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2007年1月17日 (水)

結局、日銀は金利再引き上げを見送るのか?

今日は久し振りに東京でも雨が降りました。陽射しがなくて、冷たい雨でした。東京では10日連続くらいで乾燥注意報が出ていたらしいので、お天気おねえさんの中には、恵みの雨と呼んでいる人もいたりしました。

それはそうと、昨夜のエントリーで取り上げた日銀の金利引上げについて、今朝の朝刊の報道が分かれています。朝日新聞の1面トップが「利上げへ最後の詰め」だったのに対して、東京新聞は「利上げ一転見送りへ」と正反対の報道で、日経新聞が1面トップではないんですが、「利上げ見送り論浮上」とその中間的な見出しだったりしました。
私の基本的な立場はニュートラルであると昨夜のエントリーでも書きましたが、実際、日銀の中は揺れているのかもしれません。日経金融新聞の2面のコラムでは、私の昨夜のエントリーでも引用した尾身財務大臣の議決延長請求はしないとのコメントについて、日銀の金融政策決定会合において日銀執行部が利上げを提案しないとの確信に基づいたものである、と解説していたりして、ある意味で、こういったうがった見方もあったりしました。要するに、よく分からないわけです。
これが夕刊ベースでは、日銀の金利引上げに関する扱いはグッと小さくなり、日経新聞によると「意見集約はギリギリまで続く見通し」とのことになっています。マーケットも方向感覚がイマイチつかめないような動きだといわれています。再び、要するに、よく分からないわけです。

私の見立てでは、経済情勢が日銀の考えるように、設備投資から消費に順調にバトンタッチされ、ゆっくりとしたペースながらも家計所得や消費が伸びて行くような楽観論には、必ずしも立てないものの、25ベーシスのコールレート引上げで景気が大きく屈折するとも思えない、すなわち、悲観論も可能性は低いと考えています。昨夜と変わりありません。
7-9月期にGDPベースの消費が落ち込んだ反動で、10-12月期はそれなりのリバウンドがあると考えるのも十分可能ですが、現在の原油価格の水準が続くようであれば、今年の年央には再び消費者物価が前年比マイナスをつける可能性も十分あると考えています。
そこで、よく聞かれる疑問で、先月12月から景気判断を変更する何があったのか、との疑問については、私の推測によれば、米国経済のソフトランディングの確率が高まったことだと考えています。クリスマス商戦は好調だったようですし、雇用者数も高い伸びを示しています。日本経済に対する下振れリスクが減少したのであれば、利上げの環境のひとつが整ったと日銀が考えても不思議はありません。
しかし、今年の春闘が始まりましたが、経営側は相変わらず渋い発言を繰り返しており、好調な企業業績家計の所得にスンナリと反映されるとは考えにくいのも事実です。ホワイトカラーエグゼンプションなどの労働法案は今国会に提出が見送られるような報道振りですが、少なくともマクロ経済的に見て、労働分配率が大きく上昇する気配はありませんし、これは私の解釈ですが、その裏にはまだまだ根強いデフレ期待が存在しているのではないかと考えています。

伝統的な金利の上げ下げ、しかも、25ベーシスのお話ではなく、何か、画期的に経済主体の期待に働きかける政策が求められているような気がします。

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