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2007年1月10日 (水)

ホワイトカラー・エグゼンプションと消費重視の経済政策

今日の夕刊で柳沢厚生労働大臣が公明党の斉藤政調会長に対して、残業代ゼロの基準は年収900万円以上を検討していることを明らかにしたらしいです。
いつもの朝日新聞のサイトから引用すると、以下の通りです。

柳沢厚生労働相は10日午前、公明党の斉藤鉄夫政調会長と会い、一定の条件を満たした会社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、年収900万円以上の会社員を対象に検討していることを明らかにした。
柳沢氏が同日示した厚労省案によると、制度導入の対象者について「管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案」と明記。その水準を「現状では900万円以上と想定される」とした。また、「労働者が自分で業務量をコントロールすることは実際にはできず、過労を招く」との批判に対応するため対象労働者の仕事内容を「職務記述書」などで明確化するとした。
柳沢氏は斉藤氏に対し、「与党幹部に理解を深めていただいた上で、判断していただきたい」と述べ、通常国会で労働基準法改正案を提出する方針を改めて示した。
ただ、公明党には「年収要件は将来変更される可能性があることや、結果的に長時間労働を強いられる恐れがある。現在の案では、国民の不安がぬぐえたとは言いがたい」(幹部)との声が多く、党として法改正には慎重に対応する意向を崩していない。

まあ、普通の会社や役所では管理職になれば残業代は出ないわけですし、その管理職の平均的な年収水準として900万円であるといわれると、それはそうかな、という気にもなります。
でも、今回の労働基準法改正案ではこのホワイトカラー・エグゼンプションばかりが目立って報道されていますが、この法律自体がかなり包括的な労働法制のひとつの中核をなすものですし、重要なパーツを取り出して議論するのも大切なんでしょうが、パッケージとしても議論されるべきものであると私は考えています。
昨年の税制改正なんかで企業優遇が目立つとの批判もありますし、経済社会諮問会議の委員の中には正規労働者の待遇を非正規労働者に近づけることで格差解消を図るべきであると公言する向きもあります。日本の正規労働者のコストが諸外国と比較して、かなり大きなものであるのはその通りなんでしょうが、政策的なリソースを今まで以上に家計や労働側から企業にシフトさせる必要があるのかどうかはもっと慎重に議論されるべきです。日本の経済政策は経済主体でいえば家計よりも企業、GDPの需要項目でいえば消費よりも設備投資に重点を置いた政策運営をしてきたとの批判は全面的ではないものの、当たっている部分も大いにあると私は考えています。
先日、一橋大学の齊藤誠教授の「成長信仰の桎梏」を読み終えて、アマゾンなんかにレビューを投稿したところ、昨日になってアマゾンのサイトに掲載されていました。私は5ツ星をつけました。この本は少し難しいマクロ経済のエッセーですが、とても真っ当な主張をしていると思っています。エコノミストの立場からも、企業や設備投資を重視してGDPの成長を促進するマクロ経済政策から、労働なんかのミクロも含めて、消費や国民生活を豊かにする経済政策への転換について、もっと真剣に検討されるべきなのかもしれません。

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