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2007年7月27日 (金)

平安朝ファンタジーの読書感想文

今日も、朝からいいお天気でした。気温も上がって、蒸し暑い一日でした。今日は東海地方まで梅雨明けが進んだみたいです。関東甲信地方もあと一歩と言うところでしょうか。

今夜は昨夜に引き続き子供向けファンタジーの読書感想文です。まず、昨夜と重複しますが、アマゾンの私のリストマニアへのリンクを昨夜に続いて以下に掲げておきます。リストそのものは昨夜のエントリーをご覧いただくこととして、長くなるので割愛します。

今夜のエントリーは、昨夜のリストの最後の2冊、すなわち、伊藤遊さんの平安朝ファンタジー「鬼の橋」と「えんの松原」です。なお、シリーズものを3シリーズも一気に取り上げた昨夜のエントリーと違って、今夜のエントリーは少し詳しく2冊だけを取り上げますので、ネタバレがあるかもしれません。読み進む場合はご注意下さい。
まず、作者の伊藤遊さんの紹介です。伊藤さんは「なるかみ」で第2回児童文学ファンタジー大賞佳作を受賞した後、この「鬼の橋」で第3回児童文学ファンタジー大賞を受賞しました。「鬼の橋」は言うまでもなく、我が国の平安期の実在の貴族であり、漢詩人としても有名な小野篁の冥界還往伝説を取り上げたものです。主人公に加えて、地方から京の工事に徴用されて橋の建設に従事した父の形見といえる橋を一途に守ろうとする孤児、さらに、冥界から出て来て人間になろうとする異形のが物語を進めます。火を通したものが食べられなかった鬼が、だんだんと人間に近づき、鬼が橋を守ってくれたことに感謝して、ひたすらに鬼を信じる孤児の心の交流も見逃せません。最後に、さいはての地に赴任する父とともに京を離れる篁少年の成長も感動的です。少年が大人の男になって行くプロセスを孤児や鬼との交流と併せて、骨太に描き切っていると思います。感性豊かな年齢であれば、涙を禁じえない名作といえます。「ダレン・シャン」や「ハリー・ポッター」も受け入れるようになった日本の少年読書界ですが、日本の作者によるファンタジーとしては、文句ナシの最高傑作であろうと私は考えています。小学校上級生から中学生くらいの、特に、男の子にオススメです。
次に、「えんの松原」は同じく平安期の京を舞台に、内裏のすぐ脇にあって怨霊の住処となっているえんの松原をタイトルにしています。女装して女官に扮した音羽こと音羽丸が主人公となり、不条理な怨霊に悩まされる東宮・憲平との友情や交流を描いています。現代人から見れば非科学的極まりない怨霊なんですが、少しホラー仕立てにしつつ、自分が自分であること、もう一人の自分がいるのではないか、男と女はなぜ違うのか、世の中の不条理、絶望を克服する勇気、なんかについて考えさせられるファンタジーです。最初に取り上げた「鬼の橋」とともに、太田大八さんの挿し絵も素晴らしいです。現代人にも分かりやすくて、いかにも真に迫った筆致で、物語の進行に大きな役割を果たしているように思います。「えんの松原」も今で言えば小学生から中学生くらいの男子が主人公なんですが、こちらの方は男子に限らず、さらに、年齢層にかかわらずオススメです。「鬼の橋」と違って、いわゆるハッピーエンドに近い終わり方をしますので、読後感もとっても明るいと思います。

実は、我が家の子供達はこの「鬼の橋」と「えんの松原」はまだ読んでいません。小学3年生の下の子には少し難しいかもしれませんが、5年生のおにいちゃんが読んだ後で感想を聞いてみたい気がします。

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