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2005年11月23日 (水)

日銀の金融政策変更に関する論争は勝負あった・・・・・かナ?

全銀協前田会長が「金融政策の変更は経済実勢の後追いで」と発言したそうです。
NIKKEI NET ではここにあります。日経新聞以外でも何社か報道しているようです。
要するに、日銀の金融政策変更に対するタイミングが早すぎるとして、日銀にビハインド・ザ・カーブの政策運営を続けるべきとの提言です。早期の金融政策変更を支持した経済同友会の意向とは真っ向から反対の意見ですが、経済同友会よりも全銀協の方が出来がよくて、明らかに市場の正直なマインドを反映しているように思います。私のような官庁エコノミストと違って、マーケット関係者が日銀に「モノ言う」のは少し躊躇される雰囲気があるのではないかと想像しますが、それだけに、この全銀協前田会長の発言はインパクトがあったと思います。自民党の中川政調会長や小泉総理大臣までも日銀の政策変更を牽制する発言がありましたが、ひょっとしたら、日銀にはこちらの方がより衝撃的だったかもしれません。
蛇足ながら、私はコーポレート・ガバナンスの観点から株主がもっと経営陣に「モノ言う」ことが必要だと思っています。村上ファンドのように。

さてさて、先日も引用した本石町日記でも「勝負あったかな」と考えていらっしゃるようです。私も同感です。
なお、本石町日記では「ビハインド・ザ・カーブの解除が安全である」と書いていらっしゃいますが、これは「ビハインド・ザ・カーブ に従ったゼロ金利政策 の解除が安全である」の趣旨であり、「ビハインド・ザ・カーブの解除 そのものが 安全である」との趣旨ではないと私は解釈しています。イタリック体の部分は私が付け加えました。間違っていたらゴメンナサイ。

一部のブログには日銀の独立性を神聖視して、日銀の金融政策変更を強く牽制した自民党中川政調会長の発言を無条件に批判した記事も出て、私もトラックバックやコメントを付けたりしましたが、マスコミやマーケットのプロは日銀 VS. 中川のバトルも静観していたようですし、収まるべきところに収まりつつあるので、私も安心しました。この一連の議論の中で、経済ネタを扱うブログの質が向上してくれることを、エコノミストとして願って止みません。

今後は、やや記憶が不確かなのですが、今月末から来月初めにかけて、武藤副総裁と岩田副総裁の地方での講演会が予定されているようですから、この内容が注目されます。どちらも官僚出身の副総裁ですが、武藤副総裁が財務事務次官をお勤めになったバリバリの官僚出身者であるのに対して、岩田副総裁は経済企画庁にいた官界経験よりも東大にいた学界経験の方が長いエコノミストですから、少しニュアンスの違いは出るかもしれません。しかし、いずれにせよ、日銀が反省(?)して舵を切り直すのか、そのまま金融政策変更に突っ走るのか、マスコミやマーケットは息をひそめて注目していることと思います。多分前者なんでしょう。少なくとも私は前者であることを強く願っています。

これで、私のブログにおける日銀・金融政策シリーズは小休止とし、今日は祝日ですし、2日出勤すればすぐに週末になりますので、親バカ日記に戻ります。

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