2020年3月23日 (月)

今週から引越し体制に入りブログはお休み!!!

今週は引越し体制に入ります。
新しい職場の研究室には来週3月30日から出勤し始め、新しい京都の住まいでのインターネット開通はその翌日の3月31日になります。そのころか、あるいは、4月に入ってから再開するまでブログはお休みする予定です。

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2020年3月21日 (土)

明日の日曜日は暖かいが月曜日は寒の戻りで気温が10度ダウン!!!

昨日今日と着々と引越し準備を進めています。
明日まではいいお天気だそうで、明日中には荷造りを終えたいと考えています。

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明日中に荷造りを終えたいのは、明日の日曜日まで暖かで、明後日の月曜日から寒くなるから、というのもあります。上の画像は、22日の予想天気図と23日の上空1500m付近の気温をウェザーニュースのサイトから引用しています。もっとも、私が適当に結合させて縮小をかけています。

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2020年3月20日 (金)

東京最後の読書感想文!!!

3月第1週で読書は終わりと考えていましたが、いろいろな分野の予約してあった本が次々と利用可能となり、先週も今週も割合とまとまった数の本を読んでしまいました。おそらく、来週に京都に引越しすれば、公共図書館サービスは東京都区部と比較してものすごく貧弱になることが容易に想像されますので、私の読書もかなり影響を受けることと思います。ということで、今週こそ最後の読書感想文になるかもしれません。かなり話題を集めた経済書を中心に以下の4冊です。

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まず、ジョナサン・ハスケル + スティアン・ウェストレイク『無形資産が経済を支配する』(東洋経済) です。著者は、英国インペリアル・カレッジの研究者と英国イノベーション財団ネスタのやっぱり研究者なんだろうと思います。英語の原題は Capitalism without Capital であり、2018年の出版です。タイトル通りに、有形の資本、典型的には工場の建屋や機械設備、あるいは、政府が整備する道路や港湾などのインフラから、無形の資本の重要性が高まって来ていて、まあ、邦訳タイトルをそのまま引用すると「経済を支配する」ということを論証しようと試みています。そして、そういった無形資産が支配する無形経済になれば、格差の拡大などを招いたり、長期停滞につながったり、経営や政策運営の変更が必要となる可能性を議論しています。確かに、本書で展開しているのは極めてごもっともなところですが、逆に、かなりありきたりな印象です。特に新しい視点が提示されているようには見えません。おそらく、1970年代における2度の石油危機を経て、1980年代から指摘されていたような点をなぞっているだけで、4つのSとして、スケーラビリティ、サンク性、スピルオーバー、相互のシナジーを上げていますが、本書でまったく用いられていない用語でいえば、無形資産はたとえ私的財であっても公共財の性格を併せ持つ、ということで一気に説明がつきます。この点について、とても最新の研究成果とも思えない「スーパースター経済」などを援用しつつ議論しているだけで、もちろん、それなりに新しい研究成果も取り入れているんですが、特に新しい視点が入っているようには見受けられません。今までの無形資産に関する議論を整理するという点では、とても有益な読書でしたが、それだけ、という気もします。

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次に、ダロン・アセモグル & ジェイムズ A. ロビンソン『自由の命運』上下(早川書房) です。著者は、マサチューセッツ工科大学とシカゴ大学の研究者で、というよりも、前著の『国家はなぜ衰退するのか』のコンビです。英語の原題は The Narrow Corridor: State, Societies, and the Fate of Liberty であり、邦訳タイトルは原著のサブタイトルの3つめを取っているようです。2019年の出版です。冒頭で、ソ連東欧の共産諸国が崩壊した後、すべての国の政治経済体制が米国のような自由と民主主義に収れんするという意味のフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」と、その5年後のロバート・カプランの「迫りくるアナーキー」を対比させ、実は現在の世界はアナーキーに満ちているのではないか、という視点から本書は始まります。そして、著者の結論を先取りすれば、自由を実現し国民が自由を享受するためには法律とそれを強制する権力を持った国家が必要である、というものです。

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そして、上の画像のように、縦軸に国家の力、横軸に社会の力のカーテシアン座標に、その両者のバランスの取れた回廊がある、ということになっています。そこは国家が専横に陥ることなく、逆に、国家の力がなさ過ぎてアナーキーに陥ることもない、という意味で、ホントの自由が実現される回廊である、ということを議論しています。国家というリヴァイアサンに足かせを付ける、という表現も多用されていますし、国家が強力になったら同時に社会もパワーアップする必要がある、という意味での赤の女王の法則もしばしば言及されます。ただし、私は本書には2点ほど誤解があるように思います。第1に、自由と民主主義の混同、というか、取り違えです。本書では「自由」に力点を置いていますが私は「民主主義」ではなかろうかという気がしています。第2に、社会ではなく市民の力だと思います。まず、アナーキーと対比すべきで、本書で論じているのは、自由ではなく民主主義です。すなわち、アナーキーというのはある意味ではカギカッコ付きの「自由」であり、個々人が異なるウェイトを持った弱肉強食の世界といえます。資本主義下の株主総会の世界であり、単純に貨幣といってもいいのかもしれませんが、購買力によってウェイト付けされた社会です。格差を認めた上での不平等であり、民主的な1人1票の世界とは異なります。私はむしろウェイト付けのない民主主義の実現こそが本書で目指している世界ではないか、という気がします。そして、そういった社会における市民あるいは国民の資質を問うべきです。俗な表現に「民度」という言葉があり、少し保留が必要かもしれませんが、かなり近い概念です。例えば、識字率がある程度高まらないと民主的な投票行動も自由にできない、という側面は見逃すべきではありません。ですから、社会のパワーを考える基礎として市民の問題も考えないと、社会が市民なくしてポッカリと空中に浮かんでいるわけではありません。その意味で、もう少し教育の重視を指摘して欲しかった気がします。いずれにせよ、読めば判るんだろうと思いますが、前著の『国家はなぜ衰退するのか』に比べると、かなり見劣りします。その点は覚悟の上で読み始めた方がいいと私は考えます。

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次に、というか、最後に、デヴィッド・ウォルシュ『ポール・ローマーと経済成長の謎』(日経BP社) です。著者は、米国のジャーナリストであり、ボストン・グローブ紙の経済学コラムを担当しています。念のためですが、経済学コラムであって、経済コラムではないようです。英語の原題は Knowledge and the Wealth of Nations であり、邦訳タイトルに含まれているローマー教授だけではなく、むしろ、スミスの『国富論』になぞらえており、2019年の出版です。ということで、650ページを超える大著で、邦訳タイトルのローマー教授だけでなく、ノーベル経済学賞受賞者クラスのキラ星のような経済学者がいっぱい登場します。そして、誠に申し訳ないながら、この読書感想文をアップする現時点で、実は、まだ読み終えていません。これは15年近くのこのブログの歴史で初めてかもしれません。60歳を過ぎて、極めて異例な状況に置かれており、ご寛恕を乞う次第です。また、読み終えましたら、然るべき読書感想文をアップしたいと思いますが、これまた誠に申し訳ないながら、しばらくの間、このブログの更新は途絶えるかもしれません。

ということで、この3連休は引越し準備の荷造りに明け暮れる予定です。連休明けの3月25日に東京から荷物を搬出して、その翌26日に京都の新しい住まいで荷物を受け取る予定となっています。ただ、かなり早くから手配したつもりなんですが、インターネット回線の開通は3月31日です。それまで、新しい勤務先である私大の研究室に行って勤務を始めるつもりですが、3月31日ないし4月1日までブログの更新がストップしますので、悪しからずご了承下さい。

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2020年3月19日 (木)

新型コロナウィルスの影響により石油価格が下落し消費者物価(CPI)の上昇率も縮小!

本日、総務省統計局から2月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月から少し縮小して+0.6%を示しています。また、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+0.6%でした。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

2月の消費者物価、コロナ影響じわり マスク3.7%上昇
総務省が19日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.9と前年同月比0.6%上昇した。38カ月連続でプラスとなったが、伸び率は前月より縮小した。原油安などを背景に、エネルギー構成品目が2カ月ぶりに下落に転じたことが影響した。
材料費や人件費の高止まりを受け、外食は引き続き物価上昇に寄与した。一方、電気代や都市ガス代などの下落幅が拡大。ガソリン価格の上昇幅も縮小したことから、物価上昇の伸び率は前月(0.8%上昇)から縮んだ。携帯電話の通信料も大手各社の値下げの影響で、引き続き物価の下げ圧力となった。
足元で感染が拡大する新型コロナウイルス感染症のCPIへの影響については「一部の品目で影響が出た可能性があるが、全体に与える影響は小さかった」(総務省)と分析している。
具体的に新型コロナの影響が出た可能性があるものとしては、マスクの価格は前年同月比3.7%上昇した。宿泊料も下落幅が拡大。総務省は「新型コロナの感染拡大を受け訪日客が減少し、宿泊料値下げにつながった可能性もある」とみていた。
2月の生鮮食品を除く総合では397品目が上昇した。下落は106品目、横ばいは20品目だった。総務省は「緩やかな上昇が続いている」との見方を据え置いた。
2月の全国CPIで、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.8と0.6%上昇した。生鮮食品を含む総合は102.0と、0.4%の上昇。暖冬の影響で、キャベツなどの生鮮野菜の出荷水準が高く、野菜価格が高騰していた19年2月に比べると「価格が下がっている」(総務省)という。
総務省は昨年10月の消費税率引き上げの影響を機械的に調整したCPIの試算値も公表した。消費税率引き上げと幼児教育・保育無償化の影響を除いた場合、2月の生鮮食品を除く総合の物価上昇率は0.2%上昇と、1月(0.4%上昇)から伸び率は縮小した。

やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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ということで、新型コロナウィルス(COVID-19)は物価にまで影響をもたらしているのは明らかで、半ば面白おかしく、上で引用した記事でも、「マスク」は値上がりで、「宿泊料」は下げ、ということになっています。加えて、「外国パック旅行」や下げているようです。でも、私が考えるCOVID-19の我が国物価への最大の影響は石油価格を通じた価格押下げ圧力です。現在の国際商品市況における石油価格がかなり大幅に下げていることは広く報じられており周知の事実ですが、これはかなりの程度にCOVID-19の影響を受けたものです。すなわち、COVID-19の感染拡大を防止するため、我が国でも一部の国からの入国制限を設けており、逆に、我が国からの入国制限を課している国も少なくないことなど、ヒトやモノの移動が停滞しており、加えて、株式市場だけでなくマクロ経済の低迷が鮮明になっていることから、石油への需要が大きく減退している上に、産油国の間では価格支持のための減産合意どころではなく、逆に、サウジアラビアが増産するなど、世界的に石油の需給が緩んだことから、日経新聞のサイトで報じられているように、世界的な石油価格の指標となるWTI先物がバレル20ドルの安値を付けていたりします。ですから、かなりの程度に、先行き物価動向もCOVID-19次第の部分があります。

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2020年3月18日 (水)

中国からの輸入が激減した2月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から2月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲1.0%減の6兆3216億円、輸入額も▲14.0%減の5兆2117億円、差引き貿易収支は+1兆1098億円の黒字を計上しています。なお、新型コロナウィルス(COVID-19)に関連して注目された中国向け輸出額は▲0.4%減、輸入額は何と▲47.1%減を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

2月の貿易収支、中国からの輸入額47%減 86年8月以来の減少幅 新型コロナ響く
財務省が18日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、中国からの輸入額は前年同月比47.1%減の6734億円だった。輸入額の下げ幅は、中国政府が経済引き締め策を実施した影響が出た1986年8月(47.3%減)以来の大きさとなる。財務省は「新型コロナウイルス感染症の拡大で中国国内で生産活動の停止などの動きがみられたことから、その影響が出た可能性がある」とみる。
中国からの輸入減少に最も響いたのは、衣類・同付属品で65.7%減った。次いで携帯電話(45.3%減)、パソコンなどの電算機類(37.2%減)だった。輸出額は、半導体等電子部品などの輸出増加を支えに1兆1361億円と0.4%の減少にとどまった。
中国からの輸入額が大幅に減少した一方で、中国への輸出額は小幅減少にとどまったため、差し引きの中国との貿易収支は4627億円の黒字となった。対中国の黒字は2018年3月以来で、黒字額は過去最大となった。
対世界全体の輸出額は1.0%減の6兆3216億円と15カ月連続で減少した。輸入額は14.0%減の5兆2117億円と10カ月連続の減少で、差し引きの貿易収支は1兆1098億円の黒字となった。黒字は4カ月ぶりで、黒字額は2007年9月以来の大きさとなった。
輸出は中国向けの半導体等電子部品が増えた一方、米国向けの自動車や中国向けの金属加工機械が減少した。輸入はオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)が減少したことが大きく影響した。
対米国の貿易収支は6268億円の黒字と2カ月連続の黒字、対欧州連合(EU)の貿易収支は183億円の赤字と8カ月連続の赤字だった。対EUは今回の統計から英国を除いた数字となっている。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で+9172億円の貿易黒字が予想されていましたので、+1兆円をやや上回る貿易黒字とはいえ、まずまず、大きなサプライズをもたらしたわけではありません。ただ、上の輸出入のグラフ、特に下のパネルの季節調整済の系列でトレンドを見ると、明らかに輸出入ともに減少のトレンドにあります。特に、2月の貿易は中国発のCOVID-19の影響で輸出入とも減少しましたし、特に、中国の輸出、というか、我が国の中国からの輸入は、引用した記事のタイトルにもあるように、激減しています。ただし、中国との貿易に関しては、中華圏の春節の影響がとても大きいですから注意する必要があり、特に、昨年2019年の春節は2月5日からスタートし、今年2020年は逆に本来は1月30日までと、1月中に収まる予定でしたので、この上下の違いは大きいと考えるべきです。すなわち、季節調整していない原系列の貿易統計をそのまま見たりすれば、輸出入ともに今年2020年1月は大幅減で、逆に、2月は大幅増、となるのが通常の動きと考えるべきです。しかし、大幅増となると想定されていた今年2月の中国との貿易は逆に減少しました。いうまでもなく、COVID-19の影響であり、我が国からの輸出額こそ▲0.4%減という小幅な減少だったものの、中国からの輸入額は▲47.1%減とほぼ半減しました。強制的に春節休暇が継続され、操業停止が解除されたのが2月中旬ですから、当然です。中国国内の生産が大きくダウンしたわけですので、中国からの我が国の輸入も激減しており、まあ、何と申しましょうかで、マスクなんかが品薄になっているのも当然です。もちろん、マスクが品薄になっているのは中国での生産停滞だけではありません。ただし、少なくとも、中国ではCOVID-19の感染拡大は終息に向かっており、むしろ、現時点では欧州の方で感染が拡大しているのが実情のようです。いずれにせよ、COVID-19の経済的な影響は、私には何とも判りかねます。

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続いて、輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数(CLI)の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ただし、OECD先行指標については、1月統計が公表されていません。OECDのプレスリリース "Release of OECD Composite Leading Indicators Cancelled for March 2020" によれば、"CLI sub-components for many countries are not yet able to capture the effects of the more widespread Covid-19 outbreak." というのが理由とされています。ということで、世界経済とともに中国の景気も最悪期を脱し、これから上向きになろうかという矢先のCOVID-19でしたので、繰り返しになりますが、ダイレクトに中国向けだけでなく、中国向け輸出比率の高いアジア諸国向けの輸出も、我が国では当然に欧米諸国などよりも割合が高く、輸出を通じた日本経済へのダメージは少なくないものと考えます。中国向けの直接の輸出だけでなく、加えて、サプライチェーンの中で中国の占めるポジションからして、部品供給の制約から貿易への影響を生じる可能性も無視できません。欧米向け輸出についても、OECD先行指数を見る限り最悪期を脱したと考えられますが、中国経済の変調とともに、欧州でのCOVID-19の感染拡大もあって、今後の動向は不透明です。

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2020年3月17日 (火)

新型コロナウィルスの影響緩和のための経済対策を考える!!!

先週金曜日の3月13日付けで、第一生命経済研から「新型コロナウィルスで必要とされる経済対策」と題するリポートが明らかにされています。私のこのブログで何度か書きましたように、一昨年2018年10~12月期を山として、我が国景気はすでに景気後退局面に入っていた上に、昨年2019年10月から消費税率の引上げが実施され、加えて、今年2020年に入ってからは中国発の新型コロナウィルス(COVID-19)により、我が国経済は大幅な景気の停滞を経験しています。第一生命経済研のリポートでは、この景気局面を脱するための経済対策について論じられています。まず、リポートから1ページ目の(要旨)にある5項目のうち第1項と第2講を引用すると以下の通りです。

(要旨)
  • 経済対策の規模については、景気後退+消費増税+新型コロナウィルスの3重苦に対して、大型の補正予算が組まれることが予想される。しかし、景気後退+消費増税に伴うGDPギャップを解消するのに必要な規模の経済対策を前提とするだけでも9.8兆円規模の追加の経済対策が必要になる。
  • 東日本大震災と2014年4月消費増税の時は、GDPの実績がトレンドからそれぞれ▲3.8兆円、▲3.7兆円程度下方に乖離。消費増税の影響も前回はトレンドから▲0.9%の乖離に対し、今回は▲2.3%もトレンドから下方に乖離していることから、すでに新型コロナウィルス緊急対応策に加えて、需給ギャップの解消に必要な需要創出額10兆円以上の財政措置が必要となる。市場の不安を軽減するという意味でも規模は重要。

現在、参議院で来年度予算が審議中ですが、早くも年度が明けて4月に入れば経済対策の策定が予定されています。その規模感と中身の案などをこのリポートでは議論しているところ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、リポート p.2 から引用したGDPギャップの推計結果です。「ESPフォーキャスト2月調査」を利用して延伸して推計した結果です。ただし、3月13日付けの内閣府の今週の指標No.1233で「2019年10-12月期GDP2次速報後のGDPギャップの推計結果について」において、2次QEの下方改定に従ってGDPギャップのマイナス幅も拡大したのは織り込まれていません。ですから、経済対策としては軽く10兆円を超える規模が想定されます。ということで、リポートでは、リーマン・ショック後の2009年4月の「経済危機対策」における財政支出の規模15.4兆円に言及しています。
経済対策の中身についてリポートでは、リーマン・ショック後の定額給付金方式では貯蓄に回って需要が顕在化しない可能性があると指摘し、すでに予定されているマイナンバーカードへのマイナポイントに加えて、リーマン・ショック後のエコポイントに近いキャッシュレスポイント還元に加えて、大胆にも、時限措置による消費税率の引下げまで踏み込んで主張しています。さらに、COVID-19対策としての意味もあるリモート設備導入に向けた補助制度の拡充、特に、学校や家庭にリモート学習可能な設備の導入補助の必要性などを論じています。

新しい経済対策が議論される4月になれば、私も私大教員として日本経済に携わる立場に復帰しています。景気も私の立場もともにビミョーな時期ながら、現在の緊縮財政を打破すべく、いろんな議論が行われるのはいいことだという気がします。

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2020年3月16日 (月)

2か月連続で前月比プラスとなった機械受注の今後の見通しやいかに?

本日、内閣府から1月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+2.9%増の8,394億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

1月の機械受注は2.9%増 基調判断「足踏みがみられる」で据え置き
内閣府が16日発表した1月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比2.9%増の8394億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値(1.2%減)を上回った。内閣府は機械受注の基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業の受注額は前月比4.6%増の3803億円だった。17業種のうち10業種で増加した。電気機械業でクレーンなど運搬機械が伸びた。非鉄金属業において原子力原動機の受注も伸びた。
非製造業は1.7%減の4607億円だった。12業種のうち5業種で減少した。運輸・郵便業が低調だったほか、金融・保険業でCPU(中央演算処理装置)をはじめとした電子機器の受注が振るわなかった。
受注総額は11.5%増、外需の受注額は9.1%増だった。官公需の受注は大型案件の受注が寄与して87.8%増だった。
前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は0.3%減だった。
1~3月期の「船舶・電力を除く民需」の見通しは前期比2.0%減だった。製造業は1.0%減、非製造業は5.2%減を見込む。今回の調査で季節調整値の改訂をしたため、見通しの数字も修正された。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月比▲1.2%減でしたが、予測レンジ上限は+4.2%増でしたから、実績の+2.9%は増はレンジに収まっており、それほど大きなサプライズはないという印象です。引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「足踏みがみられる」で据え置いています。コア機械受注の前月比+2.9%増を製造業と非製造業に分けて見ると、製造業は昨年12月の+2.4%増に続いて、2か月連続の前月比プラスで1月も+4.6%増、他方、非製造業は12月▲18.8%減に続いて、これまた2か月連続のマイナスで1月も▲1.7%減となっていて、明暗がクッキリと分かれています。製造業に関しては、いわゆる5Gといわれる第5世代移動通信システムへの対応による投資増加の可能性が指摘れされており、他方、非製造業においては、私には要因不明ながら、人手不足の影響大きいといわれている運輸業・郵便業が2か月連続で現象を見せており、この寄与が大きくなっています。しかし、何といっても、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大の影響が先行き最大のリスクと考えるべきです。まず、マインドの冷え込みが懸念されますし、消費はもちろん、需要の低迷に加えて、中国国内をはじめとしてサプライ・チェーンへの影響という供給サイドの要因も世界経済停滞の深刻化や長期化をもたらすわけで、今後のマインドと需要要因と供給要因の動向を注視する必要があるのは明らかです。ただ、私のような専門外のエコノミストは注視するだけで、それ以上は手の施しようがありません。

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2020年3月15日 (日)

健康を守るためのマスクと本末転倒に関する本日の雑感!!!

数日前に、Yahoo! ニュースで見たんですが、どこかのドンキホーテでのマスクの売り方が話題になっていました。箱ではなく袋に7枚入ったマスクで「お一人様1点目までの価格は298円(税別)、2点目から9999円(税別)」の価格をつけているそうです。画像もありました。ツイッターでは賛否両論が見受けられるそうです。もっとも、大量のコメントが付けられるツイッターでは賛否両論なく、すべてが賛否のどちらかになる、なんてケースは考えられません。
ということで、実は、我が家の近くのドラッグストアでも、今日になって私も発見しましたが、マスクを売っていたと思しき痕跡が見られました。マスクの価格札の残った空っぽのワゴンや棚とか、入り口に開店前に並ぶ列を指定する張り紙などです。
我が家は私が花粉症ですから、シーズンインの前にマスクは少しばかり買い込んであり、まずまず今月いっぱいは買い足す必要はありませんし、いくらなんども3月中にはマスクが出回るものと楽観していて、開店前の早朝から並ぶことはまったく考えていません。ただ、マスクの購入については、私もいくつかエピソードを聞いていて、実際の目的と KPI=Key Performance Indicator を取り違えた本末転倒のケースがいくつか典型的に見られるような気がします。
まず、我が家もそうだったんですが、新型コロナウィルス(COVID-19)の流行が始まったころ、カミさんや帰省して来た下の倅などにドラッグストアの前を通る際にマスクを売っているなら買うように言い置いたところ、要するに、ドラッグストアにマスク販売の有無を確認しに行くというKPIが自己目的化して、本来の目的であるマスクを買うのではなく、ドラッグストアに行けばOK、というカンジになっていました。そして、次に、朝の開店前のまだ寒い中を早くから並んでマスクを買おうとする行為は、むしろ健康にはよくないような気がします。すなわち、本来は、健康を守るという目的だったのが、そのKPIのひとつであるマスクを買うというのが自己目的化してしまって、本来の目的である健康を犠牲にしてまでも早朝から開店前のドラッグストアに並んでマスクを買い求める、という行動になるんだろうという気がします。
まあ、このような本来の目的とKPIを取り違えうケースというのはいっぱいあって、例えば、企業経営でも、本来、企業というのは経済学的には利潤最大化を目的にするハズなんですが、その前段階のKPIとして売上の目標を設定したり、さらにその前段階のKPIとして来店客数を設定する例の少なくありません。でも、例えば、売上を伸ばすために大幅なディスカウントをしたりすれば、利潤最大化には阻害要因となる場合があるかもしれません。

後10日ほどとなった残り少ない東京の日々を、いろいろと考えて過ごしている週末でした。

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2020年3月14日 (土)

今週の読書も経済書などをついつい読んで計4冊!!!

本格的な読書は先週までと考えていたんですが、今週もついつい読み過ぎたような気がします。おかげで引越し作業がなかなかはかどりません。来週も、実は、話題のアセモグル & ロビンソン『自由の命運』がすでに図書館に届いており、また、ユヴァル・ノア・ハラリの『21 Lessons』やウォルシュの『ポール・ローマーと経済成長の謎』なども予約順位が迫っており、ひょっとしたら、それなりの読書になるかもしれません。なお、本日の朝日新聞の書評欄を見ると、2月1日の読書感想文で取り上げた『ワンダーウーマンの秘密の歴史』とその次の週の2月9日に取り上げた『男らしさの終焉』の書評が掲載されていました。1か月以上も新聞に先んじるのはそれなりに気分がいいものかもしれません。

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まず、ハロルド・ウィンター『やりすぎの経済学』(大阪大学出版会) です。著者は、米国オハイオ大学の経済学研究者です。英語の原題は The Economics of Excess であり、2011年の出版です。副題が、上の表紙画像に見られるように「中毒・不摂生と社会政策」とされており、古くは、ベッカー教授とマーフィー教授による "A Theory of Rational Addiction" なんて、画期的な論文もありましたが、もちろん、今どきのことですから、行動経済学の知見も取り入れて、非合理的な選択の問題にも手を伸ばしています。ただ、大阪大学出版会から出ているとはいえ、各章の最後に置かれている文献案内を別にすれば、決して学術書ではありません。一般ビジネスマンなどにも判りやすく平易に書かれていて、その肝は時間整合性に的を絞っている点だろうと私は理解しています。本書冒頭では、時間整合的でその点を自覚している人物、時間非整合でありながらそれを自覚していない人物、時間非整合でそれを自覚している人物、の3人の登場人物を軸にして、時間割引率に基づく時間整合性のほかの非合理性には目をつぶって、もちろん、誤解や認識上の誤りは排除して、さらに、喫煙、肥満、飲酒の3つのポイントだけを取り上げて議論を進めています。その上で、温情的=パターナリスティックな政策の効果などについても視点を展開し、価値判断ギリギリの見方を提供しています。薬物に関する議論を書いているのはやや物足りないと感じる向きがあるかもしれませんが、私は基本は喫煙の先に薬物中毒があると受け止めていますので、特に本書の大きな欠陥とは思えません。ただ、何せ10年近く前の出版ですので、セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞する前であり、最近の行動経済学の展開がどこまで反映されているかに不安を覚える向きがありそうな気もしますが、かなりの程度に一般向けですので、そこまで気にする必要はないように思います。

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次に、ウルリケ・ヘルマン『スミス・マルクス・ケインズ』(みすず書房) です。著者は、ドイツの経済ジャーナリストです。本書のドイツ語の原題は Kein Kapitalismus Ist Auch Keine Lösung であり、巻末の訳者解説に従えば、日本語に直訳すると「資本主義を取り除いても解決にならない」という意味だそうです。2016年の出版です。ということで、かなりリベラルな立場から主流派経済学、というか、ネオリベ的な経済学を批判しており、その際の論点として、邦訳タイトルにある経済学の3人の巨匠に根拠を求めています。実は、すでに定年退職してしまった私なんですが、大学を卒業して経済官庁に、今でいうところの就活をしていた際に、「大学時代に何をやったか」との問いに対して、「経済学の古典をよく読んだ」と回答し、スミスの『国富論』、マルクスの『資本論』、ケインズの『雇用、利子および貨幣の一般理論』を、リカードの『経済学および課税の原理』とともに上げた記憶があります。当然のリアクションとして、「マルクス『資本論』を読んだというのはめずらしい」といわれてしまいましたが、無事に採用されて定年まで勤め上げています。まあ、私の勤務した役所の当時の雰囲気がマルクス『資本論』くらいは十分に許容できる、というスタンスだったと記憶しています。でも、さすがに、私は役所の官庁エコノミストの中では最左派だったのは確実です。周囲もそう見なしていたと思います。本書の書評に立ち返ると、自由放任とか見えざる手で有名なスミスについても、著者の間隔からすれば十分に社会民主主義者であったであろうし、マルクスが実生活はともかく共産主義者であった点は疑いのないところですし、ケインズは逆に自分自身では保守派と位置付けていたにもかかわらず、ネオリベ的なコンテキストで考えると十分左派であるのもそうなんだろうと思います。本書では、格差の問題などの現代的な経済課題を取り上げ、副題にあるような危機の問題も含めて、資本主義経済の問題点をいくつかピックアップした上で、決して、資本主義が社会主義に移行することが歴史の流れではないし、資本主義経済の諸問題の解決にもならない、としつつ、ネオリベ的な市場に任せた処方箋を明確に否定し、3人の古典的なエコノミストにも依りつつ、解決策を探ろうと試みています。ただ、シュンペーター的な技術革新や独占化の進展、さらに、デリバティブ取引の拡大などを指して経済の金融化の進展、などなど、かなりいいセン行っているんですが、最後の結論は少し私には違っているように見受けました。

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次に、デイヴィッド・スローン・ウィルソン『社会はどう進化するのか』(亜紀書房) です。著者は、米国ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の進化生物学の研究者であり、いわゆるマルチレベル選択説の提唱者です。英語の原題は This View of Life であり、2019年の出版です。がん細胞、免疫系、ミツバチのコロニーから、「多細胞社会」としての人間まで議論を進め、進化生物学の最前線から人間の経済社会活動のメカニズムを解剖しようと試みています。がん細胞はマルチレベル選択の実証的ですぐれた例を提供するとしています。経済学との関係では、特に、ノーベル経済学賞を受賞したエレノア・オストロム教授が提唱した失敗と成功を分かつ8つの中核設計原理(CDP)をベースにした解説はそれなりに説得力あります。8つのCDPとは、CDP1: 強いグループアイデンティティと目的の理解、CDP2: 利益とコストの比例的公正、CDP3: 全員による公正な意思決定、CDP4: 合意された行動の監視、CDP5: 段階的な制裁、CDP6: もめごとの迅速で公正な解決、CDP7: 局所的な自立性、CDP8: 多中心性ガバナンス、です。その上で、自由放任=レッセ・フェールとテクノクラートによる中央計画はどちらも機能しないといい切り、変異と選択の管理プロセスを機能する方法のひとつと位置付けています。典型的なマルチレベル選択説であり、社会的な協調が文化的な進化を進める原動力、ということなのだろうと私は受け止めています。ですから、望ましい経済社会を形成して維持し続けるための政策を立案するに当たっては、進化生物学の視点が不可欠、ということなんでしょうが、本書でも指摘しているように、進化と進歩は同一ではありませんし、進化とは望ましい方向という面はあるにせよ、実は、何らかの変化に対する適応のひとつの形式なんではないか、と私は思っています。がん細胞が正常な細胞を阻害するわけですから、進化生物学がよき社会のために、あるいは、安定した経済のために決定的に重要、とまでは断定する自信はありません。

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最後に、アンソニー・ホロヴィッツ『メインテーマは殺人』(創元推理文庫) です。著者は、2018年の『カササギ殺人事件』で邦訳ミステリでミステリのランキングを全制覇し、一躍著名作家に躍り出ましたが、何と、本書で2年連続の邦訳ミステリのランキング全制覇だそうです。英語の原題は The Word Is Murder であり、2017年の出版です。『カササギ殺人事件』では、瀕死の名探偵アティカス・ピュントが謎解きを見せましたが、本書では刑事を退職したダニエル・ホーソーンが事件解決に挑み、何と、著者ホロヴィッツ自身が小説に実名かつ現実の作家や脚本家として、探偵のホームズ役のホーソーンに対して、記録者としてワトソン役を務めます。ということで、財産家の女性が、自分自身の葬儀の手配のために葬儀社を訪れた当日に絞殺されるという殺人事件から始まり、被害者の女性が約10年前に起こした自動車事故との関連が調査されるうち、被害者の女性の息子で有名な俳優も殺される、という連続殺人事件の謎解きが始まります。巻末の解説にあるように、すでにホーソーン探偵を主人公に据えた第2作の原作がすでに出版されていて、ピュントのシリーズも今後出版される予定だそうです。ミステリとしては実に本格的かつフェアな作品に仕上がっており、ノックスの十戒にも則って、犯人は実にストーリーの冒頭から登場します。いろんな伏線がばらまかれた上に、キチンと回収されます。我が国の新本格派も同じで、殺人まで進むにはやや動機に弱い点があったり、探偵役のホーソーンのキャラがイマイチですし、著者自身がワトソン役を務めるという意外性などは私自身は評価しませんが、ミステリとしてはとても上質です。ミステリファンであれば読んでおいて損はないと思います。

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2020年3月13日 (金)

新型コロナウィルス(COVID-19)の影響は経済見通しにどのように現れているか?

今週月曜日3月9日に内閣府から公表された昨年2019年10~12月期GDP統計速報2次QEを受けて、シンクタンクや金融機関などから短期経済見通しがボチボチと明らかにされています。四半期ベースの詳細計数まで利用可能な見通しについて、年半ばの東京オリンピック・パラリンピックの後、今年2020年いっぱいくらいまで取りまとめると以下の通りです。なお、下のテーブルの経済見通しについて詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。計数の転記については慎重を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、各機関のリポートでご確認ください。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名2019/10-122020/1-32020/4-62020/7-92020/10-12
actualforecast
日本経済研究センター▲1.8
(▲7.1)
▲0.7+0.5+0.8+0.3
日本総研(▲2.7)(+1.2)(+5.8)(+1.2)
大和総研(▲4.3)(+4.9)(+2.3)(+0.8)
ニッセイ基礎研▲1.1
(▲4.2)
+1.1
(+4.6)
+0.7
(+2.9)
+0.2
(+0.9)
第一生命経済研▲0.9
(▲3.6)
+0.3
(+1.2)
+0.8
(+3.3)
+0.7
(+2.8)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲1.3
(▲5.0)
+1.2
(+5.0)
+2.8
(+11.7)
▲0.3
(▲1.3)
SMBC日興証券▲1.5
(▲5.8)
+0.7
(+2.7)
+1.5
(+6.1)
+0.7
(+2.9)
農林中金総研▲0.2
(▲0.8)
+0.2
(+1.0)
+0.9
(+3.5)
▲0.5
(▲1.8)
東レ経営研▲1.3+0.6+0.9+0.6

各列の計数については上段のカッコなしの数字が季節調整済み系列の前期比で、下段のカッコ付きの数字が前期比年率となっています。2019年10~12月期までは内閣府から公表された2次QEに基づく実績値、今年2020年1~3月期からは見通しであり、すべてパーセント表記を省略しています。なお、日本経済研究センターと東レ経営研のリポートでは前期比の成長率しか出されておらず、逆に、日本総研と大和総研では前期比年率の成長率のみ利用可能でしたので、不明の計数は省略しています。ということで、見れば明らかなんですが、10月の消費税率の引上げの後、2019年10~12月期が大きなマイナス成長となったのに続き、足元の1~3月期もマイナス成長が確実と見込まれています。ただ、これまた、すべての機関で4~6月期にはプラス成長に回帰し、オリンピック・パラリンピックといったイベントもあることから、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大が終息すれば、年央の4~6月期や7~9月期には、かなり大きなリバウンドが予想されています。ただし、その後の101~2月期には景気は息切れし、成長率は大きく減速して、シンクタンクによってはマイナス成長を見込む機関すらあります。
我が国景気に対する私の基本的な見方は、足元の2020年1~3月期もマイナス成長を記録し、テクニカルな景気後退シグナルが発せられるとともに、景気動向指数などの指標を見るにつけ、2018年10~12月期を景気の山として、すでに我が国は景気後退局面に入っているのではないか、というものです。直近の景気動向指数CI一致指数のピークは2018年10月の104.1であり、鉱工業生産指数(IIP)でも2018年10月の105.6です。2019年3月に定年退職した私のそのあたりまでの景気の実感として、このCI一致指数やIIPのピークの2018年10月あたりが景気の山と考えるべきではないか、という気がしています。それにしては、景気後退の落ち方のスロープが従来のパターンに比べて緩やかなんですが、人手不足を背景とした雇用が国民生活の安定を支えたことに加えて、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要、さらに、緩和の続く金融政策が経済活動を下支えしている、といったあたりが理由と考えられます。ただ、何としても不透明な要因として、新型コロナウィルス(COVID-19)の流行拡大があります。多くのシンクタンクなどの見通しでは、一部繰り返しになるものの、~6月期に終息し、年央は東京オリンピック・パラリンピックで景気も盛り上がり、年末にかけて息切れする、というのが基本シナリオなんですが、東京でのオリンピック・パラリンピックの開催がそもそも不可能となり、一気に景気が奈落の底に突き落とされる、という可能性もゼロではありません。まあ、何としても避けたいシナリオであることは間違いありませんが、私ごとき専門外のエコノミストには予測のしようがありません。
下のグラフは、ニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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