2021年1月18日 (月)

内閣府による今週の指標「新型コロナウイルス感染症の影響による国内旅行消費の変化」やいかに?

先週金曜日の1月15日に、内閣府から『今週の指標』として、「新型コロナウイルス感染症の影響による国内旅行消費の変化」が公表されています。まだ、年末年始の帰省旅行などのデータは含まれていませんが、昨年2020年4~6月期の緊急事態宣言の期間の分析もなされており、現在の首都圏や近畿圏などの緊急事態宣言に関する示唆を受け取る向きもいそうな気がします。いくつか、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、リポートから 国内旅行消費額 (目的別) を引用しています。緊急事態宣言の2020年4~6月期はもちろん、その後の夏休みを含む旅行のハイシーズンである7~9月期になっても旅行需要は低迷を継続しています。私は、緊急事態宣言が出た際には、解除されると元の生活が戻ってくるのかと期待しないでもなかったのですが、決して、緊急事態宣言前と同じ生活が戻ったわけではありません。旅行については大きく変容をしたわけであり、このあたりは、とても弁証法的な時間の進行だと感じています。

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続いて、上のグラフは、リポートから国内旅行について、目的別の前年比 を引用しています。緊急事態宣言の2020年4~6月期と、その後の夏休みを含む7~9月期のそれぞれの前年同月比を比較しています。2020年4~6月期から7~9月期にかけて、いくぶんなりとも減少幅が縮小しているわけですが、ビジネス目的の「出張・業務」はそれほどの回復は見せていない一方で、「帰省・知人訪問等」、さらには「観光・レクリエーション」と娯楽度や自由度が高くなるほど、減少幅も小さければ、回復度合いも大きい、という結果が示されています。感染拡大という急所は大きく外したものの、旅行需要拡大の観点からは、GoToトラベルは評価される可能性があります。

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続いて、上のグラフは、リポートから国内旅行について、同一都道府県内への宿泊旅行の割合 を引用しています。パンデミック前の2019年は押し並べて20%を少し下回る水準で推移していましたが、2020年に入って大きく割合が上昇しているのが見て取れます。グラフは引用しませんが、これに伴って、宿泊数も減少を示し、1泊旅行の割合が増加しているようです。従って、マクロの旅行需要の減少とともに、旅行形態として「少人数化」、「短期化」、「近距離化」などが進んだ可能性が示唆されている、と結論しています。

繰り返しになりますが、夏休みを含む7~9月期には、緊急事態宣言も明けましたし、旅行の娯楽度や自由度やが高いほど旅行需要は回復した、とのGoToトラベルの一定の効果を示唆する分析結果ではありますが、感染拡大という社会的コストを無視した議論であるといわざるを得ません。感染症については外部経済があまりにも大きく、市場で観察される私的なベネフィット-コストだけではなく、スピルオーバーも含めた社会的なベネフィット-コストの分析が必要です。従って、この点は大きく外しています。

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2021年1月17日 (日)

昨日、1月16日に宮古島でサクラサク!!!

昨日から大学入学共通テストが始まっていますが、実に縁起のいいことに、昨日夕刻の日本気象協会の日直主任のリポートによれば、宮古島でヒカンザクラ開花だそうです。まさにサクラサクです。

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上の画像は、日本気象協会のサイトから引用しています。
がんばれ受験生!

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2021年1月16日 (土)

今週の読書は通常通りの計4冊!!!

今週の読書は、経済書に教養書・専門書、さらに、学生諸君への参考のために新書まで含めて、以下の通りの計4冊です。

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まず、クラウス・シュワブ, & ティエリ・マルレ『グレート・リセット』(日経ナショナルジオグラフィック社) です。著者は、もうすぐ始まるダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)の会長とオンラインメディア『マンスリー・バロメーター』の代表です。英語の原タイトルは COVID-19: The Great Reset であり、2020年の出版です。本書では、タイトルから容易に想像されるように、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の後の世界について、それまでの世界がリセットされる、という印象で議論を進めています。視点は、マクロ、産業と企業、個人の3つなんですが、圧倒的なページ数がマクロに割かれています。そのマクロも、経済、社会的基盤、地政学、環境、テクノロジーとなっています。当然です。特に、資本主義のリセットが念頭に置かれている印象で、その目指す先はステークホルダー資本主義とされています。その昔に「勝ち組の集まり」と揶揄されたダボス会議の主催者とは思えないほどに、ネオリベな経済政策を反省し、リベラルな政策手段で格差を是正し、大きな政府が復活する可能性を論じています。特に印象的なのは、命と経済の間でトレードオフがあるのは別としても、命に圧倒的な比重を置いていて、命を犠牲にしてでも経済を守る姿勢を強く非難している点です。やや、私には意外でした。もっと、ポイントを絞った効率的な政策によって財政赤字が積み上がらないように、といった視点が飛び出す可能性を危惧していただけに、コロナがいろんなものの変容をもたらした、ということを実感させられました。少なくとも、現在の日本の菅内閣よりもずっと立派な視点だという気がします。いずれにせよ、世間一般で、リベラルな中道左派が描きそうな未来図ですから、特に、メディアで示されているメインストリームな未来像と大きな違いはないという気がします。おそらく、何が何でもオリンピックをやりたくて、「自助」を真っ先に持って来る日本の内閣の方が世界標準からして異常なんだろうという気がします。

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次に、ジャック・アタリ『命の経済』(プレジデント社) です。著者は、欧州を代表する有識者といえます。その昔のミッテラン社会党政権のブレーンだったわけですから、社会民主主義的な色彩の強い方向性が打ち出されています。フランス語の原題は L'Économie de la Vie であり、2020年の出版です。舷梯はされませんが、当然ながら、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)を中心とした議論が展開されています。感染対策として、中国が強く避難されるとともに、韓国が称賛されています。すなわち、中国の場合、事実誤認、というか、曲解や恣意的な解釈も含めて、初動に大きなミスがあり、そのため、権威主義国家らしく強権的なロックダウンに頼った感染拡大防止を図った一方で、韓国では検査・追跡・隔離といった科学的な手段が取られて感染拡大を防止した、と評価されています。その意味で、政府だけでなく企業や個人も含めて、「真実を語る」ことの重要性が何度も強調されています。ただし、その昔の「ジャパン・パッシング」よろしく、日本に関する評価、どころか、ほとんど記述すらありません。日本では、山中教授いうところの「ファクターX」があって、科学的方法論では解明しきれない要因により感染者数や死者数が抑制されてきたという説もあるようですから、科学的な一般化は難しいのかもしれません。でも、年末から年明けにかけて、ハッキリと欧州などと歩調を合わせる形で感染拡大が観察されますから、日本だけがファクターXによりCOVID-19の例外、というわけにいくハズもありません。国家や企業や国民のあり方について、スケールの大きな議論が展開されている一方で、決して難解ではなく、むしろ、心に響くような新鮮さを感じました。類書の中で、ここまでマスクの重要視を強調しているのは初めてでした。また、次のランシマン『民主主義の壊れ方』共関連して、「闘う民主主義」の5原則も興味深いものがありました。

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次に、デイヴィッド・ランシマン『民主主義の壊れ方』(白水社) です。著者は、英国ケンブリッジ大学の政治学教授であり、世界的な権威ある政治学の研究者だそうです。英語の原題は How Democracy Ends であり、2018年の出版です。どうでもいいことながら、同じ2018年の出版で How Democracies Die という学術書が米国ハーバード大学のレヴィツキー教授とジブラット教授により出版されていて、私はまったく読んでいませんし、専門外ながら、ソチラのほうが有名なんではないか、という気がしないでもありません。ということで、本書では、クーデタを始めとする暴力、災害などの大惨事、そして、テクノロジーの3つの観点から民主主義が終わる可能性について論じています。たぶん、米国トランプ政権の成立が本書のモティーフのひとつになっている気がしますが、最近の議事堂占拠なんて米国の暴力はスコープに入っているハズもありません。もう少し長い期間を考えていて、大惨事も不可抗力っぽい気がしますし、テクノロジーが主眼に据えられている印象で、例えば、「トランプは登場したが、いずれ退場していく。ザッカーバーグは居続ける。これが民主主義の未来である。」といったカンジです。デジタル技術は直接民主主義への道を開くと論ずる識者がいる一方で、本書のように民主主義を終わらせる可能性もあるということです。本書でも指摘されている通り、古典古代のギリシアにおける民主主義は終了を迎えました。原題の民主主義はヒトラーやファシズムといった暴力で覆されるとはとても思えませんが、新たに出現した民主主義への驚異はテクノロジーに限らず、いっぱいありそうな気がします。ですから、何もしないでノホホンとしていて民主主義が守れるとは限りませんし、アタリのように「闘う民主主義」を標榜しつつ、しっかりと自由と民主守護を守る姿勢が大事なのであろうと思います。いずれにせよ、哲人政治ならぬエピストクラシーと衆愚に陥るかもしれないデモクラシーと、どちらがいいかと問われれば難しい回答になります。最後に、センテンスが短い訳文は好感が持てるのですが、そもそも、章が長くて節とか、小見出しがいっさいなく、それなりに忍耐強くなければ読み進むのに苦労させられます。ご参考までのご注意でした。

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最後に、三浦佑之『読み解き古事記 神話篇』(朝日新書) です。著者は、古事記研究の碩学であり、三浦しをんの父親です。その昔の三浦しをんデビュー時は「三浦佑之の娘」と紹介されていた記憶もありますが、今ではどちらも同じくらいのウェイトか、あるいは、人によっては直木賞作家である三浦しをんの方をよく知っていたりするのかもしれません。ということで、古事記の神話編を歴史学というよりも、文学的かつ民俗学的に解釈した解説となっています。日本書紀と古事記には少し違いがあるようですが、私のような専門外の読者にはよく判りません。まあ、国作りの物語とか、出雲と伊勢の暗闘透とかはよく知られたところです。本書でもヤマタノオロチが出てきますし、因幡の白うさぎも登場します。中国で奇数が陽数とされるのに対して、日本では対になりやすい偶数が好まれ、三種の神器も、実は、剣と鏡は銅製であるのに対して、玉は翡翠製なので違うんではないか、という意見も表明されたりしています。そうかもしれません。常識的には知っているお話が多くて、ひとつだけ、神様のお名前が極めて何回、というか、現代日本人からすれば長ったらしいので覚えにくいんですが、それ以外は常識的な日本の教養人であれば、見知っていることと思います。でも、こういった碩学の本で改めて読み返すと有り難みがあるのはいうまでもありません。

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2021年1月15日 (金)

明日から始まる大学入学共通テスト、がんばれ受験生!!!

明日から、新装オープンなった大学入学共通テストが始まります。少子化が進んだとはいえ、みんな平等、全員合格、というわけには行きませんので、すべての受験生が実力を出し切って、後悔ないことを願っています。

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我がキャンパスの受験生は2000名を少し超える予定のようです。
がんばれ受験生!

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2021年最初の「さくらリポート」に見る地方経済やいかに?

昨日、日銀支店長会議にて「さくらリポート」(2021年1月) が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもポストされています。各地域の景気の総括判断と前回との比較は下のテーブルの通りで、北海道の景気判断は下方修正された一方で、北陸、四国、九州・沖縄で景気判断が引き上げられています。その他のブロックでは据え置かれています。このブログでは暫定的に昨年2020年5月、ないし、4~6月期を景気の底と認定していますが、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大はまだ終息していないように見える一方で、地域の景気は上向いているところが多くなっています。

 【2020年7月判断】前回との比較【2020年10月判断】
北海道新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで、持ち直しつつある新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあり、足もとでは持ち直しのペースが鈍化している
東北厳しい状態にあるが、持ち直しの動きがみられている厳しい状態にあるが、持ち直しの動きがみられている
北陸下げ止まっているものの、厳しい状態にある厳しい状態にあるが、持ち直しつつある
関東甲信越内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで、持ち直しつつある引き続き厳しい状態にあるが、持ち直している。ただし、足もとではサービス消費を中心に感染症の再拡大の影響がみられている
東海厳しい状態が続く中でも、持ち直している厳しい状態が続く中でも、持ち直している
近畿新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状態にあるが、足もとでは、持ち直しの動きがみられる新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状態にあるが、全体として持ち直しの動きが続いている
中国新型コロナウイルス感染症の影響から、厳しい状態が続いているものの、持ち直しの動きがみられている新型コロナウイルス感染症の影響から、依然として厳しい状態にあるが、持ち直しの動きが続いている
四国新型コロナウイルス感染症の影響から、弱い動きが続いている新型コロナウイルス感染症の影響から一部に足踏み感もあるが、全体としては持ち直しの動きがみられている
九州・沖縄持ち直しの動きがみられるものの、厳しい状態にある厳しい状態にあるものの、持ち直しつつある

前回、昨年2020年10月時点でのリポートでは、四国ブロックを唯一の例外として、その他の地域はすべて景気判断が改善を示していましたが、さすがに、年末からの新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の急速な感染拡大を受けて、地域経済の回復にもブレーキがかかった格好です。もともと、COVID-19の影響からの景気の回復は決してV字回復ではなく、かなりの時間を要すると考えられていましたので、大きなサプライズはありません。ただし、この「さくらリポート」は景気の総括判断だけではなく、需要などのコンポーネントとして、公共投資、設備投資、個人消費、住宅投資、生産、雇用・所得についても、同じように判断が示されていますが、設備投資、個人消費、住宅投資の3つのGDPコンポーネントについては全体的に弱い動きが続いている印象ですが、生産については持ち直しないし増加という方向が報告されており、輸出主導の形となっている可能性が示唆されている、と私は受け止めています。ただし、昨年末から日本だけでなく欧州などでもCOVID-19感染拡大防止のためのロックダウン措置が広がっており、輸出が景気拡大を牽引するかどうかは、かなり不確実性が高い、といわざるを得ません。

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2021年1月14日 (木)

2か月連続で増加を示す機械受注と大きな下落が続く企業物価指数(PPI)!!!

本日、内閣府から昨年2020年11月の機械受注が、また、日銀から昨年2020年12月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+1.5%増の8548億円と、まだまだ受注額は低水準ながら、2か月連続でプラスの伸びを記録しています。また、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲2.0%の下落を示しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

20年11月の機械受注、1.5%増 通信伸びる、基調判断を上方修正
内閣府が14日発表した2020年11月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は、前月比1.5%増の8548億円だった。2カ月連続の増加で、QUICKがまとめた民間予測の中央値(6.5%減)を上回った。内閣府は基調判断を「下げ止まっている」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。判断の上方修正は2カ月連続。
内訳を見ると、製造業の受注額は前月比2.4%減の3452億円だった。3カ月ぶりの減少で、17業種のうち6業種で増加、11業種で減少した。非鉄金属などで10月に大きく伸びた反動が出た。
非製造業は5.6%増の5109億円と、3カ月連続で増加した。通信業や建設業が伸びた。内閣府の担当者は「通信業では次世代通信規格の5G投資などで、ネットワーク関連機器を含む通信機が増加したと推測している」と話した。
受注総額は1.5%減、外需の受注額は5.9%増、官公需の受注額は0.4%増だった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は11.3%減だった。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
20年12月の企業物価指数、前月比0.5%上昇 上昇は4カ月ぶり
日銀が14日発表した2020年12月の企業物価指数(15年平均=100)は100.3と、前月比で0.5%上昇した。前月比の上昇は4カ月ぶりで、石油製品を中心とした値上がりが寄与した。一方、前年同月比では2.0%下落だった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。一部の国で新型コロナウイルスワクチンの接種が開始され、景気回復への期待が高まったことや、米国で原油在庫が減少したことから、11月から12月にかけて原油価格が上昇した。銅やアルミニウムの国際市況の値上がりも企業物価を押し上げた。
円ベースでの輸出物価は前年同月比1.3%下落、前月比では0.8%上昇した。円ベースでの輸入物価は前年同月比で9.8%下落、前月比では1.9%上昇した。
20年(暦年)の企業物価指数は100.3と、前年に比べて1.2%下落した。20年春の新型コロナ感染拡大で原油価格が一時、大幅に下落したことが響いた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、前月比で▲6.5%減、レンジの上限でも+1.0%増でしたから、この上限を突き抜けて、ややサプライズとなりました。季節調整済み系列のの前月比で見て、製造業は前月10月統計の+11.4%増の反動もあって、直近で利用可能な11月統計では△2.4%減と減少を記録しましたが、船舶と電力を除くコア非製造業が10月統計の+13.8%像に続いて、11月も+5.6%増となっています。非製造業の中でも、通信業が+41.6%増と大きな伸びを示し、引用した記事にあるように、「次世代通信規格の5G投資などで、ネットワーク関連機器を含む通信機が増加した」のかもしれません。いずれにせよ、コア機械受注は10月の2ケタ増に続いて11月もわずかとはいえプラスを記録したことから、統計作成官庁である内閣府は基調判断を「下げ止まっている」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正しています。コア機械受注が市場の事前コンセンサスを超えた伸びを示していることに加えて、機械受注の先行指標とされる外需も10月+20.7%増の大きな伸びに続いて、11月も+5.9%増と堅調に推移しており、こういった条件を踏まえての基調判断の修正なのですが、いかんせん、12月は日本国内でも、欧州をはじめとした海外でも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックが拡大しているだけに、まったく疑問がないわけではありません。もちろん、数字だけを見れば、COVID-19パンデミック前の2019年10~12月期のコア機械受注は2兆5698億円で、月単位なら8566億円となりますから、11月統計の8548億円はほぼほぼパンデミック前の水準に回帰したといえますし、質的な面を考えても、中国ではCOVID-19がかなりの程度に終息したとか、イレギュラーな大型案件ではなく通信業の5G投資という将来を見据えた実需であるとか、それなりの根拠はないわけではありませんが、12月統計も見たい気がする私としては、やや拙速な判断である可能性は指摘しておきたいと思います。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、先の機械受注と同じく、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで認定しています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、ヘッドラインの国内物価の前年同月比が▲2.2%の下落でしたし、前月11月の実績△2.3%ほどの大きな下落ではありませんでしたので、実績の△2.0%はやや上振れはしましたが、一昨年2019年10月からの消費税率引上げ効果の剥落があるとはいえ、まだまだ日銀の物価目標とは整合的ではないといわざるをえません。加えて、引用した記事にあるように、4か月ぶりの前月比プラス、+0.5%を記録しましたが、そのほぼほぼ半分に当たる+0.25%はガソリンをはじめとする石油・石炭製品の寄与であり、残り半分の半分に当たる+0.11%は非鉄金属、特に国際商品市況に連動した銅地金などの寄与すから、それほど楽観的になれるハズもありません。

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2021年1月13日 (水)

ダイヤモンド・オンラインによる「生活満足度」が高い都道府県ランキングやいかに?

本日、ダイヤモンド・オンラインにて「生活満足度」が高い都道府県ランキング2020【完全版】が明らかにされています。昨年2020年8月の「消滅しない」都道府県ランキング【2020完全版】、同じく9月の都道府県「幸福度」ランキング2020【完全版】、さらに、同じく10月の都道府県魅力度ランキング2020【47都道府県・完全版】、さらにさらにで、12月の住みたい都道府県ランキング2020【47都道府県・完全版】などなどに続くシリーズであり、いずれもダイヤモンドとブランド総合研究所の共同調査の結果だそうです。以下の通りです。

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こういったランキングでは、北陸3県が上位に来て、東北や九州の評価が低い、という結果をついつい想像しがちなのですが、沖縄県がトップに躍り出ています。統計的には、沖縄県は平均所得でほぼほぼ常に最下位な気がするのですが、その分、物価が安くて、収入に依存せずに得られる生活満足度が高い可能性が指摘されています。また、鳥取県が昨年のランクからジャンプアップしていますが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染確認数が全国最少で、人口比でも最少クラスに抑えるなど、COVID-19感染対策に成功していることが要因として分析されています。私が住む京都府とか、近隣の大阪府などは、まあ、こんなもんなんでしょうね。でも、京都府や大阪府に比べて、兵庫県のランクが高くなっています。

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ということで、それほど強い関係はないながら、Aera dot. のサイトから感染者数の推移と主な出来事のグラフを引用すると上の通りです。引用元の記事のタイトルは「菅首相『年末年始は感染者減少』と致命的な読み違えも 無策が招いた感染拡大」となっています。何ら、ご参考まで。

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2021年1月12日 (火)

大きく低下した12月の景気ウォッチャーと黒字の続く経常収支の先行きやいかに?

本日、内閣府から昨年2020年12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から11月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲10.1ポイント低下の35.5を示した一方で、先行き判断DIは+0.6ポイント上昇の37.1を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列で+1兆8784億円の黒字を計上しています。貿易収支が黒字となっており、米国や中国向けの自動車輸出などが回復している一方、輸入は原油を中心に前年同月から減少を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

20年12月の街角景気、現状判断指数は2カ月連続悪化
内閣府が12日発表した2020年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は35.5で、前の月に比べて10.1ポイント低下(悪化)した。悪化は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用が悪化した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は37.1で、0.6ポイント上昇した。改善は2カ月ぶり。家計動向、企業動向が改善した。
内閣府は基調判断を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる」から「新型コロナの影響により、このところ弱さがみられる」に変更した。
20年11月の経常収支、1兆8784億円の黒字 77カ月連続黒字
財務省が12日発表した2020年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆8784億円の黒字だった。黒字は77カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆5500億円の黒字だった。
貿易収支は6161億円の黒字、第1次所得収支は1兆7244億円の黒字だった。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に認定しています。

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よく知られているように、消費者マインド指標としては、本日公表の景気ウォッチャーとともに消費者態度指数があり、どちらもこのブログで取り上げているところながら、消費者態度指数はダイレクトに消費者世帯のマインドを調査しているのに対して、景気ウォッチャーは消費者マインドを反映しそうな事業者の供給サイドの指標となっています。ということで、先行き判断DIがわずかながら上昇した一方で、現状判断DIは10月の54.5から11月には前月差▲8.9ポイント低下の45.6に落ちた後、さらに、12月統計では▲10.1ポイントの低下で35.5まで下げてしまいました。このため、引用した記事にある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しに弱さがみられる」から「このところ弱さがみられる」に変更しています。いうまでもなく、悪化の大きな要因は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大であり、逆に、先行き判断DIは感染拡大が終息に向かうことを期待している可能性があると私は受け止めています。ですから、12月統計の現状判断DIを少し詳しく見ると、企業動向関連では、製造業・非製造業ともに前月差マイナスなのですが、非製造業のほうが大きな落ち込みを示していますし、家計動向関連では、飲食関連が▲20.5ポイント、サービス関連が▲19.9ポイントといずれも大きなマイナスを記録しています。先行きについては、繰り返しになりますが、先行き判断DIがわずかながらプラスを示しており、COVID-19終息期待があると想像されますが、もう、エコノミストの領域ではなさそうな気がしています。

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次に、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、COVID-19の影響は経常収支でも最悪期を脱した可能性がある一方で、第3波による2番底の可能性も排除できない、と考えています。内外の景気動向の差に基づく貿易赤字が主因となって経常収支が落ち込んでいましたが、季節調整済みの系列で見る限り、貿易収支は7月統計から黒字に転じ、本日公表の11月統計でも貿易黒字が拡大しいています。ただし、輸出の増加というよりは、国内景気に下がっ連動した輸入の減少に起因している面が強いと私は受け止めています。いずれにせよ、欧州でCOVID-19第3波によりロックダウンに入っている国もあり、あらゆる経済指標の先行きはCOVID-19次第と考えざるを得ません。

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2021年1月11日 (月)

木元哉多「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズ7巻を読み終える!!!

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昨夜、「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズ全7巻を読み終えました。小説というよりは、NHKのドラマ、中条あやみ主演で一部に話題になっていたような気がします。ドラマは見ていないのですが、いかにもドラマにしやすそうな短編、かつ、安楽椅子探偵ミステリです。もっとも、それは5巻までで、しかも5巻には沙羅の日常が挿入されていたり、あるいは、犯人当てが成功しなかったりと、少しバリエーションをもたせています。最後の6巻と7巻は長編で、似通ったテーマで、いかにも種切れをカンジさせる微笑ましい終わり方です。閻魔堂沙羅という警察ならざる超越存在が裁いていますので、物証ではなく論理性が重視されているという意味で、それなりに本格ミステリに仕上がっています。

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2021年1月10日 (日)

年末年始からの読書は2週間かかってもわずかに6冊か?

年末年始の2週間に読んだ読書です。ただし、この年末年始の読書は、「鬼滅の刃」のコミック全23巻が中心で、また、中条あやみ主演のNHKドラマで話題になったことから、最近まで『閻魔堂沙羅の推理綺譚』の原作全7巻も読んでいましたので、それとは別枠の通常読書ということになります。このお正月は初詣に出かけることすらなく、ほぼほぼ家で引きこもっていましたから、私の場合、かなり大量の読書をこなしたように思います。ハッキリいって、以下に取り上げた数冊のうちの専門書や教養書については、それほど印象に残るいい読書をした気もしませんから、まあ、すでに忘れ始めているものもあり、簡単なコメントで済ませておきたいと思います。ただし、定評あるミステリ作家の東野圭吾と伊坂幸太郎によるエンタメ小説2冊は面白かったです。コチラは2冊とも大学生協の本屋さんで1割引きで買い求めたもので、買ったかいがありました。

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まず、日本経済新聞社[編]『これからの日本の論点2021』(日本経済新聞出版) です。日本経済、日本企業、世界の3章に渡って、日経新聞の記者が23の論点を取り上げて、先行きの見通しなどをリポートしています。もっとも、脱炭素とか、ジョブ型の雇用とか、どうも誤解、というか、曲解に基づくリポートも見受けられます。第3章の世界の今後については、何分、米国大統領選挙の行方が判然としない段階だったものですから、決定的・断定的な結論が下せていません。バイデン大統領の就任後もしばらくはそうなのかもしれません。でも、米中関係が画期的に改善することもないのだろうという結論は、それなりに受け入れられやすい気もします。何といっても、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックの先行きが誰にもわからないものですから、日本も世界も、経済も政治も社会も、今年2021年がどのようになるかはハッキリしません。もっとも恐ろしいのは、現在の菅内閣がCOVID-19パンデミックについて、ほとんど何も理解していないようにすら見える点です。おそらく、無知や無理解に基づく対応の誤りなのではないかと、私自身は善意に受け止めているんですが、尾身先生がついていてすらこうなのですから、悪くいえば反知性的な対応を取っているようにすら見えかねません。尾身先生ですらダメなのですからどうしようもないこととは思いますが、別の誰かが、ちゃんと科学的な見方を教えてあげればいいのに、とすら思えてしまいます。

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次に、冨山和彦『コーポレート・トランスフォーメーション』(文藝春秋) です。これも、どうしようもなくありきたりなコンサルの見方を示しているだけで、何の目新しさもありません。データ・トランスフォーメーションのDXにならって、コーポレート・トランスフォーメーションをCXとしているだけで、プレゼンコトコンサルらしくてお上手なんですが、ほとんど何の中身もないと私は見ました。それから、これもコンサルですから仕方ありませんが、上から目線で、今の日本企業の欠陥をあげつらっているだけです。詳しい人からすれば、こんなこと、まだいってるの、というカンジかもしれません。前の『コロナショック・サバイバル』の続編であり、前作がそれなりに面白かったので図書館で借りて読んでみましたが、本編たる本書は決して出来はよくありません。買っていれば大損だったかもしれません。

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次に、ケネス B. パイル『アメリカの世紀と日本』(みすず書房) です。本書も、日本の対米従属を解き明かす鍵があるかと思って読んだのですが、ボリュームほどの内容の充実はありませんでした。日米関係史ではなく、あくまで米国史の中に日本を位置づけているわけで、その意味で、読ませどころはペリーによる開国の要求ではなく、むしろ、第2次世界対戦からコチラの現代史につながる部分なんだろうと思いますが、その中で、第2次世界大戦が終結する前に、米国は明確に「無条件降伏」による戦争の終わり方を目指していた、という下りには目を啓かれるものがありました。ただし、その後の戦後処理から現在に至るまで、米国のサイドから軍事を起点に、外交・政治、経済・社会、そして最終的に生活や文化に至るまで、いかに日本の対米従属を進めたか、そして、日本のエリート支配層がそれをいかに受け入れていったか、といったあたりにはやや物足りないものが残りました。もちろん、経済史ではなくあくまでプレーンな歴史学の研究成果でしょうから、仕方ないのかもしれません。

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次に、東野圭吾『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』(光文社) です。父親が殺されたアラサーの主人公の視点によるミステリです。なぜか、それほど面識ない叔父、すなわち、殺された父親の弟が事件解決に乗り出します。米国で手品師として成功しただけに手先の器用さや誘導尋問をはじめとする心理戦には強く、ややミステリとしては反則な気がしますが、科学的知識の「ガリレオ」シリーズほどの反則ではありません。いずれにせよ、「ガリレオ」シリーズと違って、ノックスの十戒に反しているわけではないと私は受け止めています。

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次に、伊坂幸太郎『逆ソクラテス』(集英社) です。短編集です。「逆ソクラテス」、「スロウではない」、「非オプティマス」、「アンスポーツマンライク」、「逆ワシントン」の5篇からなっており、私はタイトルにもなっている最初の「逆ソクラテス」は読んだ記憶があり、教員になって改めて「褒めて伸ばす」教育方針の重要性を認識させられています。ほかも、主人公は基本的に小学生、あるいは、せいぜいが中学生といった少年少女の視点からの小説です。バスケットボールや教師の磯憲などでつながりある短編も見受けられますが、すべての短編がつながっているわけではありません。でも、著者独特の正義感が感じられて、私はとても好きです。

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最後に、林望『定年後の作法』(ちくま新書) です。著者は、私にはよく判りません。本書の中で、自分で自ら「ベストセラーを書いた」旨を書いていますので、文筆業なのかもしれません。タイトルからしてそうなのですが、上から目線の押し付けがましい内容です。それを受け入れられる人にはいいのかもしれませんが、そうでなければ迷惑に感じそうな気すらします。本書ん冒頭から男女の枠割分担のような観点がポンポンと飛び出し、さすがに後半ではエディターのご注意があったのか、かなり減りますが、ここまで男女の枠割分担を明確にしているのは最近ではめずらしいかもしれません。ほかにも、定年後は1日2食でいいとか、大丈夫かね、エディターはちゃんと見てるのかね、と思わせるヘンな部分満載です。何よりも、定年前の50歳で早期退職したと自ら定年を迎えたことがないことを明らかにしているにも関わらず、こういった本を書かせるエディターの真意を測りかねます。年末年始で最大のムダな読書でした、というか、ここ10年でもまれに見るムダな時間の潰し方だった気がします。

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