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2007年2月20日 (火)

格差問題のディープな側面

今日は朝からが広がり、時折、小雨の降るぐずついたお天気でした。陽射しがなく、気温は上がりませんでした。

今日から日銀の金融政策決定会合が始まりました。先月と違って、メディアの報道も抑え気味で、利上げと据置きは五分五分と言われています。今日の閣議後の記者会見でも、経済閣僚から利上げ容認と受け取れる発言もあったりしました。ただ、前の内閣府副大臣で、現在の行革担当大臣の渡辺大臣からは利上げを牽制する意見も出たように報道されています。いずれにせよ、明日の午後一番には結果が明らかになります。なお、ついでながら、米国の連邦準備制度理事会(FED)とタイミングを同じくして、日銀は5月に利上げに踏み切ると私は考えています。要するに、米国景気はそれほど強いと言うことです。

今夜のエントリーでは格差問題の論点整理をしてみたいと思います。私が考えているのは以下の3点です。すなわち、格差問題には中期的・循環的な要因と長期的・構造的な要因の両方があり、さらに、日本独自の要因が合わさって、問題を複雑にしている面があると考えています。なお、格差問題ですから、短期的な側面は無視して差し支えないと思います。
まず、単純な方から取り上げて、中期的・循環的な側面は、景気の回復局面での跛行性に起因しています。日本では景気回復は、大企業から中小企業へ、企業から家計へ、大都市圏から地方圏へ、製造業からサービス業へ、と言う風に波及して行きます。米国ではこれが家計から企業へと波及したりするんで、各国経済の個性にもよると思うんですが、ともかく、日本ではこのように景気回復が波及します。景気後退の局面では、この逆になる場合が多いんですが、景気を後退させる要因によって、必ずしも一定しません。ですから、現在の景気拡大を長続きさせることにより、景気局面の成熟度を高めることが出来れば、企業規模別や地域間格差は相当程度緩和されるんではないかと考えられます。これは多くのエコノミストの主張している点でもあります。
しかし、コトはそう単純ではなく、長期的・構造的な要因も考慮する必要があります。IT技術を活用して生産性を向上させた企業や地域と乗り遅れたグループ、経済のグローバル化から利益を受けたグループと損害をこうむったグループ、金融技術の発達を体得して高所得者になった人々とそうでない人々、特に、私が考えつく範囲では、キーワードはIT革命、グローバル化、金融技術の3つです。一例を上げると、中国からの輸入に押されて経営の苦しくなった企業もあれば、アングロサクソン流の金融技術を身につけて外資系の金融機関などにおいて、日本企業では考えられないようなサラリーを得ている人もいたりします。成功している人達は流行の言葉で言えば、セレブとか、少し前まではヒルズ族とか呼ばれたりしています。
さらに、これに日本特有の事情が加わります。特に、バブル経済が崩壊した後、就職の超氷河期と呼ばれる時期があり、その時に正社員に採用されなかった集団が、日本特有のOJTの機会を失い、フリーターやニートになっている可能性が高いと私は考えています。もっとも、私はフリーターとニートは同列に論ずるべきではないと主張しているんですが、この点は機会があれば日を改めて論じたいと思います。加えて、日本では地方への公共事業のバラマキを地域間格差の是正策に割り当ててきた歴史があり、今世紀に入ってから公共事業を大幅に縮小する過程で、結果として、地域間格差の拡大を助長した側面があることは否めません。
これら3点の論点整理を終えて、現時点では、エコノミストが回答を出しているのは第1の点だけと言えます。特に、第2の点に関しては、いわゆるモダン・エコノミクスは市場における資源配分の効率性を重視する一方で、日本ではマルクス主義経済学と呼ばれている社会主義的なエコノミクスで重視されている所得分配を軽視して来た傾向がないとは言い切れません。ソ連の崩壊と言う歴史的事実で2つのエコノミクスの決着はついたように見受けられますが、エコノミストが回答を出し切れていない理由のひとつが、この傾向であろうと私は考えています。ここに格差問題のディープな側面があるのではないかとも考えられます。

いずれにせよ、何度も同じことを書きますが、我が国の名だたるエコノミストが知恵を絞っても、なかなかパッとした回答が得られない中で、私がとびっきり優れた回答を用意できると考えるほど自惚れていませんが、格差問題は引き続き私なりに考えを深めたいテーマのひとつです。

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