消費者物価はそろそろプラスに転ずるか?
今日、総務省から消費者物価指数 (CPI) が発表されました。ヘッドラインの総合で前年同月比▲0.2%の下落、生鮮食品を除くコアで▲0.1%の下落を記録しました。消費者物価の下落は8ヶ月連続です。いつもの NIKKEI.NET から引用すると以下の通りです。
総務省が26日発表した9月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合が100.3と、前年同月比0.1%下落した。下落は8カ月連続。項目別で価格の下落幅が大きかったのは家具・家事用品(1.7%下落)だった。生鮮食品を含む総合では100.6と、0.2%下落した。
生鮮食品を除く総合は、日経QUICKニュース社がまとめた市場予測平均値(0.1%下落)と同じだった。
同時に発表した10月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、2005年=100)は生鮮食品を除く総合で100.3と、前年同月比横ばいだった。
発表された9月の全国指数ではなく、今月10月以降の消費者物価指数については、携帯電話の通話料の要因が大きいと注目されていたんですが、総務省が発表した消費者物価指数に関する Q&A によれば、今回は携帯電話通話料の新しい割引プランは採用しないようです。理由は、同じく総務省のホームページでは、KDDIのau買い方セレクト・シンプルコースとソフトバンクのシンプルオレンジ(いずれも平成19年11月12日導入)は、新規契約または機種変更等で携帯電話機を購入することが申込み条件となっており、既存の契約者が制約条件なしに乗り換えできるものとはなっていないため、総務省の言う最も安いプランに含めないということらしいです。逆に、これらのプランが普及し、更に契約者数などのより詳細な情報が入手できる状況になり、これらのコースが主流となったことが確認できれば、最も安いプランの検討対象となり得るという含意です。役人的なメンタリティから言えば、これは相当先の話だという気がします。公務員の私が言うんですから、かなり遠い将来だということは間違いないと思います。
さて、発表された全国9月の消費者物価指数に戻ると、前年同月比の押上げに寄与した主な品目は、薄型テレビや外国パック旅行などで、一方、押下げに寄与した品目は、宿泊料、ガソリン、生鮮食品を除く食料、サプリメントなどとなっています。しかし、10月に入って原油価格が大きく上昇して来ており、大雑把に丸めると、指標の WTI でバレル90ドル、ドバイでも80ドルとなって来ており、昨年秋口以降に原油価格が低下した歴史的事実を踏まえると、今年の秋からは上昇を続けている原油価格が我が国の消費者物価を押し上げる要因となることは明らかです。10月の東京都区部のコア CPI が前年同月比で横ばいになったことからも、ひょっとしたら、全国でも10月から消費者物価は水面上に浮上する可能性があると考えられます。特に、エネルギーのウェイトは1万分比で見て東京都区部で506なんですが、全国では740ですから、生鮮食品だけを除いてエネルギーを含める日本式のコア CPI に寄与する部分は大きいと言わざるを得ません。
私は今週月曜日10月22日のエントリーで、日銀が年度内に利上げするのは難しそうな気がすると書きましたが、携帯電話通話料金を消費者物価に算入しないことは日銀に追い風になった可能性があります。しかしながら、消費者物価がそろそろプラスに転じたとしても、▲0.1%から水面上に出て0.1%になったところで、行って来いで勘定しても0.2%ポイントしか違わないわけですから、これでもって25ベーシスの利上げを正当化する理論武装はとっても困難だと思います。
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