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2006年10月 3日 (火)

日銀短観から何を読み取るか?

昨日、日銀の短観が発表されました。市場では横ばいを予想していたようなんですが、3ポイント上昇して24となり、最近の景気の拡大が確認さた結果となりましたが、先行きは下がるようになっていたりして、ハッキリいって、どうとでも受け取れる結果だと思います。
我が家で購読している朝日新聞などは、早期の追加利上げを示唆しています。朝日新聞のサイトから記事の最後のパラグラフだけ引用すると、以下の通りです。

今回の短観は、ゼロ金利解除に続く今後の追加利上げのタイミングを探るうえでも重要な判断材料となる。市場ではこれまで、米経済の先行き不透明感を根拠に「景気のブレーキとなりかねない追加利上げは当面難しい」との観測が大勢だった。しかし、今回の短観で足元の景気拡大傾向が鮮明となったことで、早期の追加利上げ観測が再浮上する可能性もありそうだ。

同様に、その筋の情報を扱っている日経金融新聞なんかは追加利上げが少し早まって、来年1-3月期との見通しを明らかにしています。日経金融新聞のサイトから引用すると、以下の通りです。

日銀が2日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感が大幅に改善、市場に広がっていた「日銀は年度内も利上げは難しい」との観測に微修正を迫る内容だった。クリスマス商戦に向けた米景気の先行きや安倍新政権の出方など、見極めるべき材料も残るが、専門家の間では「来年1―3月」の利上げを予想する声が再び増えている。

また、朝日新聞ではロイターから引用して、「9月日銀短観:識者はこうみる」と題して、証券会社などの金融機関などのエコノミストやストラテジストの意見を特集していたりします。引用が多くなりすぎますからここには引用しませんので、ご関心ある向きは朝日新聞のサイトをご覧下さい。

私の短観の見方はニュートラルです。ハッキリいってしまえば、特段の新たな情報の追加はなかったともいえます。日本も米国も景気はゆっくりと下り坂で踊り場にさしかかっており、来年年央が小さなボトムになる可能性もあります。ちょうど参議院選挙がそのあたりにありますので、政府からは塩崎官房長官が中小企業はよくないとの発言をしたといわれています。日銀OBの官房長官ですから、日銀寄りかと思われていましたが、かなりきわどい牽制球を投げたといえます。
物価の番人である日銀ですから、今後の物価動向次第なんでしょうが、景気の足踏みにより需給ギャップが拡大したとも考えられませんし、加えて、原油価格は一時より下げて来ています。今春の春闘は振るわず、単位労働コストはそんなに上昇していません。私はこの中で、昨年来、単位労働コストをもっとも重視しています。昨年12月15日には「来年は給料が上がってデフレを脱却できるか?」と題したエントリーを投稿しましたが、その中でも、単位労働コストが上昇すればデフレは脱却できると考えている旨を明らかにしていますし、この考えは今でも変わっていません。
単位労働コストで脱線すると、どうして、こんなに人手不足になり、新卒採用がかなりの増加を示しているにもかかわらず、単位労働コストが上昇しないかというと、私は海外との競争がもっとも大きな要因だと考えています。もちろん、労働組合の交渉力が低下しているとの説もあり得ますし、国民の間にデフレ期待が根強いとの見方もできますが、日本経済がグローバル化を進めて中国なんかと競争する中で、生産関数が中国と同じような産業ではヘクシャー・オリーン的な文脈で要素価格が抑制されるようになって来ている気がします。要するに、労働は移動しなくても貿易が自由になると、中国などの途上国と似通った生産関数を有している産業は、中国などと同じ賃金水準に均等化する力が働く可能性があるわけです。ですから、そうならないために、セーフガードを申請したりすることもあります。もちろん、実証研究をサーベイしたわけではありません。

さて、短観に戻って結論を申し上げると、今回の短観で何が私のデータベースに情報として付け加わったかというと、最初に申し上げたように、どうとでも取れる結果だっただけに、コメントを出したエコノミストの景気に対するスタンスが明らかになったように思います。単純にいって、私がニュートラルと見ている短観の結果を強いと見ている人は私より強気派で、そうでもないと見ているエコノミストはやや弱気派のような気がします。いろんなところで、私と面識あるエコノミストも自分の意見を述べていたりしますが、普段のお付合いから考えても順当ではないかと思われます。

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