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2006年2月21日 (火)

就職シーズンにマーケット・エコノミストとアカデミック・エコノミストについて考える

何度も申し上げていますが、私はエコノミストを自称しています。
エコノミストも何種類かあり、典型的にはマーケット・エコノミストとアカデミック・エコノミストがいます。とてもシンプルにいうと、前者はシンクタンクや金融機関などに勤務していて経済指標を分析して、顧客にその情報を提供しています。なかなかの高給取りではないかと推測しています。お給料がいい分、とてもハードワークだと聞いたことがあります。後者は大学や大学院に勤務していて学生や院生に経済学を教えたり、レフェリー付きのジャーナルを読んだり、自分自身で投稿したりしています。お給料は普通のサラリーマンと大差ないと考えられます。時間的余裕も割合とあるようにうかがえます。大学教授、あるいは、助教授と呼ばれています。蛇足ですが、この両者の間にガバメント・エコノミストがいます。どちらにより近いかは業務の中身によります。官庁に勤めていて、官庁エコノミストとも呼ばれます。お給料は通常の公務員とまったく同じです。仕事はお給料の割にはやや多忙ではないかと思いますが、業務の内容や時期などにより一概にはいえません。
もちろん、ここでの両者のスケッチはかなりシンプルですので、マーケット・エコノミストがジャーナルを読まないとか、アカデミック・エコノミストは経済指標に興味がないとか、主張しているわけではありません。

どうして、このようなことを書いているのかというと、今日の帰り道で、電車に乗っている時に私は座っていたんですが、私の前に立った人が「社会人から大学教授になる方法」を読んでいたからです。確か、PHP新書ではなかったかと思います。確信はありません。
そこで考えたのですが、社会人から大学教授になるとすれば、割合とすんなりと理解できるのはメーカーなどの技術系の人が工学系の大学教授になる場合とマーケット・エコノミストが経済学系の大学教授になる場合ではないかと思います。そのほかにもいろいろとあるんでしょうが、すぐには思いつきません。
私の出身地の京都の島津製作所の技術者がノーベル賞をお取りになったのは余りにも有名ですし、シンクタンクや金融機関のマーケット・エコノミストからも何人か大学教授に転職している人を知っています。さらに、大学教授になってから手鏡事件でクビになった人もいたりします。もちろん、ガバメント・エコノミストから大学教授になった諸先輩も顔見知りの方はいっぱいいらっしゃいます。さらに、ガバメント・エコノミストからマーケット・エコノミストになった先輩もいらっしゃいます。

マーケット・エコノミストから大学教授になる最大の関門は所得が大幅にダウンすることではないかと勝手に想像しています。しかし、マーケット・エコノミストはとてもお給料がいいらしいので、黒木亮「巨大投資銀行」(ダイヤモンド)を読んだ時にもありましたが、ファックユー・マネーかそれに類する概念のお金を貯めてお辞めになる方も多いと聞きます。ファックユー・マネーとは辞める時に「くそくらえ」とでもいって辞めるインベストメント・バンカーがいるそうで、辞めても暮らしていけるだけのお金を貯められるそうです。マーメット・エコノミストとインベストメント・バンカーでは同じくらいのお給料をもらっているのではないかと、ガバメント・エコノミストを自称している私が勝手に想像しているだけですが、一応、こういった状況を想像させるに足る実例も知っています。私の先輩のガバメント・エコノミストが退職されてから、まあ、悪いいい方をすれば「天下り」したわけですが、マーケット・エコノミストになられたところ、バブル期の最後の方にお買いになった横浜のマンションから自由が丘の1戸建てと思しき住所に昨年引越しをされて、私にも転居のお知らせをいただいた記憶があるからです。

マーケット・エコノミストとアカデミック・エコノミストではお仕事の内容もかなり違うのでしょうが、永遠について回る謎は、忙しくてお給料がいい仕事を選ぶか、お給料はさほどでもないが時間的余裕がある職業にするかです。私は就職する際には、明らかに後者を選んだつもりだったのですが、若いころにはメチャメチャ働かねばならなかったころもあり、お給料との見合いでとても損だと感じたこともありました。最近、いい歳になって、ようやく、時間的な余裕もできてきた気がします。公務員については、かなり長い時間的視野でいろんなことを考慮に入れる必要がありそうな気がします。
卒業間近の大学生はもう就職が決まっている人も多いんでしょうが、4月に4年生になる大学生はこれからが就職シーズンの本番です。就職状況は売り手市場になりつつありますから、じっくりと、自分にあったいい職場を選んでください。

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