年度初めに役所の社風を考える
今日から新年度が始まりました。
新入社員の入社式などが報道されていました。私の親元の役所でも新入職員の式典があったようです。それぞれの組織でそれぞれの社風にあった入社式が執り行われたように思います。
今の出向先の役所でもボスが交代し、ボスのご挨拶がありました。これは別として、私の親元官庁はかなりいい加減な社風です。ということで、今日は現在の出向先の役所ではなく、私の親元官庁に関する話題です。
役所は封建的な上下関係が厳しい世界であると想像されがちですが、中央省庁再編前は経済官庁だった私の親元官庁はそんなでもありません。時折、「オフ民主主義」と呼ばれていたりします。例えば、役所にも職員食堂がある場合があって、昼食なんかは職員食堂で食べたりしますが、ここでも私の親元官庁は民主主義が貫かれています。明治政府とともに古い役所なんかでは、職員が行列をなしているところに、エラいさんの秘書さんが来て行列に割って入って、昼食をお盆にのせて運ぶ姿を見たりするんですが、我が社では事務次官でも行列に並んで昼食の順番を待ちます。もちろん、我々参事官クラスなんて、ちっともエラくありませんから、当然のように、並んで昼食の順番を待ちます。
私の後輩に女性のエコノミストがいて、メガバンクにお勤めのご主人と結婚しているんですが、そのメガバンクの運動会にご主人と参加して、愛社精神の大いなる発露にびっくりしていたことがあります。私もスポーツなどのレクリエーション行事に子供達とともに参加したりしたことがあり、それなりに、長幼の序や役職者に対するしかるべきていねいな態度で接することはあるにしても、基本的には、オフは民主主義であって、組織に対する忠誠や独特で閉鎖的なしきたりみたいなものはオフの行事では存在しないように思います。オフの行事ではみんなが平等です。
もちろん、役所ですから、オンの業務中には指揮命令系統はしっかりしており、民間会社みたいに「担当部長」のようなラインに乗っていない、よくわけの分からない管理職がいたりすることはありませんし、ご存じの通りのお役所仕事で、決裁などの手続きは不必要に厳しかったりはします。業務的にも、組織的にも、人事的にも「堅いお仕事」であることはいうまでもありません。でも、「堅いお仕事」はオンの時だけだと思います。
そんなにサンプルは多くはないのですが、その昔には、服装についても割合とウルサ方の人がいたりしました。もっとも、ドブネズミといわれる役所独特のファッションスタイルに基づく風紀係的な観点から、派手な色使いとかを注意したりするんではなく、例えば、このタイプのスーツならズボンの裾はダブルにしろ、とか、クツはスリップオンではなく紐のあるオックスフォードにしろ、とか、ベルトとクツは同じ色にしろ、とかの、いってみれば、自ら信ずるセンスに基づいたファッションに関する有識者的な意見を述べる人はいたりしました。逆にいえば、ドレスコードに反する風紀係的なチェックはありませんでした。
ですから、自由闊達、とか、おおらか、といういい方も出来ますが、見方を変えれば最初に書いたようにいい加減です。オフはほぼ完全に民主主義で、職場における上下関係は余り関係なく、みんなが平等です。実は、私自身もいい加減な人間です。お堅い組織でカッチリした仕事をする方がよかったのかもしれませんが、私にとっては居心地はとてもよかったりします。
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