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2006年12月18日 (月)

米国の住宅ブームはバブルだったのか?

先日、米国経済の見通しについてエントリーをアップロードしましたが、今夜は、米国の住宅ブームについて、もう少し詳しく考えてみたいと思います。特に、少し前までの住宅ブームはバブルだったのかどうか、という点です。
日本では1990年前後のバブル経済の爪跡が、一部なんですが、まだ残っている地域や産業もあり、それに引き直して、米国の住宅ブームをバブルであるとする意見もあります。あるいは、おそらくはエコノミストでない人達の世界で、乱暴にブームをすべてバブルといい換える人もいたりします。でも、米国の住宅ブームはホントにバブルだったんでしょうか?
もちろん、これはバブルの定義次第なんですが、私は米国の住宅ブームはバブルではなかったような気がしています。資産価格の異常な高騰という点からは、バブルだったとするエコノミストもいるんでしょうが、住宅は実物資産の面も有しており、株なんかとは違います。
今年2月2日のエントリー「デフレが終わってバブルが生じている?」でも取り上げましたが、株や土地なんかは将来の期待収益を現在価値に割り引いた価格が付けられると仮定すれば、将来に対するとても楽観的な見通しに起因して、将来の期待収益が過大に見積もられたり、現在価値への割引率がとても低く評価されたりする結果、分子が大きくなって、分母が小さくなりますから、資産価格は跳ね上がりますが、逆に、最悪の場合には価格がゼロ近傍まで下落するリスクがあります。でも、住宅はそれ自体で十分な価値のある実物資産で原価もありますから、価格がゼロ近傍にまで下落することはないと考えられます。別の言葉でいえば、供給曲線が右上がりになっているということです。実際に、設計業者や建設業者をどんなに厳選しても、ある程度の原価はかかってしまいますから、これが下値を支えて、中古であっても住宅価格がゼロになることは考えられません。上値も下値もない株や土地とは大きく異なります。しかも、地域にもよりますが、米国などの住宅は日本の住宅よりも耐用年数が長い場合も少なくなく、新築時から価値が低下していくカーブの傾きが米国では日本よりもフラットにより近いことになります。
先日のエントリーでも書きましたが、米国よりも日本の方が米国経済の先行き見通しについてより悲観的なバイアスを持ちがちなのは、少し前までの米国の住宅ブームを1990年前後の日本の土地バブルになぞらえて理解している向きがあるからではないかと、私は考えています。しかし、このように、土地と住宅は違います。加えて、日本の住宅と米国の住宅は耐用年数が違います。ですから、少し前までの米国の住宅ブームはバブルではなかった可能性が十分あるのではないか、と私は考えています。

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