2022年9月28日 (水)

9月調査の日銀短観予想やいかに?

来週月曜日10月3日の公表を控えて、シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は来年度2022年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックやウクライナ危機といった経済外要因の動向次第という面があり、シンクタンクにより大きく見方が異なることになってしまいました。それでも、景況感が低下するのは明らかだという予想です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+9
+13
<+14.1>
n.a.
日本総研+8
+12
<+13.9%>
先行き(12月調査)は、全規模・全産業で9月調査対比+3%ポイントの上昇を予想。供給制約の緩和により生産活動が正常化に向かうほか、国内の旅行支援策の実施や水際対策の緩和に伴い、サービス業を中心に景況感が改善する見込み。ただし、海外経済の減速や原材料価格の上昇が引き続き製造業の景況感の重石に。
大和総研+10
+12
<+14.9%>
大企業製造業では、半導体不足の緩和による生産拡大を見込む「自動車」の業況判断DI(先行き)が上昇するとみている。大企業非製造業については、「全国旅行支援」による旅行需要の回復の後押しや、水際対策の更なる緩和によるインバウンドの増加への期待感から、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」、「小売」といった業種で業況判断 DI(先行き)が上昇すると予想する。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+10
+13
<+14.6%>
製造業・業況判断DIの先行きは、横ばいでの推移を予測する。自動車生産の回復が緩やかにとどまることに加えて、海外経済の減速や半導体市場の調整が重石となろう。(略) 一方、非製造業・業況判断DIの先行きは2ポイントの改善を見込む。対人接触型サービス消費持ち直しへの期待から、宿泊・飲食サービスや対個人サービス(遊園地・テーマパークや美容室等)中心に改善するだろう。
ニッセイ基礎研+11
+12
<+6.3%>
先行きの景況感は方向感にばらつきが出ると予想している。まず、製造業・非製造業ともに、原材料・エネルギー高の継続や値上げによる需要減少に対する懸念が燻る。さらに、製造業では利上げによる欧米の景気後退、中国での都市封鎖再発、国内での冬場の電力不足などへの懸念も加わり、先行きにかけて景況感の悪化が示されそうだ。一方、非製造業ではコロナの感染縮小や水際対策の緩和などに伴う人流のさらなる回復への期待が反映され、先行きにかけて、景況感の小幅な回復が示されると見ている。
第一生命経済研+12
+7
<大企業製造業+21.4%>
9月の短観は、大企業・製造業が前回比+3ポイントと小幅改善すると見込まれる。6月に上海ロックダウンが解除されて、需要のリバウンドが生産回復に寄与している。しかし、その先では米利上げが世界経済を減速させる懸念も控えている。2022年度計画全体の変化にも目配りをしておく必要がある。
三菱総研+12
+12
<+14.5%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が9月時点から▲1%ポイント低下の+11%ポイント、非製造業は+2%ポイント上昇の+14%ポイントと予測する。製造業は、米欧の利上げ加速に伴う外需の減速懸念から悪化を見込む。一方、非製造業は、本格的な経済活動正常化への期待から改善を見込む。水際対策緩和等を背景にインバウンド需要回復が見込まれることも押し上げ要因となろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+11
+15
<大企業全産業+17.4%>
日銀短観(2022年9月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業で、前回調査(2022年6月調査)から2ポイント改善の11と、4四半期ぶりの改善が見込まれる。円安と資源価格高によるコスト上昇が多くの業種で企業収益を圧迫する一方、供給制約の緩和で自動車や機械類を中心に景況感の悪化に歯止めがかかり、改善に向かうとみられる。先行きは、加工業種を中心に供給制約の緩和継続が期待され、2ポイント改善の13となろう。
農林中金総研+12
+14
<+14.5%>
先行きに関しては、引き続き、一次産品価格の高騰による収益圧迫への警戒が強いほか、欧米諸国での利上げ加速による景気鈍化懸念やゼロコロナ政策を続ける中国経済の足踏み、欧州のエネルギー危機への警戒が不安材料ともみられるが、非製造業ではウィズコロナへの移行、インバウンド需要の回復などへの期待も根強いと思われる。以上から、製造業では大企業が10、中小企業が▲3と、今回予測からともに▲2ポイントの悪化予想と見込む。一方、非製造業では大企業が14、中小企業では1と、今回予測からともに+1ポイントと改善を予想する。

極めて大雑把に見て、6月調査からの変化として9月調査の短観では、大企業製造業・非製造業ともに業況判断DIは横ばい、ただ、直感的には製造業がわずかに改善、非製造業がわずかに悪化、加えて、設備投資計画もほぼ横ばいながら、やや上方修正、というように私は受け止めています。また、先行き業況判断は改善方向にある、といえそうです。ただし、設備投資計画については、6月調査から9月調査への修正幅は小さくても、昨年度からの設備投資の伸びは全規模全産業で+10%超とかなり大きいわけですから、ここ2年余り新型コロナウィルス感染症(COVID-19)もあって設備投資に積極的でなかった企業が、改めて、人手不足や先行きの将来見通しも明るくなり、旺盛な設備投資意欲を示している雰囲気が伝わってきます。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから業況判断DIの推移を引用しています。

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2022年9月27日 (火)

8月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)は+2%近い高い上昇率が続く!!!

本日、日銀から8月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.9%を記録し、変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIも+1.5%の上昇を示しています。サービス物価指数ですので、国際商品市況における石油をはじめとする資源はモノであって含まれていませんが、こういった資源価格の上昇がジワジワと波及している印象です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、18カ月連続上昇 8月1.9% 日銀
日銀が27日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は107.1と前年同月比1.9%上昇した。上昇幅は7月から縮小したものの、18カ月連続のプラスとなった。堅調な移動需要を背景に国内航空旅客輸送などが上昇した。
宿泊サービスや情報通信なども上昇した。宿泊サービスは新型コロナウイルス感染拡大のなかでも行動制限がなかったことが影響した。情報通信ではソフトウエア開発などでシステムエンジニア職の人件費上昇が押し上げ要因となった。
調査対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは100品目、下落したのは18品目だった。

コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業物価指数(PPI)とともに、企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。なお、影を付けた部分は、日銀公表資料にはありませんが、景気後退期を示しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率の最近の推移は、昨年2021年3月にはその前年2020年の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響の反動もあって、+0.7%の上昇となった後、2021年4月には+1.1%に上昇率が高まり、本日公表された今年2022年8月統計まで、18か月連続の前年同期比プラス、17か月連続で+1%以上の上昇率を続けていて、6月統計と7月統計では+2%に乗せました。ただし、最新の8月統計では+1.9%とやや上昇幅を縮小させつつも、高止まりしている印象です。基本的には、石油をはじめとする資源価格の上昇がサービス価格にも波及したコストプッシュが主な要因と私は考えています。ですから、上のグラフでも、SPPIのうちヘッドラインの指数と国際運輸を除くコアSPPIの指数が、最近時点で少し乖離しているのが見て取れます。もちろん、ウクライナ危機の影響に加えて、新興国や途上国での景気回復に伴う資源需要の拡大もあります。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づく8月統計のヘッドライン上昇率+1.9%への寄与度で見ると、石油価格の影響が強い運輸・郵便が+0.67%、土木建築サービスや宿泊サービスなどの諸サービスが+0.60%、リース・レンタルが+0.35%、損害保険や金融手数料などの金融・保険が+0.13%、などとなっています。また、寄与度ではなく大類別の系列の前年同月比上昇率で見ても、特に、運輸・郵便が+4.1%の上昇となったのは、エネルギー価格の上昇が主因であると考えるべきです。もちろん、資源価格のコストプッシュ以外にも、リース・レンタルの+4.6%、広告の+1.8%の上昇などは、それなりに景気に敏感な項目であり、需要の盛り上がりによるディマンドプルの要素も大いに含まれている、と私は受け止めています。ですので、エネルギーなどの資源価格のコストプッシュだけでなく、国内需要面からもサービス価格は上昇基調にあると考えていいのかもしれません。
ただし、やや細かな点ですが、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率が6~7月の+2.0%から8月には+1.9%にやや上昇ペースが鈍っている一方で、石油価格の影響の強い国際運輸を除くコアSPPI上昇率は5~7月の+1.3%から8月には+1.5%に上昇ピッチが上がっています。単なる計測誤差である可能性が十分あるとは思いますが、インフレの主たる要因が、石油をはじめとする資源高から、その国内への波及によるホームメード・インフレに移ってきている可能性が無視できない、と私は考えています。

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最後に、企業向けサービス価格指数(SPPI)を離れると、昨日、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し中間報告」OECD Economic Outlook, Interim Report September 2022 が公表されています。副題は Paying the Price of War となっています。上のテーブルはOECDのサイトから Table 1. OECD Interim Economic Outlook GDP projections September 2022 を引用しています。今年2022年はそれほど大きな修正ではありませんが、来年2023年の成長率見通しは大きく下方修正されています。同じサイトには Summary が12点上げられているのですが、そのうちの3点目は、"Global growth is projected to slow from 3% in 2022 to 2¼ per cent in 2023, well below the pace foreseen prior to the war. In 2023, real global incomes could be around USD 2.8 trillion lower than expected a year ago (a shortfall of just over 2% of GDP in PPP terms)." と指摘しています。直接的な要因はインフレ抑制のための金融引締めなのですが、その大元の原因であるロシアのウクライナ侵攻が世界の経済減速をもたらしている、という主張です。

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2022年9月26日 (月)

今年2022年のノーベル経済学賞やいかに?

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ノーベル財団から今年のノーベル賞の授与日程がすでに明らかにされています。以下の通りです。

10月3日
生理学・医学賞
10月4日
物理学賞
10月5日
化学賞
10月6日
文学賞
10月7日
平和賞
10月10日
経済学賞

そして、10月のノーベル賞ウィークを前に、9月21日、クラリベイト引用栄誉賞 Cralivate Citation Laureates 2022 が明らかにされています。経済学分野は以下の通り8人となっています。レイヤード男爵とオズワルド教授が英国人であるほかは、すべて米国人となっています。分野としては、国家発展における政治経済制度の分析、幸福の経済学、互恵主義や利他主義などの社会的協力を含む経済行動の分析、です。

nameaffiliationmotivation
Daron AcemogluInstitute Professor, Department of Economics, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MassachusettsFor far-reaching analysis of the role of political and economic institutions in shaping national development
James A. RobinsonReverend Dr. Richard L. Pearson Professor of Global Conflict Studies, and Institute Director, The Pearson Institute for the Study and Resolution of Global Conflicts, Harris School of Public Policy, University of Chicago, Chicago, Illinois
Simon JohnsonRonald A. Kurtz (1954) Professor of Entrepreneurship of Economics and Professor, Global Economics and Management, MIT Sloan School of Management, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, Massachusetts
Richard A. EasterlinUniversity Professor Emeritus of Economics, University of Southern California, Los Angeles, CaliforniaFor pioneering contributions to the economics of happiness and subjective well-being
Richard Layard/LordCo-Director, Community Wellbeing Programme, Centre for Economic Performance, London School of Economics, London
Andrew J. OswaldProfessor of Economics and Behavioural Science, University of Warwick, Coventry
Samuel BowlesResearch Professor and Director of the Behavioral Sciences Program, Santa Fe Institute, Santa Fe, New Mexico; Professor Emeritus, Department of Economics, University of Massachusetts, Amherst, MassachusettsFor providing evidence and models that broaden our understanding of economic behavior to include not only self interest but also reciprocity, altruism, and other forms of social cooperation
Herbert GintisProfessor Emeritus, Department of Economics, University of Massachusetts, Amherst, Massachusetts; External Professor, Santa Fe Institute, Santa Fe, New Mexico

今年のノーベル経済学賞は誰でしょうか?

なお、本日、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し中間報告」OECD Economic Outlook, Interim Report が公表されるとアナウンスされています。10月早々にIMF・世銀総会があって、IMFの「世界経済見通し」が公表されるハズなので、それほど注目はしていませんが、何かの機会に取り上げるかもしれません。取り上げないかもしれません。

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2022年9月24日 (土)

今週の読書は経済所や歴史書をはじめとして計5冊!!!

今週の読書感想文は以下の通り、経済書、歴史書、教養書と新書の計4冊です。ややボリュームのある本が多かった気がします。ただし、いわゆるシルバー・ウィークでお休みが多かったので、新刊書読書だけでなく文庫本も何冊か読んでいて、葉室麟「いのちなりけり」のシリーズ、すなわち、『いのちなりけり』、『花や散るらん』、『影ぞ恋しき』上下を再読していたりします。
なお、今年の新刊書読書は、1~3月期に50冊、4~6月期に56冊、従って、今年前半の1~6月に106冊、そして、7~8月で45冊、先週までの9月で16冊、今週が5冊ですので、今年に入ってから172冊となりました。

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まず、河野龍太郎『成長の臨界』(慶應義塾大学出版会)です。著者は、BNPパリバ証券のチーフエコノミストです。とても包括的に金融と経済について論じています。出版社から受ける印象ほど学術書ではありません。一般のビジネスパーソンでも十分読みこなせると思います。著者は、日銀の異次元緩和をはじめとする金融緩和の継続に疑問を呈したり、あるいは、財政では赤字財政を批判して財政再建を目指すべき議論を提起したりと、アベノミクスにはかなり批判的な意見を持っていたエコノミストであり、本書でも同様の議論が展開されています。特に、星・カシャップのラインに沿って、緩和的な金融制作や財政政策が日本のように長期にわたって継続されると、というか、正確には完全雇用を超えて緩和策が継続されると、本来は市場から淘汰されるべき企業がゾンビのように生き残ってしまったり、あるいは、企業単位でなくても本来は採算性の高くない設備投資が実行されたりして、逆に、生産性に悪影響を及ぼして不況が長引く可能性を指摘しています。ですから、日本経済の現状を人で手不足で完全雇用を達成している状態と考えていて、この状態ではむしろ構造政策により生産性を引き上げるべき、との見方が示されています。完全雇用なのに賃金が上がらない理由についてはやや根拠薄弱です。また、利子所得のために金利引上げなども志向しています。私も判らなくもないのですが、明らかにバックグラウンドとなるモデルに混乱を生じている気がします。例えば、自然利子率と潜在成長率の議論が少し判りにくかったりします。加えて、というか、何というか、政策提言がややアサッテの方向になってしまっています。すなわち、3年ごとに社会保障負担を減らすのと同時に消費税を+0.5%ポイントずつ引き上げる、というのが目を引く政策となっています。ゾンビ仮説に立つのであれば金利引上げも選択肢になりそうな気がするのですが、さすがに、日本経済の現状を考慮すれば現実的ではない、ということなのでしょう。そして、経済が停滞しているのは企業の成長期待が低いからであり、企業の成長期待が低いのは消費が伸び悩んでいるからであり、と、ここまでは私も著者に賛成します。そして、何人かの論者は、消費が伸び悩んでいるのは年金が少ないために老後に備えて貯蓄に励んでいるためである、という議論がある一方で、さすがに、著者はこの年金増額論は却下、というか、触れてもいません。私は消費が伸び悩んでいるひとつの要因は非正規雇用という不安定かつ低賃金な雇用にあると考えています。そして、この論点も著者は無視しているように見えます。いずれにせよ、経済に関する流行の議論が網羅されている一方で、日本経済のバックグラウンドにある構造、あるいは、モデルについての理解が少し私と違うと感じました。

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次に、アダム・トゥーズ『世界はコロナとどう闘ったのか?』(東洋経済)です。著者は、ロンドン生まれで、現在は米国のコロンビア大学の歴史学の研究者です。英語の原題は Shutdown であり、2021年の出版です。出版年からも理解できるように、それほど新しい情報が盛り込まれているわけではなく、むしろ、2020年のパンデミック当初の時期に、ワクチンはなく、特効薬もない段階で、隔離を含むソーシャル・ディスタンスを取るしか感染拡大防止の決め手がない段階で、外出禁止といったロックダウンだったり、対人接触の多いセクターごとシャットダウンしたりといった措置と経済活動との間のトレードオフについて、歴史研究者らしくたんねんにコロナ危機に見舞われた世界を経済の面に焦点を当てつつ俯瞰しています。その差異、どうしても国別とか、地域別の記述になっていて、トランプ政権下の米国、さまざまなアプローチを取った欧州、そして、何よりもパンデミックの発祥の地となった中国、加えて、インドやロシアなども加えられています。米国では、何といっても、科学的な見方に対して根拠なく独自路線を取るトランプ政権に対応が危機を拡大させていたと考えるべきです。欧州についてはスウェーデンのように社会的な集団免疫の獲得を目指しつつも、結局、通常対応にせざるを得なかった例もあれば、イタリアのように感染拡大に歯止めが効かなかった国もあります。そして、何よりも、経済活動との関係が焦点とされています。本書では、コロナ危機における経済問題を供給面からのショックと捉えており、対人接触の多いセクターが本書のタイトル通りに「シャットダウン」されることによる経済停滞、と考えています。ですから、日本の例を上げると飲食店とかとなりますが、感染拡大を防止するためにシャットダウンされたセクターの産業としての活動が停止し、経済的な活動が停滞する、というのをどのように解決するか、の観点からの記述が多くなっています。逆に、米国やブラジルのように、感染拡大防止を軽視して経済活動を継続し、危機を深めた例もあったりするわけですから、トレードオフの関係にある感染拡大防止と経済活動の両立が、米国、欧州、中国をはじめとするアジアで、どのように進んだか、に着目されています。そして、アジアについては、中国にもっとも大きな紙幅が割かれており、次いでインド、韓国についても初期段階ではコロナ封じ込めに成功した例として取り上げられていますが、我が日本は経済規模ほど言及がありません。日本国内では日本は感染者も死者も世界的な標準からすれば少なく、何か、xファクターがあるのではないか、という議論を見かけましたが、世界的な視野ではほとんど注目されていなかった、という事実が明らかになった気がします。まあ、そうなのかしれません。

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次に、平野啓一郎『死刑について』(岩波書店)です。著者は、我が母校の京都大学在学中に『日蝕』で芥川賞を受賞した小説家です。本書は、弁護士会での講演録をもとに加筆修正されて単行本として出版されています。そして、著者の基本的な立場は死刑反対、というか、死刑廃止論です。もちろん、被害者感情から死刑存置論にも十分配慮しながら、死刑に反対し廃止する議論を展開しています。その論拠は基本的に3点あります。私なりの言葉で表現すれば、第1に、冤罪があり得るからです。人間が裁判で判断する限り、事実の誤任はあり得ます。第2に、犯罪の結果について自己責任だけを問うことにムリがある可能性です。すなわち、死刑になる犯罪は、少なくとも日本では殺人だけであり、殺人といった重大犯罪に至る経緯については、加害者の生育環境などの考慮すべき事情があり、こういった事情を含めて犯罪の結果をすべて自己責任として負わせることに対する疑問です。第3に、基本的人権との関係で、自然人を殺すということの是非です。著者の主張によれば、人間としての存在を否定されることは絶対的にあるべきではなく、「xxの犯罪を犯した場合」といった相対的な基準で人間存在を抹消されることは許容できない、ということです。私は、ほぼほぼ、この著者の見方に賛成であり、死刑は廃止されるべきであると考えています。ただ、経験はありませんし、あまり考えたくもないですが、もしも、私の身近で大切に考えている人が、殺人事件の被害者として殺された場合、すなわち、私が被害者の遺族となった場合、いかなる心情に達するか、という点では、この死刑反対論を変更しない、という万全の自信があるわけではありません。その点はビミョーなところです。そして、講演録という観点からはムリあるものの、巻末の資料として世界各国での死刑制度の導入につて取りまとめてあります。どうして、世界の多くの国では死刑制度がないのか、についても私は知りたい気がします。最後に、さらに外れた感想で、本書からは完全にスコープ外となりますが、人が死ぬ、ないし、殺されるケース、しかも大量に死者が出るケースとしては戦争があります。戦争については、死刑以上に、というか、死刑と比較するのが論外であるくらいに、絶対に反対と私は考えています。おそらく、死刑存置論者でも、戦争だけは反対、という人が多いのではないか、と私は考えています。日本国憲法第9条はこれを体現している、と考えるべきです。

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次に、ミチオ・カク『神の方程式』(NHK出版)です。著者は、米国の物理学研究者であり、統一理論の有力候補であるひも理論の専門家であるとともに、ポピュラー・サイエンス・ライターとしても何冊かの科学書を出版しています。英語の原題は The God Equation であり、2021年の出版です。ということで、タイトル通りに、物理学の統一理論を物理学史もひも解きながら一般向けに判りやすく解説しています。ただ、統一理論だけでなく、その基礎をなす系の対称性にも焦点が当てられています。西洋の古典古代であるギリシア・ローマから始まる物理学史ですが、もちろん、主としてニュートンの古典力学から始まり、マクスウェルの電磁気学、アインシュタインの相対性理論、さらに量子力学などなど、専門外の私でも名前を聞いたことがある理論が並びます。そして、それらを統一する理論の筆頭としてあげられているのが10次元のひも理論です。宇宙の始まりとされるビッグバン、素粒子やブラックホールとワームホール、あるいは、未だに正体不明なダークエネルギーやダークマター、さらには、宇宙の始まりのビッグバンと最後の姿はどうなるのか、などなど、興味は尽きませんが、ともかく難解です。本書でも前半部分はニュートンやアインシュタインなど、知っている名前が並んで理解が進みますが、おそらく、私だけではなく、量子力学あたりから難解さが増します。ここが経済学とは違うところです。経済や経済学の場合、通常のビジネスパーソンであれば、経済活動に常時接していますし、そうでなくても、お金を払って買い物をするのは小学生でも体験します。しかし、物理学については日常の生活では意識することはありません。ただ、それだけにこういった専門書や教養書で読書する意義はあります。最後に、本書で指摘されている重要ポイントのひとつは、物理学の発展と経済活動が密接に関係しているということです。ニュートン力学の完成とともに産業革命の基礎が築かれ、ファラデーとマクスウェルによって電気力と磁気力をの研究が進むと電気の革命が幕を開け、アインシュタインの相対性理論や量子力学の発展から現在進行中のパソコンをはじめとするコンピュータや通信技術の革新が始まった、などが示されていて、ひょっとしたら、本書でいうところの「神の方程式」によって統一理論が解明されれば、またまた経済活動も新たな段階に進むのかもしれません。

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最後に、週刊文春[編]『少女漫画家「家」の履歴書』(文春新書)です。『週刊文春』に「新・家の履歴書」という連載があるらしいのですが、2004年から2021年までに掲載された連載の中から、少女漫画の黄金期である1970年代までにデビューした漫画家の「家」に関する記事を取りまとめています。もちろん、タイトル通りに「家」の履歴書をメインにしつつも、幼いころからの半生を振り返り、家とともに執筆していた漫画を振り返る形になっています。収録されているのは12人であり、掲載順に、水野英子、青池保子、一条ゆかり、美内すずえ、庄司陽子、山岸凉子、木原敏江、有吉京子、くらもちふさこ、魔夜峰央、池野恋、いくえみ綾となっています。ついつ、敬称略にしてしまいましたが、私なんかからすれば、それぞれに「先生」をつけたくなるような大御所ばかりです。魔夜峰央先生を除いてすべて女性であり、それなりのご年配の方々です。スポットを当てている「家」については、漫画家になる前に家族と暮らしていた家の場合もありますし、漫画家として油が乗り切っていて名作をモノにしていた時期の家、あるいは、現在住んでいる家、といったいくつかのバリエーションがあり、一定していません。しかし、漫画家ですので、間取りや何やをイラストで間取り図として、とても判りやすく美しく示してくれていて、その当時の生活や作品執筆作業などについて想像力をかき立てられます。少女漫画家に限らず、漫画家の「家」で有名なのは、何といっても、手塚治虫先生をはじめとするキラ星のような漫画家が住んでいた「トキワ荘」でしょうが、少女漫画家に限定しても萩尾望都先生と竹宮惠子先生が暮らしていた「大泉サロン」も有名です。収録された12人の中では水野英子先生が「トキワ荘」に住んでいたことがあるそうで、「トキワ荘にいるだけで絵が月ごとに上達しました」ということだそうです。そうかもしれません。単なる住まいとしてだけではなく、漫画執筆の作業、集合住宅での同業漫画家との切磋琢磨、あるいは、アシスタントたちとの共同作業などについても、とてもいきいきと活写されています。私自身はそれほどではありませんが、少女漫画ファンには大いに訴えかけるものがありそうな気がします。

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2022年9月23日 (金)

大学院修了式・学位授与式に出席する!!!

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今日は、大学院博士前期課程、すなわち、大学院修士課程の修了式・学位授与式に出席してきました。秋終了ですから、多くは留学生の諸君で、式の進行やスピーチなどの公用語は英語となります。私が修士論文指導した院生は、実は東京での就職が決まっており、今日のところはオンラインでの出席でした。
本学恒例で出席教員からはなむけのスピーチをします。私以外の先生方はキチンと何をしゃべるかについて準備しておられるようなのですが、私はいつも準備不足で適当なことをしゃべっています。今年は私の順番は3番めで、直前の先生が若者へのはなむけらしく「世界を征服しようぜ (conquer the world)」でスピーチを締めくくりましたので、"I do not believe you have to conquer the world." でお話を始めて、今日終了の学年は2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの年に大学院に入学しタイヘンだったろうから、学業を終えてとってもエライ、とか、私の指導院生が東京で就職することを念頭に、チャンスが有れば東京に行って仕事をしたり、勉強を進めたり出来ればいいし、私のように人生の晩年に差しかかっているわけではなく、君たちは rising sun なのだから、積極的にリスクがあってもチャレンジしなさい、なんてことを、エラそうにしゃべったりしました。
彼らの人生は前途洋々です。幸多かれと願っています。

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2022年9月22日 (木)

リクルートによる8月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

来週9月30日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートによる7月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。参照しているリポートは以下の通りです。計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、以下の出典に直接当たって引用するようお願いします。

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まず、いつものグラフは上の通りです。アルバイト・パートの時給の方は、前年同月比で見て、今年2022年4月+1.5%増、5月+2.8%増、6月+1.8%増、7月+1.2%増の後、8月も+2.3%増となっています。5月の+2.8%増がやや外れ値なのか、と考えないでもなかったのですが、8月も+2%超を記録しています。ただし、2020年1~4月のコロナ直前ないし初期には+3%を超える伸びを示したこともありましたので、この面からももう一弾の伸びを期待してしまいます。でも、時給の水準を見れば、昨年2021年年央からコンスタントに1,100円を上回る水準が続いており、かなり堅調な動きを示しています。最低賃金が時給当たりで約30円ほど上昇しますので、その影響がどのように出るか見極めたいと思います。他方、派遣スタッフの方は今年2022年4月+1.3%増、5月は横ばい、6月+0.8%増、7月+1.5%増の後、8月は+3.4%増と、足元で伸びを高めています。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は、繰り返しになりますが、7月には+2.3%、+26円増加の1,134円を記録しています。職種別では、「営業系」(+82円、+6.7%)、「事務系」(+57円、+4.7%)、「フード系」(+46円、+4.5%)、、「専門職系」(+48円、+3.7%)、「製造・物流・清掃系」(+30円、+2.7%)、「販売・サービス系」(+2円、+0.2%)、とすべて職種で増加を示しています。なお、地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、7月には+1.5%、+23円増加の1,591円になりました。職種別では、「クリエイティブ系」(+62円、+3.4%)、「製造・物流・清掃系」(+35円、+2.7%)、「営業・販売・サービス系」(+34円、+2.4%)、「オフィスワーク系」(+28円、+1.8%)、「医療介護・教育系」(+21円、+1.5%)、とすべてプラスとなっています。派遣スタッフの6つのカテゴリを詳しく見ると、「IT・技術系」の時給だけが2,000円を超えていて、段違いに高くなっていて、全体と比べて伸びが小さくなっています。なお、地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。

基本的に、アルバイト・パートも派遣スタッフもお給料は堅調であり、足元では新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の新規感染者数や死者数が増加しているものの、最近までの順調な景気回復に伴う人手不足の広がりを感じさせる内容となっています。ただ、日本以外の多くの先進国ではインフレ率の高まりに対応して金利引上げなどの引締め政策に転じていることから、世界経済が景気後退の瀬戸際にあることは確実であり、また、国内でのCOVID-19の感染拡大も高止まりしており、今後の日本国内の雇用の先行きについては不透明であり、まだ下振れ懸念が残ります。

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2022年9月21日 (水)

帝国データバンク「企業の価格転嫁の動向アンケート」の結果やいかに?

先週木曜日の9月15日に帝国データバンクから「企業の価格転嫁の動向アンケート」の結果が明らかにされています。100円のコストアップに対して36.6円しか価格転嫁できていない、との結果が示されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の要旨3点を引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 自社の主な商品・サービスにおいて、コストの上昇分を販売価格やサービス料金に『多少なりとも転嫁できている』企業は70.6%となった。一方で、『全く価格転嫁できていない』企業は18.1%だった
  2. 「価格転嫁率 」は36.6%と4割未満にとどまった。これはコストが100円上昇した場合に36.6円しか販売価格に反映できていないことを示している。なかでも、「ソフト受託開発」などを含む「情報サービス」や「一般貨物自動車運送」などを含む「運輸・倉庫」の価格転嫁率が低水準にとどまっている
  3. これまでの政府の物価高騰対策について、「大いに効果を実感している」が0.7%、「ある程度効果を実感している」が11.1%となった。一方で、「あまり効果を実感していない」は38.9%、「ほとんど効果を実感していない」は34.3%だった

ということで、リポートからいくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 価格転嫁の状況 のグラフを引用すると上の通りです。見れば判るように、「多少なりとも価格転嫁できている」企業は70%であった一方で、「全く価格転嫁できていない」企業は18%となっています。ただし、価格転嫁率が36.6%であることに現れているように、「多少なりとも価格転嫁できている」企業70%のうち、5割未満がほぼ40%に達しています。また、価格転嫁率が高い業種として、建材・家具、窯業・土石製品卸売、機械・器具卸売が50%を超えている一方で、運輸・倉庫(一般貨物自動車運送など)や情報サービス(ソフト受託開発などと情報サービス(ソフト受託開発など)では20%を下回っていたりします。

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続いて、リポートから 政府の物価高騰対策の効果 を引用すると上の通りです。これも見れば判る通り、「大いに効果を実感している」が0.7%、「ある程度効果を実感している」が11.1%にとどまっている一方で、「あまり効果を実感していない」が38.9%、「ほとんど効果を実感していない」も34.3%に上っています。企業の73.2%で「(あまり/ほとんど)効果を実感していない」という結果が示されています。

価格転嫁については、単純に独占とかマークアップとか、と考えるのは適当ではないと私は考えていますが、逆から見れば、日本経済は独占度が高くない、という見方もできなくはない、という気もします。そして、市場の価格メカニズムに応じた資源配分が、もしも効率的であるのであれば、現在のインフレに対応して、政府が企業に対していかなる経済政策を取るべきかは、補助金による価格操作ではなく、コストアップや価格転嫁できない部分に対する支援であろうと私は考えています。

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最後に、それほど注目はしていないのですが、アジア開発銀行(ADB)は「アジア開発見通し改定」Asian Development Outlook (ADO) 2022 Updateを本日9月21日に公表しています。プレスリリースのプレゼン資料から成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。今年2022年のアジア新興国・途上国の4月時点の+5.2%から+4.3%に下方修正されています。主因は中国であり、4月時点の+5.0%から+3.3%と大きく下方修正しています。他方、東南アジアではインドネシアやフィリピンについては今年の成長率を上方改定していたりします。国際機関の経済見通しについては、10月10日に予定されているIMF世銀総会に合わせてIMFから「世界経済見通し」が明らかにされると思いますので、改めて注目したいと思います。

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2022年9月20日 (火)

30年ぶりの上昇率を記録した消費者物価指数(CPI)をどう見るか?

本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+2.8%を記録しています。報道によれば、30年ぶりの高さの上昇率だそうです。ただし、エネルギー価格の高騰に伴うプラスですので、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+1.6%にとどまっています。なお、ヘッドライン上昇率は+3.0%に達しています。まず、日経新聞のサイトから統計を報じる記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価8月2.8%上昇 30年11カ月ぶりの上昇率
総務省が20日発表した8月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が102.5となり、前年同月比2.8%上昇した。消費増税の影響を除くと1991年9月(2.8%)以来、30年11カ月ぶりの上昇率だった。5カ月連続で2%台となった。資源高や円安が、エネルギー関連、食料品の価格を押し上げた。
生鮮食品を含む総合指数は3.0%の上昇率で91年11月以来、30年9カ月ぶりの水準となった。海外との比較では米国やユーロ圏の総合指数は8~9%の上昇率で日本より高い水準にある。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は1.6%上昇した。
生鮮を除く総合指数はQUICKが事前にまとめた市場予想の中央値(2.7%)を上回った。上昇は12カ月連続となった。522品目のうち、上昇した品目は372、変化なしが40、低下が110だった。上昇品目数は前月の376から微減だった。
エネルギー関連が16.9%上がり、2桁の伸びが続いた。発電所の燃料費の高騰を受けて電気代は21.5%と7月の19.6%を上回って上昇した。都市ガスは26.4%と、1981年3月(38.4%)以来、41年5カ月ぶりの上昇率となった。
政府の補助金による抑制効果があり、ガソリンは7月の8.3%から縮小し6.9%の伸びだった。エネルギー関連だけで指数を1.27ポイント押し上げた。
食料は4.7%上昇し、7月の4.4%を上回った。生鮮食品は8.1%(7月は8.3%)、生鮮食品を除いた食料は4.1%(同3.7%)の上昇で、いずれも高い上昇率が続く。
食パンは15.0%、チョコレートは9.3%上昇した。メーカーの値上げが相次ぐ食用油は39.3%伸びた。ウクライナ危機で輸送ルートの変更を余儀なくされているさけは28.0%、輸入品の牛肉は10.7%、梨は10.4%と購入頻度の高い商品で上昇が続く。
原材料高などの影響は外食にも波及し、ハンバーガー(11.2%)などの品目も上がった。
2021年8月に一部の事業者で値下げがあった影響で、携帯電話の通信料は下げ幅が縮んだ。7月のマイナス21.7%から、8月はマイナス14.4%になった。宿泊料の押し上げもあり、財・サービス別で、サービスが19年12月以来のプラスとなった。
日本経済研究センターが14日にまとめた民間エコノミスト36人の予測平均では、消費者物価指数上昇率は、四半期ベースの前年同期比で22年7~9月期が2.49%、10~12月期が2.64%と2%台の上昇が続く。23年は1~3月期まで2%台で推移し、4~6月期に1%台になるとみている。
他の主要国の総合指数は米国は8月に前年同月比8.3%の上昇と、8.5%だった7月より低下したものの高水準にある。ユーロ圏は8月に9.1%と、7月(8.9%)からインフレが加速した。英国は8月に9.9%の上昇で、10.1%だった7月から下がった。11カ月ぶりに伸び率が縮んだ。

やたらと長くなりましたが、いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.7%の予想でしたので、ホンの少しだけ上振れた印象です。もちろん、物価上昇の大きな要因は、基本的に、ロシアによるウクライナ侵攻などによる資源とエネルギー価格の上昇による供給面からの物価上昇と考えるべきですが、もちろん、円安による輸入物価の上昇も一因です。すなわち、コストプッシュによるインフレであり、日銀による緩和的な金融政策による需要面からのディマンドぷるによる物価上昇ではありません。CPIに占めるエネルギーのウェイトは1万分の712なのですが、8月統計におけるエネルギーの前年同月比上昇率は16.9%に達していて、ヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度は+1.27%あります。このエネルギーの寄与度+1.27%のうち、電気代が半分超の+0.74%ともっとも大きく、次いで、都市ガス代の+0.24%、ガソリン代の+0.15%などとなっています。ただし、エネルギー価格の上昇率は3月には20.8%であったものが、4月統計では+19.1%、5月統計では+17.1%、6月統計では+16.5%、7月統計では+16.2%、そして、直近で利用可能な8月統計では+16.9%と、高止まりしつつも、ビミョーに落ち着いてきているように見えます。他方で、生鮮食品を除く食料の上昇率も4月統計+2.6%、5月統計+2.7%、6月統計+3.2%、7月統計+3.7%に続いて、8月も+4.1%の上昇を示しており、+0.92%の寄与となっています。ヘッドライン上昇率とコアCPI上昇率は8月統計で、それぞれ、+3.0%と+2.8%ですから、ほぼほぼ+2.0%を超える部分はエネルギーと生鮮食品を除く食料による寄与と考えるべきです。そして、現状ではまだまだエネルギーの寄与度が大きいのですが、毎月の寄与度の差を考えれば、寄与度差という観点ではインフレの主因はエネルギーから食料に移りつつあるように見えます。

9月末までと予定されていたガソリン補助金は12月末まで延長されましたが、従来から私が主張しているように、化石燃料に補助金を出して消費を促すのは気候変動=地球温暖化に逆行しかねません。しかし、食料についてはもっとも基礎的な生活必需品と考えるべきです。経済政策で然るべき対応が求められます。

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2022年9月19日 (月)

台風14号の影響やいかに?

昨日9月18日の午後に九州に上陸した台風14号が東寄りに進路を変え、今朝の時点では九州北部にあります。現時点では、関西には雨も降っておらず、風も殆ど吹いていませんが、夕方から明日にかけて日本海側が直撃されそうな雰囲気です。どうも、三連休のお天気は思わしくありません。実は、明日の9月20日午後、まさに、台風14号が関西を通過し終えたころのタイミングで教授会が開催される予定となっています。日本気象協会のサイトの情報に従えば、明日午後は関西では雨も暴風もピークを超えているとのことですが、他方で、「西日本は影響が長引くおそれ」とも指摘しています。台風一過となっているでしょうか。下の画像はウェザーニュースのサイトから台風の進路予想を引用しています。

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今年度が明けて4月から教授会は、会議室に集まって原則対面で開催される回と、対面ではなくオンラインが原則あるいは可能とされる回に分かれているのですが、何と、明日の教授会は原則対面の回となっているようです。基礎疾患あったりする教員などはオンライン出席を認められるそうですが、私は該当しません。三連休は週後半にもう1回あるのでいいとしても、少なくとも私のようなヒラ教授には、教授会の日程は動かしようがありません。

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2022年9月18日 (日)

ウェザーニュースの「紅葉見頃予想」やいかに?

台風14号がタイヘンなことになっているのに、ナンですが、先週木曜日の9月15日に、ウェザーニュースから「紅葉見頃予想」が明らかにされています。そのサイトにある見頃予想マップは以下の通りです。

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見れば明らかなのですが、関西の代表として京都の嵐山が上げられており11月下旬からが見頃、との予想となっています。そのほぼ1か月前の10月22日に京都で時代祭が3年ぶりに行列が執り行われます。可能であれば、見に行きたいと予定しています。

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