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2006年7月14日 (金)

日銀によるゼロ金利解除について

昨日から開催されていた日銀の金融政策決定会合において、本日、ゼロ金利政策解除されました。無担保翌日物コール金利の誘導水準が0.25%とされ、公定歩合は0.1%から0.4%に引き上げられました。ただし、長期国債の買入れについては、当面は、従来と同じ金額と頻度で実施するとされています。また、公定歩合は同時にロンバート金利にもなるわけですが、ロンバートの利用日数に上限を設けない臨時措置はしばらく継続されるようです。

マーケットではいろんな観測が出されていますが、これで、年内10-12月期にもう一度の金利引上げがあり、今年の年末時点ではコールは0.5%になっている可能性が高いと考えられています。もっとも、来年以降は不透明であり、都合3回の引上げで0.75%で打止め、との見方もあれば、来年に入っても四半期ごとに金利引上げが行われて、来年末時点で1.5%を予測する向きもあります。そんな先の話は私には分かりません
何分、日銀は2000年8月にゼロ金利を解除し、その後、景気が急落した失敗の経験があります。ちょうど、米国でハイテクバブルが弾けたころで、日本経済も本格的なデフレに陥っていきました。2001年3月にはゼロ金利どころか、この3月まで続けていた量的緩和政策を取らざるを得なかったような状態になっています。3月の決算期になると3月危機が叫ばれたのもこのころです。もっとも、私はこのころはジャカルタにいて、公務員でもあり、切迫した緊張感は持ち合わせていませんでした。悪しからず。

私は基本的には今回の利上げは支持しています。その理由は3点あります。物価、景気、金融システムの3点です。また、政府側から議決延長請求はなされませんでした。
まず、2000年時点と物価が違います。今回は着実に物価が上昇しており、デフレ真っ只中にあった2000年とは違います。もちろん、現在の物価上昇を「ほとんどすべて原油価格の上昇に由来する」と称した竹中大臣のような説もありますが、少なくとも、GDPのデフレギャップが解消したのは事実だと思いますから、相当程度はこれに見合った物価上昇であると私は考えています。
次に、景気の上昇が続いていることです。2000年は春先から日銀がダム論を持ち出したりしていましたが、夏までにはハイテクバブルの崩壊は明らかでしたし、実体経済が悪化に向かっていることを無視した金利引上げを強行したと考えていますが、今回は、景気拡大期間がいざなぎ景気を超えるかどうかはともかく、景気拡大が今後も一定期間継続することは明らかです。もちろん、かつてほどの力強い景気拡大ではないので、日銀の金融政策次第で腰折れする可能性は否定できませんが、方向として、相当期間の景気拡大が継続するとの期待が一般的だと思います。
最後に、金融システムが2000年当時の脆弱性を克服していると考えられます。今日も東証の日経平均は250円余り下げましたが、株式市場が下落すれば自己資本比率などに影響して、金融機関が破綻する危険があったのはもう昔の話になりました。株価がどんなに下がっても影響はないというつもりはありませんが、金融システムの脆弱性の観点から金融政策が発動できないというような状態ではなくなったことは確かです。今世紀に入ってから、2-3年くらいは決算期末の3月の株価が注目され、今度こそ3月危機、と騒がれたのは過去のことになりました。

今後の懸念材料は2点あります。地政学的なリスクと福井総裁の去就です。
まず、地政学的なリスクについては、いうまでもなく、極東における北朝鮮のテポドンなどに加えて、イスラエルのレバノン空爆や海上封鎖による中東の緊張の高まりもあります。原油価格への影響を通じて、極東の緊張よりも世界経済への影響は中東情勢のほうにより敏感であると考えられます。しかしながら、誠に申し訳ありませんが、この方面は不勉強ですので、地政学的なリスクを指摘するに止めたいと思います。
そして、福井総裁の去就はどうなるのでしょうか。マスコミなどの世論調査によれば、福井総裁の辞任を求める意見は過半数に達しています。夕刊紙や週刊誌でも福井総裁の辞任を求める記事をよく見かけます。内閣と違って、支持率を気にする必要のないのが中央銀行のいいところなのですが、これだけの世論調査結果を突きつけられると気になります。福井総裁が辞めようか、という気になっても不思議ではありません。さらに、ゼロ金利を解除して、「やるべきことはやった」のを花道に、という考えも成り立ちます。しかし、絶対に成り立たないのは、「日銀総裁のやるべきことは金利引上げである」との見方です。この点は忘れて欲しくない気がします。日銀総裁の去就はマーケットのボラティリティを高める材料にして欲しくありません。

最後に、全部を気合入れてしっかり聴いていたわけではありませんが、福井総裁の記者会見は、全体として、私はハト派的な印象を持ちました。明日からの3連休に仕事をしたいとは思いませんので、連休明けてから出勤したら、日銀のホームページで確認したいと思います。

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