今春封切られる「県庁の星」と「ナルニア国物語」はヒットするか?
今さらですが、私はマンガをよく読みます。順不同で、ドカベン、じゃりんこチエ、パタリロ、日出処の天使、沈黙の艦隊、比較的新しくて今も続いているところでは、ゴルゴ13、総務部総務課山口六平太、美味しんぼ、大使閣下の料理人、課長から部長・取締役・常務まで続いている島耕作シリーズ、などなど読んできましたが、その他に読んでるのもあります。ドラゴン桜は読んでいる最中です。あぶさんは途中でヤメました。さすがに、週刊マンガ誌では読み切れずに、単行本になってから読んでいます。
この週末にはビッグコミック・スペリオールに連載中の「県庁の星」の第1巻が出ていたので拝見しました。スペリオールでは読んだことがなかったので、映画化もされたことだし、少し期待していたんですが、やや違うかなという気になりました。
2月25日に封切られる予定の映画ではK県となっているんですが、マンガでは舞台はY県です。ここは違いますが、県庁のキャリア職員がさえないスーパーに民間交流で派遣されるのは同じです。パート店員が教育係につくのも同じです。「県庁さん」と呼ばれる彼がスーパーではほとんど役に立たずに、お荷物扱いされるのも同じです。ただ、公務員志望の動機は同じなのか、違っているのか、よく分かりません。マンガでは製薬会社のサラリーマンの父親に遊んでもらえなくて、働かなくてもクビにならないのは公務員だけだと、母親からいわれたのが動機らしく書かれていますが、映画ではどう処理されているのか、よく知りません。まあ、大きな違いはないのでしょう。
「県庁の星」が映画ではマンガとはかなり違って作られていることでしょうし、キャスティングの妙味もあって、それなりにヒットするのかもしれませんが、マンガそのままだとあまりに平凡すぎるのではないかと危惧しています。県庁さんの教育係のパート店員さんは、ウラ店長と呼ばれている実力者で、ある意味でスーパーそのものを切り盛りしていて、県庁さんだけでなく、正社員というだけでパートさんよりいいお給料をもらっている店長やその他の正社員を揶揄する内容になっています。
映画としてヒットするための条件はいくつかありましょうが、マンガそのままだとストーリーも平凡で、「電車男」のような他に見られないエピソードも少なく、マンガ的な大げさな表現も実写の映画では無理があるでしょうから、いろいろと工夫を凝らさないと映画でヒットさせるのは難しそうな気もします。でもまあ、そこはプロが映画化しているんでしょうから、おもしろい映画に仕上げているのかもしれません。
それよりも、私がどうかと思っているのは「ナルニア国物語」です。ディズニーですから、それだけで見に行く人も多いのでしょうが、私の感覚からすれば、少しキリスト教色が強すぎるのではないかと心配しています。私が原作を読んだのはかなり前で、しかも、英語の原作を読みましたので、ほとんど忘却の彼方なのですが、それでも、仏教徒の私には違和感を覚える場面がかなりあったのを記憶しています。
ストーリーはご存知の通り、C.S.ルイスの原作で、第2次世界大戦中に英国の4人の兄弟姉妹が田舎に疎開して、衣装だんすからナルニア国に行って、白い魔女と戦ってナルニア国の冬を終わらせる、というものです。ちなみに、どうでもいいことですが、映画化されたのはこの「ナルニア国物語」の第1章で、タイトルは英語の原作では「ライオンと魔女と衣装だんす」となっていましたが、なぜか、日本で封切られるときには最後の衣装だんす(ワードローブ)が省略されています。なぜかは知りません。
たぶん、ディズニーのことですから、雪の映像はとてもきれいでしょうし、ストーリーも冒険性があってワクワクするものなのでしょうが、私がとても気になっているのは、善と悪とをとてもくっきりと描き出していて、そこに、キリスト教的な価値観がテンコ盛りになっていることです。欧米のキリスト教国では、おそらく、とても分かりやすくて、ひょっとしたら、子供達への教育的観点からも推奨される映画なのかもしれませんが、日本ではどうかね、という気になってしまいます。そもそも、4人の主人公の子供達がアダムの2人の男の子とイブの2人の女の子として登場しますし、4人の兄弟姉妹が圧倒的な善で、白い魔女が圧倒的な悪として描かれています。
まあ、ウルトラマンの善と怪獣の悪の対決のようなもんですから、それなりに日本人にも受け入れられる余地があるのかもしれませんが、それにしても、英語の原作を読んでいる限りでは、キリスト教色がとても強いように感じた記憶があります。日本の小学生にはアダムとイブといっても、何のことだか分からないのではないでしょうか。キリスト教的な考え方について、とてもいいものだと信じている親は、子供達にこの映画を見せるのかもしれませんが、クレヨンしんちゃんだったら目いっぱい文句を言いそうな気がしないでもありません。
我が家では春休み、夏休み、冬休みと、学期の間のお休みには、何かしら映画を見る習慣になっているのですが、この春休みにはドラえもんくらいでサラッと楽しんでおこうかと思っています。
関係者やファンの方には誠に申し訳ありませんが、「県庁の星」と「ナルニア国物語」はパスしようと思います。
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