リポートの p.19 から 実質GDP成長率の推移 を引用すると上の通りです。2019年度の消費増税は年度途中の10月である上に、その次の年度の2020年度に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、景気押し下げ効果は限定的であるものの、逆に、2021年度が東京オリンピック・パラリンピックの反動で成長率が下振れし、また、2024年度は消費増税の影響で成長率が低下します。中期見通しですから、短期変動の循環的要因は必ずしも明確ではありませんが、まあ、そうなんだろうと私も思います。なお、上に明記した以外の年度については、ほぼ潜在成長率見合いの1%強くらいの成長で推移すると見込まれています。

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その潜在成長率について、順序が逆になりますが、リポートの p.16 から 潜在成長率の寄与度分解 を引用すると上の通りです。労働投入のマイナス寄与は必ずしも大きくなく、資本投入と技術進歩で相殺して、ほぼ1%強の水準を確保しています。

冒頭の要旨との重複をいとわず、最後に、リポートの見通しの特徴を私なりにいくつか上げると、まず第1に、消費低迷の主因は巷間いわれているような家計の節約志向や将来不安に伴う過剰貯蓄ではなく、可処分所得の伸び悩みであると明快に指摘しています。私もほぼほぼ100%合意します。まったく、その通りです。ただ、短期的には少し天候要因やマインドも影響するかもしれません。でも、リポートは中期見通しですから、所得要因以外はあり得ないと私も考えています。第2に、消費者物価については日銀のインフレ目標である2%には届かないものの、1%台は確保してデフレ脱却は達成する、と主張しています。私もそう思わないでもありませんが、インフレ率が2%に達しない場合の購買力平価に基づく為替水準がどうなるか、とても気にかかるところです。なお、リポートでは中長期的には経常収支は貯蓄投資バランスで決まるとして、為替相場は必ずしも大きな考慮が払われていません。第3に、というか、最後の最後に、いくつかのキーナンバーをバラバラと脈絡なく取り上げておくと、名目GDP600兆円は2023年度にずれ込み、経常収支は予測期間最終盤に小幅ながら赤字化する一方で、訪日外国人旅行者数は2018年に3000万人を超え、東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年政府目標の4000万人を突破する可能性が高く、政府財政のプライマリ・バランスは2024年度の消費増税を盛り込んでも予測最終年度の2027年度にGDP比▲2.2%の赤字が残り、財政収支の黒字化は達成できず、現在の日銀の異次元緩和は2022年度に出口局面を迎え、無担保コールの政策金利は+0.1%に設定され、長期金利も上昇局面に入るが、物価目標の2%を達成できないため大きな金利上昇は見込めない、とされています。ご参考まで。

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2017年10月19日 (木)

ハリケーンの影響で9月貿易統計の米国向け自動車輸出が伸び悩む!

本日、財務省から9月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+14.1%増の6兆8110億円、輸入額も+12.0%増の6兆1408億円、差引き貿易収支は+6702億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の貿易収支、4カ月連続黒字 6702億円 米向け半導体製造装置など堅調
財務省が19日発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6702億円の黒字だった。貿易黒字は4カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は5600億円の黒字だった。米国向けの半導体製造装置など輸出の伸びが輸入の伸びを上回り、前年同月(4866億円の黒字)より黒字幅が拡大した。
輸出額は前年同月比14.1%増の6兆8110億円と、10カ月連続で増加した。9月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=109.48円と前年同月から7.5%の円安となり、円建ての輸出額を押し上げたことも寄与した。
地域別に見ると、対米国が11.1%増と8カ月連続で前年実績を上回った。半導体などの製造装置や車両エンジンの増加が寄与した。対欧州連合(EU)は11.5%増、中国を含む対アジアも18.7%増となった。
輸入額は12.0%増の6兆1408億円だった。資源価格の上昇や円安で原粗油や石炭などが増加したほか、医薬品も伸びた。対米国ではエネルギー関連のほかスケソウダラのすり身などの輸入が増加したが、3カ月連続の貿易黒字だった。対中国はパソコンやテレビの輸入が増加し、7カ月連続の貿易赤字。対EUは2カ月ぶりに貿易黒字となった。
同時に発表した2017年度上半期(17年4~9月)の貿易収支は1兆9190億円の黒字だった。黒字は4期連続。輸出は前年同期比12.8%増の38兆3738億円、輸入は15.3%増の36兆4549億円だった。輸出は米国向け自動車や中国向け電子部品などが伸びた一方、輸入も石炭や液化天然ガス(LNG)などエネルギー関連が伸びたため6期ぶりに増加し、貿易黒字は前年同期から20.3%縮小した。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易収支を算出するもととなる輸出額と輸入額を数量要因と価格要因に分解すると、輸出額の数量要因は米国向け輸出などが落ち込んで、輸出額の増加幅が縮小しており、他方、輸入額は数量要因が小幅な減少に転じる中で、輸入価格が高水準を維持したことで輸入金額全体のプラス幅は小幅な縮小にとどまっています。引用した記事にもある通り、9月の税関長公示レートは1ドル109.48円と、前年比+7.5%の円安水準であったことから輸出入額ともに円建てで少し膨らんでいます。為替の価格要因だけでなく、所得要因についても、世界経済の順調な回復・拡大に伴って、我が国の輸出がまさに主力輸出品である自動車などで伸びている一方で、我が国の景気も順調な回復・拡大の軌道にあり、従って、輸入額も国内経済活動に応じた伸びを示しており、輸出と輸入がともに拡大する好ましい局面に入りつつあるんではないかと私は受け止めています。4か月連続の貿易黒字はメディア受けする一方で、昨年2016年の年央から後半にかけて、すなわち、6月の英国国民投票によるBREXITと11月の米国大統領選挙のころには、経済外要因ながら、ポピュリズムの動向に伴って世界経済の先行き不透明感が増していた時期ですから、今年2017年にはその反動も感じられます。もっとも、北朝鮮情勢次第では地政学的なリスクの顕在化も懸念されます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出については、9月の輸出額の伸び率が8月を下回りましたが、基本的に、米国のハリケーンの影響であろうと私は考えています。例えば、米国向け輸出を品目別に原系列の統計の前年同月比で見て、引用した記事にもある通り、半導体等製造装置などの一般機械は+21.0%の伸びを示した一方で、自動車などの輸送機械はわずかに+1.2%にとどまっています。米国向けの電気機械輸出でも、一般消費者向けなどの音響・映像機器が▲17.8%と減少を示した一方で、事業者向けなどの重電機器は+40.0%の伸びを示しています。ハリケーンの影響に伴う米国消費の低迷が我が国の輸出にも現れていると私は受け止めていますが、逆に、極めて一時的な影響でしょうから、天候要因さえ元に戻れば輸出も増加に転じる可能性が高い、と考えるべきです。

最後に、米国で金融正常化に伴う金利引上げが議論され、さらに、イェレン議長の後任の連邦準備制度理事会(FED)議長もそろそろノミネートされるかもしれず、為替が動くことも含めて、金融要因から何らかの貿易への影響が生じるリスクについて忘れるべきではないと思います。

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2017年10月18日 (水)

日本経済研究センターによる温暖化ガス削減試算やいかに?

10月13日付けで、日本経済研究センターから「第4次産業革命の中の日本」と題して、温暖化ガス削減に関する試算が明らかにされています。試算結果のグラフを日本経済研究センターのサイトから引用すると以下の通りです。

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化石燃料価格が2050年度までに足元の6倍程度の1バレル当たり275ドルまで上昇すると、7割以上の削減も可能になる一方で、インフレ見合いの2%程度の上昇率で実質横ばいで推移すると、7割削減を目標とすると最低でも総額12兆円程度の環境税=炭素税が必要になる、と試算しています。2025年度以降にCCSによる二酸化炭素の回収・貯留が可能となるという前提ではありますが、第4次産業革命といわれる経済の情報化を進めるイノベーションを加速すれば、環境と経済、すなわち、地球温暖化防止と豊かな社会の実現の両立は十分に可能であると結論しています。

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2017年10月17日 (火)

CS第3戦は能見投手が初回にKOされて万事休す!!

  RHE
D e N A300300000 6100
阪  神000001000 180

クライマックス・シリーズ第3戦は初回に能見投手が崩れてKOされ万事休すでした。打線はウィーランド投手のカーブが最後まで打てませんでした。
ここ一番の勝負強さに欠ける阪神の実力が如実に現れた一戦となりました。どうせ勝っても広島にはかなうはずのないCSファーストステージでしたが、悔しい思いは選手とベンチとファンで共有された気がします。来シーズンこそ戦力を立て直して優勝目指して、打倒広島を胸にがんばって欲しいと思います。ファンのみなさまも、1年間の応援おつかれさまでした。

来季は優勝目指して、
がんばれタイガース!

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東京商工リサーチ「全国社長の出身大学」調査結果やいかに?

昨夜に続いて、旧聞に属する話題かもしれませんが、東京商工リサーチから10月10日付けで「全国社長の出身大学」調査の結果が明らかにされています。114万人超の卒業生を擁する日本大学が調査開始から7年連続でトップを守った一方で、都道府県別に詳しく見ると違った特徴もありました。すなわち、東日本が日本大学を中心になど東京や首都圏に所在する大学への一極集中が目立った一方で、西日本は地元や域内の大学が上位を占める場合も見受けられ、東西で異なる傾向が出ています。ということで、下のテーブルの画像は東京商工リサーチのサイトから引用しています。我が母校の京都大学は、どうしても卒業生数が不足しますので、とてもではないです、トップテンには入りません。

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なお、引用はしませんが、東京商工リサーチのサイトでは都道府県別の社長の最多出身大学のトップだけがテーブルに取りまとめられているんですが、西日本では国立大学をはじめとする地元大学が活躍しています。福岡県では福岡大学がトップですし、何と、中国地方5県、すなわち、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県ではそれぞれの県名を冠したを国立大学がトップとなっています。どうでもいいことながら、我が郷里の京都府では全国9位の同志社大学がトップだったりします。

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2017年10月16日 (月)

帝国データバンク「人口減少に対する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、帝国データバンクから10月6日付けで「人口減少に対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。詳細なpdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 人口減少が与える影響について、「日本全体」では企業の90.2%、「自社の属する業界」では88.2%、「自社」では78.4%が「マイナスの影響がある」と認識
  2. 自社の経営における人口減少への捉え方について、「経営課題だが、それほど重要ではない」が39.2%、「重要な経営課題である」と考える企業は27.5%となり、3社に2社が経営課題として捉えている。他方、「経営課題ではない」は21.6%にとどまる
  3. 人口減少への対応策、「労働力人口の減少に対応した商品・サービスの開発・拡充」がトップ。次いで、「国内の店舗網・販売先等の拡大充実」が続く
  4. 人口減少への対応策を実施する際の阻害要因は、「人材確保」(72.5%)が突出して高く、以下、「販路拡大」(25.5%)、「他企業との連携」(21.6%)「外部の技術力の獲得」(19.6%)、「企画提案力の獲得」(17.6%)、「技術開発・研究開発」(13.7%)が続く

ということで、私の目から見て、どうして、あるいは、どのような観点から、人口減少が日本経済に問題なのか、という企業の意識は明らかにされていませんし、回答企業がわずかに51社ですので誤差がとてつもなく大きそうな気もしますが、それなりに興味深い調査ですので簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから 人口減少による影響 について、日本全体と業界と自社のそれぞれについて問うた結果です。プラスの影響は流石にゼロですし、圧倒的にマイナスの影響が指摘されているんですが、それでも、自社へのマイナスの影響は業界よりも小さく、業界のマイナスの影響は日本経済全体よりも小さい、と企業が考えている結果が明らかにされていると私は受け止めています。要するに、ヨソは大変だけど、我が社はそれほどでもない、ということなのかもしれません。

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次に、上のテーブルはリポートから 対応策実施の阻害要因 を引用しています。あくまで、対応策実施の阻害要因ですから、マイナスの影響とは異なるんですが、何がマイナスの影響の原因かが透けて見えるような気もします。というのは、圧倒的に人材確保が上げられており、2番めの販路拡大の3倍近い数字を示してます。すなわち、人口減少の問題は供給サイドであって、需要サイドではない、と企業が考えているような気がしてなりません。

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2017年10月15日 (日)

CS第2戦は雨中の大乱戦で7回に桑原投手が大きく崩れて横浜が逆王手!

  RHE
D e N A002020603 13211
阪  神021001200 6101

クライマックス・シリーズは勝利の方程式の桑原投手が7回に大きく崩れて、雨中の大乱戦で横浜が逆王手をかけました。執念のスクイズも実りませんでした。
かなり無理を押しての強行試合だった気がしますが、泥だらけになりながらの野球ですし、その上、メチャクチャに長い試合だったですから、高校野球でもここまでしないような気もします。負けて逆王手をかけられましたが、ケガがなくてよかった気もします。先発秋山投手をさっさと引っ込めたのは正解かもしれません。

第3戦は、
がんばれタイガース!

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映画「ドリーム」を見に行く!

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金曜日の雨から始まって、この週末はお天気がよくないような天気予報でしたので、この週末は室内競技を志向して、実は今日ではないんですが、NASAを舞台にして3人の黒人女性が活躍する映画「ドリーム」を見に行きました。とてもいい映画でした。
米国における黒人への人種差別を扱った映画としては、まさにモロの「ロング・ウォーク・ホーム」を見たことがあります。1955年のアラバマ州でのローザ・パークス事件とその後のバスのボイコットをテーマにしていました。ローザ・パークスにウーピー・ゴールドバーグが扮し、白人の女主人で黒人を支持するシシー・スペイセクがオスカーの助演女優賞を取ったと記憶しています。しかし、「ドリーム」ではモロの公民権運動ではなく、スプートニク・ショック後の米国の宇宙開発を支えるNASAに働く黒人女性3人が、自らの能力と度胸で周囲のサポートも得つつ差別を乗り越えていくところが感動的でした。特に、彼女たちは人種差別とともに、男女間の性差別もあったわけですし、アラフォーの黒人女性であるキャサリンが白人男性ばかりの職場や会議に乗り込んで、一瞬みんなが静まり返る、という場面が何回かありました。人工衛星の発射軌道や着水地点を計算するキャサリン、黒人女性の計算者集団を率い、後に彼女らとともにフォートランを勉強してIBM電算機を操るドロシー、白人に混じって勉強してNASA初めての黒人女性エンジニアとなるメアリー、そして、やや敵役っぽいドロシーの上司のミチェル、キャサリンの同僚のポール、逆に、彼女らを支えるハリソン本部長、加えて、実際に宇宙船に乗り込むジョン・グレン大佐がナイスガイです。いかにも、我々が想像する典型的な米国人であり、明るく前向きで、キャサリンの計算に全幅の信用を置きます。もちろん、NASAでのお仕事ばかりではなく、3人の女の子を残して亭主に先立たれたキャサリンの再婚のロマンスも進みます。舞台となる1961年にはすでにNASAにはトイレの有色人種と白人の差別はなかったとか、いろいろな批判も聞き及びますが、まあ、映画ですから多少の誇張やフィクションは混じります。それにしても、私は今年あまり映画を見ていないんですが、大当たりのとてもいい映画です。多くの方にオススメします。

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