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2007年3月30日 (金)

消費者物価のマイナスはどのレベルでいつまで続くのか?

今日の東京は朝のうちだったんですが、昼前には止んで、いいお天気になって気温も上がりました。雨が降って風も強かったんですが、満開の桜はまだ散ってはいません。今週末にお花見に出かける人も多いんではないでしょうか。また、今夜からプロ野球のセリーグもパリーグに一足遅れで開幕し、我が阪神タイガースは京セラドーム大阪で広島戦を戦っています。

さて、今朝、総務省統計局から2月の全国の消費者物価(CPI)が発表されました。3月2日のエントリーでも取り上げましたが、大方の予想通りにマイナスとなりました。前年同月比で見て、総合と呼ばれるヘッドラインCPIが-0.2%、生鮮食品を除くコアCPIが-0.1%、食品およびエネルギーを除くコアコアCPIが-0.3%を記録しました。CPIが前年同月比で下がったのは10ヶ月振りです。NIKKEI.NETのサイトから引用すると以下の通りです。

総務省が30日発表した2月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合で99.4となり、前年同月比0.1%下落となった。下落は10カ月ぶり。項目別で価格の下落幅が大きかったのは家具・家事用品(1.3%下落)だった。生鮮食品を含む総合では99.5と0.2%下落した。
生鮮食品を除く総合は、日経QUICKニュース社がまとめた市場予測平均値(0.1%下落)と同水準だった。
同時に発表した3月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、2005年=100)は生鮮食品を除く総合で99.7と、前年同月比0.1%下落した。

以前のエントリーでも紹介しましたが、この結果はエネルギー価格に左右されている面が大きいと考えられます。昨年2006年の原油価格は指標となるWTIで見て、年央の5月から8月くらいまでバレル当たり70ドルを超えていました。足元の原油価格は不安定な中東情勢を反映して少し上げて来ていますが、それでも60ドル台半ばの水準で止まっており、昨年の今ごろはバレル100ドルの予想もめずらしくなかったことを考え合わせると、少なくとも、昨年水準を大幅に上回るとの予想は少ないように受け止めています。2ヶ月くらいのラグを想定すると、年央から秋口くらいまではCPIがマイナスを続けることも考えられます。
振り返って、日銀の金融政策については、3月の金融政策決定会合後の福井総裁の記者会見を見ると、「目先、ゼロ%近傍で推移する」ことを前提に運営されているようです。ポイントは目先とゼロ近傍です。すなわち、期間は目先であり、水準はゼロ近傍を前提としているわけです。
まず、期間はエネルギー価格から考えると、先述の通り、目先ではなく半年くらい続く可能性があります。目先とは1-2ヶ月くらいの期間であって、四半期に相当するような3ヶ月を超える期間ではないとマーケットでは認識されていますが、本当に目先の期間だけで済むのかどうかは大いに疑問が残ります。私の知り合いのエコノミストの中には、年末年始くらいまでマイナスを引きずると予想している向きもあったりします。私はそこまでは予想しませんが、年央から秋口くらいまで、月で言うと8-9月くらいまで約半年の間、マイナスを記録し続ける可能性が十分あると考えています。
次に、ゼロ近傍とした水準については、2月の全国CPIがヘッドラインとコアとコアコアで0.1から0.3までマチマチだったんですが、マーケットではマイナス幅が0.1までと理解されています。どうしてかと言うと、0.2-0.3に達すると、事後的な実質金利で考えて、日銀の金利引上げ幅である25ベーシスとほぼ同等の幅ですから、それと同等の経済的インパクトを有すると考えられるからです。おそらく、年央でマイナス幅が最大になると思われるんですが、一部に、-0.4%くらいまでのコアCPIのマイナス幅を予想するエコノミストもいます。こうなれば、日銀の金利引上げ2回分近くに相当してしまいますから、実体経済に及ぼす影響は半端でない可能性があります。
4月末にはいわゆる展望レポートが日銀から発表されますが、消費者物価の見通しについて日銀審議委員の間でどのようなコンセンサスがあるのか、特に、消費者物価がマイナスを続ける期間とマイナス幅について、私は大いに注目しています。先行きの物価見通しについて不安があるとして、2月の利上げに唯一人反対した岩田副総裁の見識が正しいのかもしれません。

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