「成長力底上げ戦略」(基本構想)を読む
今日は朝からいいお天気で、気温もまずまず上がったように思います。春のような暖かさからは程遠いですが、真冬の寒さは終わったように感じられます。今日は二十四節気の雨水です。空から降るものが雪から雨に変わり、雪が溶け始めるころと言われています。
先週末の2月15日に塩崎官房長官を主査とする成長力底上げ戦略構想チームが成長力底上げ戦略の基本構想を取りまとめ、その次の2月26日の経済財政諮問会議に報告しました。私は今日になって出勤してから経済財政諮問会議のホームページから関係資料をダウンロードして勉強してみましたが、ハッキリ言って、大した内容ではありません。報道でも、我が家が購読している朝日新聞にはほとんど言及がなく、日経新聞も経済財政諮問会議については規制改革の記事があっただけで、この成長力底上げ戦略については、取り上げていませんでした。私が見た中では、読売新聞だけがそれなりの扱いをしていたような気がします。
その読売新聞のサイトを引用すると、成長力底上げ戦略の基本構想は以下のように報じられています。
構想では、フリーターらの就職活動を助けるため、職業訓練の受講状況などを記載した証明書を発行する「ジョブ・カード」制度を2008年度から本格実施する。07年度から生活保護世帯などの就職を後押しする「福祉から雇用へ」推進5か年計画をスタートさせる。労使と行政でつくる「円卓会議」を3月中に設置し、中小企業の生産性向上と最低賃金の引き上げを一体的に進めるとしている。
成長力底上げ基本戦略では、人材投資を中心に、人材能力戦略、就労支援戦略、中小企業底上げ戦略を3本の矢と称して中心に据えています。人材戦略では読売新聞の引用にもあるようにジョブカードの導入が盛り込まれていたりしますが、口の悪い人はフリーター証明書と呼んだりしていたりします。就労戦略でも福祉的賃金の底上げなどで、「福祉から就労へ」をうたっていますが、今までの政策の焼直しに過ぎないと批判する向きもあります。全般的に労働政策を中心に練り直した感じがしますが、生産性が上がらなければ賃金上昇も望めませんし、根本的な対策にはなっていないような気がしないでもありません。
すでに、再チャレンジ政策との重複を指摘する報道もありますし、特に、私が気にかかっているのは、スピード感がないことと地域間格差の是正策が何ら盛り込まれていないことです。昨年のうちに政府予算案が閣議決定され、現在は衆議院の予算委員会で審議中なんですから、財政措置を盛り込むことが不可能で、予算の裏付けのある施策は2008年度以降になってしまうとの理屈は、長らく公務員をしてきた私には分からないでもないんですが、それでも、多くの施策が2007年度は本格実施の準備期間で、2008年度から本格実施と言われれば、少し落胆する向きがあるだろうことは容易に想像できます。
それから、昨年2006年10月13日のエントリーでも書きましたが、格差の問題で最も難しいのは東京などの首都圏や大都市圏と地方圏との格差の問題です。今回の成長力底上げ基本戦略では、格差問題を正面から取り上げたわけではないと言われればそうかもしれませんが、地域間格差の問題は素通りの印象があります。少し前までは公共事業のバラマキで対応していた地域間格差なんですが、このところ格差が拡大していることは事実のようで、バラマキに代わる何らかの政策が打ち出されなかったのには失望する向きがありそうな気がします。もっとも、10月のエントリーで正面切って難しいと書いた私にも、引き続き、具体的な政策は考えつきません。まあ、日本の名だたるエコノミストがいっぱい考えていて、それでもまだ妙案がないんでしょうから、私なんかが考えてもいいアイデアが出て来るハズもないかもしれません。
民主党が提唱している「格差是正緊急措置法案」なるものも、まだ実体がよく分かりませんし、今国会のひとつのテーマである格差是正の観点から、私もいろいろと考えたいと思います。
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