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2007年2月16日 (金)

税制は中立であるべきか?

今日の東京は昨日と同じく冬晴れのいいお天気でしたが、気温は昨日より下がって、肌寒かったような気がします。

去る2月14日に自民党税制調査会の津島会長が日本記者クラブで講演しました。小さい記事ですが、日経新聞に載っていました。日経新聞のサイトから、最初のパラグラフだけを引用すると、以下の通りです。

自民党税制調査会の津島雄二会長は14日、都内の日本記者クラブで講演し、所得格差是正のため所得税の最高税率(国税と地方税を合わせて50%)引き上げ論が浮上していることについて「世界的には、5割以上取るのはどうなのかというのが多い。所得再分配機能は大事だが、行き過ぎてはいけない」と慎重姿勢を示した。

財務省や税制調査会なんかで租税原則として公平・中立・簡素の3点が上げられます。しかし、私はこの中の中立について、少し疑問に思わないでもありません。と言うのは、中立とは、要するに、市場における資源配分に影響を与えないで、効率的な資源配分を行う市場の機能を阻害することがないように、と言うことなんだろうと思いますが、斜めに見ると、経済政策の目的は市場が達成する均衡を歪めることにあるからです。あくまで、斜めに見ると、と言うことで、正面切ってはそうではないかもしれないんですが、市場で達成される均衡が何らかの意味で好ましくない点があるからこそ政府が介入するわけで、市場均衡を何らかの価値判断に基づいて歪めるのが経済政策ではないかと思うからです。歪めるという言葉がショッキングな向きには適正化すると言い直しても構いません。
もちろん、政府は市場以上に失敗するものだと私は考えていますし、その典型が前世紀に破綻した社会主義経済であったと言われると、私も大いに同意します。でも、市場による資源配分を歪める非効率を勘案しても、それでもなお、資源配分を歪めることが国民のコンセンサスであれば、政府は何らかの経済政策を発動するんだろうと私は考えています。格差の問題があるので、市場で決定される所得分配をより平等なものへと再分配する場合もあるでしょうし、国民の合意が得られる範囲で、不適当な財やサービスの消費を抑えるために、直接的に売買を禁止したり、かなり高率の税金をかけたりする場合もあったりします。
その意味で、私は税制が中立である必要性についても議論すべきだと考えています。特に、公共事業のバラマキが遠い過去の遺物となった現在では、国民的なコンセンサスを勘案しながら、税制により資源配分を歪めることもひとつの政策手段となる可能性を無視し得ないと思います。極端な例を言うと、現時点で、正社員もパート社員も、どちらの賃金も法人税を計算する際には全額損金算入なんですが、パート社員の賃金について半分だけしか損金算入が認められないとすれば、雪崩を打って正社員化が進むとまでは思いませんが、パート社員から正社員になる人が増えそうな気がします。少なくとも、雇用する側の企業はそのようなインセンティブを感じる可能性が十分あります。もちろん、これが現実的だとか、ましてや、いい政策だとは思いません。ひとつの頭の体操の一例として考えてみる価値がなくはないと思います。
さらに、先の小泉総理大臣は就任直後から消費税の税率は変更しないと宣言して、自ら税制改革から遠ざかってしまったんですが、最近の歴史をかえりみると、米国のレーガノミクスでも、英国のサッチャリズムでも、経済活性化の一番手は税制改革でした。どちらも減税が中心だったので、ややゴマカシはあるんですが、アベノミクスでも税制を活用すべきだと私は考えています。先に引用した中で津島会長が消極的な発言をした累進税制についても、格差問題の解決のために税の所得再配分機能を活用するのが有効かどうかの視点も含めて、メニューから除外する必要はないと思います。
前世紀までは、公共事業だとか、減税だとかの量的な経済政策に注目が集まりましたし、現在でも、消費税増税なんかの大雑把な税制論議やドマクロの金融政策が中心なんですが、国民のコンセンサスを勘案しつつ、質的によりキメの細かな税制を活用することにより、市場の資源配分を適正化させるような攻めの経済政策を実行できれば素晴らしいと思います。

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