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2007年10月10日 (水)

経済見通しはどうしてリークされるのか ?

今日は、朝からまずまずいいお天気でした。関西的な表現かもしれませんが、暑くもなく寒くもなくで、過ごしやすい気候になった気がします。

私のブログでも少し触れましたが、来週10月17日に国際通貨基金 (IMF) が世界経済見通しを公表する予定になっています。ホームページで明らかにしていたりします。でも、ダウ・ジョーンズ通信からキャリーして、日経新聞がすでに「米成長率を1.9%に大幅下方修正へ・IMF、サブプライム響く」と題して、今日の午後2時過ぎの記事としてネットで流したりしています。いつもの NIKKEI.NET から引用すると以下の通りです。

国際通貨基金(IMF)が来週発表する世界経済見通しで2008年の米国の実質成長率を大幅に下方修正する見通しになった。ダウ・ジョーンズ通信は9日、IMFが7月時点の予測である2.8%から0.9ポイントも下げて1.9%にすると伝えた。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付きの拡大やその後の金融市場の混乱を深刻にとらえたためとみられる。
同通信は欧州や中国の見通しも下がり、世界経済全体の成長率は当初予想の5.2%から4.8%になると報じた。

IMF の見通しそのものについては正式に発表されてから、場合によっては取り上げたいと思いますが、経済見通しはリークされるものだという観点から、今夜のエントリーでは考えてみたいと思います。と言うのは、我が国の政府経済見通しも必ずと言っていいほど事前にリークされているように見受けるからです。ただし、お断りなんですが、官庁エコノミストを自称するくらいですから、公務員として日本の政府経済見通しについては言葉を濁します。悪しからず。
まず、指摘しておきたいのは、政府にせよ、国際機関にせよ、経済見通しはかなり高い確度で常にリークされていますから、毎回の見通し作業で何らかの秘密保全上のミスが必ず起こっているとは考えにくいことです。すなわち、意図的にリークされている可能性が考えられます。もちろん、安全保障に携わる公務員よりも官庁エコノミストの方が秘密保全にはルーズであろうとことは容易に想像できますし、スパイじゃあないんですから、取材するメディアの方でも経済ニュースの方に熱心になる可能性は排除できません。ですから、何らかの秘密保全上のミスによって漏れている可能性を否定するものではありませんが、少なくとも、私が公務員になってから毎年暮れの政府経済見通しはほぼ例外なく閣議決定の前に新聞などで報道されていますので、何らかの意図的なリークの可能性もあり得るんではないかという気がしないでもありません。
しかし、他方で、リークしておいて世間の反応を見てから見通しを変更するのかと言えば、そうでもないようです。おそらく、今回の IMF 見通しもおそらくダウ・ジョーンズ通信が報じた通りの計数で来週に公表されるんではないかと思います。ですから、意図的にアドバルーンを上げるとの説は成り立ちにくいような気がします。そもそも、意図的にリークした内容に変更を加えるのであれば、メディアの方で取り上げてくれなくなる可能性が高まると考えられますから、意図的にリークする効果が大きく減殺されます。

要するに、もしも意図的なリークなのであるとすれば、私にはその趣旨がまったく分かりません。せっかく取り上げておきながら申し訳ありませんが、単に、エコノミストは経済見通しを作成したら、正式な公表の前であろうと後であろうと、誰かにしゃべりたい人種なのかもしれません。

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