2022年7月 1日 (金)

大企業製造業の景況感が2期連続で悪化下6月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月調査から▲3ポイント悪化し+14となりました。悪化は2020年6月調査以来、実に7四半期ぶりです。また、本年度2022年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比+0.8%の増加が見込まれています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業の景況感、2期連続悪化 6月日銀短観
日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回の3月調査から5ポイント悪化し、プラス9となった。2四半期連続で悪化した。原材料コストの高止まりと中国のロックダウン(都市封鎖)による供給制約の強まりが景況感を押し下げた。大企業非製造業は新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きを背景に、2期ぶりに改善しプラス13となった。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値だ。6月調査の回答期間は5月30日~6月30日。回答基準日の6月13日までに企業の7割台半ばが答えた。
大企業製造業の業況判断DIはプラス9と、QUICKが集計した市場予想の中央値(プラス12)を下回った。ロシアのウクライナ侵攻後初の短観だった前回3月調査で7期ぶりの悪化に転じたが、今回も低下し2期連続の悪化となった。
エネルギーを中心とした資源高と円安の進行による原材料コストの増加が、企業の収益を下押しする要因になっている。ただ、価格転嫁の動きも広がってきており、大企業製造業の販売価格判断DIはプラス34と、1980年5月以来およそ42年ぶりの高水準だ。企業の消費者物価見通しも上振れてきており、大企業製造業の1年後の見通し平均は前年比2.0%上昇、全規模全産業は2.4%上昇となっている。どちらも調査を始めた2014年以降で過去最高だ。
6月調査では中国のロックダウンで生産や物流が停滞した影響もあり、自動車や生産用機械などの景況感の悪化が目立った。自動車はマイナス19と3月調査から4ポイント悪化、生産用機械はプラス34と9ポイント悪化した。供給制約の影響については一時的との見方が多く、大企業製造業の先行きの業況判断DIはプラス10と、足元から小幅に改善すると想定している。
大企業非製造業の業況判断DIはプラス13と市場予想(プラス13)と同じ水準だった。3月下旬にまん延防止等重点措置が全面解除されたことで、対個人サービスや宿泊・飲食サービスが改善した。先行きはプラス13と足元から横ばいが続く見通しだ。
企業の事業計画の前提となる2022年度の想定為替レートは全規模全産業で1㌦=118円96銭と、3月調査(111円93銭)から円安方向に修正された。ただ、足元の円相場は1㌦=135円台で推移しており、修正された想定レートよりも大幅な円安水準にある。
22年度の経常利益の計画は全規模全産業で前年度比3.6%減になる見通しだ。設備投資計画は14.1%増と3月調査(0.8%増)から上方修正した。

とても長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず今週月曜日の6月27日付けのこのブログでも、また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは悪化するとはいえ、逆に、大企業非製造業は改善する、という方向感覚でしたので、何らサプライズはありません。ただ、大企業製造業の悪化幅がやや大きいかな、という気はします。ということで、一般に報じられている通り、製造業についてはウクライナ危機に伴うエネルギーや原材料価格の高騰と円安が相まって価格的なコストアップに加えて、上海のロックダウンなどに起因して需要低迷と供給制約の深刻化が同時に、さらに、物流制約も加わって発生するという数量的な面からも企業マインドが悪化していることが伺えます。他方、非製造業については新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染防止のための行動制限が撤廃され、実際に、新規感染者数も低位にあることから人出が回復してマインドは改善を示しています。企業マインドの背景にある資源高や円安によるコストアップと外需低迷と供給制約、そして、COVID-19の感染状況が、バラバラの方向から製造業と非製造業に影響を及ぼしている印象です。ただ、先行きに関しては、企業規模別に特徴が出ていて、大企業は製造業・非製造業ともにほぼ横ばいないし改善の方向にあるのに対して、中堅企業と中小企業は製造業・非製造業ともに悪化の方向感が示されています。また、業種別には、製造業では供給制約の厳しい自動車が先行きの改善に対する期待感が大きいく、非製造業でも宿泊・飲食サービスで同じように先行きの改善期待が高まっているように見受けられます。逆から見て、これらの業種では現状が想定外に厳しい、ということなのだろうと受け止めています。また、引用した記事にもある通り、為替レートの水準が現状の円安にまったく追いついていません。これは、企業がこの先円高を予想しているのか、それとも、単に日本企業らしく決断や方向修正が遅いだけなのか、私には謎です。

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続いて、設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。経済学的な生産関数のインプットとなる資本と労働の代理変数である設備と雇用人員については、方向としてはいずれも不足感が広がる傾向にあります。DIの水準として、設備については、昨年2021年年央の+10前後の過剰感はほぼほぼ解消され、不足感が広がる段階には達したといえます。他方、雇用人員についてはプラスに転ずることなく反転し、足元から目先では不足感が強まっている、ということになります。ただし、何度もこのブログで指摘しているように、賃金が上昇するという段階までの雇用人員の不足は生じていない、という点には注意が必要です。我が国人口がすでに減少過程にあるという事実が、かなり印象として強めに企業マインドに反映されている可能性があると私は考えています。ですから、マインドだけに不足感があって、経済実態としてどこまでホントに人手が不足しているのかは、私には謎です。賃金がサッパリ上がらないからそう思えて仕方がありません。加えて、コロナの感染拡大に起因する不透明感は設備と雇用についても同様です。

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日銀短観の最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。日銀短観の設備投資計画のクセとして、3月調査時点ではまだ年度計画を決めている企業が少ないためか、3月にはマイナスか小さい伸び率で始まった後、6月調査で大きく上方修正され、景気がよければ、9月調査ではさらに上方修正され、さらに12月調査でも上方修正された後、その後は実績にかけて下方修正される、というのがあります。その意味で、本日公表の6月調査では2022年度の設備投資計画は+14.1%増と、大きく上方修正されました。ただし、昨年度の2021年度設備投資計画が大きく下方改定されていて、そのリバウンドという面も考慮する必要があります。いずれにせよ、全体としての印象では、人手不足もあって、設備投資は基本的に底堅いと考えていますが、最後の着地点がどうなるか、これまた、COVID-19とウクライナ危機の動向に照らして不透明です。

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最後に、本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも5月の統計です。失業率は前月か+0.1%ポイント上昇して2.6%を記録し、有効求人倍率は前月を+0.01ポイント上回って1.24倍に達しています。失業率こそ上昇しましたが、基本的に、緩やかながら雇用の改善が続いています。グラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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2022年6月30日 (木)

大きな低下を示した5月の鉱工業生産指数(IIP)をどう見るか?

本日、経済産業省から5月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。ヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲7.2%の減産でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産7.2%マイナス 自動車など低下
経済産業省が30日に発表した5月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は88.3となり、前月比7.2%下がった。マイナスは2カ月連続。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国の上海市などの都市封鎖で生産や物流が停滞した影響が続いた。自動車工業、電気・情報通信機械工業などが低下し、経産省は生産の基調判断を「足踏みをしている」から「弱含み」に引き下げた。
指数そのものは2020年8月以来、前月比の下落幅は20年5月以来の水準だった。新型コロナが世界的に拡大し、生産が停滞したとき以来の大幅な落ち込みになる。
全15業種のうち13業種が低下、上昇は2業種だった。自動車工業は8.0%のマイナスで、下落の寄与度が最も大きかった。普通トラックや普通乗用車の低下が目立った。電気・情報通信機械工業は11.3%のマイナスだった。車載用のリチウムイオン蓄電池などの生産が鈍った。生産用機械工業は5.1%低下した。
上昇した2業種では、無機・有機化学工業は3.9%、石油・石炭製品工業は8.9%の伸びだった。
主要企業の生産計画から算出する生産予測指数は6月が前月比12%、7月は2.5%の上昇を見込む。6月1日から中国・上海市のロックダウンが解除され調達の制約が一定程度緩和される見通しだ。ただ供給制約の緩和は段階的で、先行きには不透明感がある。

よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月と比べて▲0.2%のわずかな減産という予想でしたが、実績の▲7.2%減は予想レンジの下限である▲1.2%減を大きく超えて、ネガティブなサプライズと私は受け止めています。減産の主因はサプライサイドと物流、特に、上海のロックダウンに起因すると考えられています。また、先行きに関しては、引用した記事にもある通り、製造工業生産予測指数によれば6月の増産は+12.0%なのですが、経済産業省では上方バイアスを除去すると補正値では+4.9%の増産との試算を出しています。そんなこんなで、これも引用した記事にあるように、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断をまたまた引き下げています。すなわち、前月には「持ち直しの動きがみられる」から「足踏みをしている」に引き下げ、さらに、今月「弱含み」に引き下げています。毎月のように基調が下方修正されるものいかがなものか、という気がします。加えて、5月の減産の主因がホントに上海のロックダウンに起因するのであれば、すでに6月1日からロックダウンが解除されているわけですから、6月の生産はかなり大きな増産に転じる可能性が十分あります。加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染拡大も増加に転じたおそれがあるとしても、水準としては抑制されていますから期待は大きいものがあります。
5月統計の生産や出荷について、少し詳しく見ておくと、生産も出荷も産業別には自動車工業と電気・情報通信機械工業で低下が大きくなっています。まさに、我が国のリーディング・インダストリーだと考えるべきです。逆に、石油・石炭製品工業と無機・有機化学工業で出荷も生産も上昇しています。実に、資源価格の高騰、それに伴う国内価格の上昇が盛んに報じられている中で、製品の価格が上昇している石油・石炭製品工業の出荷や生産が増加しているわけです。通常の経済学の想定によれば、コストプッシュで価格が上昇して、供給曲線が左方シフトすれば、価格の上昇と生産・出荷の減少が見られるハズなのですが、生産・出荷は増加しているとの統計が示されています。石油・石炭製品工業の生産・出荷が伸びている品目としては、軽油、ジェット燃料油、ガソリン等が上げられています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための行動制限が撤廃され、航空機の燃料需要が増加した、という面はあると考えられるものの、ガソリンも上げられており、価格引上げというよりは先高感による需要増なのかもしれません。まあ、単月の結果ですし、断定的な結論を導くことは難しいながら、無理やりにこじつければ、あくまで無理やりに解釈すれば、ということで、インフレの生産拡大効果といえるかもしれません。

5月統計における自動車工業と電気・情報通信機械工業、さらに、石油・石炭製品工業の動向に関する私の見方は、ややこじつけとしても、毎月のように鉱工業生産指数(IIP)の基調判断が変更されて、とてもconfusingなのですが、ホントに上海ロックダウンの影響が大きいのであれば、6月統計を見たいというのが多くのエコノミストのホンネではないか、という気がします。強くします。

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2022年6月29日 (水)

順調な持ち直しの動きが続く5月の商業販売統計をどう見るか?

本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.6%増の12兆3880億円、季節調整済み指数でも前月から+0.6%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

小売販売額、5月3.6%増 行動制限なく百貨店が前年超え
経済産業省が29日発表した5月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年同月比3.6%増の12兆3880億円で、3カ月連続の増加となった。3年ぶりに新型コロナウイルスによる行動制限のない大型連休となり、百貨店などで前年を大きく上回った。経産省は基調判断を「緩やかに持ち直している」に引き上げた。
百貨店は前年同月比55.3%増の4301億円となった。コンビニエンスストアは3.5%増の1兆78億円だった。経産省は「行動制限が解除され、時短営業の反動で消費が伸びた」との見方を示した。
スーパーは1.1%減の1兆2507億円、家電大型専門店は3.3%減の3704億円、ホームセンターは3.9%減の3101億円だった。小売業販売額を季節調整済みの前月比で見ると0.6%上昇した。

よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、ロイターがまとめた市場の事前コンセンサスによれば、統計のヘッドラインである前年同月比で+3.3%増でしたので、実績の+3.6%増はホンの少しだけ上振れていますが、まあ、予想の範囲内といえます。小売販売は3月21日にまん延防止等重点措置が終了したことに伴って、直近の4~5月統計を見る限り、内需にサポートされた回復を示していると私は受け止めています。とくに、5月統計にはゴールデンウィーク期間が含まれますので、行動制限の有無はそれなりの重みを持ちます。季節調整済み指数の後方3か月移動平均で判断している経済産業省のリポートでは、5月統計では、この3か月後方移動平均が+1.1%の上昇となり、基調判断を「持ち直しの動き」から「緩やかに持ち直している」に半ノッチ上方改定しています。ただし、いつもの注意点ですが、2点指摘しておきたいと思います。すなわち、第1に、商業販売統計は物販が主であり、サービスは含まれていません。第2に、商業販売統計は名目値で計測されていますので、価格上昇があれば販売数量の増加なしでも販売額の上昇という結果になります。ですから、対人サービス業へのダメージの大きな新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響、さらに、足元での物価上昇の影響は、ともに過小評価されている可能性が十分あります。すなわち、物販よりも飲食や宿泊のような対人接触型のサービスがCOVID-19の感染拡大で受けるネガティブな影響が大きいのですが、商業販売統計には十分には現れていない、と考えるべきです。ただし、逆に、行動制限が撤廃された現段階では、リバウンドも大きい可能性は否定できません。加えて、燃料小売業の販売額は前年同月比で+15.0%増なのですが、かなりの部分は物価上昇による水増しが占めると考えられ、売上数量が伸びているというよりも、販売単価、すなわちインフレ部分が大きいのではないかと私は想像しています。これらの2点を考え合わせると、実際の日本経済の現状についてはこの統計よりもさらに現実的に見る必要が十分あります。

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2022年6月28日 (火)

日本の道路はスピードが出せないのか?

久しぶりに、いくつか国際機関のサイトを見ていて、6月8日に公表されていた経済協力開発機構(OECD)の「経済見通し」OECD Economic Outlook をすっかり見逃していたことに気づきました。まあ、こんなこともあります。ということで、気を取り直して、国際通貨基金(IMF)のサイトで IMF Blog "Where Are the World's Fastest Roads?" と題する記事を見つけました。以下の Working Paper で開発した手法に基づく推計です。

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上の Maszoro and Soto (2022) で開発された手法に基づいて、この pp7-9 で Table 2. Mean Speed Scores by Country が推計されており、それに基づく世界地図となっています。それほど熱心にペーパーを読んだわけではありませんが、道路渋滞がひどいとスピードを出せずにスコアが悪くなることになっています。ちなみに、日本のスコアは81です。韓国の93や中国の90を下回り、トップの米国の107にはるかに及びません。私が海外生活を送って自動車の運転をした経験があるのは、チリ92とインドネシア55という、上の地図でもほぼほぼ両極端な2国なのですが、もう30年とか20年も前のことながら、実に、私の実感によく合致しています。当然ながら、チリではスイスイと渋滞なく運転できましたし、インドネシアのジャカルタでは、平日は勤務先の役所の運転手さんに送迎してもらっていたのですが、朝夕の通勤時は渋滞がひどかったです。でも、日曜日なんかに私が運転して家族で出かける際にはさすがにそれほどの渋滞ではありませんでした。
国内では私はもう何十年も自動車は持っておらず、自転車しか乗っていません。それも、夏休みや春休みの休暇期間中の大学への通勤を別にすれば、ほとんどが週末乗っているだけです。引越す前の東京都内では自動車の数が多かったのか、それほど道路にスピード感はなくて、ほぼほぼ路線バスに匹敵するくらいのスピードで自転車に乗っていた記憶があります。でも、東京から関西に引越した今となっては、私の自転車はスピードの点で路線バスにまったくかないません。琵琶湖周辺では道路が空いているのか、はたまた、私が年齢とともに運動能力を落としたのか、そのあたりは不明です。

国際機関であるIMFの情報を取り上げましたが、久しぶりに「海外生活の思い出の日記」に分類しておきます。

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2022年6月27日 (月)

金曜日公表予定の6月調査の日銀短観の予想やいかに?

今週金曜日7月1日の公表を控えて、シンクタンクから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は来年度2022年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックやウクライナ危機といった経済外要因の動向次第という面がある一方で、それなりに時間を経過してシンクタンクの見方も一定方向に収斂しつつあるような気がします。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)+14
+9
<+0.8>
n.a.
日本総研+12
+15
<+5.0%>
先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査対比+2%ポイントの上昇を予想。活動制限の解除によるサービス消費を中心とした個人消費の持ち直しが進むほか、供給制約の緩和期待で景況感は下支えされる見通し。もっとも、一段の資源高や中国景気の停滞など、先行き不透明感が根強い点には注意が必要。
大和総研+11
+12
<+5.8%>
大企業製造業では、供給制約の緩和による生産の拡大を見込む「自動車」の業況判断DI(先行き)が上昇するとみている。さらに、北京での感染拡大という懸念はあるものの、上海におけるロックダウンが解除されたことで、中国向け輸出の持ち直しが見込まれることが、「電気機械」の業況判断DI(先行き)を押し上げると見込む。ただし「食料品」では、原材料価格の高騰による収益の悪化が業況判断DI(先行き)を低下させると予想する。大企業非製造業については、新たなGo To トラベル事業の実施やインバウンドの受け入れ再開など、経済活動の正常化の進展と政策的な後押しへの期待感から、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」といった業種で業況判断DI(先行き)が上昇すると予想する。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+13
+12
<+6.5%>
製造業・業況判断DIの先行きは1ポイントの改善を予測する。上海のロックダウンなどによる減産の影響がはく落し、自動車を中心に業況は改善するだろう。ただし、ウクライナ情勢を巡る先行き不透明感や、資源高による採算悪化への懸念などから、大幅な改善には至らないと予想している。
非製造業・業況判断DIの先行きは4ポイントの改善を見込む。対人接触型サービス消費持ち直しへの期待から、宿泊・飲食サービスや対個人サービス中心に改善するだろう。感染者数・重症者数の減少を受けて感染への不安が後退する中、政府が旅行振興策を再開することへの期待が高まっている。日系大手航空会社は、今年7,8月の国内線便数をコロナ禍前比9割超まで増やす計画を発表した。また、政府が観光客受け入れ再開を決めたことで、インバウンドに復調の兆しが見られる点も業況の押し上げ要因になるだろう。
ただし、財消費については伸び悩みが予想される。昨年から続く資源高と足元の円安が相まって、様々な商品の価格が上昇する一方、相対的に賃金の伸びは鈍い。今後も企業による値上げが進み、消費者の節約志向が一層強まることで、卸・小売業などの業況は押し下げられるとみている。
ニッセイ基礎研+12
+14
<+6.3%>
先行きの景況感は総じて小幅な改善を予想。製造業では供給制約の緩和と中国の経済活動再開への期待、非製造業では旅行喚起策や水際対策緩和などに伴う人流のさらなる回復への期待がそれぞれ景況感の追い風になる。ただし、ウクライナ情勢や世界的なインフレ、中国の都市封鎖再導入の可能性など海外経済を巡る不透明感は強いほか、原材料価格の上昇・高止まりに対する懸念も根強いとみられることから、大幅な改善は見込みづらい。
第一生命経済研+14
+13
<大企業製造業+15.2%>
次回6月の短観は、世界経済の減速に対して、円安がマインド押し上げに効くかどうかが注目される。業況DIは、製造業が横ばい、非製造業は改善とみる。物価上昇圧力が、販売価格・仕入価格DIにどう表れるかも注目される。
三菱総研+13
+13
<+7.6%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が6月時点から横ばいの+13%ポイント、非製造業は+2%ポイント上昇の+15%ポイントと予測する。製造業は、資源価格の高止まりや夏場の電力不足が懸念されるが、供給制約が徐々に解消に向かうとみることから、横ばいを予想する。非製造業は、経済活動の再開が本格化すること、インバウンドの受け入れ再開などから改善を見込む。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+10
+13
<大企業全産業+9.4%>
(大企業製造業)先行きは、コスト高が続くことへの懸念は残る一方、半導体など部品不足による供給制約の緩和が期待され、自動車など加工業種を中心に14と、4ポイントの改善が見込まれる。
(大企業非製造業)先行きは、新型コロナ・オミクロン株の新規感染者数の減少を背景に、経済社会活動の活発化が期待され、6ポイント改善の19と改善が見込まれる。
農林中金総研+12
+13
<+2.0%>
先行きに関しては、引き続き、一次産品価格の高騰による収益圧迫への警戒が強いほか、欧米諸国での利上げ加速による景気鈍化懸念や夏場の電力不足も不安材料ともみられるが、5%台半ばの成長を目標とする中国の景気テコ入れ策、サービス消費やインバウンド需要の回復への期待も強いと思われる。以上から大企業・製造業は11、中小企業・製造業は▲7と、今回予測からともに▲1ポイントの悪化予想と見込む。一方、大企業・非製造業は16と今回予測から+3ポイント、中小企業・非製造業は▲2で今回予測から+1ポイントと、いずれも改善方向と予想する。

見れば明らかなのですが、ほぼ、日銀短観の業況判断DIのヘッドラインとなる大企業製造業ではやや悪化、逆に、大企業非製造業ではやや改善、というのが大雑把なコンセンサスかという気がします。その改善と悪化の程度により、大企業製造業の業況判断DIの方が大企業非製造業より水準が高かったり、あるいは、逆だったり、はたまた、同水準だったりするわけなのでしょう。でも、DIですので変化の方向とその大きさが重要であり、DIの水準は2の次になります。まあ、メディアではこれを理解しないニュースが出るかもしれませんが、そのあたりはしっかりと理解しておきたいものです。そして、ヘッドラインで私が着目した先行きについては、どのシンクタンクでも緩やかな改善を見込んでいます。すなわち、製造業については6月調査では、ウクライナ危機などによるコストアップや中国上海のロックダウンの影響を受けての半導体部品の不足などから、一時的に業況判断DIは悪化に振れましたが、先行きは緩やかながら改善、との見立てです。他方、非製造業も同じように緩やかな改善なのですが、これは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大次第、というように私は受け止めています。現在の足元の6gタウ下旬の時点で、すでにCOVID-19の新規感染者数は新規変異株のために増加に転じたとの見方も出ているようですし、もちろん、感染拡大だけではなく変異株の重篤度にもよりますので、専門家ならざる私にはなんとも見通せませんが、場合によっては、夏休みの行楽シーズンに向けて何らかの行動制限を伴う措置が取られる可能性のゼロではありません。また、設備投資計画は3月調査が例年になくプラスで始まりましたが、6月調査では例年通りに順調に上積みされる計画が示されています。さらに、先行きの注目点として、いくつか上げておきたいと思います。まず、今回の6月調査の日銀短観については、私は「事業計画の前提となっている想定為替レート」にも注目しています。3月調査の時点では対米ドルで111.93円となっていましたが、現在の足元の実績データではすでに2割くらいの円安方向で動いています。これを企業としていかに見込んでいるかは注目に値します。そして、日銀短観を離れてさらに2点指摘すると、今夏の猛暑の可能性です。ラ。ニーニャだか、エル・ニーニョだかの影響があるらしく、今冬は厳寒でしたし、今夏は猛暑ともいわれています。通常、夏が暑くて冬が寒いのは経済にとって好条件と考えられるのですが、今夏の東電管内においては電力需要の逼迫から生産への影響が出るかどうか、気にかかっています。そして、米国のリセッションの可能性です。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FED)はインフレ封じ込めのために猛烈な金融引締めを進める可能性が高く、米国がリセッションに陥る可能性も小さくありません。貿易面では日本はすでに米国よりも中国の影響のほうが大きいのでしょうが、さはさりながら、米国景気の動向はとっても気にかかるところです。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。

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2022年6月26日 (日)

熊谷選手のサヨナラ打で中日を3タテ!!!

 十一 RHE
中  日00031010000 5150
阪  神30000002001x 6151

延長11回に熊谷選手のサヨナラ打で、中日を3タテでした。
打者陣では、試合を決めた11回の熊谷選手のサヨナラ打は見事でしたが、当たりとしてははるかに落ちるものの、8回の中野遊撃手のしぶとい同点打も見逃せません。起死回生の一打でした。さらに、10回の佐藤輝選手のレーザービームによるホームタッチアウトも守備のプレーとして特筆すべきものがありました。湯浅投手を救ってくれました。投手陣では、先発の西純矢投手はもう少し長く投げさせて欲しい気がしました。また、11回の渡辺投手は三者凡退に抑えて、サヨナラへの流れを作る投球でした。3勝目おめでとうございます。

次の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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2022年6月25日 (土)

序盤から猛虎打線が爆発し伊藤投手が8回無失点に抑えて中日に大勝!!!

  RHE
中  日000000000 091
阪  神13140100x 10142

序盤から猛虎打線が爆発し、先発伊藤投手が8回を無失点に抑えて、中日に連勝でした。
先発の伊藤投手は毎回のようにピンチを迎えながら、粘り強いピッチングで8回を無失点に抑え、斉藤投手に最終回を託します。逆に、というか、何というか、打線は序盤からことごとくチャンスに決定打が出まくりで、大量点を奪い10-0の大勝でした。いつものジョークですが、明日の試合に何点か取っておきたいくらいでした。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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今週の読書はかなり難解な経済学の学術書からミステリのアンソロジーまで幅広く計5冊!!!

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、ダニエル・ハウスマン『経済学の哲学入門』(勁草書房)は、マイクロ経済学の理論の中心のひとつを形成する選好や選択の基礎となる効用=utikityに関して議論し、さらに、そもそも、エコノミストが何を考察しているのか、何を分析しているのか、について哲学的な考えを取りまとめています。かなり専門性の高い学術書です。続いて、ジャン=ダヴィド・ゼトゥン『延びすぎた寿命』(河出書房新社)では、歴史的に人間の寿命が延びてきた医学や衛生学の進歩を跡付けるとともに、ケース-ディートンの研究成果に着目して、長らく延び続けてきた寿命が反転して、逆に短縮化している可能性について議論しています。稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)は、サブスクで限界費用が無料になった映画やドラマの視聴について、タイトル通りに、早送りで観る人たちについて考察しています。私は特に財の消費方法についてエコノミストとしてわだかまりはありません。続いて、山崎雅弘『未完の敗戦』(集英社新書)は、戦前・戦中的な個人よりも全体を尊ぶ、まさにその意味で全体主義的な部分が決して敗戦で一掃されず、今でも戦争を美化し占領軍に「押し付けられた』という意味で憲法「改正」を目標とする勢力が残存した理由について議論しています。最後に、辻村深月ほか『神様の罠』(文春文庫)は昨年年央に出版されて、ミステリを中心にアンソロジーを編んでいます。それほど大した作品が集められているとは思えませんが、私の好きな作家の作品が収録されています。
なお、今週の5冊を含めて、今年に入ってから新刊書読書は計116冊となりました。半年で軽く100冊を越え、昨年の112冊のペースを超えました。ですので、少し余裕を持って、新刊書ならざる読書にも励みたいと思い、近藤史恵『ホテル・ピーベリー』と方丈貴恵の『孤島の来訪者』を読みました。特に後者については、これで方丈貴恵の主たる作品、すなわち、長編ミステリ3冊は全部読んだと思います。本日の読書感想文と併せて、これら2冊もFacebookの然るべきグループでそのうちに個別にシェアしたいと思います。

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まず、ダニエル・ハウスマン『経済学の哲学入門』(勁草書房)です。著者は、米国ウィスコンシン大学の名誉教授です。英語の原題は Preference, Value, Choice, and Welfare であり、2011年の出版です。本書はミクロ経済の選択に関する学術書であり、ハッキリいって難しいです。200ページほどのボリュームであるにもかかわらず、一応、大学の経済学部の教授職を務めている私が3日かけて読んでいます。学部生や一般のビジネスパーソンにはオススメしません。専門分野が近い大学院生レベルの理解力が必要そうな気がします。まず、何を本書で議論しているかといえば、マイクロな経済学者が何をやっているのか、そして、その方法論は正しいのか、という議論から始めています。そして、私の理解では、マイクロな経済学における選択の基準となっている効用=utiliyuとは、いったい何なのか、という問いに本書では答えようと試みています。そして、著者の結論として早々に示されるのは、効用とは総主観比較評価をもとにしていて、これに基づいて経済的な選択が行われているにもかかわらず、経済学者による選択理論、例えば、顕示選好などは総主観比較評価に基づいた効用概念となっていない、と批判します。私のようなマクロエコノミストからすれば、選択が総主観比較評価に基づいているという点は当然なのですが、逆にいって、マイクロな経済学者が総比較評価以外の評価で選択を決定しているとは、とても思えません。しかし、セン教授の選択理論なんかは、確かに、本書で指摘しているように総主観比較評価ではないかもしれない、という程度には理解します。でも、経済学者がそれほど大きな問題と考えていない「効用とは何か」という点について、ここまで取り上げて議論する意味は私には理解できません。こういった議論を、さらに、ゲーム理論に拡張し、さらに、厚生経済学にも適用されます。ここまでは書評をパスします。私が何とかキャッチアップしたのは、最後の経済心理学に入ってからです。選択には合理性という観点から、すべての選択肢の間で効用の順序付けが出来るという意味での完備性と順番が逆転することがない推移性を満たすと合理的な選択、ということになり、著者は加えて文脈からの独立性と選択の決定性を4条件としているのですが、経済心理学に入れば、ツベルスキー=カーネマンのプロスペクト理論が登場し、文脈からの独立性を犠牲にし、さらに、完備性と推移性を修正した上で、決定性を保持する、といわれれば、よく理解できます。最後に、マクロエコノミストである私にとって難しかったのはもう2点あり、第1は英語と日本語の対応関係です。本書ではadvantageという英語に「便益」という日本語を当てています。確かに、何らかの「お得感」というくらいの表現かもしれませんが、実に何度も何度も登場します。第2に、マイクロな経済学における選択の問題を哲学していますので、序数的なカウントを前提にしています。私のようなマクロエコノミストには、これが馴染みありません。マクロ経済学ではGDPにせよ、インフレ率にせよ、失業率にせよ、すべてが基数的なカウントとなります。すなわち、順番だけが問題なのではなく、絶対量の数値が把握できるわけです。マイクロな経済学では選択を考える際に、その昔のベンサム的な功利主義をとうに卒業していますので、効用=utilityを定量的に把握することをしません。それでも、効用が何になのかについては重要、というのが経済哲学の考え方なのかもしれません。繰り返しになりますが、それなりの専門性高く、しかも、必要性も高い、という読者にのみオススメします。

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次に、ジャン=ダヴィド・ゼトゥン『延びすぎた寿命』(河出書房新社)です。著者は、パリ在住の肝臓・消化器疾患の専門医、医学博士であり、欧州最大の病院グループである公的扶助パリ病院機構で特別研究員を務めています。フランス語の原題は La Grande Extension であり、2021年の出版です。本書は4部構成となっていて、先史時代から20世紀初頭の第1次世界大戦のグレート・インフルエンザ、いわゆるスペイン風邪までを「微生物の時代」とし、大雑把にそれ以降、特に第2次世界大戦後の1945年以降を「医学の時代」として、時代順に医療や衛生の歴史を振り返った後、21世紀の健康を巡る問題を取り上げ、最後に、寿命が後退し始めた直近足元の状況を取り上げています。第1部と第2部は、それほど私自身も興味ないのですが、後半の2部、21世紀に入ってからは医療や衛生だけではなく、健康格差や慢性疾患、特に、大きな問題として、タバコ、アルコール、運動不足、肥満を4つのリスクとして上げています。そして、本書の最大のテーマであろう寿命の後退については、経済社会的な問題としてケース-ディートン夫妻の研究成果、すなわち、非ヒスパニックの白人中年男性の米国人の死亡率上昇について、さまざまな考察を展開しています。もちろん、健康や寿命については、医療と衛生だけではなく、経済社会的な食事、というか、栄養状態とかが関係し、本書で指摘しているタバコ、アルコール、運動不足、肥満の4つのリスクも重要です。ですから、ごく単純にオピオイドの過剰摂取だけでもってケース-ディートンの研究成果を説明するのはムリがあります。しかも、それに自殺が加わります。それにしては、本書では精神疾患についてはかなり手を抜いています。平均寿命の延びが止まって、一部のクラスでは反転を見せているのは事実でしょうし、おそらく、永遠に寿命の延伸が続くとは誰も考えていません。ただ、ケース-ディートンによる『絶望死のアメリカ』(みすず書房)を私も読んで、昨年2021年9月の読書感想文をポストしていますが、この寿命の後退の原因は、自殺、薬物、アルコール、クオリティの低い医療制度、そして、何よりも貧困や格差の拡大であると分析されており、その上で、医療制度の改革、労働組合とコーポレートガバナンス、累進税制とユニバーサルなベーシックインカムの導入、反トラスト政策の推進、レントシーキングの防止策、教育制度の改善、などを対応策として上げています。本書でも、基本的な対応策のラインはケース-ディートンと変わりありませんが、特に、本書独自の分析、というか、表現として行動と環境に着目しています。環境とは、気候を指しており、気候変動が人類の寿命に影響する可能性は鋭く指摘されています。繰り返しになりますが、人類の平均寿命がどこまでも果てしなく延びてゆくとは考えられないわけで、その上で、ケース-ディートン的な個別米国における限定されたクラスの分析ではなく、地球上の人類の寿命を考えるのであれば、確かに、寿命の後退は気候変動=地球温暖化によってもたらされるのかもしれない、と専門外の私なんかは考えてしまいました。

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次に、稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)です。著者は、ライター、コラムニスト、 編集者と紹介されています。本書では、タイトル通りに、映画やドラマを早送りで観る人たちについて考えています。一言でいえば、映画やドラマを芸術として鑑賞するのではなく、コンテンツとして消費する、という表現が取られていて、判ったような判らないような言葉遊びと感じる読者もいるかも知れません。サブスクで限界的に無料になったこういった「見放題サービス」二無限とは言わないまでも、大きな需要が生じるのは当然で、その需要を満たそうとすれば時間を圧縮してタイパのいい早送り、というのはある意味で当然、という気もします。ただ、小学生と同じようなレベルで、映画やドラマを「観た」ことにしておかないと、仲間内での会話についていけない、という意味で「幼稚化」との考えも成り立つかもしれません。さらに、見ていないと仲間内で話題についていけずに、本書では「マウントを取られる」、と表現してます。加えて、映画やドラマのこういった早送りで観るコンテンツ消費から、生産者サイドにリパーカッションがあって、映画やドラマでやたらとセリフで説明してしまう例が現れ始めた可能性についても言及しています。ということで、私から独自に2点指摘しておきたいと思います。第1に、映画やドラマを早送りで観るというのは、製作者や提供者の意図に反している、あるいは、通常のやり方から異なっている、という趣旨なのかもしれませんが、そんな財・サービスの使用や消費なんていくらでもあります。まず、何を持って問題とする、という表現は違うかもしれませんが、観察対象に置いて解明しようとしているのか、私には十分には理解できませんでした。まあ、ほのかには判るわけですが、十分には理解できなかったわけです。包丁を調理に使うのではなく人殺しに使う、といった極端な例は別としても、例えば、自動車やオートバイを本来の移動や運輸で使うのではなく、ドライブ、あるいはもっと言えば、スピードを出してストレス解消、スカッとする、という用途に使うのはどうなのか。それがさらに進んで、暴走族ならどうなのか。いろんな論点があると思います。あるいは、映画やドラマに近いところでいえば、書画・骨董や稀覯本を鑑賞目的ではなく、資産として値上がり待ちで所有するのはどうなのか。エコノミストとしては、すべてがOKに見えます。その意味で、理解が及びませんでした。第2に、映画やドラマを早送りしてまでして観て、知り合いから観ていないことを指摘されてマウンティングされるのを防止するという意味が、これは、著者の言いたい意味ではなく、早送りして見る人の言う意味が、私には判りません。私はもともとマウンティングを取る意欲に欠けていて、生物的なオスとして欠陥がある可能性は自覚しています。ついでにいうなら、1980年代後半のバブル期にいわゆる「適齢期」を迎えたために、両方相まって結婚が遅れたのだろうと自己分析していたりします。それはともかく、映画やドラマに関してマウントされるというまでのポピュラリティある映画やドラマがもしあるのであれば、それは著者のいう芸術を飛び越えて教養と表現すべきではなかろうか、とすら思います。この点も浅はかにも理解が及びませんでした。いずれにせよ、消費財、あるいは芸術であっても、非常に変わっら使い方をし、そして、それが一定理にかなっている、というのはままあることです。テレビなんかでも面白おかしく紹介されています。違いますかね?

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次に、山崎雅弘『未完の敗戦』(集英社新書)です。著者は、戦史・紛争史の研究家だそうです。私はそれほど馴染みがありません。本書はタイトルから直感的に受ける印象は戦史とかの関係なのかもしれませんが、内容は敗戦によって決して昔の「大日本帝国」的な非民主的だった日本が民主的な国家に生まれ変わったわけではない、ということで、私も大いに賛同します。誰も責任を取らずに国民や部下を使い捨てにするような非民主的な昔の日本は敗戦では一掃されなかった、ということですから、歴史観としては私と同じで民主主義的な革命、ないし、大改革が必要と考えるべきです。そして、その先に社会主義革命を考えるのであれば、まさに、戦前からの講座派的な歴史観と一致します。まず、現状分析として、かつての戦前・戦中的に個人の価値観が国家や集団に従属するという部分が日本には大きく残っていることは事実として認められるのだろうと私は考えます。そして、その最悪の例として本書では靖国神社や太平洋戦争の「美化」、例えば、植民地アジアを欧米列強から「解放」する戦いであったとみなしたり、逆に、南京事件などの日本軍の蛮行を否定したりする歴史修正主義を上げています。そして、戦後の憲法を占領軍に「押し付けられた」と考えて改憲を企てる勢力も広く残っている、というか、それを党の綱領に掲げる政党が国会の第1党として政権を担って総理大臣を輩出しているわけです。私自身は、個人として戦死者を偲んで靖国神社に参拝するのは、百歩譲ってOKとしても、公人として戦争賛美につながりかねない靖国神社参拝はお止めになった方がよろしい、という考えです。そして、本書では保守と革新という言葉でそういったグループ、ないし、アンチ・グループを呼んでいますが、私は保守というよりは反動なのではなかろうかという気がします。私の考えでは、歴史は前進するものであり、その前進を止めようとするのは保守、前進どころか歴史を前に戻そうとするのが反動、そして、歴史をさらに前に進めようとするのが進歩派なのだろうと考えています。そして、こういった日本の民主化が不徹底に終わったのは、本書で指摘する通り、東西冷戦であることは明らかなのですが、では、なぜ、ドイツではナチスが徹底的に否定されている一方で、日本の民主化、というか、戦前の戦争推進派の否定が進んでいないのか、という疑問は残ります。私も専門外ですので大きな謎です。まあ、西欧と極東という位置だけではなく、民度の差がある、といわれればそれまでなのかもしれませんが、謎は謎です。もうひとつの要因として、本書の著者は教育を重視しています。批判的な観点を育成する教育になっていない、というわけです。ただ、これは双方向であって、教育に批判的な人格形成の要素が盛り込まれていないから、個人として民主主義的に未成熟であるともいえますが、民主主義が不徹底だから教育のこういった個人としての批判的見方の涵養が含まれない、とも考えられます。ただ、教育の一端を担う身としては考えさせられる見方であることは自覚しています。いずれにせよ、日本の経済社会、あるいは、日本人の国民性などを考える上で重要な視点を提供してくれた読書でした。

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最後に、辻村深月ほか『神様の罠』(文春文庫)です。なかなか豪華にも、人気のミステリ作家6人によるアンソロジーです。収録順に、乾くるみ「夫の余命」、米澤穂信「崖の下」、芦沢央「投了図」、大山誠一郎「孤独な容疑者」、有栖川有栖「推理研VSパズル研」、辻村深月「2020年のロマンス詐欺」の6作品で構成されています。すべて、文藝春秋社の『オール読物』に収録された作品です。最初の「夫の余命」は、余命1年と宣告されながらも結婚した若いカップルについて、日付を明記しつつ時系列を逆にたどります。『イニシエーション・ラブ』の作者らしく、みごとに読者をミスリードします。「崖の下」は、男女4人のスキーヤーが雪山で遭難し、うち1人が明らかな他殺体で見つかった殺人事件の謎解きです。凶器は何か、がポイントになります。「投了図」は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための緊急事態宣言か何かの行動制限下で、古本屋の主人について、将棋のタイトル戦の中止を訴える張り紙をした自粛警察ではないかと、妻が疑います。ミステリとみなさない読者もいそうです。「孤独な容疑者」は、迷宮入りした過去の殺人事件を再捜査する中で、アリバイトリックを解き明かす、という作品ですが、こんなことが現在の日本で可能なのだろうか、という意味で、やや納得いかない点が残りました。「推理研VSパズル研」は、学生アリスの作品です。パズル研から推理研に出題された謎解きについて、江上部長が見事に解決するという論理パズルをテーマにしています。最後の「2020年のロマンス詐欺」も、コロナ禍で行動制限が続く東京で、山形から出て来たばかりの大学生がロマンス詐欺の片棒を担ごうとしつつも、思い込み激しく見事に脱線する、というストーリです。私の読み込み不足なのかもしれませんが、少し物足りない作品、疑問ありの作品が多く、これだけの作者を集めたにしては、それほどいい出来のアンソロジーではありません。その中で、冒頭の乾くるみ「夫の余命」と米澤穂信「崖の下」の2作が光っていると私は思います。逆に、辻村深月「2020年のロマンス詐欺」はあまりにナイーブ、というか、いかにも田舎から東京に出てきたばかりの大学生を主人公に据えるのがよさそうな作品、という気がします。ちなみに、どうでもいいことながら、「ナイーブ」という用語の私の用法について、簡単に記しておきます。その昔、絵画に「ナイーブ派」ないし「ナーブ・アート」一派がありました。19世紀末から20世紀初頭ですから、印象派なんかとよく似た時期に活躍していて、今でこそ「素朴派」と邦訳されていますが、私の知る限り、その昔は「稚拙派」と呼ぶ評論家がいたりしました。「ナイーブ」とは決してニュートラルな表現ではないし、ひょっとしたらよくない意味で使われている可能性がありますのでご注意ください。

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2022年6月24日 (金)

消費者物価指数(CPI)と企業向けサービス価格指数(SPPI)の動向を考える!!!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が、また、日銀から企業向けサービス価格指数 (PPI)が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。まず、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+2.1%を記録しています。物価上昇は9か月連続です。7年ぶりの+2%超の物価上昇が先月から続いています。ただし、エネルギー価格の高騰に伴うプラスですので、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+0.8%にとどまっています。また、企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+9.0%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月の全国消費者物価、2.1%上昇 食料や家電の値上がりで
総務省が24日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.6と前年同月比2.1%上昇した。上昇は9カ月連続で、2%台を付けたのは前月に続いて2カ月連続となる。エネルギー価格が引き続き上昇しているほか、原材料価格の高騰を受けた生鮮食品を除く食料の上昇、部品供給不足を受けた家電製品の値上がりなどがCPIを押し上げた。
QUICKがまとめた市場予想の中央値(2.1%上昇)と一致した。伸び率は4月(2.1%上昇)と同水準だった。
エネルギーは前年同月比17.1%上昇と高騰が続いているが、前月(19.1%上昇)からは伸び率が縮小した。このうち、原油相場の影響がガソリンより遅行する「電気代」は18.6%上昇、「都市ガス代」は22.3%上昇と大幅な伸びとなった。「ガソリン」も前年同月比では13.1%上昇となったが、政府の補助金による抑制効果などで前月に比べて伸び率は鈍化した。
生鮮食品を除く食料は前年同月比2.7%上昇と、15年3月(3.8%上昇)以来7年2カ月ぶりの伸び率となった。値上げによって調理カレーや唐揚げなどの上昇が目立ったほか、同様に値上げが相次ぐハンバーガーや寿司など外食も押し上げに寄与した。「家庭用耐久財」は7.4%上昇した。中国のロックダウン(都市封鎖)や半導体不足を背景にしたルームエアコンの上昇がけん引した。
一方、携帯電話の通信料は前年同月比22.5%下落した。
生鮮食品を除く総合指数は前月比で0.1%上昇した。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は前年同月比0.8%上昇した。生鮮食品を含む総合は前年同月比2.5%上昇し、9カ月連続でプラスとなった。
5月の企業向けサービス価格、1.8%上昇 上昇幅が拡大
日銀が24日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は106.7と、前年同月比で1.8%上昇した。15カ月連続のプラスで、上昇幅は4月(1.7%)から拡大。エネルギー価格の高騰などから運輸・郵便が上昇した。指数そのものは前月から横ばいだった。
運輸・郵便のうち、国際運輸関連が大きく上昇した。外航貨物輸送では燃料価格の上昇に加え、中国のロックダウン(都市封鎖)解除を見越した運賃価格の上昇も押し上げ要因になった。
不動産は店舗の賃料が主因となって上昇した。新型コロナウイルス感染対策のまん延防止等重点措置(まん防)の解除で外出する人が増え、店舗の売り上げと連動して賃料が上昇した影響とみられる。
調査の対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは95品目、下落は21品目だった。

長くなりましたが、いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.1%の予想でしたので、ジャストミートしました。基本的に、ロシアによるウクライナ侵攻などによる資源とエネルギー価格の上昇による供給面からの物価上昇と考えるべきです。もちろん、円安による輸入物価の上昇も一因です。すなわち、コストプッシュによるインフレであり、日銀金融政策による需要面からの物価上昇ではありません。CPIに占めるエネルギーのウェイトは1万分の712なのですが、5月統計における上昇率は+17.1%に達していて、ヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度は+1.26%あります。この寄与度のうち、電気代がちょうど半分の+0.63%ともっとも大きく、次いで、ガソリン代の+0.27%、都市ガス代の+0.21%などとなっています。ただし、エネルギー価格の上昇率は3月には20.8%であったものが、4月統計では+19.1%、5月統計では+17.1%と、ホンのちょっぴりながら上昇率は下げ止まりつつあるようにも見えます。ただ、かなり高い上昇率で高止まっていることは確かです。加えて、生鮮食品を除く食料も4月統計の+2.6%上昇に続いて、5月統計でも+2.7%の上昇を示しており、+0.60%の寄与となっています。

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続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは上の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。影を付けた部分は、日銀公表資料にはありませんが、景気後退期を示しています。企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇の要因も、基本的に、消費者物価指数(CPI)と同じで、供給面からのインフレといえます。大類別でヘッドライン上昇率に対してもっとも寄与度が大きかったのは運輸・郵便であり、+4.8%の上昇、0.77%の寄与となっています。寄与度で見てその次に大きい大類別は土木建築サービスをはじめとする諸サービスであり、上昇率こそ+1.5%と大きくないのですが、寄与度は+0.53%あります。また、景気に敏感な広告も上昇率+4.4%、寄与度+0.21%を示しています。運輸・郵便は石油価格上昇などによるコストプッシュの要因が強いと考えるべきですが、諸サービスや広告についてはコストプッシュばかりとはいえません。まあ、SPPIには直接にエネルギーや資源価格を反映する大類別がありませんので、円安とともに資源価格上昇が波及しているという見方は成り立つとはいえ、人手不足の影響はそれなりにあるのだろうと私は受け止めています。

最後に、参議院議員選挙が本格的に開始され、現在の物価についての議論も盛んです。ただ、私が考えるに、現在のインフレ目標+2%に近い実績物価上昇率をもって日銀を批判するのは疑問です。というのも、個々人の受け止めはさまざまとしても、メディアの論調ではつい半年ほど前までは物価目標+2%が達成されない、という事実をもって日銀を批判していたように私は見ていたのですが、それが今では+2%の物価上昇を批判しているように見受けられます。+2%の物価目標が達成されないといっては批判され、物価上昇が+2%だといっては批判されるのでは、日銀も立場がありません。他方で、物価に対する批判が大きいのは、バックグラウンドで生活が苦しくなっているからではないかと私は想像しています。しかし、物価上昇だけを「悪者」にしていたのでは、そのほかに生活を苦しくさせている要因を見逃すことにもなりかねません。物価上昇も含めて生活が苦しくなっているのであれば、ケインズ的には収入が増える必要があります。反ケインズ的には生活を切り詰める必要があるかもしれません。私はエコノミストとして、生活を切り詰めるよりは収入を増加させる方法を探りたいと思います。

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2022年6月23日 (木)

いよいよ参議院議員選挙が始まった模様!!!

あまりよく認識していなかったのですが、参議院議員選挙が始まった模様です。昨夜のニュースで見て、夕刊でも報じられています。どうでもいいことながら、総務省の参議院選挙イメージキャラは、生田絵梨花さんと市川猿之助のようです。どういう取合わせなのか、私にはよく判りません。
どうでもいいことが続いて、多くの人もそうだという気がしていますが、私もTwitterやFacebookなどのSNSでは複数のアカウントを持っていたりします。中心は、ポケモンやタイガースといった脈絡ない趣味アカと経済・読書などのお仕事アカです。昨日午後からこれらのSNSのうち、Twitterのお仕事アカは選挙のツイートが半分超のような気がします。もちろん、Twitterの趣味アカは特に大きな変化ありません。なぜか、Facebookは趣味アカもお仕事アカも両方とも、それほど昨日の状況から変化ないように感じます。Instagramはアカウントは持っていても、ほとんどアクセスしていないので不明ながら、Twitterのメディアとしての特性なのか、私のフォローがヘンなのか、よく判りませんが、みなさん選挙に熱心に取り組んでおられることが把握できました。私も微力ながら、学生諸君に投票に行くようにオススメしたいと思います。

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«リクルートによる5月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?