月見バーガーを食べ逃す
このところ、同業者のエコノミストとのランチの機会が多くなっています。中にはCGEモデルの小難しい会話を交わしながら、なんてのもあったりしますが、主として、安倍新内閣の経済閣僚なんかに関する情報交換だったりします。私もブログなどの公開の場では何もいいませんが、親しい同業者とのランチのようなクローズの場では、官庁エコノミストの立場から好き放題に放言したりします。それはともかく、今日のお昼は少し目先を変えて、マクドナルドに行きました。箸休めという言葉がありますが、いわば、ランチ休めのようなものです。私の親元の官庁は昼休みが1時間あるんですが、今の出向中の役所は45分しかないので、その名の通りのファーストフードは時間節約の観点からは有り難かったりします。今日も、1時少し前に役所に戻り、1時からの安倍総理大臣の所信表明演説を拝聴しました。
何を目当てにマクドナルドに行ったかというと、そうです、この季節は何といっても月見バーガーを目当てにいったんですが、月見バーガーは昨日までの期間限定販売で、今日はもうメニューにありませんでした。とっても残念。
ランチで食べられなかったので、月見バーガーを偲んで日本マクドナルド社のホームページの沿革のページを見てみます。月見バーガーの初出は1991年9月で、地域別に期間限定販売開始とあります。全国でいっせいに売り出されたのではないような表現です。その後、1992年と1993年のそれぞれ9月にも同様の記述があり、1996年9月になって初めて「地域別に」が取れて期間限定販売開始とあります。全国で売り出されたのではないかと考えられます。その後、おおむね毎年9月に期間限定販売開始が沿革に現れるんですが、特記すべきは、1998年9月からチーズ月見バーガーの発売が開始されていることです。それから、おおむね9月としたのは理由があって、2000年と2003年だけは10月に月見バーガーが登場しています。これらの年は猛暑か何かで秋の訪れが遅かったんでしょうか。それとも、中秋の名月が10月にずれ込んだんでしょうか。よく分かりません。
エコノミストとして注目したのは、月見バーガーの価格の移り変わりです。月見バーガーが全国で売り出されたと考えられる1996年9月の売出し価格が190円で、その後、1998年9月から売り出されたチーズ月見バーガーが220円です。この190円と220円の価格の組合せが2004年まで続きました。価格破壊やカテゴリーキラー、加えて、何といってもデフレの影響もあって、価格を引き上げられなかったことが伺えます。しかし、表面上は、消費税が内税表示となったため、2004年9月に月見バーガーを199円に、チーズ月見バーガーを231円に、それぞれ価格表示を変更しています。内税と外税の表示の違いだけで、実質的には価格の引上げはないといえます。そして、デフレ下での強気の価格政策というべきか、消費税の表示方式の変更に伴う便乗値上げというべきか、さらにさらにで、デフレ脱却を先取りした動きというべきか、昨年2005年9月に月見バーガーを220円に、チーズ月見バーガーを250円に30円ずつ値上げしています。かなり長い期間据え置いてきたとはいえ、上昇率は大幅です。まだご記憶の方も多いと思いますが、昨年は8月に衆議院の郵政解散があり、お盆ころから株価が力強い上昇を始めた時期です。デフレ脱却に向かう動きが顕在化する中で、マクドナルドは鋭くも月見バーガーを大幅値上げしたわけです。
今夜のブログは、月見バーガーのトリビアというにはムリがあり、価格を取り上げたりして、何となく経済を評論したっぽいんで、経済評論の日記に分類しておきます。ここ2晩ほど、スポーツの秋、読書の秋を続けて、今夜のエントリーは食欲の秋で、秋のブログ3部作の完成です。
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