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2006年4月26日 (水)

今年の就職状況と公務員志望者へのエール

先日の朝日新聞で「キャリア官僚は敬遠?国家公務員I種申込者が過去最低」との記事を見かけました。その一方で、民間企業では新卒採用を増やすところが多いようです。こちらも朝日新聞の記事で見かけました。
国家公務員のI種試験申込の方は、申込者数は2万6268人で、現行制度になった1985年度以降で最低となり、前年度比4844人(15.6%)減となった落ち込み幅も過去最大だそうです。

昨年2005年10月14日のブログで書きましたように、私はキャリアの国家公務員で、現行制度になる前の20年余り前にキャリアの国家公務員試験に合格しているだけでなく、数年前には人事院に併任されて、キャリア試験のうちの経済職の試験委員もして、大学の先生たちとともに試験問題を作成したことがあります。私が試験委員をしているころは、我が国経済の「失われた10年」と呼ばれる不況のど真ん中くらいで、民間企業の採用が大幅に削減される中で、公的部門だけが淡々と採用を続けていたので、それなりに国家公務員試験の倍率も高かったものです。私が試験委員をしていた時ではないんですが、国家公務員のキャリア試験の申込者のピークは1996年度の4万5254人だそうです。
他方で、民間企業では2007年から本格化する団塊の世代の大量退職に備えた面もあるんでしょうが、景気がかなり本格的に回復する中で新卒採用も大幅に増やしているようです。さきほどリンクを張っておいた朝日新聞の記事では、業績好調な自動車業界で、トヨタ自動車が2年連続で3000人規模の高水準を維持するほか、ホンダも1991年春以来という1000人台を予定しているそうですし、三菱東京UFJ銀行で昨年の620人から2000人へ3倍以上の大幅増を打ち出していて、金融機関なんかでも採用増が多いようです。

先日の朝日新聞夕刊のコラムでは、将来の天下りのうまみも少なくなったことが、国家公務員I種試験の申込者が史上最低を記録した一因であるような記述もありました。これから先は、天下りのうまみはともかく、公務員の総定員5%削減などで公務員を含む公的部門そのものが縮小均衡に入る時代なのでしょうから、退職金や年金も以前ほどは優遇されなくなりますし、公務員宿舎も売り払われて追い出されるとか、公務員の待遇が悪くなる方向にあるのかもしれません。
確かに、私くらいの世代まではキャリアの国家公務員はまだエリートとみなされる風潮がありましたが、今ではなくなっているのかもしれません。20年くらい前に、私は知り合いの当時の大蔵省のキャリア公務員の結婚披露宴に招待されたことがあるんですが、仲人さんの新郎新婦のご紹介で、「新郎は麻布高校、東大法学部、大蔵省と絵に描いたようなエリートコースをお進みになり云々」といった口上が割合とスンナリと、まんざら嘘でもなく聞こえたものですが、一時は、週刊誌などでも大蔵官僚とは金融機関のMOF担にノーパンシャブシャブに連れて行ってもらう存在のように書かれていたこともあります。

エラそうなことをいえる立場ではありませんが、公務員の時代が訪れるかもしれない中で、公務員がエリートである必要はないと思いますが、ノーパンシャブシャブの客でも困ります。私はもっと公務員の同僚諸君と公務員志望者にエールを送りたいと思います。

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