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2006年2月14日 (火)

社員持ち株会とリスクの分散

今日のランチで、自社株を買って数百万円を損した、という方とお話をする機会がありました。会社四季報などを見ると、確かに、大企業の中にも上位10位までの大株主に社員の持ち株会が名を連ねているところが散見されます。
そのランチの場でも申し上げたのですが、私は、この社員持ち株会がとても不思議です。なぜなら、リスクがまったく分散されていないからです。すなわち、会社の業績は強く正の相関を持って社員のボーナスと株価に表れるのではないかと思うからです。会社の業績が下向きになれば、ボーナスの伸びが鈍化するか、そもそもボーナスが減少したりする一方で、株価もボーナスと同じ下方向に動く可能性が高いと思われます。逆は逆で、会社の業績とともに一蓮托生で、浮き沈みが激しくなる可能性が高いわけです。
これを防ごうと思えば、資産運用は会社の業績と逆相関を持つ資産で行うべきであると考えられます。例えば、コカコーラの社員はペプシコーラの株を持つとか、日立の社員は東芝の株で運用するとか、あるいは、全然違う業界の株を持った方が資産運用リスクは分散されます。

しかしながら、実際に、自社の株式を保有していることは愛社精神の発露として、おそらくは、それなりに賞賛されるべきでしょうが、同業のライバル社の株式を保有するのは、やや精神的に圧迫感を持つことになりかねません。ここのポイントは自分の所属する会社と逆の業績を上げるであろう企業の株式を保有する、ということです。コカコーラとペプシコーラの業績は、コーラの売上が変わらなくてゼロサムであれば、逆相関になると考えられますが、そもそもコーラの売上が落ちる局面では順相関になるとも考えられます。日立と東芝も同じです。
もちろん、資産運用については、リスクを分散させるのが重要とはいいつつも、1点買いですべての資産を集中運用することも考え方としては成り立ちます。鉄鋼王のカーネギーが「すべての卵をひとつのバスケットに入れてじっと見守る」といったのは有名な格言にもなっています。

ひるがえって、国家公務員が国債に投資するのはどのように考えるべきでしょうか。もしも、借金漬けになっている現在の国家財政が破綻したりすると、あくまで仮定のお話なんですが、国家財政が破綻したりすると、我々国家公務員のお給料は支払われなくなるかもしれません。もちろん、国債の償還もできなくなる可能性もあります。ひょっとしたら、貸与されている宿舎からも追い出されるかもしれません。追い出されないまでも、グンと家賃が上がったりする可能性もあります。
経済大国ニッポンでそのようなことが起こる可能性はとても小さいと思いますし、見通しうる近い将来にこのようなことが起こる可能性はほぼゼロだと考えられますが、歴史的・地理的に視野を広げると、いくつかの国で政府が借金を返せなくなった例は過去にないわけではありません。日本もとっても遠い将来であれば、そのようにならないとも限りません。

やっぱり、人的資本に投資するのが、リターンの面からも、リスクの面からも、合理的な選択なのだろうか、と、我が子を見つめる親バカの我が家です。

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