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2007年10月30日 (火)

雇用統計と消費の差は何に起因するか?

今日も、朝から秋晴れのいいお天気でした。しかし、夕方からは雲が広がり、また、昨日ほどは気温は上がりませんでした。

失業率・有効求人倍率の推移

今日は、総務省統計局から失業率と家計調査が、厚生労働省から有効求人倍率が、それぞれ発表されました。どちらも9月の統計です。いつもの NIKKEI.NET のサイトから失業率・有効求人倍率家計調査の報道を引用すると以下の通りです。

(失業率・有効求人倍率)
総務省が30日発表した9月の完全失業率(季節調整値)は4.0%となり前月比0.2ポイント悪化した。失業率の悪化は2カ月連続で、4%台は3月以来6カ月ぶり。雇い主側の都合による女性の失業が増えたことなどが要因。一方、厚生労働省が同日発表した9月の有効求人倍率(同)は前月比0.01ポイント低下の1.05倍。厚労省は雇用情勢の判断を2年7カ月ぶりに下方修正した。
(家計調査)
総務省が30日発表した9月の2人以上の世帯の家計調査によると、1世帯あたりの消費支出は28万1448円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.2%増え、2カ月連続のプラス。厳しい残暑を背景に食料などの支出が増えた。総務省は「消費は上向きにある」とみている。

失業率・有効求人倍率の労働統計と家計調査に基づく消費の動向が、少し食い違っているように見受けられます。引用にもあるように、労働統計は弱い数字が出て厚生労働省は雇用情勢の判断を下方修正する一方で、家計調査に見られる消費は上向きとの総務省の判断です。通常は、雇用統計は典型的な遅行指標と考えられていますので、先行きは消費の統計の方が引っ張るように見られがちですが、今回は少し様相を異にするように見受けられます。と言うのは、公式発表にあるように、雇い主都合による女性の失業が増えていることもさることながら、私の注目点は、例の耐震構造疑惑に端を発する建築基準法の改正による建築申請許可の遅れから、建設労働者数がかなり減少していることです。これらの結果、雇用者数が38万人減少し、就業者数では22万人の減少となる一方で、失業者数は17万人増加しています。失業率は前月から0.2%ポイント悪化しました。このように、足元では雇用情勢は悪化の兆しを見せているんですが、これまた、額面通りに受け取ることも出来ないようです。すなわち、日銀の短観などでは企業の人手不足感はまだまだ高止まりしていますし、来年度の新卒採用にも各企業は意欲的と見られるからです。雇用情勢のひっ迫が賃金上昇につながり物価を押し上げる、との日銀の基本シナリオは崩れていないように考えられますが、足元では建築関係の特殊要因などから雇用が弱含んでいる、と言ったところでしょうか。
他方、家計調査の結果はポジティブなサプライズと受け止める向きもあるようです。事前のマーケットの予想では実質消費支出の前年同月比で1%強くらいの増加とのことだったんですが、統計では3.2%の増加となりました。8月に続いて猛暑効果が現れたようです。もっとも、昨年9月は▲6.0%でしたので、その反動を含んでいますから、少し割り引いて考える必要はあります。総務省の試算では9月分の猛暑効果は0.28%ポイントとなっていますから、これも実力の伸びから割り引く必要があるかもしれません。9月の消費が出たところで、7-9月期のGDPベースの実質消費も従来の予想よりも少し高めになる可能性があると考えられます。しかし、短期的には、建築基準法改正による建築着工の遅れが雇用⇒賃金⇒所得と、軽い負の連鎖を引き起こすことも考えらなくもありません。この耐震疑惑ショックがどこまで続くのかは不明ですが、少なくとも、猛暑効果が剥落するであろう今月以降の消費の動向が注目されるところです。

今回の雇用統計では少し弱い動きが見られますが、もう少し長い目で見た雇用のシナリオを大きく変更するほどのものではないと考えられますが、引き続き、私は景気の転換点に着目したいと考えています。

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