ロマンティックとロマンス
「ロマンティック」で連想するものは何ですか?
私の場合はワグナーです。
10月26日のブログで、エコノミストは「ダイナミック」という言葉を「動学的」という意味で使うと書きましたが、エコノミストであるかどうかに関係なく、私が不思議に思っているのは「ロマンティック」という言葉です。ローマに由来しているのは確かなのですが、ローマンとロマンティックは違うのでしょうか。
いきなり話が脱線しますが、特に、私はフォントではローマン的なフォントが好きです。ご賛同いただける方も多いと思います。ローマンフォントは逆から考えればよく理解できて、要するに、ゴシックフォントの反対です。縦線が横線より太くて、払いや跳ねがやや極端に表現されているフォントです。日本語フォントでは明朝体がローマンフォントで、ゴシックフォントはそのままの名前で出てきます。英語のフォントではTimes New RomanなんかがWindowsに標準でインストールされているローマンフォントだと思います。名前の通りです。
元の話題に戻りますが、ロマンチックをgooの国語辞典で引くと、「現実離れしていて空想的で甘美なさま。小説にありそうなさま。ローマン的。」と出てきます。要するに、ロマンティックとローマンは同じ意味なのです。
ロマンティックもローマンも、語源はロマンスです。ロマンスとは甘い恋物語と日本では解釈されていますが、本来は、ロマンス語のことで、要するに通俗的で話し言葉のラテン語のことです。このロマンス語で書かれた小説などが、空想的・伝奇的な中世騎士物語であったり、恋物語であったりしたのでしょう。でも、私の印象としては、日本的な受止め方である恋物語よりもドン・キホーテのような騎士物語を思い浮かべます。
南ドイツを走るロマンティック街道も、ローマ帝国が造ったローマへの道路です。地図を見れば分かりますが、まっすぐ南方のローマを目指して走っています。第2次世界大戦後、連合国の将兵が家族とこの地方で盛んにバカンスを過ごしていたので、観光地として開発されたんだと聞いたことがあります。これが本当なら、日本語的なロマンティックの要素が加わったのはせいぜい最近60年ほどです。
ロマン主義ともいいます。ルネサンス的な古典主義の対抗概念と考えていいでしょう。ロマン派とも称されます。ヨーロッパで18世紀末から19世紀にかけて盛んだった精神運動です。現実よりも夢や神秘を、理性よりも感情を重視する考え方です。芸術の面で大きな影響を及ぼしました。
実は、これが冒頭のワグナーです。最近、新宿の喫茶店に入るとBGMにワグナーが始まって、近くに座っていた外国人が割と小声で「ロマンティック」とつぶやいたので、ついつい、ブログに書いてみたくなりました。
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