京都の難しい地名
今日は朝から雲が広がり、昼ころから雨が降り出しました。冷たい雨で、気温は土曜日をピークに下がり続けているような気がします。
今日の朝日新聞の朝刊に漢字にも方言があると題して、早大教授が100を超える地域文字を発見したとの記事が出ていました。いつもの朝日新聞のサイトから最初の3パラだけ引用すると以下の通りです。
話し言葉に方言があるように、漢字にも「地域文字」がある。早稲田大教授(日本語学)の笹原宏之さん(41)は高校時代から、各地の文献を当たって100字以上を拾い出し、近著「国字の位相と展開」(三省堂)でまとめた。日本で作られた和製漢字「国字」が大部分を占め、「人々と文字の格闘の跡が読み取れる」という。
国字は1万近くある。例えば「辻」は、道を表すシンニョウと交差する意味の「十」の組み合わせだ。
江戸中期の儒学者、新井白石は「日本で作られ、漢籍には見られず、訓しかない字」と定義した。「峠」「畑」「働」などが有名で、地名に地域特有の文字があることも、江戸時代から知られていた。
記事の中では京都の「椥」が紹介されていました。「なぎ」と読みます。地名で椥辻=なぎのつじというところがあります。漢字が方言かどうかは私には判然としないんですが、少なくとも、常識的に考えて難しい地名であれば、私も山ほど知っていたりします。有名なところではポルトガル語に由来する「先斗町」があります。「ぽんとちょう」と読むということはかなり多くの方が知っているのではないかと思います。ポルトガル語のポントは英語のポイントに相当します。
由来で有名な地名には「蹴上」があります。「けあげ」と読みます。京阪電車三条駅の少し先になります。有名な京都ホテルがあったりします。この地名は義経に由来しています。すなわち、義経が奥州へ向かう途中なんですが、この地で平家武者の一行とすれ違った際、その武者の乗っていた馬が泥水を蹴り上げ、義経の衣服にかかって汚してしまったことから、怒った義経は武者と従者の全部で9人を斬り殺してしまったといいます。この故事に由来する地名です。他にも、逆由来というべき地名もあったりします。「御室」というのがそうです。「みむろ」ではなく、「おむろ」と読みます。宇多天皇の創建になる仁和寺のあるところです。それと同時に、その昔は創業者の名前を取って立石電機といっていたオムロン創業の地でもあります。オムロンは「御室」から社名を取ったというわけです。
さらに、私のような京都ローカルの人間には、もっとめずらしい地名も知っていたりします。例えば、私が生まれ育ったのは京都府宇治市なんですが、私の母方の祖母は宇治市の隣の久御山町の「一口」の出身でした。誰がどう読んでも「一口」は「ひとくち」としか読めないんですが、正しくは「いもあらい」と読みます。かなりかわった読み方ですし、ばあさんの発音がそう聞こえるもんですから、私も高校生になるまで「いもらい」なんだと思っていたりしました。それから、京都と奈良に共通して、「終」の漢字を「はて」と読む地名もあります。京都には上終町、奈良には京終町があります。それぞれ、「かみはてちょう」、「きょうはてちょう」と読みますが、ローカルの人間は「終」を「はて」ではなく、濁って「ばて」と読んだりもします。
最後に、私の知っている限り、観光スポットや京都市バスの行き先なんかになっていて、難しいながらも、かなり難易度の低い読み方の地名を順不同で思いつくままに、いくつか上げておきます。太秦や百万遍あたりは有名なんでしょうが、デフォルトの状態のMS-IMEが正しく変換してくれるのは半分もないと思います。京都旅行のご参考に。
- 太秦 (うずまさ)
- 百万遍 (ひゃくまんべん)
- 鹿ケ谷 (ししがたに)
- 壬生 (みぶ)
- 車折神社 (くるまざきじんじゃ)
- 深泥池 (みどろがいけ)
- 双ケ丘 (ならびがおか)
- 糺森 (ただすのもり)
- 化野 (あだしの)
- 雲母坂 (きららざか)
- 栂尾 (とがのお)
- 帷子ノ辻 (かたびらのつじ)
- 花遊小路 (かゆうこうじ)
- 八入岡 (やしおのおか)
- 上蔵町 (あぐらちょう)
- 竃辻子 (へっついのずし)
- 木瓜原町 (ぼけはらちょう)
- 木賊山町 (とくさやまちょう)
- 役行者町 (えんのぎょうじゃちょう)
- 花山 (かさん)
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