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2006年12月19日 (火)

スタグフレーションはどうして困るのか?

思い起こせば、昨年12月に経済評論の日記のカテゴリーを設けてから、約1年余りで100エントリー近くを書いてきました。もっとも、少しごまかしがあって、カテゴリーを設ける前のいくつかのエントリーも経済評論の日記に分類し直していますので、ホントに1年で100件近く書いたのかといわれると、少し水増しがあるのは事実です。
役所の仕事は年末のクリスマスのころに予算のシーズンを迎えて、部署によっては大忙しで、これを終えないと年末年始の休暇に入れないんですが、私のように出向中の参事官クラスが予算作業に巻き込まれることは少なく、そろそろ、役所の世界では一足先にクリスマスから年末年始のホリデーシーズンに入りつつあります。
そこで、最後に、米国経済見通しと関係して、スタグフレーションについて考えたいと思います。
スタグフレーションはstagnationinflationの合成語ですから、経済が停滞しているにもかかわらず、インフレが進んでいる状態を指します。ごく単純に考えても、不況とインフレがいっしょに来るんですから困ったもんだといえますが、エコノミストの目から見ると、ホントに困るのは割り当てる政策が不足することです。
現在の経済政策の標準では景気の好不況には金融政策を割り当てることになっていますが、今年7月28日付けのエントリーで取り上げたティンバーゲンの定理により、不況とインフレの克服という2つの政策目標に対して、割り当てられる政策が金融政策しかないので、2つを一度に解決することが出来ないからです。中央銀行の司る金融政策からすれば、まずインフレを止めることに重点が置かれ、これはコンセンサスがあると思うんですが、不況の度合いを厳しくする可能性が高くなります。
12月13日のエントリーでも取り上げたプレスコット教授のコラムでは否定的な論調が展開されていますが、景気の良し悪しは金融政策によって決められる度合いが強いのは広く認識されているところです。しかし、スタグフレーションになれば、中央銀行が政策発動ができなくなる、あるいは、インフレを抑制する政策を発動せざるを得なくなることから、不況の度合いを強めてしまうことになります。
現時点で、日本経済はデフレを脱却しようかという状況ですから、スタグフレーションからはほど遠いといえますが、米国はスタグフレーションのリスクがあると私は考えています。そのリスクは2点あり、第1は原油価格の再上昇です。原油価格の見通しは誰にも分からないので、ランダムウォークで考えるしかなく、ドリフトがプラスかマイナスか、あるいは、それが大きいのか小さいのか、という程度です。中東の地政学的リスクか、何かの要因により、原油価格が上昇すれば、来年年央の米国景気の踊り場でインフレが進む可能性もあります。第2は米国経済の潜在成長率の下方シフトです。主として、女性の労働参加率の上げ止まりから生じているとする説もあり、連邦準備制度理事会(FED)のグリーンブックで分析されていたという情報もあります。潜在成長率が低下しているとすると、インフレを抑制するために、より低い経済成長率まで下げる必要が出てきます。
昨日のエントリーでも披露したように、私は住宅ブームのその後については楽観的なんですが、今しばらく、米国経済の動向を見極める必要があるのかもしれません。

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