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2006年9月19日 (火)

基準地価の上昇

今夜はもう少しまじめにもう1本。
先月8月1日のエントリーで国税庁の発表する路線価が14年振りに上昇したことを格差の問題とともに取り上げましたが、今日の新聞各紙では国土交通省の発表する基準地価3大都市圏で16年振りに上昇したことが報じられています。いつもの朝日新聞ではなく、日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

国土交通省が19日付で発表した2006年の基準地価(7月1日時点)は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏で商業地に加えて住宅地も上昇、平均地価は 1990年以来、16年ぶりに上昇した。東京都区部は19年ぶりにすべての調査地点で上昇。景気回復による堅調なオフィス需要や投資マネーの流入を背景に、大都市圏を中心に地価反転の動きが広がってきた。ただ、全国平均(全用途)はマイナス2.4%と15年連続で下落した。
全国平均は商業地で2.1%、住宅地で2.3%の下落。地価水準はバブル期のピーク(91年)と比べ、住宅地で約35%下落して83年ごろの水準。商業地は約6割下げ、比較可能な77年以降の最低水準を更新した。下げ幅は3年連続で縮小した。

基準地価とは、都道府県知事が不動産鑑定士の評価を参考に毎年7月1日時点で調査したもので、対象は毎年入れ替えて、今年は全国で25,346地点に上ります。土地の収益性や周辺の取引事例などに基づき、1平米当たりの価格を判定するものです。土地を最も有効に活用した場合を想定し、建造物がある場合も更地として評価しています。私が8月1日のエントリーで引用した国税庁の路線価は相続税や贈与税の算定基準とするため1月1日時点で調査し、また、加重平均であるために地価が高い大都市の影響を受けやすい一方で、今日国土交通省から発表された基準地価は調査地点の変動率を単純平均するため、路線価に比べて低く出やすく、そのため、全国平均では今年も下落が続く結果となっています。また、基準地価や路線価のほかに政府や地方公共団体が土地を収用する際の目安とする公示地価もあります。これも国土交通省が発表しています。3種類もあり、さらに、2つは同じ国土交通省が発表しているとなれば、どれかに一本化した方がいいんではないかという意見が出そうなもんですが、そこは、日本のお役所の縦割り行政のために、なかなか一本化できないでいるようです。
解説及びついでの一本化批判はそれくらいにして、発表された基準地価の統計に見られるように、土地価格については着実に回復に向かっていると見られています。都心の一等地ではバブルの様相を呈している地域もあります。特に、今回のように3大都市圏が地価上昇をリードしていることは明らかで、その中でも東京都心の丸の内で建築中の新丸ビルなんかが新聞でも取り上げられたりしています。また、この地価を基にすると、日本全国の土地総額は1兆円に達するとの報道もありました。
他方で、8月1日のエントリーでもそうだったんですが、3大都市圏以外でも地方の中核都市では地価の上昇に転じつつあり、都市圏と地方圏、さらに、地方圏でも中核都市とそうでない地域において、地価で見た格差が広がっていることが伺えます。特に、今日発表された基準地価では収益性を考慮しており、基準地価の動向は土地収益力をある程度は反映しているため、その地域の景気動向や景況感ともそれなりの相関を有していると考えられます。要するに、相対的な話ではありますが、基準地価が上昇している大都市圏は景気がよくて、引き続き下落している地域は景気がそんなによくないんではないかと想像されます。もちろん、今回の3大都市圏での基準地価上昇はオフィス需要に牽引されたものであり、そのまま地域住民の景況感を反映したものではありませんが、大雑把にいって、傾向としては当てはまると考えられます。

明日には自民党の総裁選挙があり、ほとんど、そのまま総理大臣になる人を選んでいるようなもので、その後、今月末には内閣が交代し、臨時国会が始まります。何で見たのか忘れましたが、どこかの新聞か雑誌で心地よい格差という言葉がありました。これから、国会の内外で格差の問題についても本格的な議論が始まるのかもしれません。

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