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2006年7月21日 (金)

大いに期待外れの「ヒストリアン」

エリザベス・コストヴァヒストリアン」(NHK出版)を読み終えました。
今まで、私は仕事の上での参考図書というか、経済関係の本以外の、特に、小説については、読み終えた時に読後感想文とでもいうのか、何冊かこのブログでも取り上げて論評して来ました。本の名前だけ上げると、「土の中の子供」、「巨大投資銀行」、「容疑者Xの献身」、「沖で待つ」、「ダビンチ・コード」、「ハリー・ポッター」などです。何となくの概算なんですが、今年に入ってからは月に1冊くらいのペースで小説を読んでいるような気がします。そして、たぶん、この3-4倍くらいの経済書を読んでいるんでしょう。経済書についてはこのブログで論評したことはありません。
それから、「土の中の子供」を除いて、そんなに酷評したことはありません。というか、少なくとも明々白々たる酷評であると誰の目にも分かるような酷評はしたことがありません。ひとつだけ例外があって、アマゾンのレビューに「巨大投資銀行」の書評を投稿して、それがネットに掲載された当日にその作者の方とランチをごいっしょする機会があったんですが、ものすごい勢いで反論されました。4つ星をつけましたし、明々白々たる酷評を避けて、かなり慎重な書き方をしたつもりだったんですが、中身はキツい酷評であることに気づいておられたんだと思います。さすがにベストセラー作家だけあって、文章の読み方がするどいものだと感心した記憶があります。一度このブログでも自慢したことがあるんですが、私のレビューは「巨大投資銀行」(上巻)のアマゾンでダントツでもっとも読まれているレビューです。でも、中身が酷評なので、参考にして下さっている人の比率は高くありません。

さて、今までのやや甘めの書評に対して、今回読んだ「ヒストリアン」だけは、どこからどう見てもほめる点が見つかりません。最近10年くらいに読んだ最低最悪の小説だといえます。もっとも、経済書の中ではトンデモ本がかなりありますので、そういった本を買ったり読んだりしたことはありますが、趣味の小説でここまで外したのは本当に久し振りです。私が今まで甘い書評を繰り返してきたのは、自分の選択に少し甘めの点を与えていることでもあったんですが、この本だけは失敗だったと思っています。確か、丸の内オアゾにある丸善で買ったような記憶があるんですが、何にひかれて買ったのか、今となっては思い出せません。中身はつまらないし、本は分厚くて重いしで、何もいいところがありませんでしたが、中身がヒドいのでズンズンと読み進む気になれず、時間潰しにはよかったかもしれません。後、あえて申し上げれば、昼寝の枕になるくらいの厚さかもしれません。役所用語なんですが、財務省の作製する予算案を1冊に取りまとめて印刷した本があり、実に適切にも「マクラ」と呼ばれています。ホントは何という正式名称だったのか、まったく覚えていませんが、「ヒストリアン」もちょうどそんなもんです。
中身はドラキュラものです。ドラキュラがまだ生きていて、独特の装丁の本を歴史学者=ヒストリアンに配布している、とのストーリーで、主人公がアチコチ旅行しては、そのドラキュラの配布している本を入手したヒストリアンと出会うお話しです。特に、キリスト教趣味でもなく、メフメト2世に忠誠を誓うイスラム教徒も反ドラキュラの観点から主人公に協力したりするんですが、要するに、ストーリーが荒唐無稽でメチャクチャなわけです。
訳者の後書きによると、発売とともに全米ベストセラー第1位となり、累計100万部を売り、世界33カ国で翻訳さているそうです。ドラキュラを扱っているのに、そんなにスリルもないし、もちろん、ホラーというわけでもなく、ストーリーの展開もチンタラしていて「ダビンチ・コード」のスピーディーな展開で、一気に読ませるのとは大違いですし、何よりも、主人公のキャラが立っていません。主人公の影がとても薄いわけです。ドラキュラの影も薄いです。かなり古い手紙を主体にストーリーを進めている部分もあり、とても読み進むのがまどるっこしいところもあります。要するに、一言でいってつまらないわけです。

このようなさえない小説を買い求めてしまった不明を恥じて、これからはお仕事の上からも必要な経済書を中心に読み進もうと考えていますが、取りあえず、手元には先日買った森絵都風に舞いあがるビニールシート」が手元にありますし、来月8月10日には文藝春秋9月号で芥川賞を受賞した伊藤たかみ八月の路上に捨てる」が掲載されるので、選評とともに読みたいので、やっぱり、読書の方も夏休みで、経済書から小説も読みたくなってしまいます。

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