2026年6月 6日 (土)

今週の読書は経済書からミステリまで計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、宮川努『社会的共通資本の経済学』(東京大学出版会)では、宇沢弘文教授が提唱した社会的共通資本の議論を基礎に議論を展開させて、後半第6章では格差を取り上げ、ナイーブな逆U字仮説を批判し、やや物足りないながら、最低賃金制やベーシックインカムなどに関して議論しています。中林真幸『経済史で学ぶ社会・経済のしくみ』(日本評論社)は、タイトル通りに、経済史から現在の経済社会について学ぶ、という目的らしいのですが、それほどバランスのいい記述になっているとは言い難く、初学者にオススメするのは少し厳しいかも、と感じました。丹羽宇一郎『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』(東洋経済)では、戦争に進む原因のひとつとして、テゥキュディデスの罠を上げ、同時に、簡単に国民意志は戦争に向かってしまう恐ろしさも指摘しつつ、メディアが政府や権力者のプロパガンダ機関と化している現実を憂慮しています。大山悠輔『常に前へ』(ベースボール・マガジン社)では、阪神タイガースのクリンナップの一角を担うスラッガーである著者が、アマチュア時代の大学まで、さらに、阪神タイガースにドラフト1位で指名されて入団し、現在までの野球歴を語るとともに、野球や人生に対しての考えを綴っています。市塔承『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』(講談社)は、メフィスト賞受賞作品であり、非常に複雑なメタ構造を取り、いくつもの作中作品を作中の登場人物が読む、という構成の長い序の後、化学を専攻する大学院生の主人公エリメが意識と記憶を失って郷里で療養を必要とした原因を明らかにします。フリーダ・マクファデン『ハウスメイド』(ハヤカワ・ミステリ文庫)では、前科持ちのハウスメイドであるミリーが雇われたウィンチェスター家は、ハンサムで完璧な亭主と奇妙な言動・行動の女主人とわがまま放題の娘の家族で、一家の裏側にある真実を感じ取っているエンツォから忠告を受けます。
今年2026年の新刊書読書は、1~5月に合わせて126冊、6月に入ってから今週の6冊を加えて合計132冊となります。たぶん、今年2026年も250冊から300冊くらいレビューするのではないかと思います。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、宮川努『社会的共通資本の経済学』(東京大学出版会)を読みました。著者は、学習院大学経済学部教授です。本書は、タイトルから容易に想像されるように、宇沢弘文教授が提唱した社会的共通資本について論じています。2部構成であり、前半で社会的共通資本の基本的構成、広範で社会的共通資本の展開を考えています。前半ではまず、ヴェブレンから説き起こしています。その上で、宇沢教授の示した社会的共通資本の構成として、自然資本、社会インフラ、制度資本を上げ(p.2)、サステイナビリティや気候変動問題にも着目しつつ、さらに、社会インフラについても、いわゆるハコモノではなく無形のインフラを考えています。ひとつの例として、全国総合開発計画(全総)が資源再配分機能を持った可能性が示唆されています。私が役所で公務員をしていたころに "Japan's High-Growth Postwar Period: The Role of Economic Plans" という論文を役所の同僚とともに取りまとめましたが、高度成長期には経済企画庁の長期経済計画についても同様の役割が期待されていたような気がします。後半の社会的共通資本の展開では、まず、人的資本がどうして宇沢教授のスコープに入っていないかについて議論し、シカゴ大学のベッカー教授のような人的資本に関する議論を嫌ったためではないか、と示唆しています。私もその昔に長崎大学に在籍していたころ、「九州7県における人的資本の推計」と題する論文で人的資本に関する推計を試みたことがありますが、まさに、宇沢教授の目指す市場原理主義的な経済学からの脱却からはほど遠いものであったと反省しています。資本ストックなどと同じように生産を拡大し付加価値を生み出す観点からの人的資本論については、社会的共通資本とは方向性が違う、というのは明らかです。後半第6章では格差を取り上げています。とてもナイーブなクズネッツ的な逆U字仮説はピケティ教授らも批判していますし、本書でも宇沢教授の観点から同様の見方を示しています。格差是正の観点からの最低賃金制やベーシックインカムに関する本書の議論については、私は少し物足りなく感じました。最後に、本書のキーワードはもちろん、タイトル通りに社会的共通資本なのですが、もうひとつ隠れたキーワードとして「ゆたかさ」というのを指摘することができると思います。通常の経済学ではきわめて単純に1人当たりGDPをゆたかさの代理変数にする場合が多いのですが、本書ではどのように「ゆたかさ」を捉えているのかが少し気になりました。例えば、ガルブレイス教授の著書に『ゆたかな社会』というのがあり、市場で供給される私的財への消費が肥大化している中、教育や医療をはじめとする公共サービスがむしろ貧困化しているアンバランスを鋭く批判しています。宇沢教授の社会的共通資本とも視点を同じくする部分が少なくありませんが、その『ゆたかな社会』の英語の原題は The Affluent Society です。ゆたかな=affluent であり、形容詞なのですが名詞で考えると、おそらく、経済学的には scarcity=希少性の対極をなす言葉ではないかと私は考えています。加えて、斎藤幸平准教授なんかが批判の対象としている左派的な進歩主義を私はまだ信じており、何度か指摘したように、生産力が増大して商品の希少性が低下して、最終的に希少性が失われた先が共産主義経済に近いのではないか、と考えていたりします。

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次に、中林真幸『経済史で学ぶ社会・経済のしくみ』(日本評論社)を読みました。著者は、東大社研教授です。本書では、タイトル通りに、経済史から現在の経済社会について学ぶ、というのが目的らしいのですが、序章と終章を除いた全5章を読んで、経済史を題材にしているのは前半3章だけで、第4章と第5章は経済史とはそれほど関係深くありません。序章で比較制度史的な視点を示した後、第1章では経済の思想を知るという、それほど経済学のメインストリームにはないテーマに挑戦しており、資本主義や共産主義について考えています。ただ、社会主義や共産主義について、生産関係からではなく制度史的に残余制御権と残余請求権で説明しようとするのは、ムリがあるような気がします。分配の制度だけではなく、経済学的な視点であれば生産を念頭に置きたいところです。第2章と第3章が本書の中核となる部分ではないかと私は考えていて、経済社会の変化と現在の経済社会の成立ちを経済史からひも解こうと試みています。ただ、かなり記述が一面的で、例えば、貨幣に関する考え方なんかは諸説あるところ、かなりご自分の見方だけを披露しているように見えます。すなわち、貨幣としての受容性だけを考えていて、負債の側面をまったく無視しているような気がします。ですので、この第2章と第3章の中核部分はもちろん、他の部分でも、それほどバランスのいい記述になっているとは言い難く、初学者にオススメするのは少し厳しいと私は受け止めました。むしろ、基礎的な経済学を学んだ後に、ややバランスに欠ける部分を含んでいる可能性を考えつつ本書を読むのがいいような気もします。江戸幕府と現在の令和の時代の政府の財政を比べるのは、決して不可能ではないかもしれませんが、どこまで意味があるか、あるいは、意味がないかを理解できるレベルがあればともかく、そういった点を明示するような初学者への配慮も欲しいところです。最後に、繰返しになりますが、第4章と第5章は経済史の題材が尽きたのか、歴史とはそれほど関係なく議論を進めています。日本経済の成長には生産性向上一本足打法なのですが、賃金引上げにはサービスの価格付けも引合いに出しています。こういったいろんな見方が示されている部分は参考にすべきかもしれませんが、一本足打法で決め打ちしている部分は、「読者によって」とはいいつつも、少し眉に唾つけて読んだ方がいい可能性もあります。

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次に、丹羽宇一郎『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』(東洋経済)を読みました。著者は、伊藤忠商事社長、政府の経済財政諮問会議の民間委員、在中国大使などを歴任しています。タイトル通りの本です。2年半ほど前の2023年暮れに「新しい戦前」というバズワードが出て、その後、昨年に現在の高市内閣が成立して、どんどんと右傾化が進んで「戦争ができる国」の準備が進んでいると感じているのは、たぶん、私だけではないと思います。そして、戦争に進む方向については、あくまで私の想像ながら、賛成しているのはごく一部であり、大多数の国民が反対していることと思います。戦争に進む原因のひとつとして、本書ではテゥキュディデスの罠を上げていますが、同時に、国民の反戦の意見は熱狂によってかき消され、簡単に国民意志は戦争に向かってしまう恐ろしさも過去の経験から明らかにしています。そして、安倍内閣による集団的自衛権の閣議決定などから始まって、岸田内閣の敵基地攻撃能力の整備、さらに現在の高市内閣のいくつかの安全保障政策はもちろん、昨今の方向を突き詰めれば戦争に行き着きます。したがって、第3章のタイトルは本書のタイトルと同じで、Z世代が銃を取って戦争に参加させられる可能性を論じています。村上春樹『1Q84』ではチェーホフを引いて、小説に銃が出てくれば発射されねばならないと登場人物に言わしめています。同様に、戦争準備が整えば戦争を始める可能性が高くなるのは当然です。引用元を明示できませんが、核兵器をこれだけ積み上げておいて、核兵器を戦争で使わなかったのは歴史的に見てきわめて異例である、といった主張も見かけたことがあります。本書の主張で、もっとも私が注目した点のひとつは、第5章のメディアとの関係です。現在、さまざまな要因・原因があるのでしょうが、テレビや新聞といった伝統的なメディアがことごとく政府や権力者のプロパガンダ機関と化している現実に、私はとても大きな危惧を持っています。もっともはなはだしいのが、いうまでもなく、NHKであり、政府の広報機関となっています。今でも「大本営発表」といえば、真実からかけ離れた政府や権威筋の公式見解、という意味で使われますし、メディアが「大本営発表」を垂れ流すのではなく、政府や権力との適切な緊張関係にあることを願う意見は無視できないと私は考えています。ただ、最後に、本書の見方を2点批判しておきたいと思います。第1に、戦争が始まるのはさまざまな要因があるとはいえ、突き詰めて考えれば、戦争で何らかの利益を上げる集団が権力を握るからです。おそらく、国民主権の見方からすれば、圧倒的多数の国民は戦争からネガな影響を受けるのですが、ごく一部といえどもポジな結果を受け取る集団があるわけで、それが決定権を握る可能性を排除できなければ戦争に向かいかねません。第2に、反戦を貫くためには、本書では「戦争に近づかない」と表現していますが、受け身でその方向も重要かもしれませんが、数は少なくても一定規模の集団が積極的に反戦を訴える必要があり、そういった勢力への国民の支持が不可欠です。

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次に、大山悠輔『常に前へ』(ベースボール・マガジン社)を読みました。著者は、たぶん、口述筆記か何かで録音してAIか誰かが文章に起こしたんだとは思いますが、大山悠輔であり、私が熱烈に応援する阪神タイガースのクリンナップの一角を担うスラッガーです。2023年にタイガースがリーグ優勝と日本一を成し遂げた際には、レギュラーシーズンすべての試合でスターティングメンバーの4番打者を務めています。リーグ優勝を決めたゲーム後に大泣きしていた姿は今でも目に浮かぶようです。その作者が、小学校1年生で野球を始めてから、アマチュア時代の高校や大学まで、さらに、阪神タイガースにドラフト1位で指名されて入団し、現在までの野球歴を語るとともに、野球や人生に対しての考えを綴っています。10年前のドラフトで阪神タイガースから1位指名された際の阪神ファンのブーイングや失望感をバネに、さまざまな監督やコーチらとともに自分を鍛え上げ、2023年のリーグ優勝と日本一、さらに、2024年オフのFA宣言の末に阪神タイガースに残留した経緯などを明らかにしています。FA宣言と残留については、私のような情報に疎い者が接した以上の特ダネ的な情報はありませんが、人柄がよく出ている気がしました。著者については、もちろん、立派なスラッガーである点はいうまでもありませんが、著者自身では言いにくいところで、野球の技術や体力やといった面もさることながら、阪神タイガースのファンである私がいくつかの報道などに接する限り、人格的な面、すなわち、人柄の良さというものが強調されているように見受けます。もちろん、プロスポーツの選手なのですから、人柄に少々難あっても、技量や体力に優れて良好な結果を残し、プロ野球であればチームの勝利に貢献する選手が尊ばれるのはいうまでもありません。でも、超トップクラスではないとしても、大山選手は十分チームのクリンナップを務め、優勝や日本一に貢献できる上に人柄が良い、ということで多くのファンに愛されているのだろうと私は感じています。そして、本書でも明らかにされているように、いうまでもなく阪神タイガースはプロ野球球団の中でもトップの人気球団であり、注目度は高いことこの上ありません。ですから、私がチラチラと見ている限りの推測ですが、実力ありながら、例えば、ドラフトで上位指名されながら、それほど活躍できずに去っていく選手は、チームの人気に溺れているケースが少なからずあるのではないか、という気がしています。ちょっと活躍すると周囲からチヤホヤされ自分を見失う選手も、ひょっとしたら、いそうな気がしてなりません。著者の大山選手は人柄だけでなく、そういったメンタルも良好であったのだろうと想像しています。

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次に、市塔承『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』(講談社)を読みました。著者は、ミステリ作家なのでしょうが、本作品が第66回メフィスト賞を受賞してデビューしています。さらに、本書の巻末に第2長編を執筆中で、冬にも出版予定のような宣伝文句があります。ということで、一見したところ、ややいびつな構成で、470ページくらいのボリュームのうち、序が4部に分かれていて300ページ余りを占めます。その序の後に、第1章と第2章と最終章が置かれていて、序を除いて本編といえる部分は150ページに満たないボリュームです。というのも、非常に複雑なメタ構造になっていて、序だけで5話くらいからなる作中作品を作中の登場人物が読む、という構成になっているからです。まず、舞台は神聖ニアニ共和国、でも、200年ほど前までは君主をいただく神聖ニアニ王国でした。時代は、たぶん、現代に近い印象です。主人公は、おそらく、エリメであり、首都ルッリにある大学の大学院生でしたが、意識と記憶を失って郷里で療養しています。というか、療養して、意識を取り戻したところから序が始まります。そして、長々としたボリュームの序は、主人公のエリメが弟のキーとともに首都ルッリに戻る車中で作中作のズバリ「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」を読みます。そして、この作中作の「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」もさらに作中作があって、私は記憶力に難があるので順不同ながら、『ヒアニビレの業績録』、『砂漠に残された真実』、『本泥棒と少女』、『水神叙事詩』であろうと思いますが、見逃しているのがるかもしれません。そして、序を終えて、というか、何というか、エリメが首都ルッリに帰り着きます。エリメの専攻は化学なのですが、ルームメイトは3人いて、ギルロウが物理学、モアドレが生物学、とりわけ遺伝学、そして、イアポーレが電磁気学のそれぞれ専攻です。序を終えたという意味で、わずか150ページほどながら本編でエリメが郷里の両親のもとでの療養を必要とし、一部なりとも記憶を失った理由が明らかにされます。そこは読んでみてのお楽しみとしかいいようがありません。驚愕の事実、といえるかもしれません。ボリュームある序は読みこなすのに苦労する可能性がありますが、実は、序の中の第3部なんかは第1部と第2部のサマリを提供してくれていたりしますし、それほど難解であるわけではありません。ただ、日本人が必ずしも得意ではない宗教が国の大きな礎になっていますので、そのあたりは覚悟しておく必要がある、という気がします。最後に、私は第2長編は読まないかもしれません。ビミョーなところです。

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次に、フリーダ・マクファデン『ハウスメイド』(ハヤカワ・ミステリ文庫)を読みました。著者は、ミステリ作家なのですが、別に脳外科医という顔も持っています。私は、田舎の図書館の新刊書コーナーに無造作に置かれていた本書の続編『ハウスメイド2』を借りて先に読んでしまいましたので、本書に立ち戻って読んでみた次第です。英語の原題は The Housemaid であり、2022年の出版です。主人公はミリー・キャロウェイ、バーをクビになってハウスメイドをしています。大金持ちのウィンチェスター家に住み込んでいます。雇い主の女主人はニーナ、亭主はアンドリュー、子どもはセシリア(シシー)です。ウィンチェスター家の3人以外には、地域の庭仕事を請け負っているエンツォというイタリア人がいます。表紙裏の登場人物一覧にはエンツォはウィンチェスター家の庭師、とありますが、ウィンチェスター家だけではなく周囲十数軒の庭仕事を請け負っているようです。ある意味で、キーパーソンの1人です。ミリーは殺人による前科があり、当然に、勤め先を見つけるのが難しいのですが、何とか職にありついたわけです。しかし、完璧にハンサムで紳士に見えるアンドリューのほかには、その仕事場であるウィンチェスター家にはいろいろ問題があり、女主人であるミリーの奇妙な言動や行動、わがまま放題のセシリア、などなど、ミリーは料理や家事に悩まされます。エンツォはそれほど英語を理解できるようには見えませんので、ついつい、ミリーはスペイン語で会話しようとしたりします。そして、ハンサムで完璧な亭主と奇妙な言動・行動の女主人とわがまま放題の娘のウィンチェスター家の裏側にある真実をエンツォは感じ取っていたりします。はい、謎解きばかりではないのですが、3部構成のうちの第1部だけながら、ミステリですのであらすじはこれくらいにしておきます。米国の超がつくくらいの大金持ちって、これくらいの奇妙な家族がいたりするんでしょうか。一般ピープルの私にはまったく不明です。まあ、私はドラマの「家政婦は見た」シリーズは視聴していませんでしたが、日本でも家政婦を雇えるクラスのご家庭はそうなのかもしれません。続編のシリーズ3作目があるのかどうか知りませんが、3作目があった場合、私が読むかどうかはビミョーなところです。

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2026年6月 5日 (金)

久々に猛虎打線が爆発し楽天に快勝

  RHE
楽  天000000100 161
阪  神00002240x 8100

【楽】 岸、渡辺翔、伊藤樹 - 伊藤光
【神】 高橋、畠、湯浅 - 伏見

楽天に快勝でした。
先発高橋投手は7回まで6安打を打たれつつも1失点に抑え、打線が大量点を取ったことから8-9回はリリーフ陣に託しました。畠投手と湯浅投手がともに楽天打線をノーヒットに抑えています。猛虎打線が久々に爆発し、中盤5回に佐藤輝選手の長打で2点先制した後、6回には熊谷選手とドラ1ルーキー立石選手のタイムリーで加点しました。風船が飛んだラッキーセブンには、さらに、伏見捕手のタイムリーに熊谷選手の満塁の走者一掃のツーベースでダメを押しました。

明日も、
がんばれタイガース!

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堅調な労働市場を示す5月の米国雇用統計

日本時間の今夜、米国労働省から5月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は、4月統計の+179千人増から5月統計では+172千人増となり、失業率は4月から横ばいの4.3%を記録しています。まず、CNNのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

The US economy added a stronger-than-expected 172,000 jobs last month
The US labor market appears to have found its footing: The economy added 172,000 jobs in May, shattering expectations, new data from the Bureau of Labor Statistics showed Friday.
The latest jobs report provided some reassurance that the US labor market may be stabilizing after a year of weak and stilted job growth: Unemployment held steady at 4.3%, while employment gains topped 100,000 for the third consecutive month, a pattern not seen since early 2024.
Job growth was also far stronger than initially thought in recent months. March's payroll gains were revised up by 29,000 to 214,000, while April's tally was revised higher by 64,000 to 179,000 jobs added.
Economists were expecting that employers added 105,000 jobs last month and that the unemployment rate wouldn't budge from 4.3%.
Recent months' data appears to indicate that the labor market and broader economy remain resilient despite a barrage of shocks. However, economists caution that a protracted war could keep gas prices high and cut into consumer spending, raise business costs, and trickle into higher prices for other goods and services.
May's job gains were slightly more broad-based than in prior months, as hiring ramped up in the leisure and hospitality sector as well as the public sector (specifically, local governments) in addition to the stalwart job-generator of healthcare, BLS data showed.
Leisure and hospitality added an estimated 70,000 jobs in May, more than double the gains in April for the industry; the government sector added 52,000 jobs (with local government, excluding education, accounting for 43,500 of those); and healthcare and social assistance added 47,200 jobs.

注目の経済指標ですので長くなりましたが、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたのですが、それでもまだ判りにくさが残っています。その上、米国連邦政府のシャットダウンにより、2025年10月の失業率は公表されていません。よ~く見ると、下のパネルの失業率がその部分が欠損値になっているのが見て取れます。

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米国の雇用は非農業部門雇用者の増加については、引用した記事のタイトルにも現れているように、市場の事前コンセンサスを上回り、米国景気の底堅さを示す結果となりました。失業率も4%台前半から半ばを続けています。米国労働省の労働統計局(BLS)のヘッドラインでは "Total nonfarm payroll employment increased by 172,000 in May, and the unemployment rate was unchanged at 4.3 percent." と評価しています。加えて、引用した記事の3パラ目にあるように、3月の雇用者は+29千人を積み増して+214千人増に、また、4月も+64千人上方改定されて+179千人増に、それぞれ修正されています。平均時給は前年比+3.4%となり、4月の消費者物価指数のヘッドライン上昇率が+3.8%であったことも考え合わせると、雇用はまだ堅調でインフレ圧力も残っている、と考えるべきです。例えば、別の報道では米国のガソリン価格はガロン当たり4ドルをまだ超えており、一時のピークからは下がったものの、割高感を感じる4ドルを上回って推移していることから、物価はまだ高いと感じられている可能性が十分あります。もちろん、中東情勢がきわめて不透明で、石油価格の上昇がさらに進むかもしれませんし、逆に、企業マインドが悪化して雇用の減少につながる可能性も残されています。
米国連邦準備制度理事会(FED)は2025年中に175ベーシスの利下げを実行していますが、4月28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)では金利が据え置かれています。次のFOMCは今月6月16-17日に開催されます。米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する中東情勢の緊迫化は、石油価格の上昇を通じて明らかにインフレ圧力を高める可能性が高い一方で、経済活動には下押し圧力をもたらすと考えられます。日銀は植田総裁が一昨日6月3日のきさらぎ会で、6月15-16日に開催される次回の金融政策決定会合で利上げする意向を強くにじませた発言を繰り返しましたが、雇用と物価のデュアルマンデートを背負う米国連邦準備制度理事会(FED)は難しい金融政策の舵取りを担うことになります。

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「上方への局面変化」の基調判断が据え置かれた4月の景気動向指数とまずまず堅調な家計調査と毎月勤労統計

本日、内閣府から景気動向指数が、また、総務省統計局から家計調査が、さらに、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも4月の統計です。景気動向指数のヘッドラインとなるCI先行指数は前月から+0.5ポイント上昇の115.9、CI一致指数も2か月連続の上昇で+1.1ポイント上昇の117.9を記録しています。家計調査の方は、2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲0.5%の減少、名目は+1.0%の増加となりました。毎月勤労統計のうち、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は31万2425円と前年同月比+3.5%増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+1.9%増と、4か月連続のプラスを記録しています。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

4月景気動向一致指数、前月比+1.1ポイント 判断据え置き=内閣府
内閣府が5日公表した4月の景気動向指数(速報値、2020年=100)は、指標となる一致指数は前月から1.1ポイント上昇した。同指数から機械的に決める基調判断は「上方への局面変化を示している」とし、前月から据え置いた。
先行指数は同0.5ポイント上昇した。
*この記事はこの後更新します。
実質消費支出4月は0.5%減、中東情勢でポリ袋などは買いだめの傾向
総務省が5日に公表した4月の家計調査によると、物価変動を除いた1世帯(2人以上)当たりの実質消費支出は前年比0.5%減少した。食料、光熱・水道、被服・履物、教育への支出減で5カ月連続のマイナスとなった。一方、一部品目では中東情勢の影響を受けている可能性もあり、ポリ袋やラップフィルムなどに買いだめの傾向がみられるという。
ロイターが集計した調査では、消費支出は前年比1.5%減と予想されていた。季節調整済み前月比は1.6%増と、ロイター調査の0.8%増を上回った。
食料は実質0.6%減少。品目別内訳は穀類が6カ月連続の減少と足を引っ張った。前年比7.8%減少したコメの影響が大きかった。販売価格が低下傾向にあることが支出額の減少につながった。一方、玉ねぎやじゃがいもなど価格が上がっている品目では購入数量が減少。野菜・海藻は3カ月連続減となった。
光熱・水道は電気・ガスともに3月の使用分。前年より比較的暖かい日が多く、0.73%減だった。被服・履物や教育の減少も全体に影響した。
伊藤忠総研副主任研究員の高野蒼太氏は「GDP(国内総生産)等で見る個人消費に比べて家計調査は下振れているのではないかというのが率直な感想。個人消費は堅調に推移しており、家計調査は、電気・ガスの補助金をはじめ、一時的な特殊要因が大きく反映されやすいと思われる」と分析する。「今後とも中東情勢の影響は要注意だが、毎月勤労統計も実質賃金がプラスを続けるなど、個人消費を取り巻く環境は改善している」とした。
4月実質賃金は前年比1.9%増、4カ月連続プラス=毎勤統計
厚生労働省が5日公表した4月の毎月勤労統計によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比1.9%増だった。前月の1.4%から伸び幅が拡大し、4カ月連続でプラスとなった。賃金自体が伸長した上、学校給食や私立高校授業料の無償化、ガソリン補助金といった政府の施策が物価の上昇を抑制した。
労働者1人当たりの平均名目賃金を示す現金給与総額は前年比3.5%増の31万2425円だった。52カ月連続のプラスで、前月の3.1%増から伸びが加速した。
このうち基本給に当たる「所定内給与」は3.4%増だった。33年6カ月ぶりに4カ月連続で3%以上の伸びを記録した。特別に支払われた給与も7.4%増加して、前月の0.7%減から持ち直した。
消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は前年比1.5%と前月の1.6%からやや軟化した。政府のエネルギー価格や物価対策などで1年前の上昇率3%台から低下した。
厚労省の担当者は「米・イラン戦争がどのような帰すうをたどるのか、賃上げへの影響を含めて注視したい」とみていた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただし、統計公表直後の記事を引用していますので、その後、追加記事や差替え記事が出ている可能性があります。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+1.0ポイントの上昇、先行指数も同じく+0.9ポイントの上昇と予想されていました。実績の一致指数+1.1ポイント、先行指数+0.5ポイントのそれぞれ上昇はほぼコンセンサスの範囲内といえます。繰返しになりますが、4月統計のCI一致指数は、2か月連続の上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、3か月後方移動平均は前月から横ばいとなり、加えて、7か月後方移動平均は前月から+0.40ポイント上昇し、これは4か月連続の上昇となっています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、先月3月統計から「上方への局面変化」に上方修正されていて、4月も据え置かれています。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。それにもまして、米国とイスラエルによるイラン攻撃から、先行きはまったく不透明になったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり90ドル台で推移しています。東証の日経平均株価だけは最高値を記録しましたが、長期金利が2.8%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。日米同時リセッションの可能性が否定できません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+1.1ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、 投資財出荷指数(除輸送機械)の+0.63ポイントがもっとも大きな寄与を示したほか、 商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.30ポイント、 耐久消費財出荷指数が+0.16ポイント、生産指数(鉱工業)が+0.14ポイントのそれぞれプラスの寄与度となっています。CI先行指数については、日経商品指数(42種総合)や鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)のプラス寄与が大きくなっています。

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続いて、家計調査のグラフは上の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは前年同月比で▲1.5%減でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく、実質消費支出の前年同月比が▲1.5%減と予想されていました。実績の▲0.5%はやや上振れした印象ながら、前年同月比マイナスである点は変わりありません。家計調査はもともとが振れの大きな統計ですし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのレンジ上限がプラスでしたので、大きなサプライズというほどのことはありません。それでも、上振れながらマイナスということは変わりありません。品目別に、これも引用した記事の2パラ目にある食料については前年同月比で実質▲0.6%減、寄与度も▲0.16%なのですが、足元ではコメの価格は安定しているものの、他の野菜なども含めて、高価格が続いたことから消費が減退している可能性があります。食料よりもマイナス寄与が大きいのが教育であり、授業料や補修教育などへの支出減により実質▲19.4%減、寄与度で▲1.45%となっています。4月からの高校無償化などの制度要因であり、教育を除いて考えると4月の消費支出は実質プラスであったことになります。ほかに、電気代、ガス代などの光熱・水道はもともと3月使用分の支払いが4月に支出されたわけで、気温との関係で実質で▲8.6%減、寄与度も▲0.73となっています。最後に、引用した記事の最初のパラにあるように、「ポリ袋やラップフィルムなどに買いだめの傾向がみられる」には、ある程度は家計の合理的な消費行動であり、政府が節約の要請や呼びかけを一切していないにもかかわらず、買いだめを示唆する消費行動が始まっている可能性がある、と私は受け止めています。家計調査の最後に、勤労者世帯の実収入は3月+4.7%増に続いて、4月も+2.3%と高い伸びが続いています。

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まず、賃金については、4か月連続で前年同月比で実質賃金がプラス、4月統計では+1.9%増というのは、そもそも、現金給与総額が前年同月比で+3.5%増となった上に、帰属家賃を除く消費者物価上昇率が+1.5%にとどまったことに起因します。3月統計では、現金給与総額が+3.1%増、実質賃金が+1.4%増でした。さらに、よりくわしく、賞与と3か月を超える通勤手当の変動の大きな部分を除いた「きまって支給する給与」と「所定内給与」を見ると、名目の現金給与指数で見て、「きまって支給する給与」が3月+3.1%増から4月は+3.5%増に伸びが拡大し、「所定内給与」も3月の3.3%増から4月は+3.4%増となっています。加えて、賞与と3か月を超える通勤手当の合計である「特別に支払われた給与」が3月の▲0.7%減から4月は+7.4%増の上昇に転じています。最近時点での消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見たインフレ率が+2%を下回っていますので、賃金上昇がようやくインフレを上回る状態になった、あるいは、逆から見て、政策的に賃金上昇率を下回るインフレに抑制されているということが出来ます。要するに、業績見合いのボーナスなど「特別に支払われた給与」もさることながら、経済学的にいう恒常所得に近い概念の「きまって支給する給与」や「所定内給与」がようやくプラスになった、ということが出来ますので、この恒常所得の伸びは消費の増加に直結することが期待されます。

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2026年6月 4日 (木)

World Bicycle Day

昨日6月3日は、国連の定める World Bicycle Day だったそうです。お天気がイマイチだったので、私は自転車に乗りそびれました。

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今年2026年の成長率見通しが中東紛争で下方修正されたOECD経済見通し

日本時間の昨夜、経済開発協力機構(OECD)が「OECD経済見通し」OECD Economic Outlook を公表しています。ヘッドラインとなる今年2026年の世界経済の成長率見通しは、昨年12月時点の+3.4%から大幅に下方修正して+2.8%と見込んでいます。ただし、来年2027年は+3.1%で修正はありません。ただし、中東紛争 conflict in Middle East の不確実性に応じて、短期収束と長期化の2つのシナリオを考えています。

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まず、短期収束シナリオの見通し総括表 Table 1.1. Global GDP growth is projected to moderate in the time-limited disruption scenario をリポート p.15 から引用すると上の通りです。短期収束シナリオについては、リポート p.32 で、"A "time-limited disruption scenario", with energy production in the Gulf economies gradually recovering from late in the second quarter of 2026 with regular air and shipping routes fully operational from that point." としています。まあ、大雑把に言って、今年2026年第2四半期末の6月には中東紛争が集結し、徐々に正常化する、という仮定です。他方、長期化シナリオは、"A "prolonged disruption scenario", with energy production in the Gulf economies remaining subdued up to the third quarter of 2027, and rising global supply shortages that cause disruptions to production in importing and exporting countries." ということで、2027年第3四半期まで中東紛争が継続する可能性を念頭に置いています。

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続いて、短期収束シナリオと長期化シナリオを対比させた Figure 1.21. A prolonged disruption scenario raises inflation and hits growth をリポート p.38 から引用すると上の通りです。短期収束シナリオの場合の2026年成長率+2.8%は、長期化シナリオでは▲0.7%ポイント低下して+2.1%となると予想しています。インフレは成長率以上に影響が大きいのは、上のグラフの右のパネルBを見ての通りです。要するに、中東紛争の期間次第で、不確実性が大きい、ということです。

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最後に、日本の見通しについては "The evolving conflict in the Middle East is partly disrupting the robust growth in early 2026" とされています。今年2026年の成長率は+0.6%、消費者物価指数(CPI)上昇率は+1.8%と見込まれています。しばらく、潜在成長率スレスレという感じなのかもしれません。上のテーブルは、日本の見通しの総括表であり、リポート p.209 の Japan: Demand, output and prices を引用しています。

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2026年6月 3日 (水)

やっぱり打線が打てずに西武に力負け

  RHE
西  武010000200 360
阪  神000000002 262

【西】 渡邉、甲斐野、岩城 - 古賀悠
【神】 大竹、湯浅、工藤 - 伏見

西武に力負けでした。
先発大竹投手は6回までネビン選手のソロの1失点に抑え、ナイスピッチングのQSでした。しかし、7回にタイムリーエラーが出て計3失点で負け投手になってしまいます。打線は、西武先発の渡邉投手が降板してからポツポツと打ち始め、最終回には佐藤輝選手の逆方向へのツーランが飛び出しましたが、時すでに遅しの感が強かったです。明日は西武は平良投手が先発ですから、どうも打てる気が褪せず、連敗が濃厚という気がしてきました。

何とか明日は、
がんばれタイガース!

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1-3月期GDP統計速報2次QEの予想やいかに?

月曜日の法人企業統計などの必要な統計がほぼ出そろって、来週6月8日に、1~3月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である1~3月期ではなく、足元の4~6月期から先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。ただし、2次QE予想は法人企業統計のオマケ的な存在で、それほど先行きについての言及はなく、先行きへの言及があるのは第一ライフ資産運用経済研究所と明治安田総研ぐらいであり、特にこの2機関は長々と引用してあります。また、ややタイミングが早いのか、2次QE予測を明らかにしていない機関もいくつかあります。いずれにせよ、1次情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。ただし、最後の行の東京財団だけは、いわゆるナウキャスティングですので、足元の4~6月期の予想となっています。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.5%
(+2.1%)
n.a.
日本総研+0.5%
(+2.0%)
成長率は前期比年率+2.0%(前期比+0.5%)と、1次QE(前期比年率+2.1%、前期比+0.5%)からほぼ変わらないと予想。
大和総研+0.5%
(+1.9%)
1-3月期のGDPに対する中東情勢緊迫化の影響は限定的であった。2次QEでは、個人消費や公需・外需を中心に、日本経済が回復している姿が改めて示されるだろう。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+1.0%)
6/8公表予定の26年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.2%(前期比年率1.0%)となり、1次速報の前期比0.5%(前期比年率2.1%)から下方修正されると予想する。
第一ライフ資産運用経済研+0.4%
(+1.4%)
先行きについては、イラン情勢悪化の影響が本格化することで、景気への下押し圧力が強まる可能性が高い。消費者マインドは足元で大きく悪化しており、次第に消費の伸びを抑える可能性がある。また、調達難による生産活動の下押しも見込まれる。一部の品目では、調達難による受注制限や納期の遅れ、価格上昇、減産といった動きが生じており、生産活動を中心に景気を下押しするだろう。4-6月期がマイナス成長となる可能性も十分ある。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.1%)
2026年6月8日に内閣府が公表する2026年1~3月期の実質GDP(2次速報値)は、前期比+0.3%(年率換算+1.1%)と、5月19日に公表された1次速報値の同+0.5%(同換算+2.1%)から下方修正される見込みである。
伊藤忠総研+0.4%
(+1.7%)
2026年1~3月期GDP2次速報値は、1次速報値の前期比+0.5%(年率+2.1%)から+0.4%(+1.7%)へ下方修正されると予想する。
明治安田総研+0.3%
(+1.2%)
4-6月期については、ホルムズ海峡実質封鎖に伴う物流停滞が生産の足枷となるほか、中東向け輸出の減少などで財輸出は力強さを欠くと見込まれる。燃料価格上昇による航空運賃の値上がりもインバウンド需要の抑制要因となろう。設備投資については、省力化投資の需要が安定的に見込まれることが下支えするとみるが、建築資材の供給制約が進捗の遅れにつながることなどが懸念される。ガソリン代補助の効果でエネルギー価格の上昇が抑制されていることなどから、個人消費の大きな落ち込みは回避できるとみるものの、前期比ベースでの減速は避けられないと予想する。
東京財団+0.36%
(+1.44%)
モデルは、2026年4-6月期のGDP(実質、季節調整系列前期比)を、0.36%と予測。※年率換算: 1.44%

まず、何よりも、ほぼほぼすべてのシンクタンクで2次QEは1次から下方修正であると見込んでいます。この理由は、時間の経過とともに新たに明らかとなるデータを考慮した結果です。ですので、時間の経過とともに景気は下向きであるという点は忘れるべきではありません。加えて、足元の4~6月期についても、明確な言及ある第一ライフ資産運用経済研究所と明治安田総研はともに、成長率が減速すると予想しています。第一ライフ資産運用経済研究所のリポートでは、4~6月期マイナス成長の可能性まで示唆しています。景気減速の背景を考えると、2月末から始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃とそれに伴う中東情勢の不安定化を上げざるを得ません。当初は、石油価格が125ドル/バレルを超えると日本も景気後退の可能性高まる、といった議論がありました。そして、現在のところ、WTI先物はニューヨーク市場でバレル90ドル台で推移しているようです。中東情勢、というかイラン戦争の先行きがまったく不透明ですので、シンクタンクなどで経済見通しを担当するエコノミストも大変だろうと思います。そういった中で、本日、経済開発協力機構(OECD)の「経済見通し」 Economic Outlook が公表される予定です。また、日を改めて取り上げたいと思います。
最後に、下のテーブルはニッセイ基礎研究所のリポートから引用しています。私も仕上がりベースで成長率は+1%そこそこと考えています。

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2026年6月 2日 (火)

帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査

広く報じられている通り、先週5月29日、帝国データバンクから「食品主要195社」価格改定動向調査の結果が明らかにされています。食料品値上げはまだまだ続きそうです。まず、帝国データバンクのサイトからSUMMARYを3点引用すると次の通りです。

SUMMARY
  • 2026年6月の飲食料品値上げは、合計1078品目となった。
  • 2026年通年の値上げ品目総数は、1~10月までの判明分で9361品目となった。6月中にも、調査を開始した2022年から5年連続となる年間1万品目突破が判明する見通し。
  • 中東情勢の悪化を背景に、飲食料品では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる。

国民生活に深く関わる食料品価格ですから、図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、帝国データバンクのサイトから 月別値上げ品目数の推移 (2024年以降) を引用すると上の通りです。2026年通年の値上げ品目総数は、1~10月までの判明分で9361品目となり、早ければ6月中にも、調査を開始した2022年から5年連続となる年間1万品目突破が確定する可能性があるようです。食品分野別では、冷凍食品やパックごはん、缶詰、即席麺などの「加工食品」が3029品目ともっとも多く、次いで、マヨネーズ類やドレッシング類などの「調味料」が2537品目、さらに、PET飲料のほかビール飲料、焼酎・ワインなどの「酒類・飲料」が1494品目となっています。「パン」は978品目で、2025年に続き食パンや菓子パンなどで一斉に値上げとなるもようです。

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続いて、帝国データバンクのサイトから 月別値上げ品目数の推移 (2024年以降) を引用すると上の通りです。見ての通りで、「原材料高」の影響を受けた値上げが97.7%を占め、もっとも割合が高い一方で、3月以降は低下傾向で推移しています。他方で、「包装・資材」は73.7%と前月を上回り、5月末時点の水準として初めて7割台での推移となっています。トレーや容器などナフサ由来の資材価格高騰をはじめ、中東情勢による影響が要因となった値上げ、すなわち、「中東情勢」は22.7%を占めて下り、帝国データバンクでは、「今後はさらに高まる可能性が高い」と分析しています。

何度も繰り返していますが、食料とエネルギーは国民生活の基礎となる必需物資です。もう個人で出来る限界はとっくに超えています。政府の対応が必要です。

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2026年6月 1日 (月)

順調な企業活動を示す1-3月期の法人企業統計

本日、財務省から1~3月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で見て、売上高は前年同期比+1.1%増の408兆6614億円、経常利益は+14.6%増の32兆6271億円に上っています。経常利益は6期連続のプラスです。さらに、設備投資は前年同期からほぼ横ばいの18兆8064億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると次の通りです。

1-3月法人企業、経常利益14.6%増 6四半期連続のプラス
財務省が1日発表した1~3月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業除く)の経常利益は前年同期比で14.6%増の32兆6271億円だった。6四半期連続のプラス。人工知能(AI)やデータセンター関連を中心に収益が伸びた。
法人企業統計は上場企業に限らず日本企業全体の動向を調べている。経常利益は遡れる1954年4~6月期以降の1~3月期での過去最大となった。
経常利益を業種別にみると、製造業は42.9%増と3四半期連続で増加した。1~3月期の伸び率は前期から加速した。情報通信機械や電気機械がけん引した。計測機器や光学機器などの業務用機械は落ち込んだ。
非製造業は1.4%増だった。旅客数や客単価が伸びて航空や鉄道といった運輸業・郵便業が50.5%増えた。資源価格の上昇による利益の拡大を受けて商社をはじめとする卸売業・小売業が6.7%伸びた。建設業と電気業は減益だった。
ソフトウエアを含む設備投資は18兆8064億円で前年同期と比べてほぼ横ばいだった。製造業は0.4%減、非製造業は0.3%増だった。季節調整済みの前期比では全産業で2.0%減少した。
売上高は全産業で408兆6614億円と前年同期比で1.1%増えた。四半期で最大となった。
財務省は「景気が緩やかに回復しているとの政府認識と齟齬(そご)がない」との見解を示した。「中東情勢や金融・資本市場の変動などを含め、今後も企業の動向を注視していく」と述べた

長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上高と経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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法人企業統計の結果について、基本的に、企業業績は好調を維持していると考えるべきです。ただし、法人企業統計の売上高や営業利益・経常利益などはすべて名目値で計測されていますので、物価上昇による水増しを含んでいる点は忘れるべきではありません。ですので、数量ベースの増産や設備投資増などにどこまで支えられているかは、現時点では明らかではありません。来週のGDP統計速報2次QEを待つ必要があります。他方で、その物価上昇も含めて、企業業績が昨今の株価に反映されているわけで、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東の地政学的リスクの顕在化の後の現在においても、東証平均株価は6万円を超えているわけです。ただし、所得の伸び悩みに起因する個人消費などと違って、企業業績は基本的に好調を維持しているものの、何といっても、中東の地政学的リスクが顕在化し、エネルギー価格がどうなるかに左右されると考えるべきです。先行きが不透明であることはいうまでもありません。先行きの景気への影響という点に関しては、中東情勢に伴うエネルギー価格とともに、石油関連製品の供給、さらに、トランプ関税の今後の動向も懸念されます。製造業、中でも波及効果の大きい自動車産業の動向が今後一段と悪化する可能性が高いと考えられます。景気動向に関しては自動車をはじめとする製造業に注目しつつ、設備投資動向に関しては人手不足による影響が大きい非製造業、中でも、比較的労働集約的な業種の動向が注目されます。いずれにせよ、最大の懸念材料は中東情勢とエネルギー価格、さらに、米国の関税率や通商政策だろうとお考えるべきです。いずれも、先行き不透明です。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金、最後の4枚目は人件費と経常利益をそれぞれプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。人件費と経常利益も額そのものです。利益剰余金を除いて、原系列の統計と後方4四半期移動平均をともにプロットしています。見れば明らかなんですが、コロナ禍を経て労働分配率が大きく低下を示しています。もう少し長い目で見れば、デフレに入るあたりの1990年代後半からほぼ一貫して労働分配率が低下を続けています。そして、現在でも労働分配率の低下は続いています。いろんな仮定を置いていますので評価は単純ではありませんが、デフレに入ったあたりの1990年代後半の75%近い水準と比べて、最近時点では▲20%ポイント近く労働分配率が低下している、あるいは、コロナ禍の期間の65%ほどと比べても▲10%ポイントほど低下している、と考えるべきです。名目GDPが約600兆円として50-100兆円ほど労働者から企業に移転があった可能性が示唆されています。加えて、一昨年2024年や昨年2025年の春闘では人口減少下の人手不足により賃上げ圧力が高まった結果として、労働分配率が下げ止まった可能性が示唆されていましたが、統計を見る限り決してそうはなっていません。昨年今年と春闘ではあれだけの賃上げがありながら、まだ労働分配率は低下し続けている可能性が高いと考えるべきです。しかも高インフレが続いており、これでは消費は伸びません。中東情勢に起因してエネルギー価格が上昇すれば、さらに物価上昇に拍車が掛かる可能性も大いにあります。いずれにせよ、日本経済には大きなマイナス要因だと私は考えています。設備投資/キャッシュフロー比率も底ばいを続けています。DXやGXに対応した設備投資の本格的な増加が始まったことが期待される一方で、決して楽観的にはなれません。他方で、ストック指標なので評価に注意が必要とはいえ、利益剰余金はまだまだ伸びが続いています。また、4枚めのパネルにあるように、直近統計で2020年くらいからは、人件費の伸びが高まっている可能性が見て取れますが、人件費以上に経常利益が伸びているのがグラフの傾きから明らかです。労働分配率の低下と整合的なデータであると考えるべきです。アベノミクスではトリクルダウンを想定していましたが、企業業績から勤労者の賃金へは滴り落ちてこなかった、というのがひとつの歴史的事実と考えるべきです。先行きについて逆に考えれば、現在のように、勤労者の賃金が上がらない中で、企業業績だけが伸びて株価が上昇する経済を転換することができれば、資本分配率を低下させて労働分配率が上昇することにより、諸外国と比べても高いインフレにならずに日本経済が成長するパスが実現できる可能性が生じており、それは中期的に望ましい、という私の考えは変わりありません。

最初のグラフに見られる通り、1~3月期の設備投資は季節調整済みの系列の前期比で見て、▲2.0%のマイナスでした。1~3月期GDP統計速報1次QEでは設備投資の伸びがプラスであったことから、これが下方修正され、GDP成長率としても下方修正されるであろうと私は受け止めています。詳細は日を改めて取り上げる予定です。

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