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2007年11月30日 (金)

プラスに転じた消費者物価上昇率をどう評価するか?

今日も、朝からが広がり、気温は上がりませんでした。昼前には陽射しもあったんですが、長続きはしませんでした。午前・午後とも、にわか雨があり、冷たい雨でした。

消費者物価指数の推移

今朝、総務省統計局から消費者物価指数が発表されました。10月の全国と11月の東京都区部です。全国の生鮮食品を除くコアで前年同月比0.1%のプラスをつけました。プラスを記録したのは10ヶ月振りです。原油高を背景にしたエネルギー価格の上昇の寄与が大きかったと考えられています。しかし、欧米流の食料とエネルギーを除くコアコアではまだ▲0.3%の下落を続けています。なお、上のグラフは右下に11月26日更新とある通り、今日の発表分が含まれていません。毎週月曜日の更新のようで、ご容赦下さい。さて、いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

総務省が30日発表した10月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の激しい生鮮食品を除くベースで100.5となり、前年同月と比べて0.1%上昇した。上昇は10カ月ぶり。原油高を背景にガソリン、電気代が物価上昇をけん引した。物価下落の状態からは脱しつつあるものの、モノやサービスの需給の引き締まりはみられず、物価の基調はなお弱いままだ。
10月の全国CPIを食料とエネルギーを除くベースでみると前年同月比0.3%のマイナス。2006年1月から続く下落に歯止めがかかっていない。大田弘子経済財政担当相は同日の閣議後の記者会見で「デフレ脱却に向けた動きは引き続き足踏みしている」との認識を示した。町村信孝官房長官は同日の会見で日銀の利上げについて「1カ月(物価が)上がったからといって金利どうこうというのは早過ぎる」と語った。
品目別にみると、10月はガソリンが前年同月比3%上昇。電気代、ガス代、灯油、プロパンガスを合わせたエネルギー全体は1.8%の上昇で、CPIを0.14%分押し上げた。

今日発表の消費者物価については、誰がどう見ても原油高に引っ張られた形のコストプッシュによる物価上昇で、需要の増加に裏付けられたディマンドプルではありません。引用した報道にもある通り、エネルギーの寄与は0.15%近くありますし、コアコアの消費者物価はマイナスのままです。消費者物価と同じく、今日発表された10月の失業率が9月に続いて4.0%になり、新規求人が落ち続けていることもあって、景気の基調は弱いままであることは明らかです。ついでに、やっぱり今日発表された10月の新設住宅着工戸数は前年同月比35.0%減と大幅減が続いています。もっとも、こちらは建築着工申請の審査の遅れに起因していますが、景気の下押し要因となっていることは確かです。私の知り合いのエコノミスト諸氏も消費者物価の上昇には否定的な評価一色で、物価上昇により実質消費が抑えられる「悪い物価上昇」論まで飛び出したりしていました。一昔前の「よいデフレ・悪いデフレ」の議論を思い出してしまいました。なお、デフレにせよ、物価上昇にせよ、一般物価水準の変化について「よい・悪い」を区別することについて、控えめに言っても大きな意味は見出せないと私は考えています。
今後の先行きに関しては、極端な見方では毎月のように0.1%ポイントずつ物価上昇が加速し、来年の1-3月期のうちに0.5%くらいまで達するとの見方もあります。私はそこまで極端ではありませんが、少なくとも来年1-3月期中に前年同月比で0.3%くらいには達すると見ています。しかし、その後は原油価格次第なんですが、標準的なシナリオとして原油価格がゆっくりと下がるとすれば、消費者物価の上昇率も縮小し、年央までに0.1-2%くらいに戻るんではないかと予想しています。年央以降は原油価格とともに景気の動向にも左右されますが、日銀政策委員の中央値である1%を来年中に超えるような事態はとうてい考えられません。
再び、10月の0.1%のプラスを付けた物価上昇の評価に戻ると、私はコストプッシュであることも、そうでなくても足取りの重い消費の下押し要因になることも、重々承知の上で、あえて、肯定的な評価をしたいと考えています。それはデフレ期待の払拭につながるからです。私もリフレ派の中にカウントされそうな気もするんですが、リフレ派の中には、インフレ目標を採用してでも物価上昇を目指すべし、との意見も根強くあります。インフレ目標政策の最大の眼目はデフレ期待の反転という期待に働きかける政策であると私は理解しています。でも、日銀は金融政策に制約を受けるためか、インフレ目標政策は言うに及ばず、期待に働きかける政策の発動にはとっても消極的に見えます。金融政策当局の政策発動は鈍いままなんですが、私のブログでも10月4日付けのエントリーで触れたように、原油や穀物などの商品価格の上昇に起因して、ここ数ヶ月で食料品やガソリンの値上げが相次ぎ、実生活上の経験から物価上昇の印象が強まった上に、統計的な事実として消費者物価がプラスをつけたんですから、さらに、この先、せいぜい0.5%くらいまでとはいえ、消費者物価の上昇が加速したりすることも考えられるんですから、国民の間で物価に関するデフレ期待の払拭につながる可能性が十分あるんではないかと、今回の物価上昇について肯定的に評価できる面もあると私は考えています。

おそらく、総務省統計局が携帯電話通話料金の割引制度を消費者物価の算出に取り入れないとしたのは、純粋に技術的な観点から決めたんではないかと私は想像していますが、ひょっとしたら、消費者物価統計がプラスに反転するという結果をもたらしたことで、意図せずに、日銀よりも巧みに期待に働きかける政策を実行してしまったのかもしれません。コストプッシュに起因して、消費を抑制する「悪い物価上昇」との意見もあり得ましょうが、プラス思考で考えたいと私は思います。

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2007年11月29日 (木)

需給ギャップと一般物価水準のパズル

今日も、朝からが広がり、気温は上がりませんでした。昨日の天気予報では雨が降るとのことだったんですが、結局、雨は降りませんでした。

GDPギャップの推移

昨夜に続いて、少し旧聞に属する話題なんですが、今週26日に内閣府が需給ギャップの推計を発表しています。グラフは上の通りです。また、日経新聞でも簡単な記事が報道されていました。いつもの NIKKEI.NET のサイトから引用すると以下の通りです。

内閣府は26日、日本経済の需要と供給の差を示す「需給ギャップ」の最新の試算値を公表した。2007年7-9月期はプラス0.4%となり、4-6月期と比べ0.3ポイントプラス幅が拡大した。実質経済成長率が年率2.6%と高くなったためだ。
需給ギャップは物価の背景を探る指標の1つ。実際の需要に相当する国内総生産(GDP)が、労働力や生産設備を平均的に使って達成できる潜在GDP(供給)を上回るとプラス(需要超過)となり、物価が上がりやすい状態を示す。
需給ギャップのプラスは4四半期連続。07年4-6月期はプラス0.1%となり、9月の前回公表値から0.1ポイント下方修正。1-3月期はプラス0.8%と前回公表値と変わらなかった。

最近の経済動向に関するパズルのひとつに、需給ギャップがプラスに転じているにもかかわらず、一般物価が上昇しないことが上げられます。もちろん、2-3四半期くらいのラグはあると考えられますし、一般物価水準の需給ギャップへの感応度が下がって来ているとの研究結果もありますから、需給ギャップがプラスに転じたからといって、すぐに大幅な一般物価の上昇が見られるとは誰も思っていないんですが、それにしても、物価が上がらないと感じているエコノミストは多いんだろうと思います。私もそうです。
上のグラフには注釈があって、本年度平成19年度の「財政経済白書」の付注1-2に従って需給ギャップを算出しているようです。要するに、ソロー残渣を取り除いた上で、コブ・ダグラス型の生産関数を当てはめて、潜在的な資本と労働の寄与によるGDPを弾き出して、それと実現されたGDPとの差を取っているようです。資本分配率を0.33で置くなど、少し荒っぽい気がしないでもないんですが、標準的な生産関数アプローチだと考えられます。また、内閣府だけでなく、私の知り合いのシンクタンクのエコノミストなんかの推計によっても需給ギャップはプラスに転じているようですし、日銀もプラスの需給ギャップをサポートしているようです。
需給ギャップと一般物価水準の関係は、私は以下のように整理しています。第1に、フィリップス曲線です。賃金上昇率と失業率の関係が明らかになります。必ずしも因果関係と捉えられないとの意見もありますが、一般的には、失業率から賃金へというように波及すると考えるのが自然だと思います。第2に、マークアップです。賃金上昇を製品価格に転嫁することで、この2つで失業率と一般物価水準の関係が明らかになります。第3に、オークン係数です。こちらは失業率とGDPの関係です。この3つを結びつけるとGDPと一般物価水準の関係が導出されます。ついでに、私の研究成果を自慢しておくと、ジャカルタにいた時に、この3つを組み合わせて状態空間モデルを組んで、需給ギャップをカルマン・フィルターで解いたことがあります。 "Estimation of Output Gap in Southeast Asian Countries: A State Space Model Approach,” TSQ Discussion Paper Series 2002/2003-No.2, May 2002 というディスカッション・ペーパーに取りまとめてあります。一応、リンクを張っておきましたが、よほどのことがない限り、ダウンロードして読むのはオススメしません。もちろん、私のオリジナルの考えに基づくものではなく、長らくニューヨーク連銀やシカゴ連銀などのエコノミストだった Oberlin 大学のカットナー教授の Kuttner, Kenneth N. (1994) “Estimating Potential Output as a Latent Variables,” Journal of Business and Economic Statistics 12(3), July 1994, pp.361-368 というペーパーをマネしたものです。RePEc にリンクを張ってあります。何ら、ご参考まで。
これを基にして、どうして需給ギャップに応じて物価が上昇しないのかというと、上のパラグラフに対応した3つの論点と、ついでに、もう一つ加えて、4つの考え方があり得ると私は考えています。第1に、フィリップス曲線です。失業率と賃金上昇率の間の安定的な関係が損なわれている可能性があります。デフレ後の日本ではフィリップス曲線は崩壊したというエコノミストもいたりします。第2に、都合により前のパラグラフとは順番を入れ替えて、オークン係数です。もともと、日本はオークン係数が米国ほど安定的ではないといわれていますが、オークン係数という失業率とGDPをつなぐ経験的 (empirical) な関係が希薄になっている可能性があります。第3に、マークアップ率の変化です。単純に賃金上昇を製品価格に転嫁する関係がマークアップなんですが、そもそも、中小企業をはじめとして賃金上昇が見られないんですから、これは関係が薄い可能性が高いと私は考えています。もっとも、需要が弱くて製品価格が上げられず、賃上げも望めないという逆の方向で因果関係が作用している可能性は否定しません。以上3点の論点に加えて、最後に、そもそも、需給ギャップの計測が間違っていて、現時点でも需給ギャップはマイナスのままだとする説もあり得ます。でも、明日発表される消費者物価指数あたりから、物価はプラスの水面上に出て来るんではないかと私は考えていますので、需給ギャップがいまだにマイナスであるとする説はサポート出来ないような気がしないでもありません。せいぜい、まだ需給ギャップのプラス幅が小さいので、ラグを伴ってこれから一般物価が上昇すると考えるのが妥当だという気がします。

多くのエコノミストがパズルであると感じている需給ギャップと一般物価水準の関係について、明日発表の消費者物価指数、特に、コアCPIがどのようになるか、また、先行きの物価の動向などに注目が集まっています。

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2007年11月28日 (水)

濱中外野手のトレードに思う

今日も、朝からが広がり、気温はさらに下がった気がします。冬の寒さです。でも、ここまで気温が下がれば、そろそろオフィスに暖房が入るような気がします。

阪神タイガース

私はそんなに熱心な阪神ファンではないので、ドラフトの結果とか、ストーブリーグの情報は、ほとんど何も知らなかったんですが、今日の昼食を役所の喫茶店に行ってスポーツ新聞を広げて、濱中外野手がトレードでオリックスに移籍することを、ようやく今日になって知りました。昼休みにコッソリのぞくと、濱中選手のブログにも11月26日付けでご挨拶があったりします。ものすごい量のトラックバックが送られていました。でも、この公式サイトなるものも、阪神のユニフォーム姿で tblog だったんですから、そのうちに引っ越すんではないかと思います。どうでもいい心配です。
長らく阪神の将来の4番を期待されながら、結果が残せず、誠に残念ですが、吉野投手とともに、2対2の交換トレードでオリックスだそうです。オリックスからは平野内野手と阿部投手が阪神に来るそうです。これまた、コッソリといろんな人の虎ブロを見ていると、濱中選手に思い入れがあって阪神を離れても応援すると言う人もいれば、去る者は追わずで、チームとしての阪神タイガースを応援し新戦力に期待を寄せる人もいたりして、いろいろあるようです。私は基本的には冷たい人間ですから、後者に近いんだと思ってるんですが、実は、引退するまで新庄選手を応援していたりしました。
一昔前であれば、江夏投手が南海に移籍した時みたいに、別のリーグに行ったら関係ないとも言えたんですが、今では交流戦がありますから、シーズン前半に必ず顔をあわせてしまいます。濱中選手もこのままで終わるようなスラッガーではないと思いますから、別天地でのご活躍を期待しています。売れるうちが花なのかもしれません。また、扱いが小さくて誠に申し訳ありませんが、オリックスから新たに我がタイガースに加わる平野内野手と阿部投手のご活躍も大いに期待しています。

がんばれタイガース!

どうでもいいことですが、ブログを引越ししてから初めての虎ブロですので、熱心なファンのみなさんから見れば、大幅に時期を逸したエントリーかもしれませんが、アチコチにトラックバックを飛ばしておきたいと思います。そのために引っ越したんですから。

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2007年11月27日 (火)

『ハリー・ポッターと死の秘宝』は来年7月23日発売

今日は、朝からが広がり、気温は昨日ほどには上がりませんでした。でも、そんなに寒いというわけでもなく、湿度がやや高くて体を動かすと汗が出ることもありました。日中、私は外出していたんですが、大手町や丸の内ではコートなしの男性の方が多かったような気がします。中には、ワイシャツ姿の元気な人もいたりしました。

『ハリー・ポッターと死の秘宝』2008年7月23日発売

実は、この週末に赤坂図書館に行った時、金曜日のエントリーに書いた通り、 html や css の解説本を借りたんですが、いっしょに、「ハリー・ポッター」の第1巻から第3巻まで、すなわち、『賢者の石』、『秘密の部屋』、『アズカバンの囚人』の3冊を借りて来ました。どうしてかというと、それまで「ダレンシャン」のシリーズを読み進んでいたんですが、下の子が読み返しているのに追いついてしまい、軽い読み物が欲しいと思ったからです。そうすると、またしても「ハリー・ポッター」が面白くなってしまい、週末に『賢者の石』を読み終え、おそらく、今夜中に『秘密の部屋』を読み終え、今週中に『アズカバンの囚人』を読んで、次の週末に『炎のゴブレット』と『不死鳥の騎士団』、さらに、ひょっとしたら、『謎のプリンス』まで借りてしまいそうです。どうして、我が家に買ってあるのに図書館で借りるのかと言うと、「ダレンシャン」ですら私と下の子がバッティングするくらいなんですから、「ハリー・ポッター」になれば奪い合って読む場合もあり、私は子供達に遠慮して、我が家に買ってある本ではなく図書館で借りた本を読んだりしています。そうこうしているうちに、女房が生協かどこかに発注しておいた DVD の『不死鳥の騎士団』が届いて、と、またもや年末に向けて「ハリー・ポッター」で盛り上がるのかもしれません。
このようなタイミングで、今日の夕刊各紙に、ハリー・ポッターの第7巻の『ハリー・ポッターと死の秘宝』の邦訳が来年7月23日に発売されるとの報道を見かけました。やっと決まったようです。私が見た夕刊各紙のネット記事の中では毎日新聞がもっとも詳しかったような気がしますので、今夜はいつもの朝日新聞ではなく、 毎日 jp のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

世界的に大ヒットしているJ.K.ローリングのファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズ最新刊で完結編とされる「ハリー・ポッターと死の秘宝」日本語版(松岡佑子訳)が08年7月23日に発売されることが27日、明らかになり、全国の書店などで予約受け付けが始まった。上下巻で3800円。
「ハリー・ポッター」シリーズは97年、英国で「ハリー・ポッターと賢者の石」が発売され、大ヒットを記録。映画化もされ、世界各国のベストセラー記録を塗り替える名作となった。「死の秘宝」はシリーズ7作目で、著者自身がシリーズ開始以来、「7巻で完結」と明言している。英語版は7月に発売され、米国では発売から24時間で830万部を販売、英国内でも270万部を売り上げ、シリーズ最高の売り上げを記録しているという。

もちろん、静山社のホームページでも同じ内容が発表されています。私は今年7月の原書発売の時点で米国版を購入して読み終えています。少しずつメモを書き溜めていたのを利用して、先日、11月22日のエントリーでは章別のあらすじもアップしてありますが、当然ながら、我が家の小学生には英語版の原書はムリですので、邦訳が出版された時点で買い求めたいと思います。米国版は3800円よりも安かったような気がしますし、原書が出版されてから1年余りを経過しての翻訳の出版は時間がかかり過ぎるように思うのは私だけでしょうか。今月11月6日付けのエントリーで紹介した通り、中国語版ですら、と書くと申し訳ないような気もしますが、中国語版ですら3ヶ月ほどで翻訳が出版されているにもかかわらず、経済大国ニッポンで1年かかるのは情けないような気もしますが、11月6日付けのエントリーで書いたように、翻訳が出ないのなら原書で読んでしまうぞという、読者側からのプレッシャーが少ないのが原因のひとつだと私は考えています。でも、やっぱり、そうは言いつつも、我が家でも小学生のためには買い求めることになりそうです。
以前にも書いたかもしれませんが、今年7月の第7巻の原書が発売された時に、夫婦で読み始める順番が折り合わずに2冊買った人がいたりしたそうで、我が家でも、おにいちゃんと下の子で折り合わなければ2冊、というか、2組買うハメになるかもしれません。でも、下の子はおにいちゃんを立てるので、順番を譲るんではないかと私は予想しています。いずれにせよ、今年の夏休みの下の子の読書感想文は「サークル・オブ・マジック」でしたが、来年は『ハリー・ポッターと死の秘宝』になりそうな気がします。

本を読んでの読書感想文ではないんですが、読書の秋の話題と言うことで、やや無理やりに読書感想文の日記に分類しておきます。

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2007年11月26日 (月)

米国のクリスマス・セールが好調でアジアの株を押し上げる?

今日も、朝から秋晴れのいいお天気で、気温も11月下旬の季節にしては上がり、昨日よりもさらに暖かく感じられました。

米国のクリスマス商戦が始まりました。例年通りに、先週11月22日の Thanks Giving Day のお休みが開けた23日金曜日は Black Friday 、すなわち、黒字の金曜日と呼ばれ、早朝から買い物客が列をなします。今年の客足は昨年の4.8%増だったそうで、事前の予想を上回りました。しかし、客単価は▲3.5%減の347.44ドルだったそうです。 washington.post.com のサイトから最初の2パラだけを引用すると以下の通りです。

Shoppers flooded stores to hunt for bargains over the weekend, giving retailers a boost in traffic despite persistent concerns about the economy.
The National Retail Federation calculated that the average shopper spent $347.44 between Thanksgiving and Sunday, down 3.5 percent from last year. However, aggressive promotions and blockbuster discounts by retailers enticed more people to shop than last year. The NRF estimated that 147 million consumers shopped this weekend, up 4.8 percent from 2006 and exceeding the trade group's expectations.

日経新聞のサイトにも同様の記事が出ていました。早朝からの列は膨れ上がり、早朝4時前に買い物に出かけた顧客は全体の14.3%に上り、前年同期の12.4%を上回ったそうです。そんなに強気になることは出来ない数字だとは思いますし、価格のディスカウントに負う部分が大きそうに見えるんですが、事前の予想を上回ったことで、米国経済に対する先行き楽観的な見方が出て来ていることも事実です。だからと言うわけでもないんでしょうが、 Financial Times では、 "US shoppers give lift to Asian markets" と題して、 "A good start to the holiday shopping season in the US last week cheered up stock markets across the Asia Pacific region." と評価しているようです。実際に、今日の東証の日経平均株価は大引けで先週比246円44銭上がって15,135円21銭で終わりました。

日米株価の推移

でも、上のグラフにある通り、ここ3ヶ月ほどの株価については日米ともに下降曲線を描いているように見えることも事実です。株価が景気の先行指標であるとすれば、今日付けの Wall Street Journal のヘッドライン記事にある "Battered stock and bond markets are sending an increasingly ominous signal that a U.S. recession could be near." との観測も成り立つのかもしれません。米国にとってサブプライム・ローン問題によるクレジット・クランチが個人消費や設備投資重しになる一方で、日本経済には建築基準法改正に伴う建築着工審査の遅れが2-3四半期のラグを伴って実体経済に影響を及ぼすことも考えられます。昨年の今ごろの季節から見た今年と違って、日米ともに来年は景気後退局面に入る可能性を決して無視できないと私は考えています。

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2007年11月25日 (日)

三連休の最終日は家でゴロゴロし、ウルトラマンのDVDを見て人生ゲームで遊ぶ

今日も、朝から秋晴れのいいお天気で、気温も11月下旬の季節にしては上がり、かなり暖かく感じられました。この3連休の中でも最も暖かだった気がします。

今日は特に外出の予定もなく、家でブラブラして過ごします。午前中はウルトラマンのDVDを見ます。先月に、映像制作大手の TYO が円谷プロダクションを買収した際に、TYO 吉田社長が大規模な特撮を「伝統芸能」としたうえで、「マニアの人には味があるのだろうが、もう、リアルなCGで合成した映像には勝てない時代が来た」と話していましたが、昨日の朝日新聞では「手作り特撮、どこへ 経営難の円谷プロ、CGに比重」と題した特集を組んでいたりしました。我が家ではおにいちゃんが熱心に記事を読んだりしていました。今日見たDVDはウルトラマン・ガイアですから、1998年くらいの放送で、モロに、その昔のチャチな特撮なんですが、それはそれとして面白かったです。でも、確かに、特撮のコストを特撮ファンの需要だけでカバー出来なければ、コストの面で圧倒的に有利な CG に移行せざるを得ないのかもしれません。
と言いつつ、午後からは我が家の名物になりつつある人生ゲームで一家そろって遊びます。私が数えている範囲で今年9回目です。結果が思わしくなかった下の子に、ホントの人生では努力がもっと大切なんだと女房が諭していました。でも、私がドンジリでした。我が家の人生ゲームも、そのうちに伝統芸能になるのかもしれません。それにしても、よく遊んだ3連休でした。

ウルトラマンのDVDを見る子供達  人生ゲームで遊ぶ子供達

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2007年11月24日 (土)

ポケモン・カードゲームとクロノスで遊ぶ

私が赤坂図書館から帰った後、子供達はハリー・ポッターのサントラを聞いたりしていたんですが、やっぱり、ヒマなので個性に従って遊び始めます。人生ゲームをしたいという声もあったんですが、人生ゲームは明日に延ばすことにして、取りあえず、今日は下の子とポケモン・カードゲームで遊びます。炎タイプの強いポケモンを集めたデッキでした。私のは水タイプ、草タイプを中心に炎タイプも混ざっているデッキで、健闘したんですが、下の子の方が1枚上手でした。おにいちゃんは久し振りにクロノスで遊びます。のんびりした休日の夕方です。

ポケモン・カードゲームで勝った下の子  クロノスで遊ぶおにいちゃんと見守る下の子

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神宮外苑の絵画館前の銀杏並木の色づきはまだ半分

今日も、朝からよく晴れていいお天気になりました。気温は最高気温が10度そこそこだった昨日に比べて、かなり上がって暖かくなりました。

今日は午前中から子供達とともに神宮外苑に遊びに行きました。といっても、主たる目的は神宮外苑の絵画館前の銀杏並木をバックに子供達の写真を撮るためで、もっと言えば、年賀状を印刷する準備です。もう11月も終わりですから、そろそろそんな季節になって来ています。前々から、この3連休が写真を撮りに行くのにいいポイントではないかと思っていたんですが、私がちょくちょく拝見している広島在住の方のブログで、三原市にある佛通寺なる禅寺の見事な紅葉の写真を拝見しましたので、私も写真を撮ろうという意欲が盛り上がったりしていました。現実問題として広島まで行くのは大きなムリがありますから、我が家の近くの紅葉スポットとして神宮外苑の絵画館前の銀杏並木を選んだわけです。もうひとつは、より経済的な見地から、年賀状の印刷は早く発注するとかなりのディスカウントを受けられるのも魅力で、やや気持ちが焦っていたのかもしれません。でも、結果的に言うと、神宮外苑の銀杏並木の色づきは、まだまだ、半分くらいのカンジでした。よくよく考えると、私が勤務する霞が関の官庁街にも銀杏並木が割合とあったりするんですが、まだ色づきは不十分です。もう1-2週間くらい待たなければならないのかもしれません。でもまあ、せっかく行ったんですから写真は撮って来ました。

神宮外苑で記念写真の子供達

午後からは私だけ赤坂図書館に行きます。我が家のホームページの html を本格的に css のスタイルシートを導入して書き換えようと予定しており、 html や css を解説してくれている本を借ります。ついでに、半分ほど終わったところの3連休向けに音楽 CD も借ります。ハリー・ポッター第2話「秘密の部屋」のサウンドトラックやウルトラマンの主題歌なんかを借りたりします。

おそらく、私のことですから、まだ漠然としか考えていないんですが、見た目にほとんど違いはないながら、かなり凝った html と css でホームページを書き換えるんだろうという気がします。少なくとも、他の方々のブログを拝見している限り、私ほど引用 (blockquote タグ)、リスト項目 (ol や ul や li タグ)、テーブル (table タグ) なんかを多用してゴチャゴチャしたブログに仕上げているのは少ないように感じています。もっとも、お手軽に出来上がるのがブログのいいところなんですから、私のようなゴチャゴチャしたブログは本来の趣旨に反しているのかもしれません。それはともかく、ブログのスタイルシートもずいぶんと書き換えましたが、それだけでは飽き足らなくなりましたから、本格的に我が家のホームページを、見た眼を大きくは変えずに、好き勝手にいじろうと考えています。

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2007年11月23日 (金)

魔法使いの魔法と屋敷僕の魔法の違いについて

今日も、朝からよく晴れていいお天気になりました。でも、気温は10度そこそこしか上がらず、冬のような寒さが続いています。

昨夜はハリー・ポッター第7巻「死の秘宝」のネタバレ番外編で章別のストーリーの概要に関するブログのエントリーを9時半ころに書き上げてアップし、我が家の子供達に知らせたところ、我が家の子供達もハリー・ポッターが大好きで、前々から、私が第7巻の英語版を読み進んでいたことを知っていましたから、早速、下の子が私のブログを見始めます。10時過ぎだったろうと思います。でも、私がズボラして英語のままの部分があり、なかなかはかどりません。一応、我が家の子供達はジャカルタ育ちの帰国子女で、日本人学校の幼稚部に上がる前は現地の英語の幼稚園に通っていたりしていたものですから、小学校で習い始めたローマ字なんかの理解は早いようなんですが、実は、英語をそれほど理解できるわけでもありません。帰国直後に松戸の団地に入って、松戸駅のイトーヨーカ堂の裏手にある女子大の大学祭に連れて行って、ESS の英語クイズに挑戦させてみた時は、その辺の女子大生と遜色ない英語力が残っていると実感したものですが、今となっては余りアテにはなりません。仕方がないので、私が延々と解説してやります。最初は下の子だけだったんですが、少しするとおにいちゃんも加わります。元のエントリーが長いものですから、延々と30分余りにわたって解説します。10時過ぎから11時前までかかってしまいました。
解説している時に、私は昨夜のエントリーで第10章の Kreacher's Tale のところに緑色の大きな字で強調しておいたんですが、ドビーやクリーチャーなんかの屋敷僕の魔法は魔法使いや魔女の魔法とは違うとして、ヴォルデモート卿がスリザリンのロケットを隠した洞窟やマルフォイの屋敷の地下牢にも姿現しや姿くらましが出来るという段に差しかかると、下の子が、そんなの前から分かり切っていると言い出します。昨夜は遅かったこともあり、そのままにしておいたんですが、今朝の朝食の時に、下の子にもう一度問い質します。実は、私の方はまったく記憶がなかったわけです。私の質問に対して、下の子は姿現しとか姿くらましの出来ないハズのホグワーツ城の中でドビーは姿現しをしていたと答えます。クリーチャーがいっしょの時だったとも言います。私の関心が少しそれて、屋敷僕といったらドビーとクリーチャー以外にももう一人、ヘンな言葉使いのがいたと言い出すと、これも的確にウィンキーだと教えてくれます。さらに、私が質問を続けて、ドビーはマルフォイ家の屋敷僕で、クリーチャーはブラック家の屋敷僕だということは覚えていたんですが、ウィンキーはどこだったかと聞くと、これまた、魔法省のバーティー・クラウチさんのところだよと教えてくれます。しかも、屋敷僕の魔法の話に戻って、屋敷僕は人間にそんなに姿を見せないようにして働かないといけないから、どこでも姿くらましと姿現しが出来るんだと教えてくれます。私がネットで調べてみると、果たして、その通りでした。親バカの私は大したものだと感心してしまいました。

今月11月2日のエントリーで、グリンデルヴァルトについて我が家のおにいちゃんに教えてもらった顛末に触れましたが、下の子もおにいちゃんに負けず劣らずハリー・ポッターが大好きで、とっくに第6巻「謎のプリンス」まで読み終えています。しかも、ちゃんと頭の中に残っているんだということが身にしみて理解できました。3連休初日にボケボケと過ごす中での親バカの日記なんですが、そのようなカテゴリーは設けていないので、やや無理やりですが、昨夜に続いて読書感想文の日記に分類しておきます。

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2007年11月22日 (木)

ハリー・ポッターの章別ストーリー - ネタバレ番外編

今日も、朝から秋晴れのいいお天気になりました。でも、気温は上がりませんでした。着々と冬の足音が近づいています。

Harry Potter and the Deathly Hallows

週末の3連休前の今夜のエントリーはハリー・ポッター最終第7巻 "Harry Potter and the Deathly Hallows"ネタバレ番外編で、章別のストーリーの概要です。いままで書き貯めておいたメモの一挙大公開です。ネタバレは読みたくない向きもあるでしょうから、読むかどうかは自己責任でのご判断をお願いします。なお、一応、私は上の写真にある米国版の全編を読み通したんですが、意味を取り違えていたり、読み飛ばしていたりする箇所がないとは言えません。内容の正確性はあくまで無保証です。それから、まだ邦訳が出版されていませんから、既出でない名前や言葉は日本語にせずに英語でそのまま表記している部分があります。

  1. The Dark Lord Ascending
    マルフォイ家の屋敷でヴォルデモート卿や死喰い人が打合せをしています。悪だくみ会議の様子。 Charity Burbage が処刑されるのを見て、ドラコは失神してしまいます。とっても暗いオープニングです。
  2. In Memoriam
    ダーズリー家に戻ったハリーが、自分の荷物をせっせとリュックにまとめつつ、Elphias Dogeのインタビューを基にしたダンブルドア校長先生の追悼記事を日刊預言者新聞で読みます。それから、リータ・スキーター記者がダンブルドア校長先生の伝記本を出版するとかで、インタビューを受けています。
  3. The Dursleys Departing
    ダーズリー家の3人が不死鳥の騎士団の用意した安全な場所に避難します。魔法の存在を認めようとしない両親は渋るんですが、ダドリーの決断により行くことになります。最後に、ハリーがダドリーに "Big D" と呼びかけるシーンは感動を覚える人もいるでしょう。
  4. The Seven Potters
    リリーの守護の魔法はハリーが17歳になった時点で切れるので、ハリーも避難します。ロン、ハーマイオニー、フレッドとジョージ、フラー、マンダンガスの6人がポリジュース薬を飲んでハリーに化けて箒に乗って出発します。マンダンガスは体が小さいので選ばれています。もっとも、ハリー本人はハグリッドがシリウスからもらい受けたバイクで出発します。しかし、途中で死喰い人に襲われヘドウィグが犠牲になります。
  5. Fallen Warrior
    第1次避難先のトンクスの両親の家に着いた後、ハリーとハグリッドはポートキーを使って不死鳥の騎士団の本部になっている隠れ穴、すなわち、ウィーズリー家に行きます。死喰い人に襲われたことで、誰かが裏切って情報を流しているんじゃないかと疑心暗鬼になったりします。死喰い人にに襲われたため、ジョージは片耳がなくなってしまいます。また、マンダンガスとマッドアイ・ムーディーのペアも行方不明になっていて、ムーディーが死んだことが示唆されます。ヴォルデモート卿は箒に乗らなくても飛べることをみんなで不思議がります。
  6. The Ghoul in Pyjamas
    ハリーは他の人を危険な目にあわせたくないので、1人で分霊箱を探しに出ようとしますが、ロンとハーマイオニーは十分な覚悟の上で、いっしょに行くことに決めます。隠れ穴ではビルとフラーの結婚式の準備を進めていますが、モリーがハリー、ロン、ハーマイオニーの3人に別々の用事を言いつけて、3人が相談できないように引き離すようにします。3人で相談しているところにグールお化けが出て来ます。
  7. The Will of Albus Dumbledore
    ハリーの17歳のお誕生日に魔法省大臣のスクリムジョールが現れ、ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人に宛ててダンブルドア校長先生からの遺品があると言い出します。ロンには火消しライター、ハーマイオニーには童話の本、"The Tales of Beedle the Bard" 、そして、ハリーにはホグワーツ校に入って初めてのクィディッチの試合でハリーがキャッチしたスニッチが贈られました。しかし、ハリーに残されたグリフィンドールの剣はダンブルドア校長先生の個人的な所有物かどうかが疑わしいので渡さないと言われてします。
  8. The Wedding
    この章はタイトル通り、ビルとフラーの結婚式がメインです。ハリーは安全のためポリジュース薬を飲んで、ウィーズリー家の遠縁の男の子に化けて参列します。これも、ウィーズリー家の親戚のミュリエルおばさんが若い頃のダンブルドア校長の悪い噂を喋りまくります。クラムが招待されていて、ルーナの父親がグリンデルヴァルトの闇のマークを付けていると怒り出します。なお、クラムは Gregorovitch の作った杖を使っていることが判明します。最後に、シャックルボルトの守護霊が現れて、「魔法省陥落、スクリムジョール大臣死亡、死喰い人が接近!」という知らせが飛び込んで来ます。
  9. A Place to Hide
    結婚式の会場はパニックに陥ります。ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は逃げ出して、そのまま逃亡生活に入ります。ハーマイオニーのビーズのバッグには必要なものが全部入っていてハリーとロンは感心してしまいます。一度はマグル界のカフェに身を隠そうとしたんですが、すぐに死喰い人に発見されてしまって攻撃を受けます。何とか難を逃れて、ハリーの強い主張により、シリウスの家で、ハリーが相続したグリモールド・プレイス 12番地に行くことにします。ハリーは額の傷が痛んで、また意識がヴォルデモート卿とシンクロしてしまいます。
  10. Kreacher's Tale
    グリモールド・プレイス12番地のシリウスの部屋で、ハリーはリリーがシリウスに宛てた手紙と同封されていた赤ちゃんのころハリー自身の写真を見つけます。ハリーとハーマイオニーが階下に降りて行く途中、シリウスの弟が Regulus Arcturus Black であることを知り、R.A.B が誰であったのかを知ります。ロンとともに3人でクリーチャーのところにロケットについて聞きに行き、長い長いクリーチャーの話が始まります。その中で、例の洞窟に置き去りにされたクリーチャーが姿くらましと姿現しで家に戻ったことを知り、屋敷僕の魔法は魔法使いや魔女の魔法とは違うのだ、ということを認識します。レギュラスはクリーチャーにロケットを破壊するよう遺言したのですが、クリーチャーの魔法では破壊することが出来ず、その上、マンダンガスに他のブラック家のお宝と一緒にロケットも盗まれてしまったのだとクリーチャーは泣きながら告白します。ハリーはクリーチャーにマンダンガスを探し出して連れて来るようクリーチャーに命じます。クリーチャーはハリーをご主人さま Master と呼ぶようになります。
  11. The Bribe
    クリーチャーがなかなか戻らない上に、屋敷の外には見張りの死喰い人が現れ緊張感が高まる中、突然、ルーピン先生が現れてハリーたちを守るためいっしょに旅に付いて行くと申し出ます。が、妻のトンクスが妊娠中と聞いて、ハリーはわざと乱暴な言葉でルーピン先生を追い返します。ルーピン先生が出て行くのと、ほとんど入れ替わりにクリーチャーがちゃんとマンダンガスを連れて帰って来ます。でも、マンダンガスは他のお宝と一緒にロケットを売り飛ばそうとした時、魔法省の役人らしい見知らぬ女に取り上げられてしまったと言います。ヒキガエルに似ていたとも言います。この章のタイトルから賄賂として渡したことが示唆されます。
  12. Magic is Might
    ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人はアンブリッジからロケットを取り返すために、ポリジュース薬を使って魔法省の役人に化けて魔法省に侵入します。しかし、ロンは潜入直後にヤックスリーという死喰い人の部屋の雨漏りの修理をするよう命令されてしまいます。断ることが出来なくて、ロンはハリーたちと別れて雨漏りの修理に向かいます。その時、ハリーとハーマイオニーは目的のアンブリッジに遭遇します。
  13. The Muggle-Born Registration Commission
    ロンが化けている魔法省の役人の奥さんが、魔法省の裁判室でアンブリッジやヤックスリーから取調べを受けているところを、ハリーとハーマイオニーが救出して、気絶したアンブリッジからロケットも奪い返して、みんなで魔法省を脱出します。
  14. The Thief
    魔法省からの脱出に成功したハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は姿くらましでグリモールド・プレイス 12番地に戻ろうとするんですが、ヤクスリーがハーマイオニーの袖をつかんで付いて来てしまったので、クィディッチのワールドカップが開かれた森に着いてしまいます。3人はテントを張って野外生活に入ります。ロンは不機嫌でヴォルデモート卿の名前を言ってはいけないと強く主張し、その後の仲たがいにつながります。分霊箱は壊せず、3人で順番に持ち歩きます。
  15. The Goblin's Revenge
    ロンの機嫌が最悪になり、ハーマイオニーの料理に文句を付けたりします。分霊箱をを長く身に付けていると精神的によくないようです。トンクスの父のテッドやディーン・トーマスとともに、ハリーたちのテントの近くの堤防でしゃべっていたゴブリンの話から、分霊箱はグリフィンドールの剣で破壊できることを知ります。さらに、ホグワーツの校長室に飾ってあった剣は偽物で、本物はダンブルドアがどこか別の場所に隠していることが分かります。そして、章の最後で、ロンの不機嫌が募ってテントから出て行きます。
  16. Godric's Hollow
    その昔に、ダンブルドア一家がゴドリックの谷に住んでいたことから、ハーマイオニーはバチルダ・バッグショット婆さんにグリフィンドールの剣を託した可能性を考え、他方、ハリーは両親のお墓参りをしたい思いから、2人でゴドリックの谷に行きます。季節は進んでクリスマスになっています。ハリーの両親のお墓には "The last enemy that shall be destroyed is death." と彫られていました。意味深長です。
  17. Bathilda's Secret
    ハリーとハーマイオニーはお墓参りの帰り道でバチルダらしきお婆さんに出会って、言われるまま家まで付いて行きます。しかし、バチルダは殺されていて、体をナギニに乗っ取られていました。ハリーだけが2階に呼び上げられた後、バチルダの身体からナギニが現れます。ハーマイオニーの機転で逃げおおせましたが、ハリーの愛用の杖が折れてしまいます。それから、ハーマイオニーはリータ・スキーター記者によるダンブルドア校長先生の伝記本をバチルダの家から持ち帰ります。
  18. The Life and Lies of Albus Dumbledore
    この章はタイトル通りに、バチルダの家から持ち帰ったダンブルドア校長先生の伝記本を読んで過ぎます。ダンブルドアがホグワーツ校を卒業した直後、後に闇の魔法使いとしてダンブルドアに倒されたグリンデルヴァルトと親友だった事実が明かされます。アルバス・ダンブルドアの弟の Aberforth と妹の Arianna のことも書いてありました。
  19. The Silver Doe
    テントの近くに銀色の雌鹿の守護霊が現れ、ハリーをグリフィンドールの剣が沈んでいる池まで連れて行ってくれます。ハリーは池に飛び込むのですが、首に掛けていた分霊箱に邪魔されて溺れかけ、死にそうになったところにロンが登場し、溺れてるハリーを助けて、さらに、グリフィンドールの剣も拾って、かなり手間はかかりますが、分霊箱もロンが破壊します。ダンブルドアからロンに贈られた火消しライターはパスワードを入力するとラジオになり、ハリーたちの居場所を突き止められたようです。雌鹿の守護霊は、誰のものかは謎のままなんですが、後に、スネイプ先生の守護霊が雌鹿であることが明かされ、スネイプ先生が送ったのではないかと示唆されます。
  20. Xenophilius Lovegood
    グリンデルヴァルトの闇のマークについてルーナのお父さんの Xenophilius Lovegood に訊きに行きます。 Xenophilius はクィブラー誌でハリーを応援しているんですが、3人が現れると何だか気乗りしない様子で、3人は不思議に感じます。変わり者ですから、家の中にはいろいろとヘンテコリンなものでいっぱいでした。
  21. The Tale of the Three Brothers
    前章からの続きで、 Xenophilius によると闇のマークは Deathly Hallows のマークだと言うことが判明します。 Deathly Hallows とのは魔法界では誰でも知っている、子供達向けのおとぎ話 "The Tale of the Three Brothers" に登場する3つの宝物のことで、無敵の杖 Elder Wand 、死者を呼び戻せる石 Resurrection Stone と、最後はハリーも持っている透明マント Cloak of Invisibility ということで、 Death が3兄弟の要求で与えたものということになっています。しかし、ここでも死喰い人に襲われます。実は、 Xenophilius はルーナを人質に取られていたので、ハリーたちの居場所をコッソリと死喰い人に連絡していました、でも、家の中にある妙チキリンなものが大爆発を起こして3人は逃げ切ります。
  22. The Deathly Hallows
    ハリーの興味は分霊箱から大きく Deathly Hallows に切り替わってしまい、ハーマイオニーとロンは分霊箱こそダンブルドアが自分たちに遺した課題だと主張するのですが、ハリーは夢中になってしまいます。さらに、ヴォルデモート卿の名前を口に出してしまったため、死喰い人に見つかり3人は包囲されてしまいます。
  23. Malfoy Manor
    捕まった3人は敵の本拠になっているマルフォイ家の屋敷に連れて行かれます。ハーマイオニーだけがベラトリックスに連れて行かれてしまいますが、ハリーとロンの牢には杖職人のオリバンダーとルーナなどもいました。そこへドビーが姿現しで登場します。魔法使いや魔女の魔法で保護されていた地下牢なんですが、屋敷僕の魔法には効かないようです。ドビーの姿くらましと姿現しで、囚われのみんなをビルとフラーの新居に連れて逃げてくれました。ドサクサにまぎれて、ハリーはドラコの杖を失敬します。でも、ドビー自身はベラトリックスの投げたナイフで死んでしまいます。
  24. The Wandmaker
    ハリーはお墓を掘ってドビーを葬ります。ようやく、ハリーは Deathly Hallows よりも分霊箱に集中する決心がつきます。グリンゴッツ銀行のベラトリックスの金庫に分霊箱があるとにらんだハリーは、マルフォイ屋敷の地下牢からいっしょに逃げて来たゴブリンのグリップフックにグリンゴッツ銀行の金庫破りに協力して欲しいと頼みます。そして次に、ハリーたちは同じく地下牢から一緒に逃げて来た杖職人のオリバンダーに Elder Wand のことなど、色々と杖について気になっていたことを質問します。そして、ダンブルドア校長先生の杖が Elder Wand だったことが明らかになり、すでに、ヴォルデモート卿がお墓から掘り出していることが明らかになります。
  25. Shell Cottage
    この章のタイトルはビルとフラーの新居のことです。海岸線にあります。ここで、ハリーはゴブリンのグリップフックの申出を受入れ、金庫破りに協力するなら、時期を明確にせずにグリフィンドールの剣を引き渡すことを約束します。しかし、ハリーはグリンゴッツ銀行で働いていたビルから、ゴブリンの考え方について忠告を受けます。それから、またしてもルーピン先生が突然現れ、トンクスに男の赤ちゃんが出来たことを知らせに来ます。ハリーに名付け親になってほしいと頼みます。
  26. Gringotts
    いよいよ、ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人が、グリップフックの手引きでグリンコッツ銀行のベラトリックスの金庫に侵入します。ベラトリックスに化けるのはハーマイオニーで、もちろん、ポリジュース薬を使います。ロンも化けますが、ハリーとグリップフックは透明マントに隠れます。でも、金庫に向かうトンネルの途中で魔法を洗い流す滝に打たれて、ハーマイオニーとロンのポリジュースの魔法が解けて元の姿に戻ってしまった上に、金庫の宝物には素手では触れず、さらに、グリンゴッツ銀行を守るゴブリンたちは金庫のドアの外まで迫ります。しかも、金庫番にはドラゴンがいて火を吹きまくります。ハリーはハッフルパフのカップを手に入れてから、金庫番のドラゴンの鎖を壊してドラゴンを解放し、3人でドラゴンの背中に飛び乗って脱出してしまいます。
  27. The Final Hiding Place
    ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人を乗せたドラゴンは湖に到着し、3人はドラゴンの背中から飛び降ります。ハリーの額の傷跡が痛み出し、ヴォルデモート卿が分霊箱を盗まれたことを知って激怒しているとか、残りの分霊箱の無事を確かめようとしていることを知ります。ホグワーツ校に隠してある分霊箱は大丈夫との考えで、ヴォルデモート卿はまず生家のゴーントの家に行きます。これを知ったハリーは、ロン、ハーマイオニーといっしょに、すぐホグワーツ校に向かうことにします。
  28. The Missing Mirror
    透明マントに隠れてホグズミードに入った3人は死喰い人に見つかって、吸魂鬼にまで襲われてしまいます。しかし、ある店の主人が3人を助けてかくまってくれます。実は、この店主がダンブルドア校長先生の弟の Aberforth でした。マルフォイの屋敷にドビーを送ってくれたのも Aberforth だと分かりました。ダンブルドア校長先生の過去については Aberforth の独白から明らかになります。でも、アルバスと Aberforth はそんなに仲がよくない兄弟のようで、 Aberforth はハリーに外国に逃げることなんかを勧めたりします。しかし、結局、 Aberforth は壁に掛けてあった Arianna の肖像画からホグワーツへの秘密の通路を開いてくれ、3人はネビルの迎えを受けます。
  29. The Lost Diadem
    ハリーたち3人はネビルとともに秘密の通路をホグワーツ校へ向かいます。ネビルはダンブルドア軍団のリーダーでした。ホグワーツ校ではスネイプ先生が校長になり、死喰い人の Carrow 姉弟が幅を利かせていると知ります。ホグワーツ校の必要の部屋に到着し、大勢の生徒に囲まれてドラゴンに乗ってグリンゴッツ銀行から逃げたこととか、いろいろと質問されます。協力を申し出るダンブルドア軍団の仲間には分霊箱のことを言うに言われず、ハリーがレイブンクローに由来する特別なアイテムについて質問すると、ルーナが何世紀も前に行方不明になっている「レイブンクローの diadem がある」と答えます。で、レイブンクロー寮にあるレイブンクローの銅像をルーナとハリーが見に行くことになり、グリフィンドールのようなパスワードではなく、なぞなぞを解いて寮の中に入ると、そこに、死喰い人の Alecto Carrow が現れます。
  30. The Sacking of Severus Snape
    Alecto Carrow はルーナがやっつけます。騒ぎで起きて来たレイブンクローの寮生たちは大喜びです。姉の後から弟の Amycus Carrow が来て、マクゴナガル先生になぞなぞを解いてもらって寮の中へ入ります。ハリーが Amycus を倒します。マクゴナガル先生がハリーに質問し、ダンブルドア校長との約束のためホグワーツ校に戻って来たと聞くと、 Carrow 姉弟を縛り上げて、他の先生たちとも協力して、ハリーを差し出せとのヴォルデモート卿の要求を突っぱね、全校挙げて戦闘体制に入ります。マクゴナガル先生がとてつもなくカッコいいです。特に、 "Hogwarts is threatened!" と shout した後、 "Man the boundaries, protect us, do your duty to our school!" なんて、DVD を買って原語で聞きたいと思います。それから、ウィーズリー一家で1人だけ疎遠になっていたパーシーも戻って来て不死鳥の騎士団に参加します。章のタイトルの意味は、スネイプ先生がマクゴナガル先生によってホグワーツ校から追い出されて、空を飛んで脱出したことに由来します。
  31. The Battle of Hogwarts
    その名の通り、ホグワーツ校を舞台にした最後の戦いが始まります。不死鳥の騎士団のメンバーが続々とホグワーツ校に集まって来ます。しかし、ハリーはマクゴナガル先生の示唆で戦闘には参加せず分霊箱を探します。そして、ほとんど首なしニックから、レイブンクロー寮のゴーストである Grey Lady を紹介してもらって尋ねます。 Grey Lady はレイブンクロー寮の創設者ロウェナの娘で、自分が母の diadem を盗んで隠し、トム・リドルにも同じ話をして隠し場所を教えてしまったと言います。ハリーはとうとう必要の部屋で見かけた胸像の冠だと気付きます。この間、ロンとハーマイオニーは、バジリスクの牙でハッフルパフのカップを破壊します。で、3人そろって必要の部屋に入り diadem を探している時、突然、マルフォイ、クラッブ、ゴイルの3人が登場します。屋敷からハリーを逃がして落ち目になったので「ドラコの命令は受けない」とうそぶいたクラッブが炎の魔法を使って必要の部屋は火事になり、ハリーたちがマルフォイたちを助けながら箒に乗って部屋を脱出します。その炎は分霊箱も破壊してしまい、クラッブはその呪いで死んでしまいます。この間にも戦闘は続いていて、フレッドが死んだことが知らされます。
  32. The Elder Wand
    戦闘の途中で、ホグワーツ校の城壁を巨大な蜘蛛の大群が登ってきて、それを見たハグリッドは蜘蛛を味方の攻撃からかばうように群れの中に突っ込んでいき、そのまま行方不明になってしまいます。ヴォルデモート卿は戦闘の一時中止を宣告します。ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人は最後の分霊箱であるナギニを倒すため、暴れ柳の根元を通ってヴォルデモート卿が潜む叫びの屋敷へ向かいます。透明マントに隠れているハリーたちの目の前で、ヴォルデモート卿はスネイプ先生に「 Elder Wand の本当の力を引き出すためには前の所有者を殺さねばならない」と言い放ち、ナギニをけしかけてスネイプ先生を殺してしまいす。ヴォルデモート卿が部屋を去った後、ハリーは瀕死のスネイプ先生の元に駆け寄ります。スネイプ先生は青銀色の記憶をほとばしらせて、ハリーに "Look...at...me...." と言い残して死んで行きます。ハーマイオニーから受け取ったフラスコでハリーがスネイプ先生の記憶を蓄えます。
  33. The Prince's Tale
    ホグワーツ校に戻ったハリーは、遺体安置所として使われている大広間でルーピンとトンクス夫妻の遺体を見つけます。ショックを受け、校長室に駆け込んで憂いの篩でスネイプ先生の最期の記憶の中に飛び込み、スネイプ先生の幼いころからの記憶をたどります。ここでスネイプ先生にまつわる真実が次々と明らかにされます。スネイプ先生のハリーの母リリーに対する愛情、ハリーを守るとのダンブルドア校長先生との約束、最後の分霊箱はハリー自身であり、ハリーが死なないとミッションは終わらないという衝撃の真実でした。なお、章のタイトルの Prince はスネイプ先生の母親の旧姓であることは第6巻で明らかにされていると記憶しています。
  34. The Forest Again
    スネイプ先生の記憶を見たハリーは、ネビルにもナギニを殺すよう頼みます。ネビルと別れて、ハリーはヴォルデモート卿に殺されるために禁じられた森に向かいます。ハリーがダンブルドア校長先生の遺品であるスニッチに「今から死にに行くよ」と言うと、中から黒い石が現れます。これこそ Resurrection Stone で、暗い森の中にジェームス、シリウス、ルーピン、リリーが現れます。みんなに付き添われながらハリーは森の奥に進み、ヴォルデモート卿の前で透明マントを脱いで姿を現すと、そのまま呪文を受けてその場に倒れます。
  35. King's Cross
    この世とあの世の境目でハリーはダンブルドア校長先生と再会します。そこはキングスクロス駅になっています。分霊箱であるゴーントの指輪を破壊した際の呪いで、スネイプ先生の見立てではダンブルドア校長先生はあと1年の命だったこととか、ドラコがヴォルデモート卿に命じられてダンブルドア校長先生の命を狙ったことの逆手を取って、ヴォルデモート卿の信頼を得るためにスネイプ先生がダンブルドア校長先生を殺したこととか、いろいろと長いダンブルドア校長先生の種明かしの後、ハリーは生き返ることを選んでダンブルドア校長先生と別れます。聖者のように見えたダンブルドア校長先生の人間としての弱い面も垣間見えます。ハリーに慰められたりします。
  36. The Flaw in the Plan
    19年後のお話であるエピローグを除けば最終章です。ハリーの死はドラコの母親であるナルシッサが確認します。ドラコの無事を確かめるためにホグワーツ校に入りたい一心で「死んでいる」と答えます。ハリーの遺体(?)は死喰い人に捕らえられていたハグリッドが抱いてホグワーツ校に運びます。ヴォルデモート卿と死喰い人はホグワーツ校に入ります。ここで戦闘が再開され、ベラトリックスはフレッドを失ったモリー・ウィーズリーに倒されます。モリーはハーマイオニー、ジニー、ルーナを制して "NOT MY DAUGHTER, YOU BITCH!" と怒り狂ってベラトリックスに向かい、ジニーたちには "Get back. She is mine." と言い放ってベラトリックスを倒します。組分け帽子から現れたグリフィンドールの剣でネビルがナギニの首を切り落とし、ヴォルデモート卿はハリーに向けた死の呪文が逆噴射して死にます。戦いは終わりました。シャックルボルトが臨時の魔法大臣に就任します。 Elder Wand の最終かつ真の所有者はドラコを制したハリーということになりましたが、ハリーは Elder Wand の魔力で自分の杖を修復して使い続けます。
  37. エピローグ
    ホグワーツ校での最後の戦いから19年後のキングスクロス駅が舞台です。ハリーとジニーは結婚していて、生まれた子供達にジェームス、アルバス・セブルス、リリーと名付けています。ルーピン先生とトンクスの遺児であるテディーについては明記してありませんが、ハリーとジニーの養子ということなのかもしれません。ロンとハーマイオニーも結婚していて、子供は Rose と Hugo で、ドラコの子供の Scorpius もいます。日付けは9月1日で、子供達がホグワーツ特急に乗って学校に向かうシーンです。ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジニーなんかが会話するという体裁で物語が進みます。1年生に入学するアルバス・セブルスが、ハリー自身がそうだったように、スリザリン寮に組分けされると困ると言い出すと、「私が知っているもっとも勇敢な人はスリザリンだった」と諭して、スネイプ先生が示唆されます。作者のローリング女史はこの物語の最終章を早くに書き上げて金庫に入れていたといいますが、このエピローグなのかもしれません。

最後までお読みいただき、誠に有り難うございました。最後の最後に、事前にウワサになっていた「死後のゴーストになる魔法使いや魔女と、ゴーストにならない違い」については、私は読み飛ばしてしまったようです。ひょっとしたら、 Gray Lady との会話の中で出て来ていたのかもしれません。ご存じの方は教えて下さい。それから、ネタバレ第3弾かつ最終回で、そのうちに、前回10月2日に書いた親の愛情なんかについて取り上げようと考えています。
今日は米国はでは Thanks Giving Day のお休みで、日本は明日が勤労感謝の日で祝日ですから、3連休の人も少なくないと思います。よい週末をお過ごし下さい。

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2007年11月21日 (水)

日本の株価はこのまま下がり続けるのか?

今日も、朝からまずまずいいお天気になりました。気温も昨日よりさらに少し上がって、少なくとも日中については、寒いというほどではありませんでした。

東証日経平均株価の推移

東証の株価が下げ続けています。昨日は少し反発しましたが、今日は米国景気がサブプライム・ローン問題などから下振れするとの懸念から、円買い・ドル売りが広がり為替相場が円高に振れたため、とうとう、後場に入って日経平均でアッサリと15,000円を割り込みました。結局、終り値ベースでは14,837円66銭で引け、昨日から▲373円86銭下げました。上のグラフの通りです。昨日は後場になってかなり回復したんですが、今日は逆のパターンでした。米連邦準備理事会 (FED) が2008年の米国経済成長率見通しを下方修正したことから米国景気の減速懸念が強まったほか、アジア株が全面安の展開となり香港株式市場でハンセン指数が大きく下げたことも悪材料になっているようです。

WSJ.com: FED's Crystal Ball

FED の経済見通しは上の通りです。Wall Street Journal のサイトにあったものです。なお、公表された10月末の FOMC のミニッツの10ページに詳細な表があります。年央の時点では2008年の成長率は2.5-2.75%と見通していたんですが、1.8-2.5%に下方修正したようです。この見通しを見る限り、2007年の予測は年央時点の2.25-2.5%から、今回の2.4-2.5%とほとんど変化がない一方で、来年2008年は今年よりも成長率が低下する形になっています。この違いの原因の大きな部分が夏のパリバ・ショックから始まったサブプライム・ローン問題と金融市場の混乱から波及した住宅投資や個人消費の鈍化でしょうから、これらの影響はラグを伴って、来年により大きな影響を及ぼすと FED は判断しているようです。

日本の経済指標を振り返ると、今朝、財務省から発表された10月の貿易統計速報はそれなりに強い数字でした。輸出額は前年同月比で13.9%増の7兆5155億円、輸入額は8.6%増の6兆4969億円で、輸出額から輸入額を差し引いた輸出超過額である貿易黒字はは66.1%増の1兆186億円でした。もっとも、市場の事前予想にほぼミートし、相場の材料とは見なされなかったようです。基調はここ2-3ヶ月でそんなに変わらず、米国への輸出が▲1.5%と2ヶ月連続で減少し、対米国の貿易黒字でも▲8.5%減となる一方で、それをカバーするような欧州向け輸出23.7%増、アジア向け輸出12.9%増となっています。なお、輸入が増加しているのは日本の景気減速で輸入数量が減少しているのを上回るテンポでエネルギー価格の高騰が進行しているためであると考えられます。ですから、金額ベースでなく、数量ベースで見ると、10月の輸入は▲2.4%減と5ヶ月連続で減少しており、日本経済の減速を見せつける結果となっています。他方、原油価格は現在進行形で上昇しており、昨日、NY 原油は時間外取引で最高値を更新してバレル当たり99ドルを付けたと夕刊で報じられています。10月の貿易統計でも原粗油は20.2%増、液化天然ガスは25.9%増と急増しています。いずれにせよ、エネルギー価格の動向は不透明なんですが、外需は見事にデカップリングされていて、引き続き、欧州とアジア諸国は日本経済を牽引する力が残っているように見受けられます。

為替相場の円高に引っ張られた株式相場は、今のところ、行方が見えません。為替と株と二重の相場ですから、私のような官庁エコノミストの出る幕ではないような気がしないでもありません。しかし、欧州はまだしも、日米経済は着実に減速を示していることから、その先行指標としての株価に注目する意味はなくもないような気がします。

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2007年11月20日 (火)

ミシュランのガイドブック東京版の発売

今日も、朝から少し雲が多かったものの、午後からはまずまずいいお天気になりました。気温も昨日よりは少し上がったような気がします。でも、やっぱり朝は寒いので、真剣にコートを着ようかどうか悩んでいるところです。夜になって雲がほとんど晴れたのか、帰り道では半月より少し膨らんだお月さんがよく見えました。

ミシュランガイド東京 2008

昨日、ミシュランのガイドブックの東京版が発表され、今朝の朝刊各紙で取り上げられています。私の職場でもちょっとだけ昼休みの話題になったりしました。明後日の11月22日の発売だそうです。ネットでもっとも大きく取り上げていたのが朝日新聞でしたので、少し長くなりますが、 asahi.com のサイトから記事部分を引用すると以下の通りです。誰かが昨夕のうちにウェブ魚拓に取っておいてくれたのを有効活用しています。

「東京は世界一級の美食の町」 - ホテルやレストランの格付けガイドブックとして知られる「ミシュランガイド」の東京版が22日に発売されるのに先立ち、東京都内で記者会見が開かれ、掲載される店舗が明らかになった。
東京ガイドに掲載されたレストランは150軒で、世界中のミシュランガイドで初めて、掲載されたレストランすべてに星がついた。最も卓越した料理と評価される「三つ星」には8軒が選ばれた。これで、ミシュランガイドの三つ星レストランは世界中で68になった。
「二つ星」には25軒、「一つ星」には117軒が選ばれた。
ガイド全体では、日本料理が6割を占め、他にフランス料理、イタリア料理、スペイン料理、中華料理などが掲載されるとともに、28軒のホテルが紹介されている。
ガイド編集の総責任者のジャン・リュック・ナレさんは「掲載されたすべての店に星がついたのは世界初。調査をするうちに、東京にはすばらしい店がたくさんあることが分かり、しかるべき結果となった。東京は、世界一の美食の町だった。特に日本料理には敬意を評し、6割選んだ。すばらしいセレクションができたと思う」と話した。
ミシュランガイドは、フランス、パリ、ドイツ、ニューヨークなど米欧21カ国で発行されてきた。アジアでは東京が初めて。日本語版と同時に英語版も用意されており、90カ国以上で発売される予定だ。
ガイドブックには、味を評価する「星」の格付けのほか、レストランやホテルの快適度、車椅子対応があるかどうかなど施設・サービス面での評価、さらに各レストランについて客の迎え方、料理が出るまでの待ち時間なども調べられ、コメントが掲載されている。約16万軒あると言われる東京のレストランから、まず1500軒を「プレリスト」として選び、日本人とヨーロッパ人の5人の覆面調査員が1年半かけて訪ね歩いた。盛り付けの見た目や味のほか、食材の鮮度、仕込みの度合いなどによって星の数を評価しているという。
和食への評価が高まっていることから、既に発行されているニューヨークガイド版やサンフランシスコ版でも、計5軒の日本料理店が星を獲得している。

実は、今日付けの Financial Times でも1面の下の方に、 "Michelin sprinkles stars on Tokyo" と題した記事を掲載していて、東京だけを対象にしたレストランなどのガイドブックなのに、世界的にも注目されていたりするのかもしれません。なお、上に引用した朝日新聞のサイトでは、三つ星を獲得した8軒のレストランだけでなく、二つ星に選ばれたレストラン25軒、一つ星に選ばれたレストラン117軒、引用にもあるように、合計150軒のレストランの一覧が掲載されています。中には、独特の漢字を使っていて、一般的なフォントに含まれていないためか、伏字みたいにして漢字の作りを説明しているお店もあったりします。さすがに、三つ星クラスになると、私のように公務員という地味な職業に就いている人間には馴染みがなくて、名前を聞いたことがあるだけだったりするんですが、二つ星の中には行ったことのあるお店が1軒だけあり、一つ星になると数軒あったりします。
なお、ガイドブックのお値段は2200円プラス消費税の2310円だそうです。微妙な価格設定だという気がします。大量に売れるんでしょうから、もう少し安くてもいいように思わないでもないですし、逆に、大量にカラーページがあったりするんでしょうから、それを考えると割安感がなくもありません。私も店頭に並べば、手に取って立読みしたいと思います。今まで、私の独特のジャンル分けで、買う本と借りる本とで考えて来たんですが、このミシュランは立読みする本に分類するのが適当かもしれません。それから、本そのものを読んだわけではなく、ましてや、発売前の本ではあるんですが、書籍に関する話題ということで、無理やりに読書感想文の日記に分類しておきます。

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2007年11月19日 (月)

週末にブログのテンプレートのスタイル・シートを変更する

今日も、朝から秋晴れのいいお天気だったんですが、昨日の木枯らし1号に続いて、今日は気温が大幅に下がり、日本海側では雪が降っている地方もあるようです。東京でも真冬並みの寒いお天気の一日で、私はコートを出そうかと思ったんですが、取りあえず、マフラーだけで済ませました。まだまだ、男性でコートを着ている人は少ないような気がしますが、寒い日が続けば、私もコートを着用に及びたいと思います。段々と朝起きるのがツラい季節に入ってきたような気がします。

この週末は子供達がアチコチと忙しく出かけたので、逆に、私の方は時間的な余裕があり、ミラーの方も含めてブログの表示をいろいろと試してみたりしました。特に、ミラーのココログの官庁エコノミストの日記は、プロが作成・配布しているのを参考に、我が母校の京都大学をイメージしたテンプレートを自作してみました。ネットから画像を集めて、スタイル・シートなんかを工夫しました。私はデザインのセンスが悪いのでかなり苦労させられました。おヒマがあればご覧下さい。
出来合いのテンプレートで、出来合いのスタイル・シートしか利用できないブログもあるんでしょうが、工夫すれば、さらに、それなりの html に関する知識は必要ですが、かなりの程度、見栄えを変えることは可能なブログが多いような気がします。スタイル・シートだけではなく、 html そのものを編集出来ると表示項目そのものを変えることも可能です。デザインについてはセンスの問題なので、評価は分かれるんでしょうが、それなりに凝ったテンプレートも可能だと思います。特に、私のブログの特徴から、テンプレートのスタイル・シートについて重視しているのは重要と考える順に以下の7点です。

  1. フォント
    一応、私は国際派エコノミストではないかと考えないでもないので、場合によっては英語を使ったりします。今まで、英語だけでなく、フランスの Le Monde から仏語、チリの El Mercurio から西語の引用をしたこともあります。これは歴史的事実です。ですから、日本語フォントでアルファベットを表示するのではなく、欧文フォントを使いたいと思わないでもありません。 html のスタイル・シートでは表示フォントの優先順位を指定できます。私のブログでは Times New Roman にトップの優先順位を与えている場合が多いです。マシンによって欧文フォントがなかったりする場合は、それ以外のフォントで表示しますし、もちろん、日本語はデフォルトに指定されているフォントで表示されます。
  2. 行間設定
    私のブログでは強調のために大きなフォントや色付きで表示する場合があります。少し前までは多用していたんですが、今では厳選して使うようにしていたりします。その昔に、主婦の友社から発行された「金魂巻」という本があり、マル金、マルビなどの流行語を生み出したんですが、この本の影響かもしれません。それはともかく、ブログのテンプレートで行間が固定されていると、フォントを大きくした場合に詰まってしまいますから、私は通常はフォント大きさの1.5倍で行間を指定しています。 html のスタイル・シートでは line-height の属性で指定します。しかし、私は 1.5 も 150% も 1.5em も同じだと理解していたんですが、ブラウザによる見え方の違いからか、1.5 で指定しないとダメだということに、最近ようやく気付きました。
  3. 引用文の体裁
    新聞記事なんかを引用する場合、著作権の観点からも引用であることが明確に分かる形で引用したいと考えています。さらに、私の場合は引用元にリンクを張るようにしています。 html では blockquote タグが使えますから、引用した部分を枠囲みしたり、背景色を通常とは違えたりするのもスタイル・シートで設定します。なお、私の場合はフォントを小さめのイタリックにする場合が多いんですが、これはスタイル・シートではなく、直接にエントリー本文で指定しています。
  4. リスト項目の体裁
    エントリーで文章を書き連ねて行くよりも、箇条書きで整理する方が見やすい場合もあります。ブログ特有の事情ではなく、通常の社会一般で作成する文章全部に言えることかもしれません。ですから、番号付きの箇条書き、番号なしのリストも私はよく使います。 html では番号付きの ol タグや番号なしの ul タグに li タグを組み合わせて使います。テンプレートの中には ol タグと ul タグを区別しないようなデフォルトの設定になっているものもありますし、適切な左余白が置かれていない場合もあったりしますから、テンプレートによっては自分で修正することもあります。
  5. サイドのリンクの下線
    デフォルトの html ではリンクは青色のテキストで下線付きで表示されます。でも、サイドにはバックナンバーとして月別のエントリーへのリンクがあったり、カテゴリー別のエントリーへのリンクが置いてある場合が多いです。私のブログの場合は、アルベムへのリンクが長々と続いたりしています。リンクを示すサイドのテキストにいちいち下線がついているのは、私にはわずらわしく見える場合もあります。ですから、スタイル・シートでテキストの色を指定するついでに下線は消しています。マウスでポイントした時だけ下線が現れるようになっています。もっとも、エントリー本文のリンクは分かりやすいように常に下線を引いています。まあ、このあたりは趣味の問題です。
  6. エントリーの背景
    背景色はなるべく白っぽい色にしています。どうしてかと言うと、グラフや表が必要な場合、私はネットから画像を拾って、透過 gif に変換して使っているんですが、背景色が濃い色だと見えにくい場合が多いからです。特に、経済評論の日記の場合は、最近、景気の転換点を探るためにも熱心に図表を掲載しています。この場合、真っ白でなくても、透過 gif が見やすい背景色にするのも、スタイル・シートで簡単に変更することが出来ます。
  7. エントリーの横幅
    テンプレートの中にはエントリー本文の横幅が狭いものもあったりします。私は 200 ピクセルに縮小表示した子供達の写真を並べて置くことがありますから、最低でもエントリー本文の横幅が 420 ピクセルくらい欲しいところです。写真だけでなく、先週には GDP 統計の表を置いたりしましたが、これもある程度の横幅を要します。このため、エントリーの横幅が制約される可能性が高いという意味で、3カラムのテンプレートは避けていますが、それでも横幅の狭いテンプレートの場合はスタイル・シートで横幅を広げたりします。

週末に少し苦労したので、その経験を活かして、今夜のエントリーはブログのテンプレートのスタイル・シートに関するトリビアな日記でした。

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2007年11月18日 (日)

下の子をカブ隊に、おにいちゃんを理科教室に連れて行く

今日は、朝から秋晴れのいいお天気で、ここ2-3日と違って気温も上がりました。昨日はサッカーのベンチコートのような上着を着込みましたが、今日は軽めの上着で済ませました。でも、風が強くて、東京では木枯らし1号だそうです。

カブ隊で集合してハイキングに向かう下の子

今日も早起きして、下の子をボーイスカウトのカブ隊の集合場所まで連れて行きます。いいお天気だったので、普段であれば自転車で行くところなんですが、今日は、ハイキングに行って帰りが遅くなるようなので地下鉄で行きます。今朝も早いのは下の子だけで、おにいちゃんは起きても来なかったりしたんですが、下の子の部屋の整理が悪くて、アレがないとか、コレが出て来ないとかで大騒ぎして、私と女房が下の子を叱り付けながら準備を整えて出かけます。ビーバー隊の時の隊長さんと違って、カブ隊に上進してからは集合時刻に厳しい隊長さんなので大急で、何とか、最後にギリギリで集合時刻前に滑り込みました。ウチの子はカブ隊の中では背が高い方ので、上の写真は太陽を顔にまともに受けた写真になってしまいました。

理科教室で白衣姿のおにいちゃん

午後からはおにいちゃんを理科教室に連れて行きます。見飽きた気もしないでもないんですが、理科教室で白衣姿のおにいちゃんです。今日は太陽と月のクラスで天文学系のお勉強だったようです。でも、今日のクラスは我が家のおにいちゃんだけのマンツーマンになってしまっていました。実は、昨日の「音速のヒミツにせまる」の野外実習もそうで、事前には12人参加と聞いていたんですが、直前に2人キャンセルがあった上に、10人中の4人も当日に来なくて、結局、6人で出発して行きました。経営難に陥らなければいいんですが、やや心配ではあります。もっとも、1年間分の先払い方式ですから、大丈夫なのかもしれません。

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2007年11月17日 (土)

子供達を理科教室の「音速のヒミツにせまる」野外実習に連れて行く

今日は、朝からまずまずいいお天気でしたが、気温は上がらず寒かったです。最高気温で15度くらいだったでしょうか。昨日の反省で、私はサッカーのベンチコートのような上着を着込みましたが、さすがに、少し厚着が過ぎたような気がしました。

バスに乗って理科教室の野外実習に出かける子供達

今日は、子供達が理科教室の野外実習に出かけます。前回の化石探しと同じく、兄弟そろっての参加です。私は集合場所までの送り迎えの担当です。朝早くに起きて、集合場所までせっせと急ぎます。でも、団地を出たところで、おにいちゃんがメガネを忘れたと言い出し、子供達を先に駅に向かわせて、私が走って取りに帰ったりします。無事にバスに乗せたのが上の写真です。おにいちゃんはちゃんとメガネをかけています。
今日の行き先は渡良瀬遊水地です。かの有名な足尾鉱毒事件による鉱毒を沈殿させ無害化することを目的に渡良瀬川下流に作られたものだということは、それなりに知られている事実だと思います。前世紀初めの大正時代に作られたんだと記憶しています。まあ、現時点では鉱毒もなくなっているのかもしれません。しかし、私なんかは理科教室の野外実習で行くのはどうかなと考えないでもないんですが、理科教室の付添いの人によれば、逆に、人間の経済活動から隔離されているため野鳥が多くいるほか、昆虫・魚類なども割合といるらしいです。希少な植物も少なくないと聞きました。環境省のレッド・データブックに掲載された絶滅危惧種も多く発見されているということで、ラムサール条約指定湿原にすべきという人もいるらしいです。もちろん、聞きかじりの知識です。深くは知りません。
今日のテーマは「音速のヒミツにせまる」ということで、1キロほど離れたところから霧笛なんかを鳴らしてみて何秒で届くかストップウォッチで測ったりとか、運動会のスタートの合図にしているようなピストルを鳴らして、距離の違うところにいる子が聞こえた時点で旗を上げて、離れた所にいるほど時間がかかるとか、いろいろと実験して来たみたいです。恥ずかしながら、これも私の不得意分野です。今日は、前回の化石探しの山道とは違ってスムーズな道のりだったようで、乗り物酔いせずに帰って来ました。でも、音速の実験ですからお土産はありませんでした。

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2007年11月16日 (金)

やっぱり最後は日本経済の見通しに関するメモランダム

今日は、朝からが広がり、陽射しが余りなくて気温が上がりませんでした。一気に冬が来たようなお天気でした。感性よりも慣性で洋服を選んでいますから、今日はコートを着ませんでしたが、コートを着用に及んでも不思議ではない天候だった気がします。

GDP growth and forecasts from the latest WSJ.com survey引き続き、エコノミストの年中行事の経済見通しに向けて、取りあえず、今夜のエントリーでも昨夜の続きで、最初の方で、経済大国ニッポンからすれば与件でもないんでしょうが、海外経済の見通しをウォッチしておきたいとおもいます。まず、 Wall Street Journal の ECONOMIC FORECASTING SURVEY が発表されました。右上のグラフの通りです。エコノミストごとの見通しを含めた詳細は WSJ.com の Economist Forecasts で見ることが出来ます。グラフを一見して分かる通り、10-12月期は7-9月期から一転して成長が大幅に減速し、来年1-3月期以降の回復も緩やかです。年末にかけてゆっくりと潜在成長率近傍に戻るとの見通しです。もちろん、これは米国経済の見通しのサーベイ結果なんですが、日本の場合は10-12月期にマイナス成長を記録する可能性がありえることはすでに何度か書きましたし、また、私の見方では米国以外の日本も欧州も、もちろん、グラフの絶対値は違うものの、同じような足取りをたどるのではないかと考えています。引用したのは上方に凸のグラフなんですが、日本の場合は下方に凸の可能性があると私は考えています。すなわち、10-12月期にかなり落ち込んだ後、1-3月期も低めの成長が続き、私は4-6月期は少し上向くと考えているんですが、ひょっとしたら、4-6月期も停滞感が継続する可能性を排除できません。でも、何となくではありますが、私が今年と来年の日米欧の経済見通しについて考えているホンワカとしたイメージをよく表している気がしますので、日本経済の見通しの前段として取り上げてみました。

Table 1. East Asia Economic Growth

それから、日米欧経済以外の新興国の経済見通しのひとつとしてアジアを考えると、 "East Asia Remains Robust Despite U.S. Slow Down" と題して、世銀が東アジアの経済見通しを発表しています。コンセンサス予想だそうです。ほとんど注目されていませんが、上の表の通りです。一応、日本も東アジアの国ですから、最後の列に入っていたりします。発表文の最初の2パラだけを原文で引用すると以下の通りです。世銀らしく、単なる経済見通しだけでなく、1日当たり2ドル以下で生活している貧困層が1990年の10億人から初めて5億人以下に減少したなど、貧困削減の進展なんかについても触れています。

Washington, DC, November 14, 2007 - East Asian economies are likely to remain robust in 2008 despite growing concerns about the U.S. sub-prime crisis and increasing global oil prices, says the World Bank's latest East Asia & Pacific Update - Will Resilience Overcome Risk? Highlighting this, the report finds that for the first time, the number of poor people living below $2 a day in East Asia has fallen below 500 million - down from 1 billion in 1990.
The Update - a six-monthly report on the region's economic and social health - finds that growth in emerging East Asia is expected to exceed 8 percent in 2007 for a second year in a row and to moderate only slightly in 2008. Although East Asian exports to the US have already slowed, more buoyant investment and consumption in China and other countries have allowed growth to remain strong and even pick up this year.

日本の新聞をはじめとして、海外でもほとんど注目されなかったんですが、唯一、 International Herald Tribune だけが記事として取り上げていたりしました。一番下の列ですから、ついでに入ってるだけなんでしょうが、日本も今年2007年2.0%、来年2008年1.8%の成長と見通されていたりします。本邦エコノミストは政府経済見通しに合わせたのかどうか、年度で計数を出す習慣になっていて、暦年と年度の微妙な違いはありますが、なかなか、いいセンを行っているような気がしないでもありません。アジアでは米国のサブプライム・ローン問題に端を発する金融市場の動揺の影響も少なく、2桁成長を続ける中国を含めて、東アジアの途上国では2008年までの見通し期間において8%成長を達成するとの見通しです。現在の日本では考えられないような高成長に見えます。注目はされていないんですが、東アジア地域の最新の見通しとして、日本も含めて、リーズナブルな結果のように思わなくもありません。なお、念のためなんですが、Wall Street Journal と違って、世銀のホームページには日本語訳もあったりします。拠出額はかなり大きいですから、当然かもしれません。欧米だけでなく、アジアの経済見通しも視野に入れています。ジワジワと日本に近づいています。

最後に、いよいよ、日本経済の見通しに関するメモランダムです。今週13日に発表された1次QEを受けて、同業者の間でも今年度と来年度の経済見通しの作業がほぼ一段落したんではないかと思います。もっとも、12月7日の2次QEを待っているところもありますし、少なくとも、2次QEで足元調整を行うところが少なくないような気がします。ある意味で、11月から12月にかけては経済見通しに関係するエコノミストにとってもっとも忙しい時期のひとつであると言えます。エコノミストの間で意見交換がもっとも頻繁に行われる季節でもあります。ということで、最後の最後に、1次QEを受けた経済見通し作業をすでに終えた主要なシンクタンクなんかの WEB 上に置いてある発表文書(PFDファイル)へのリンクを50音順で以下に取りまとめておきます。見通し機関の後のカッコ内の数字はヘッドラインの実質成長率です。今年度は1%台半ば、来年度が2%を少し上回るくらい、というのが中央値かもしれません。

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2007年11月15日 (木)

欧米経済の動向に関するメモランダム

今日も、朝から秋晴れのいいお天気で、気温も昨日と同じくらい高くなり、20度を超えたようです。でも、今夜から気温が下がり始めるとの天気予報です。

先屋のエントリーは少し中休みでモンティ・ホール問題を取り上げましたが、今夜は経済に戻って、取りあえず、海外経済、特に、欧米経済の動向に関するメモランダムを、ハッキリ言えば、自分自身のためのリファレンスとしてブログのエントリーに残しておきたいと思います。ウェブ魚拓も含めて、アチコチにリンクが張ってあります。まとまりのないエントリーになりますが、自分自身へのメモランダムですので、ご容赦下さい。
まず、ユーロ圏の7-9月期の成長率は EU13 で季節調整済み前期比で0.7%、 EU27 で同じく0.8%でした。年率に引き直すと2%台後半と考えられます。一昨日のエントリーで私は日米欧とも7-9月期はそこそこの成長率を記録した後、10-12月期は大きく落込み、特に、日本についてはマイナス成長になっても不思議ではありませんし、さらに、来年1-3月期の成長も緩やかなものにとどまると書きましたが、基本的には現時点で、私のシナリオ通りにコトが進んでいるよいうに思います。参照先は以下の通りです。

それから、米国では、連邦準備制度理事会 (FED) のバーナンキ議長が Cato Institute の設立25周年記念の金融コンファランスにおいて講演し、現在、年2回の議会証言において2年先までの経済見通しを発表しているんですが、金融政策の透明性を高めるため、これを年4回に増やして3年先まで公表すると表明したらしいです。その代わりと言ってはナンなんでしょうが、インフレーション・ターゲティングの導入は見送るとのことです。よく知られているように、もともと、バーナンキ議長はインフレ目標論者だったんですが、昨年の秋口から1年余りの FED 内部でのインフレ目標に関する検討を経て、結局、諦めたのかもしれません。私は何度もこのブログ表明しているように、基本的にはリフレ派ですし、別の観点からは、金融政策にも国民主権が及ぶと考えています。当然です。日銀は政府からは独立していても、代議制民主主義を憲法にうたう民主主義国家において、国権の最高機関たる国会から独立できるハズもありませんし、独立すべきでもありません。しかし、リフレ派=インフレ目標論者とは限りませんし、リフレ政策がインフレ目標に集約されるわけでもありません。現時点で、国民の間にインフレ目標導入のコンセンサスがあるとまでは、私は確信できません。国民の間にコンセンサスがなさそうであることについては、日米に共通していることのように見受けられます。ですから、と言うわけでもないんですが、私は現時点ではリフレ政策ポータル Wiki のバナーは貼っていません。同業者のブログなんかでちょくちょく見かけたりしますが、少しデザインが気に入らないのも一因だったりします。話は別で、まったくどうでもいいことですが、 Cato Institute とは、 Wikipedia によれば、ワシントン D.C. にある libertarian think tank だそうです。このパラに関する参照先は以下の通りです。

最後に、我が国の金融機関にも想定外の損失をもたらしているサブプライム・ローン問題ですが、今週の "The Economist" に "CDOh no!" と題した記事が掲載されています。金融機関の人なんかが注目している ABX 指数が大幅に低下しているグラフが掲載されています。邦銀でも、「我が社が保有している CDO は AAA などの高格付けだから大丈夫」との説明も聞かれますが、格付けの低い CDO は言うに及ばず、たとえ AAA であっても通常では考えられないようなディスカウントを余儀なくされていることが読み取れます。格付けの適正化が迅速に行われない限り、そのうちに、CDO の市場は消えてなくなるような気がしないでもありません。何度か表明した私の意見の繰返しになりますが、来年1-2月に予定されている欧米金融期間の通期決算で、どんなオバケが飛び出すか、分かったものではないと私は恐れています。これも蛇足ながら、その意味で、ESP フォーキャストの11月調査結果で日銀の利上げ予想時期が来年1-2月に集中しているのが、今さらながらに、とっても不思議です。

Subprime performance

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2007年11月14日 (水)

モンティ・ホール問題の周辺事情をひも解く

今日も、朝から秋晴れのいいお天気で陽射しもありました。この季節にしては気温も昨日と同じくらい高くなり、20度を超えたようです。今しばらく、いいお天気は続くものの、明後日の金曜日ころから気温は下がるとの天気予報です。

先日、11月3日の文化の日に一家そろって筑波大学付属中学の学芸発表会を訪れた際のエントリーに、数学科の展示室で中学1年生の研究発表でモンティ・ホール問題が正しく解説されているのを見て、私は感激してしまったと書きましたが、今夜のエントリーでは、このモンティ・ホール問題を取り上げようと思います。もっとも、私はモンティ・ホール問題を正しく、かつ、分かりやすく解説する能力はそんなにないので、周辺のトリビア情報をひも解きたいと思います。
まず、モンティ・ホール問題とは何かなんですが、一言でいうと、その名もモンティ・ホール (Maurice "Monty Hall" Halperin) というオジサンがホストとして司会者を務める米国の視聴者参加型のテレビ番組 "Let's make a deal" に由来する確率の問題です。どうでもいいことですが、この番組は米国の3大ネットワークのひとつである NBC で放送されていて、今も続いています。43年の歴史があったりします。さて、その番組では視聴者から選ばれた出演者がクイズを勝ち抜くと、最後のチャレンジとしてゲームに挑みます。この最後のゲームが曲者なわけです。扉が3つあり、そのうちのひとつには豪華商品の自動車があるんですが、残りの2つはハズレでヤギが草を食べています。番組に参加しているゲストは豪華商品を目指して、そのうちのひとつの扉を第1回目の選択として選ぶんですが、ゲストが選択した後で司会者がハズレの扉をひとつ開けます。当然、ヤギがいます。司会者がハズレの扉を開けた後で、もう一度ゲストが開けられていない2つの扉のうちのどれかを選ぶ第2回目の選択のチャンスが与えられます。ここで扉の選択を変更する方がいいのか、変更しない方がいいのか、あるいは、変更しても変更しなくても同じなのか、がモンティ・ホール問題と呼ばれる確率の問題なわけです。
一見すると、自動車が残った2つの扉の向こうにある確率は、どちらの扉でも 1/2 ずつで同じように見え、2回目の選択でゲストが扉を変更してもしなくても、豪華賞品の自動車が当たる確率は同じだと思われがちです。しかし、結論を先に言うと、数学的な確率論からすれば、司会者がハズレの扉を開けた後の2回目の選択で、ゲストが扉を変更すれば、自動車が当たる確率は2倍になります。これを鋭く指摘したのが、日曜版新聞の折込み雑誌である Parade 誌"Ask Marilyn" なる商標登録までされたコラムを担当している Marilyn vos Savant 女史です。"Ask Marilyn" は日本語にすれば、「マリリンに訊いてみよう」といったところでしょうか。このモンティ・ホール問題に対する正しい回答が掲載されたのは1990年9月9日付けの Parade 誌だったそうです。しかし、このコラムでの回答は完全に正しいにもかかわらず、私が知る範囲でも、ジョージ・メイソン大学、フロリダ大学、ミシガン大学、ジョージタウン大学などのそうそうたる大学の数学教授が、2回目の選択で扉を変更すれば自動車が当たる確率が2倍になるという Marilyn vos Savant 女史の回答は間違っているとクレームを寄せ、一気にモンティ・ホール問題が有名になりました。これらのクレームに対して、Marilyn vos Savant 女史は小学校の教師に対して算数の授業で実験してみて欲しいと呼びかけたところ、経験的 (empirical) には Marilyn vos Savant 女史が正しいとの結果が続々と寄せられました。当然です。ちなみに、この Marilyn vos Savant 女史がどういう人かというと、当然ながら、ごく普通の一般ピープルが "Ask Marilyn" なんてコラムを担当するハズもなく、実は、1986年から89年まで世界でもっとも IQ の高い人物としてギネスブックにリストアップされていた人物なんです。諸説あるんですが、一説には IQ 230 とも言われています。そして、ギネスブックに載った1986年から Parade 誌の "Ask Marilyn" のコラムが始まっています。私が数日前に Parade 誌の "Ask Marilyn" のサイトを拝見した折には、小学校高学年の我が家のおにいちゃんが取り組んでいるような、旅人算みたいな質問が寄せられたのに対して、実に分かりやすい見事な回答が与えられたりしています。もちろん、今どきのことですから、 Marilyn vos Savant 女史のホームページが開設されていたりしますし、Parade 誌では電子メールで質問を受け付けていたりするようです。

今夜のエントリーの眼目である周辺事情はこれくらいなんですが、一応、2度目の選択で扉を変更した方が自動車の当たる確率が2倍になるというモンティ・ホール問題を直感的に解説すると、 Wikipedia から図を拝借して、以下の通りとなります。

モンティ・ホール問題における1回目の選択



モンティ・ホール問題における2回目の選択

要するに、上の図にある通り、3つの扉がいずれも開かれていない1回目の選択の時点では、各扉に自動車がある確率はそれぞれ同じで 1/3 ずつであることは明らかで、別の見方をすれば、ゲストが選んだ扉の確率が 1/3 で、それ以外の2つの扉の確率の合計は 2/3 ということになります。ここがポイントです。司会者がハズレの扉を開けた時点でも、この 1/3 と 2/3 の確率の配分に違いはないハズで、ゲストが選んだ扉の確率が 1/3 で変化ないのに対して、開かれた扉の確率がゼロに落ちることから、残された扉の確率が 2/3 をそっくり受け取って跳ね上がる、ということになります。結局のところ、最初に選択した扉の確率は 1/3 のままで、もう一つの扉を選ぶと確率が 2/3 に上がりますから、扉の選択を変更すると当たりの確率が 2 倍になるわけです。なお、私は先にリンクを張っておいたモンティ・ホール問題に関する Wikipedia のページとともに、トロント大学ローゼンタール教授の「運は数学にまかせなさい - 確率・統計に学ぶ処世術」も参考にしました。本の方は確率や統計にご興味ある方にはオススメしないでもないんですが、著者が意図したであろうほどには一般向きではないような印象もあります。私は購入しましたが、買う本ではなくて借りる本かもしれません。ご自分でご判断下さい。

「運は数学にまかせなさい」: ハヤカワ・オンライン

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2007年11月13日 (火)

7-9月期 GDP 速報は過去の数字か?

今日も、朝から秋晴れのいいお天気で陽射しもありました。11月中旬の今ごろの季節にしては気温も20度まで上がりました。でも、今週後半から気温は下がるとの天気予報です。

今朝、内閣府から7-9月期の GDP速報 が発表されました。エコノミストの業界で1次QEと呼ばれているものです。ヘッドラインの実質成長率は季節調整済み前期比で0.6%、年率2.6%となりました。市場の事前予想は改定前の4-6月期の▲0.3%減(改定後▲0.4%減)から7-9月期には1.5-2.0%の潜在成長率近傍にピックアップするとのコンセンサスでしたので、4-6月期の下方改定を考慮すると、ほぼジャストミートしたということが出来ます。だからというわけでもないんでしょうが、日銀は金融政策決定会合で政策金利の据置きを決めました。東証の日経平均は下げて3年振りの8営業日続落となり、株式市場は GDP 統計も日銀の決定もほとんど材料視していないようです。いつもの NIKKEI.NET のサイトから事実関係を報じた記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が13日朝発表した7-9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算で2.6%増だった。1%台半ばから後半とされる潜在成長率を上回り、2四半期ぶりのプラス成長に転じた。輸出による外需の取り込みや、企業の堅調な設備投資が寄与し、住宅着工の遅れなどによる悪影響を吸収した。
けん引役は外需で、輸出が前期比2.9%増加した。控除項目の輸入は0.5%増にとどまり、外需は成長率を0.4%押し上げた。外需の寄与度がプラスになったのは5四半期連続。
内需は0.2%増加。設備投資が1.7%増と前期の2.1%減から持ち直したほか、個人消費も0.3%増(前期は0.2%増)と堅調だった。6月の改正建築基準法の施行に伴い建築着工が急減し、住宅投資は7.8%減と落ち込んだが、内需の柱である設備投資と個人消費の伸びで補った。民間在庫の寄与度はプラス0.1%となり、GDP成長率のうち内需の寄与度はプラス0.2%だった。
需要項目2006/
7-9
2006/
10-12
2007/
1-3
2007/
4-6
2007/
7-9
実質GDP▲0.0+1.3+0.7▲0.4+0.6
民間消費▲1.0+1.1+0.8+0.2+0.3
民間住宅+0.8+2.2▲1.4▲4.1▲7.8
民間設備+0.9+2.3▲0.3▲2.1+1.7
民間在庫  *+0.1▲0.1▲0.0▲0.1+0.1
公的需要▲0.5+0.7▲0.4▲0.2▲0.3
外需 *+0.4+0.2+0.4+0.0+0.4
名目GDP▲0.2+1.4+0.3▲0.3+0.3
雇用者所得+0.0+0.2▲0.1+0.1▲0.2
GDPデフレータ▲0.7▲0.5▲0.3▲0.3▲0.3

上の表は2006年7-9月期から今日発表された2007年7-9月期まで5四半期のGDP成長率と各需要項目の推移です。基本的に季節調整済みの前期比の計数ですが、アスタリスクを付した民間在庫と外需の2項目は寄与度で算出されています。内需寄与度は四捨五入のラウンドを考慮しなければ、実質GDP成長率と外需の寄与度との差でインプリシットに求められると思います。一見して明らかなのは次の4点です。第1に、外需の寄与度が大きくて、内需に力強さが欠けている印象があります。第2に、建築基準法ショックにより住宅投資が下げ幅を拡大していることです。第3に、消費のスローダウンは雇用者所得の伸悩みに起因しているように見えることです。最後に、第4に、GDP デフレータが依然としてマイナスを続けており、大田経済財政担当大臣の閣議後の発言にあったように、「デフレ脱却が足踏み」していることです。昨夜のエントリーでは「デフレ脱却」という言葉は死語であるかのような印象で書いてしまいましたが、大臣が閣議後の記者会見で発言されているようですから、まだまだ現役のように見受けられます。失礼しました。
さて、 GDP 統計だけでなく、経済統計はどうしようもなくバックワード・ルッキングな指標ですので、先行き見通しに関しては統計指標を離れてエコノミストとしての感覚を加えて考える必要があるんですが、上のパラグラフで上げた4点に合わせる形で、以下の点が重要だと考えています。第1に、外需は米国経済の減速と円高が進むとすれば、いつまでも頼りに出来ないということです。10月24日のエントリーでも取り上げたように、貿易統計を見ても外需が減速を始めていることが明らかです。第2に、住宅投資が急速に回復することはとっても望めないどころか、新築着工の大幅下落がこれから GDP 統計上で顕在化して景気の足を引っ張り続けることはコンセンサスになっています。第3に、国内需要の伸悩みに為替相場の円高の進行や原油高の影響に起因する企業の収益環境の悪化が加われば、所得環境が好転するハズもなく、個人消費が力強く上向く兆しもありません。第4に、デフレ脱却とは直接の関係はなく、そんなに長く継続するとは考えていないものの、原油高が続くとすれば、コストプッシュと生産活動への下押し材料として、引き続きリスクがあります。交易条件を媒介にして石油輸出国への所得移転につながります。さらに、原油のような輸入品は GDP で考えると控除項目ですから、輸入物価デフレータが上昇すると GDP デフレータが上昇するという関係があります。
明日に発表される予定の欧州の GDP 統計も含めて、7-9月期は日米欧ともに高めの成長を記録したと考えられるんですが、今後、目先の2-3四半期、来年の前半くらいまで成長が継続する気配は読み取れません。もちろん、これは日本経済だけでなく、米国や欧州を含めて同じことで、10-12月期の成長は大きく減速し、日本の場合はマイナス成長すら考えられます。米国の連邦準備制度理事会のバーナンキ議長の先週の議会証言を借りれば、 "slow noticeably" ということになり、その後も、1-3月期から4-6月期にかけても、同じく、 "sluggish" な可能性が高いと考えられます。中国をはじめとするエマージング諸国は別にして、日米欧の先進国の三極が目先2-3四半期は同じような経済状況になると私は予想しています。2008年、あるいは、2008年度でもいいんですが、技術的には、いわゆるゲタと呼ばれる発射台が低いところから始まる可能性が高く、2008年や2008年度についても緩やかな成長が続く可能性が高いんではないかと考えています。

ここしばらくは、エコノミストの季節労働なんですが、来年の経済見通しについていろいろと考える時期に入って来ています。今日発表された7-9月期の1次 QE は発表された瞬間に過去の数字になってしまいました。来年も前半は低成長になるとの見通しに継ぎ足して、もう少し成長率見通しについて考えを進めたいと思います。

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2007年11月12日 (月)

東京株式市場の低迷は日本経済減速の原因か?結果か?

今日は、朝から秋晴れのいいお天気で陽射しもあって、この季節にしては気温も上がりました。でも、さすがに、今週から私は夏物の背広を諦めて、冬物を引っ張り出して着ています。

今日は日本の株式市場が一挙に下落しました。米国のサブプライム・ローン問題や景気減速懸念を嫌気した前週末の米株式相場の急落や、110円を割り込んだ円レートの上昇を受けたことから、東京株式市場で日経平均が大幅に下落し、7日続落となりました。終り値は前週末比386円33銭(▲2.48%)安の1万5197円9銭で、8月17日に付けた年初来安値の1万5273円68銭を約3カ月ぶりに更新してしまい、昨年2006年8月7日の1万5154円6銭以来の安い水準で引けました。ザラ場では、一時、昨年2006年7月27日以来の1万5000円を割る水準まで落ちたこともあったようです。いつもの asahi.com のサイトからグラフと記事の最初のパラを引用すると以下の通りです。

日経平均株価と為替レートの推移

12日の東京株式市場は全面安の展開となり、日経平均株価の下げ幅は前週末比で一時580円を超え、1年4カ月ぶりに1万5000円を割り込んだ。他のアジア市場の株価指数も軒並み大幅に下落している。東京外国為替市場では円が急伸。一時前週末から3円近く円高となって1ドル=109円台をつけ、1年半ぶりの円高水準となった。米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題で欧米金融機関の損失が拡大し、米国景気の先行き不安から前週末の米国株式・為替市場で大幅に株安・ドル安が進んだ流れが続いている。

私が見た範囲でも、日本の夕刊各紙は1面で今日の東京株式市場の下落を取り上げていましたし、日本の新聞だけではなく、今日付けの Wall Street Journal でも "Investors Fear Growth Will Fail To Revive Stocks" と題して、日米欧の景気減速が株式市場を下押しするとの記事を掲載していたりします。世界的に景気減速が始まっているわけですから、株式市場が先行指標となって下落を強めることは十分に考えられることです。かなり前から私が主張しているように、特に、日本の株式市場の場合は為替レートとの連動に注目すべきだと私は考えています。上のグラフでも日経平均と為替レートが逆相関しているのを見て取れると思います。日銀短観などで企業の想定為替レートが114-5円と弾き出されている現状では、1ドルが110円を割る水準になれば輸出企業の採算性がかなり悪化し、外需に依存する度合の高い現在の日本経済の減速に加えて、企業業績の面からも二重に株式相場を悪化させる要因となります。相場のことですから、為替レートの方向性は判然としませんが、欧州市場の動向も注目されるところです。もっとも、今日は米国が Veterans Day で、株式市場は開場するものの、外国為替と債券が休場する、いわゆる片目の市場ですから、為替レートの推移は明日の市場が始まらなければ、ハッキリしたことは言えないかもしれません。ついでながら、すでに死語になってしまったのかもしれませんが、私はデフレ脱却の観点からは、賃金の上昇が十分条件だと考えていて、現下のグローバル競争の激化から賃金が上がらないとすれば、130-40円レベルの円安がデフレ脱却にはとっても helpful だと考えていた時期もあったりしました。でも、現在の株式相場と為替レートの動きは、完全に私の希望的な観測の逆を行っている気がしないでもありません。

米国市場発のサブプライム・ローン問題に端を発する金融市場の混乱が、現在の日本の株式市場の低迷をもたらしていると考えられなくもないんですが、景気減速が始まっているのも事実ですし、建築基準法問題がそれを悪化させているのも明らかです。株式市場が景気減速の先行指標であるとともに、日本では大きな資産効果や逆資産効果は見られないとの説もありますが、少なくとも、株式市場の低迷が消費のメンタリティを悪化させることは十分考えられますから、相乗効果を持って景気減速を強める可能性も排除できません。マクロ・エコノミストの視点からすれば株価がすべてではないと言いたいところですし、株価と景気はニワトリとタマゴのような関係である気もしますが、いずれにせよ、株式市場と景気の動向をしっかりと見つめて行きたいと思います。

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2007年11月11日 (日)

小学校の学芸会に行く

昼前に太陽が出たんですが、午後からは、また、が広がってしまいました。夕方に雨が降るかもしれないけれども、明日はお天気が回復するとの天気予報です。

昨日と今日は、子供達の通う小学校の学芸会がありました。女房は昨日のうちに見て来たんですが、私は今日になってから行きました。昨年は学芸会なんてなかったと記憶していましたが、パンフレットを見ると、2年に1度開催するとあり納得しました。運動会のように毎年やるほどではないが、3年に1度では少ないような気もしますので、適当なところかもしれません。いずれにせよ、我が家の子供達はその他大勢ですので、特に、気合を入れて見に行くわけでもありません。我が家は運動会の折にすでに触れたように、武の道で社会に役立つ一家ではなく、今日の学芸会でも理解しましたが、芸の道でも同じことのようです。残されたのは文の道しかないのかもしれません。下の写真は、おにいちゃんが出演した5年生の劇の全員合唱のフィナーレです。一応、おにいちゃんも隅っこに写っていたりします。

小学校の学芸会

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今日は結婚記念日

今日は、朝からが広がっていましたが、午前中ににわか雨が通り過ぎてから、急速にお天気が回復しつつあります。昼前の現時点では陽射しがかなり戻りました。

今日は私と女房の結婚記念日です。上のおにいちゃんが小学5年生で下の子が小学3年生ですから、まっとうに数えても10年を超えます。今年は3月7日付けのエントリーでも取り上げた通り、「コロコロ・コミック」30周年で、まさに、子供達はコロコロ・コミック世代まっただ中で、私と女房は子育ての真っただ中です。ですから、取り立てて、何をしたりしてお祝いをするわけではありませんが、何となく記念日であることは間違いありません。

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2007年11月10日 (土)

台東区立書道博物館に行き顔真卿の『自書告身帖』に感激する

今日は、朝からでした。暗くなってから止みましたが、気温は上がらず、冷たい秋の雨となりました。

顔真卿『自書告身帖』

今日は、特に予定もなかったので、フラッと台東区立書道博物館に行きました。どうして行ったかと言うと、3日前の朝日新聞の夕刊の水曜アートで見かけたんですが、顔真卿の『自書告身帖』の真蹟が展示されていると知ったからです。書道博物館では10月6日(土)から12月24日(月)まで中村不折コレクションの中から選りすぐった隋・唐時代の肉筆の作品を「肉筆の美 -隋・唐時代の書を中心に-」と題する特別展が開催されていて、その中に、顔真卿の『自書告身帖』があるということで出かけました。顔真卿の楷書の真蹟で現存するただ一紙のものです。楷書以外でも顔真卿の真蹟は数点しか現存していないと聞きます。ただし、11月25日(日)までしか真蹟は展示されていなくて、その後はレプリカになってしまうということで、かなり大急ぎで行きました。
『自書告身帖』の「自書」の意味は明らかなんですが「告身」は辞令という意味だそうです。皇太子の教育係である太子少師に降格・左遷されたのを機に揮毫したもので、建中元年8月25日の日付がありました。ですから、『建中告身帖』とも呼ばれます。この名称であれば、法学部出身の人は著作権に関する事件で有名なモノだと思い出す人もいるかもしれません。まったく今夜のエントリーとは関係がないんですが、思い出してしまった人は最高裁判決が慶応大学のサイトにありますからご覧下さい。さて、話を元に戻して、建中元年は西暦でいうと780年に当たります。顔真卿は709年生まれで785年に没していますから、数え年で72歳の時の作品です。日本語でいえば古文にあたる中国語ですから、高校時代に習った漢文の知識だけでは意味は判然としませんが、大振りの楷書で顔真卿らしい太い字に感激しました。力強いエネルギーを感じさせる楷書でした。時代が違うんですが、現在に引き直せば60ポイントくらいの大きな字でした。どうでもいいことを続ければ、顔真卿もすでに老眼が進んでいたのかもしれないと考えてしまいました。なお、鎌田舜英先生のホームページに『建中告身帖』として詳しい解説があります。原則としてリンク自由とありましたので勝手にリンクを張っておきます。

そもそも、楷書は北魏から隋・初唐にかけて成立したものですから、真蹟で現存している作品はとっても貴重です。もちろん、この時代の書家としては何と言っても書聖と呼ばれる王羲之が第一に上げられますが、生没年は不詳ながら4世紀に活躍した書道家ですし、唐の太宗がかの有名な『蘭亭序』を含む真蹟と摸写を含めて2297紙を収集して、そのすべてを陵墓に埋めてしまったと伝えられていますから、真蹟が残されていようハズもありません。王羲之の真蹟に限りなく近いとされるのは『快雪時晴帖』で、台北の故宮博物院で展示されています。それから、楷書といえば、私が書道を習っていた時にお手本にしていた欧陽詢 (557-641) と弟子筋に当たる虞世南 (558-638) が有名です。このあたりで楷書は完成したと考えられています。もう10年近く前になりますが、毎週毎週、先生が書いてくれる欧陽詢の『九成宮醴泉銘』をお手本にお稽古に励んでいたことを懐かしく思い出してしまいました。欧陽詢や虞世南は欧法・虞法と並び称されるような細身の楷書を完成させたんですが、生没年から明らかなように、顔真卿は彼らから150年後の人で顔法とか顔体と呼ばれる書体を完成させました。もっとも、顔法は顔真卿の叔父にあたる顔元孫が漢字、特に楷書の書体を「干禄字書」という本で分類した時に、芸術としての書道というよりも、官吏やその登用試験である科挙で使うべき漢字の正字との意味合いも強くあります。正字として、通字や俗字とは違う位置づけを与えられているとも言えます。
話がやや逸れてしまったんですが、最後に、台東区立書道博物館について紹介すると、JR線の鶯谷駅から歩いて10分足らずのところにあります。台東区周辺には樋口一葉に因んだ一葉記念館とか、正岡子規に由来する子規庵などの施設があったりするんですが、書道博物館は中村不折を記念したもので、顔真卿の『自書告身帖』は1階の入ったところにレプリカが置いてあり、真蹟は2階の中村不折記念室にありました。鶯谷駅の日暮里寄りの改札を出て目の前にある交番で道を聞くと、朝日新聞で紹介されたからなのかどうか、手回しよく道順を案内した小さい紙をくれました。でも、書道博物館に着くと人出はまったくなく、ホンの10-20人ほどでした。比較的お年を召した女性が多かったような印象があります。書道展はだいたいこんなもんです。館内はもちろん写真撮影禁止ですから、外から写真を撮ろうかとも思いましたが、雨が降っていましたし、何よりも、失礼ながら、写真に撮っておこうと思うほどの建物ではありませんでした。でも、顔真卿の『自書告身帖』は見ておく価値があると思います。

最近は、音楽のコンサートや美術の展覧会なんかはトンとご無沙汰していますし、書道展も昨年2006年2月19日のエントリーで取り上げた、上野の国立博物館で開催されていた「書の至宝展」から数えても1年半を超えて久し振りです。でも、専門分野の経済を忘れて久々に芸術の秋をして来ました。

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2007年11月 9日 (金)

日米の金融政策当局の動向を読む

今日は、朝からまずまずいいお天気でした。でも、時刻が進むとともに雲が広がって、明日は雨が降るとの天気予報です。

米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) のバーナンキ議長が上下両院合同経済委員会 (Joint Economic Committee) で経済の現状と見通し (economic situation and outlook) について証言 (testimony) を行いました。私は FED のホームページ で見たんですが、景気の先行きに関してはかなり悲観的な見通しを証言しています。すなわち、第3四半期の成長は "solid--at a 3.9 percent rate" であるとした上で、その次のパラグラフは "Looking forward, however, the Committee did not see the recent growth performance as likely to be sustained in the near term." と始めて、このパラの締めくくりに "Overall, the Committee expected that the growth of economic activity would slow noticeably in the fourth quarter from its third-quarter rate. Growth was seen as remaining sluggish during the first part of next year, then strengthening as the effects of tighter credit and the housing correction began to wane." と経済成長について結論しています。なお、念のためなんですが、主語になっている "the Committee" は連邦公開市場委員会 (FOMC) のことです。さらに、続くパラグラフでは "downside risks" について、金融市場の悪化や住宅価格の低下による消費者心理 (consumers' willingness) や投資家の関心 (investors' concerns) の低下を上げていたりします。もちろん、経済成長だけでなく、インフレへの警戒感も "But the inflation outlook was also seen as subject to important upside risks." として、原油や一次産品市況の上昇とドル安が短期的にヘッドラインのインフレ (overall inflation) を上昇させたり、インフレ期待が大きくなる長期的なリスクにも言及しています。最終的に、10月31日の FOMC で25ベーシスの金利引下げを実施した後で、金融政策のスタンスは上下両方向のリスクに対してほぼバランスした "the stance of monetary policy roughly balanced the upside risks to inflation and the downside risks to growth." と結論していたりします。
いくつか報道も拝見しましたが、まず、やや別の観点の報道として、 NIKKEI.NET や同様に asahi.com では、共和党のブレイディー下院議員が、「損失額は最終的には、(80年代を中心にした)米中小金融機関・貯蓄貸付組合(S&L)危機で債務不履行になった総額約1500億ドルに匹敵する可能性があるか」と質問したところ、バーナンキ議長は「ほぼ当を得た推定といえる」としてこれを認めた、とのサブプライムの損失に関する報道を見かけました。バーナンキ議長は7月の議会証言でサブプライム関連の損失を「500億-1000億ドル」と見積もっていたんですが、その直後に広がった金融不安の影響を考慮し、国際通貨基金 (IMF) が9月の報告書で試算した「1700億-2000億ドル」に近い水準に上方修正したもようであるとの報道でした。日本の新聞の報道ではこちらも注目されていたように思います。さて、本筋に戻ると、このバーナンキ議長の議会証言に対して、今後の金融政策運営をめぐる見方がいくつかあるようです。まず、 Wall Street Journal のサイトでは、"Why Fed Expects Growth to Slow" と題して、成長減速とインフレの両にらみながらも、12月11日の FOMC での利下げを催促する内容とも読めなくもない報道を見かけました。他方で、Financial Times のサイトでは、 "Bernanke warns on risks of higher inflation" と題して、インフレ警戒感をあらわにした報道もあったりします。
結論的に言えば、私自身は12月の FOMC でさらに25ベーシスの利下げを決めるんではないかと考えていますが、昨日のバーナンキ議長の議会証言と併せて、この直前の一昨日11月7日に、FED のミシュキン理事による米国議会下院の小規模企業委員会 (Committee on Small Business) での証言やウォーシュ理事による New York Association for Business Economics での講演 (speech) では、利上げ慎重姿勢が示されたとして、利下げを見送るとの観測も出て来ています。まあ、 金融政策のスタンスが roughly balance なんですから、動く必要がないともいえますし、どちらかに動いても OK とも考えられます。6週間おきに開催される FOMC の直近の会議から10日ほどの現時点で、この先1ヶ月以上先の次の FOMC を予想しても仕方がないということなのかもしれません。

なお、今夜のエントリーのタイトルを「日米の金融政策当局の動向を読む」としてしまいましたので、ごくごく短く、かつ、ついでに日銀の動向についても紹介しますと、今日の午後に、日銀の金利引上げ時期についての予想を含む(財)経済企画協会の ESP フォーキャスト調査が発表されました。リンク先の右下の図6に円グラフがあります。これによると、先月発表分までは12月を中心に年内利上げを予想する同業者エコノミストが30人中15人と半数を占めていたんですが、さすがに、今回は31人中の4人まで減りました。減った行き先は来年1月が9人、2月が14人となっています。私のブログの10月22日付けや31日付けのエントリーでも取り上げたんですが、私から見れば当然ながら、私が「大きな驚き」と表現した年内利上げ派は大きく減りました。もう少し早くに気付いて欲しかったものだと思わないでもないですが、それはともかく、まだ1-2月に集中しているのは少し疑問が残ります。米国の例を上げると、日本の証券会社に相当する投資銀行の決算は11月に集中しており、市中銀行は12月決算が多いんですから、通期決算が発表される1-2月には何らかの金融市場を撹乱するウワサや決算発表そのものが出て来る可能性が高いと私は考えています。先日の第3四半期決算の発表でもシティ・グループのプリンス会長が辞任するような騒ぎが起こったりするんですから、通期の決算で何が飛び出すのか、分かったものではありません。もちろん、何もなければ日銀は1-2月に利上げするとの前提なんだろうと無理やり好意的に解釈することも出来るんですが、先行き経済のリスクを分析・評価するのはエコノミストの重要なアウトカムのひとつであるべきだと私は考えていますので、蓋然性がそんなに高くない前提に基づいて議論する姿勢は、少し、あるいは、大いに疑問が残るような気がしないでもありません。突然ながら、よく引合いに出されるエコノミストに関するジョークを紹介すると、無人島にエンジニアとエコノミストが大量の飲料と食料の缶詰とともに流れ着いたんですが、缶切りが見当たらないためエンジニアがプラクティカルに何とか缶詰を開けようとしてもダメだったので諦めかけたところ、エコノミストがやおら「ここに缶切りがあると仮定しよう」と切り出した、というものがあります。認識が至らないのは論外としても、昨今の金融市場の動向に鑑みて、「欧米金融機関の通期決算が発表されても何ら金融市場の動揺を引き起こすことはないと仮定しよう」というのは、このジョークにやや近いと考える人がいてもおかしくないような印象を私は持ちます。繰返しになりますが、先行きリスクを分析・評価して蓋然性の高いシナリオを提示できるのがまっとうなエコノミストなのではないでしょうか?

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2007年11月 8日 (木)

機械受注は底堅い動きと言えるのか?

今日は、朝から秋晴れのいいお天気でした。気温も20度くらいまで上がりました。空気が乾燥していて、さわやかなお天気の一日でした。

機械受注の推移

今日、内閣府から発表された9月の機械受注統計は季節調整済みの船舶・電力を除く民需のコアで前月比▲7.6%減と、市場の事前予想の平均である▲1.5%を大幅に下回り、2ヶ月連続の減少となりました。ただし、7-9月期でならして見ると7月の大幅増を受けて前期比2.5%増となり、4-6月期の▲2.4%から3四半期振りに増加となりました。なお、昨日のエントリーと同じなんですが、上のグラフは右下に11月5日更新とあるように、最新時点のデータが入っていません。ご容赦下さい。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

内閣府が8日発表した7―9月期の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は3兆1197億円と前期比2.5%増えた。
9月単月では前月比7.6%減だったが、四半期としては3・四半期ぶりの増加に転じた。10-12月期の受注額も前期比3.1%増の見通しで、設備投資は先行きも底堅く推移する公算が大きい。
機械受注は機械メーカーの受注状況を集計。企業による機械投資は設備投資の過半を占め、変動の激しい船舶・電力を除く民需は半年先から9カ月程度先の機械投資の動向を示すとされる。内閣府は機械受注の基調判断を「一進一退で推移」と据え置いた。

機械受注は設備投資の先行指標であり、現在の景気局面では賃金が上昇しない中で消費の足取りが弱いため、設備投資が輸出とともに景気を牽引していることから大いに注目されています。基本的には9月単月の統計としては市場予想を下回ったネガティブ・サプライズで、しかも、かなり減少幅も大きいんですが、明るい材料としては、7月にスパイクしたため7-9月期でならすと前期比でプラスの水面上に出たことと、それだけではなく、引用にもある通り、10-12月期の受注額も前期比3.1%増と増加を維持することです。さらに、少しややこしいんですが、設備投資の先行指標である機械受注の、そのまた先行指標となっている達成率は7-9月期で95.2%と、4-6月期の101.5%は下回ったものの、そこそこ高い水準を維持しています。
もちろん、私は下振れリスクの方が大きいと感じています。第1に、外需が9月の単月で前月比▲7.8%減、7-9月期で見ても▲2.2%減となっていることです。外需は国内の設備投資に結びつくわけではありませんが、海外需要が減退していることが見て取れます。四半期で前期比マイナスとなったのは1年振りですから、日本の機械類に対する海外需要が米国のサブプライム・ローン問題などから減退傾向にある可能性も指摘されています。第2に、ここでも顔をのぞかせるのは建築基準法改正の影響で、住宅着工が大きく落ち込んでいることから、建設業からの受注が8月に減少を始めてから9月には下げ足を速めて▲12.3%減となっていることです。さらに、建材需要については出荷段階で止まっているようで、鉄鋼や窯業・土石の発注に基調的な変化は見られませんが、この先、減少につながるリスクは十分予想されます。統計を離れて一般論としても、建て屋が建設されなければ機械類も搬入できないわけですから、建築着工審査が大幅に遅れている現状では、今後、機械受注にも間接的な影響を及ぼすリスクは十分あります。

昨夜のエントリーでも書いたような景気後退局面入りする確率はともかく、もしも、もしもなんですが、景気後退局面入りするとすれば、私の同業者の間で米国のサブプライム・ローン問題よりも建築基準法問題の方を主たる戦犯と見なすエコノミストが多い確率はかなり高いと思います。

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2007年11月 7日 (水)

景気動向指数 (DI) から今後の景気転換点を占う

今日は、朝のうちは雲が厚かったんですが、すぐに秋晴れのいいお天気になりました。気温もかなり上がりました。

景気動向指数の推移

昨日の午後に内閣府から発表された景気動向指数 (DI) の先行指数が速報ベースながらゼロをつけたことが話題になっています。なお、上のグラフは右下に11月5日更新とあるように、最新時点のデータを入れてなくて先行系列がゼロになっていません。ご容赦下さい。それでは、いつもの NIKKEI.NET のサイトから引用すると以下のとおりです。

内閣府が6日午後発表した9月の景気動向指数(速報)は、景気の現状を示す一致指数が66.7%だった。生産関連の指数が堅調に推移し、景気が上向きかどうかを判断する50%を6カ月連続で上回った。一方、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発する金融資本市場の混乱が続き、先行きを占う先行指数は低迷。現在と指数を構成する指標に違いはあるが、速報段階で0.0%になるのは1991年10月以来、約16年ぶり。
景気動向指数は景気に敏感な経済指標を3カ月前と比べ、改善した指標が全体に占める割合で景気の現状や先行きを示す。指標が50%を上回れば、景気が上向きと判断される。
先行指数を押し下げたのは東証株価指数などの市況関連。サブプライム問題に揺れる株式相場などの混乱が響いた。改正建築基準法施行による新築住宅着工の落ち込みも重しになった。

日本では景気動向指数として、一致系列がそれなりの注目を集めているんですが、米国などでは leading indicator として先行系列の方が注目される場合が多く、16年振りにゼロになったのは少し驚きです。現時点では速報値ですから上方改定される可能性も否定できませんが、株式市況関連と住宅着工が押下げ要因となっており、特に、後者の住宅着工は制度的な要因で、年間の GDP に引き直して 2-3 兆円、気前よく弾くと5兆円くらいの下振れとなると試算する向きもあります。こうなると成長率で換算して1%近い落ち込みとなる可能性もあったりします。
さらに、私なんかが景気動向指数とともに注目しているのはコンポジット・インデックス (CI) の先行系列です。詳しくは内閣府のホームページの一番下のグラフにありますが、2006年5月の108.0をピークにゆっくりと下向きになっているのが見て取れます。最近時点でも速報ベースながら、7月、8月、9月と3ヶ月連続で低下して来ており、9月速報では100を割って99.2まで低下しました。 CI は DI と違って、水準でも見るべきですので、直近の CI 先行系列のボトムである2001年10月の87.2と比較すると、水準はそこまで下がっていませんし、もちろん、グラフで見ても、CI の一致系列はまだまだ110を超えていて、高水準で上向きを維持しているように見えるんですが、9月10日付けのエントリーでも指摘したように、ジワジワと景気の転換点が近づいてきているような気がしないでもありません。少なくとも、2004年から2005年にかけての景気の踊り場では一致系列も先行系列も CI が100を割ることはありませんでしたから、今回の下がり方が景気転換点に向かってピーク・ボトムをつけるような兆候があるのかどうかは注視する必要がありそうに思います。
前世紀終わりごろから景気循環の様相がかなり違って来て、以前は単純で把握しやすい在庫循環に着目していればよかったんですが、最近では、経済のサービス化の進展や在庫管理技術のの向上などにより、古典的とも言える循環が見られる IT 在庫を別にすれば、在庫循環がはっきりした形で観察されないようになり、加えて、設備投資循環と在庫循環が入り混じって、複雑な景気循環を見せるようになって来ています。2004年から2005年の踊り場では在庫循環が下向きになる一方で、設備投資循環がそれを打ち消すような動きが見られて、結局、踊り場と称されるようにピーク・ボトムをつけるには至りませんでした。昨年の今ごろまでは今回も夏場までに IT 在庫の循環が一巡し、今年後半には景気は上向くとの予想が主流でしたが、米国のサブプライム・ローン問題に端を発する金融市場の混乱などから、昨年今ごろの私の見通しはもろくも崩れ去ってしまいました。私の同業者の中には、「景気後退局面に入るリスクは40-50%」とするリポートを送って来た人もいたりします。
この先、景気が後退局面入りするリスクとして大きなポイントを2つ上げることが出来ます。ひとつは日銀の福井総裁も指摘した海外経済の下振れから輸出が鈍化することです。これは所得要因なんですが、為替レートが円高に振れるとすれば価格要因として、これも含めて考えるべきかもしれません。いずれにせよ、欧州は景気拡大が続いているように見えるんですが、米国は7-9月期の GDP 統計や最近の雇用統計にもかかわらず、今後、経済が減速すると考えるエコノミストが多いですし、外需依存度の高い我が国の現状では、米国経済が減速してもデカップリングされずにその影響をモロに受けたり、円高がさらに進んだりする場合は、景気悪化につながる可能性は無視できません。もうひとつは住宅投資の急激な悪化です。建築着工申請の遅れから住宅着工が大幅に落ち込み、住宅建設に連なる建材生産などへ波及する可能性も十分あります。今までも政府・日銀が不況の引き金を引いたことは何度もありましたが、ある程度は意図した引締め政策の結果であって、それが認知ラグやその他の要因と重なって景気悪化につながったことはあっても、このような形で景気後退をもたらすのは世界でも例がないような気がしないでもありません。

私自身は40-50%の景気後退の可能性を弾き出すまでの自信は毛頭ありませんが、引き続き、今しばらく景気の動向には注意が必要だろうという気がします。

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2007年11月 6日 (火)

ハリー・ポッターの翻訳に見る日本の国際化の遅れ

今日は、朝のうちに降っていた雨も昼までに上がり、の多いお天気になりました。陽射しがなくて寒かったです。でも、明日からは秋晴れが戻るとの天気予報です。

ハリー・ポッターのシリーズ最終巻「死の秘宝」(仮題)の原書が7月21日に世界同時発売されてから3ヶ月余りがたちました。そろそろ、各国語版の翻訳が出回っているようです。私がよく参照しているファンサイトのひとつであるポッターマニアに記事が出ていた範囲でも、以下の日付けで翻訳が出版されています。

  1. 10月27日 ドイツ語版 "Harry Potter 7 und die Heiligtuemer des Todes" (Carlsen Verlag GmbH)
  2. 10月28日 フランス語版 "Harry Potter 7 et les reliques de la mort" (Gallimard)
  3. 10月28日 中国語版 「哈利・波特与死亡聖器」(人民文学出版社)

いきなり本題から逸れるんですが、、作者のJ.K.ローリング女史は外国語に翻訳する場合、原題の "Harry Potter and the Deathly Hallows" だけでなく、非英語版の代替タイトルとして "Harry Potter and the Relics of Death" を認めています。一見して分かるようにドイツ語版やフランス語版ではこの代替タイトルを基にしているようです。私は中国語については見識がないんですが、日本人ですから漢字は理解しますので、"the Deathly Hallows" を直訳すれば「死亡聖器」になるのかもしれません。直感的には、「哈利・波特」はハリー・ポッターの音を当てているんだろうと思います。当然ながら、「与」は日本語の「と」、英語の and に当たるんだと記憶しています。高校生だったころの漢文の授業を思い出してしまいました。
さて、本題に返って、主要な国として、ドイツ、フランス、中国の翻訳状況を上に掲げた他に、正確な日付けが特定できないので上のリストには上げませんでしたが、正規のトルコ語版は12週間で翻訳が出来たそうです。デンマーク語版も11月の発売との情報があります。そこで、我が日本語版がどうなっているかと言うと、静山社のホームページにはスラッと「静山社の日本語翻訳版「ハリー・ポッターと死の秘宝」(仮題) については、発売日が決まりましたら当サイト等で発表いたします。」とあるだけです。公務員らしく前例を引合いに出すと、前作の第6巻「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の際は、原書発売から10ヶ月後に、前々巻の第5巻「不死鳥の騎士団」の時は14ヶ月後に出版されています。単純にページ数で比較すると、今回の第7巻は第6巻よりは長く、第5巻よりは短くなっていますから、1年くらいかかるのかもしれません。鋭意、翻訳作業は進められていることとは思いますが、諸外国の翻訳例を考え合わせると、私以外にも、やや対応が遅いとの印象を持つ人は少なくないと思います。
さらに、ポッターマニアの記事からの孫引きですが、「タイムズ紙によると、日本語版などを除きおおかたの翻訳者は少ない翻訳料で脚光も浴びておらず、ファンから批判される辛い役回りになっています。」とのことです。もちろん、税制は国によって異なるので一概には言えませんが、私のブログの今年6月12日付けのエントリーで取り上げたように、脱法スレスレの方法で節税を試みるインセンティブを有する日本の翻訳者さんと大きな差があることを感じるのは私だけでしょうか。
今夜のエントリーの結論を明確にすると、翻訳料のお話はついでに取り上げただけなんですが、翻訳が出版される時期については、まさに、日本の国際化の現状の一端をよく表していると私は考えています。ドイツ語やフランス語などのヨーロッパ言語は英語と同じようなアルファベットで表記し、英語の親戚筋に当たるんでしょうから、それなりに翻訳作業ははかどるんでしょうが、私も詳しくないものの、トルコ語版や中国語版よりも大幅に日本語版が遅れるのは、日本人や日本社会の国際化が進んでいない一端を垣間見ることが出来るような気がしないでもありません。要するに、翻訳が出なければ原書で読んでしまうぞという読者からのプレッシャーがとっても小さいんだろうと思います。誤解を恐れずに思い切って書けば、問題とされるべきは高額の報酬を得てチンタラ作業している翻訳者さんではなく、その翻訳者さんに上の意味でのプレッシャーをかけられない日本人読者一般ということになります。

極めて細かい事実から余りに一般化して考えるのは大きな危険が伴いますが、この国際化への対応の遅れが国際的な場における日本人の労働生産性の低さをもたらし、日本の金融サービス業の競争力の低さや国際機関における日本人比率の低さ、引いては、株式市場の低迷につながっている気がしてなりません。しかし、10月29日付けのエントリーでも主張したように、直感的な印象ながら、私はこの国際化の遅れは量的な問題であり、がんばれば何とかなる、と考えていることを付け加えておきます。

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2007年11月 5日 (月)

10月の雇用統計は米国経済の底堅さを見せつける

今日も、朝からまずまずいいお天気でした。午前中を中心に陽射しもあって、この季節にしては気温も上がりました。でも、最高気温は20度には達しなかったようで、秋は着実に深まりつつあります。

米国・失業率と非農業部門雇用者数の推移

先週金曜日に発表された10月の米国の雇用統計は、非農業部門の雇用者数で見て前月比16万6000人増となり、米国経済の底堅さを見せつける結果となりました。米国の経済指標ですので、 Wall Street Journal が開設している WSJ.com のサイトから最初の2パラだけを引用すると以下の通りです。

A surprising surge in October payrolls suggested a U.S. economy running at two speeds -- with strength in the service sector offsetting weakness from a plummeting housing sector and gyrating credit markets.
Employers added 166,000 jobs in October, the Labor Department said, the most in five months. The unemployment rate remained unchanged at 4.7% despite widespread worries that the odds of a recession are rising.

ブルームバーグ社の集計による事前の予想平均は85千人増でしたから、166千人増は倍近い結果となり、引用の通り、5ヶ月振りの高い伸びのポジティブなサプライズとなりました。これも引用にある通り、失業率も少し上昇すると考えられていたんですが、9月と変わらずで4.7%でした。この雇用統計を見る限り、米国の景気後退のオッズ odds は高まらなかったかもしれません。
雇用者数の増減を業種別に詳しく見ると、引き続き、製造業を中心とする鉱工業が減少して、政府を含むサービス業が増加する構造に変化はないんですが、企業サービス65千人増、娯楽サービス56千人増、教育サービス・ヘルスケア43千人増が雇用者増を牽引しています。金融市場を揺るがしているサブプライム・ローン問題に関する業種としては、鉱工業に分類されている建設業が4ヶ月連続の減少ながら、8月▲29千人減、9月▲14千人減に続いて、10月は▲5千人減と減少幅が小さくなっています。商業向け不動産建設や公共投資が建設雇用を下支えしているのではないかと言われています。それから、いろんな銀行や証券会社のレイオフが報道される中で、金融サービスは8月▲13千人減、9月も同じく▲13千人減の後、10月は2千人増となり、わずかながら水面上に浮上しました。最後に、私が注目していた小売サービスは8月に▲4千人減と減少に転じてから下げ足を速めて、9月▲12千人減、10月▲22千人減となっています。先週11月1日のエントリーで取り上げたように、今年のクリスマス・セールは昨年とは逆に、原油価格の上昇局面にブチ当たってしまったものですから、信用不安から消費マインドも明るくないことも手伝って、小売業界の警戒姿勢がうかがえる雇用情勢となっています。この警戒姿勢の現れのひとつとして、一部には値引きを前倒しで実施して顧客の囲い込みを始めているとのウワサもあったりします。先にリンクを張っておいた WSJ.com のサイトでは "A seasonally adjusted drop in payrolls among retailers could portend caution heading into the holiday shopping season." に続くパラグラフで、 adjust its promotional plans を示唆する OfficeMax の例を引いたりしています。
米国の雇用統計に引っかけて、やや関係の薄い点ではありますが、2点ほど補足すると、まず、昨年の今ごろにウワサになっていた米国の生産性低下による雇用の増加は、我が同業者の間ではまったく影を潜めました。インフレへの影響の点では昨今の原油高に起因するインフレと生産性低下に起因して、生産性でデフレートした実質賃金上昇から引き起こされるインフレとでは、金融政策当局の反応がまったく違うことが考えられるんですが、今週7日の水曜日に発表される7-9月期の米国の労働生産性・単位労働コストの統計でも、年率1%を超える着実な生産性向上が見込まれており、生産性の鈍化に起因する雇用増の話題は見られなくなりました。もうひとつは、カリフォルニア州南部の山火事の影響なんですが、雇用統計は毎月12日を含む週の調査に基づいていますので、この調査週の後に発生した山火事の影響はない旨を米国労働省が明らかにしています。非難住民は100万人を超え、昨年のハリケーン・カトリーナに匹敵する被害をもたらしている山火事ですから、今後の米国経済に何らかの影響をもたらすことが考えられますが、今回の雇用統計には影響は現れていないようです。

私は、決して、サブプライム・ローン問題に端を発する金融市場の動揺が収束したと考えているわけではありませんが、11月1日のエントリーの結論と同じで、統計に現れた雇用の底堅さがどのように反映されるか、引き続き、米国のクリスマス・セールの動向が注目点といえます。

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2007年11月 4日 (日)

お詫びと訂正

先ほどのエントリーでは、クロノスのゲームにおいて、下の子のレベルは 31 だと書きましたが、 32 に2週間ほど前から上がっているらしいです。関係者にお詫びして訂正します。

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下の子と理科教室に行く

今日は、朝から秋晴れのいいお天気でした。陽射しもたっぷりあって、元気のいい人は半袖で街を歩いていたりしました。

今日は下の子を理科教室に連れて行きます。今日は大地の変化として、化石がどのように出来るのかとか、いろんな岩石の生成などについて勉強して来たみたいです。我が家の下の子もそうだったんですが、男の子の中には泥が服についていた子もいたりしました。理科教室の勉強内容とは関係なく、でも、理科教室の何かに inspire されて、下の子は「どうして牛は赤い色を見ると興奮するのか?」と私に聞いたりします。私の知る限りの知識で、牛や馬くらいでは色を識別することは出来ないだろうから、闘牛士の振る赤い色の布に興奮しているんではなくて、布がヒラヒラするのに興奮しているんではないか、猫が動くものに飛びかかるのと同じだと思うと答えておきます。子供達と平日の昼間にコンタクトできる専業主婦の女房と違って、私は、このような道すがらに子供達との会話時間を確保したりしています。
理科教室に行く前から、下の子はクロノスのゲームを始めていて、理科教室に行く時に女房にパソコンの電源を切らないように言い置いて出かけます。何をしているのかというと、フリマを開いてアイテムを売りさばいていると言います。なかなか合理的な価格付けをしていて、同じアイテムを複数売る場合は値段に格差をつけるそうです。同じアイテムに50、60、70、80と違う値段をつけるものですから、安い方から着実に売れるそうです。家に帰った時には、かなりのアイテムが売れていて、下の子は大喜びでした。どのようにしてアイテムを手に入れるのかというと、パンプキン・モンスターなんかが落っことして行ったのを拾ったり、わらしべ長者よろしく、アイテムを価値のあるものに交換して行くそうです。下の子はレベル31なんですが、レベルの低い初心者から詐欺スレスレで巻き上げることもあるそうです。まあ、オンラインゲームの中では生産活動をしていませんから、アイテムの入手方法はそんなところなんでしょう。ちなみに、ゲームの中でアイテムは売られているんですが、現実世界のお金を銀行振込みやクレジットカードの決済で、ゲームを提供している会社からアイテムを買うのが一般的な方法です。無料で提供されているオンラインゲームですから、何らかのアイテムを売って収入にしているわけです。ただし、我が家では子供達にはこのようなお小遣いの使い方を許可していませんから、ひたすら無料で遊び続けています。
私と下の子が理科教室に行っている間、おにいちゃんは勉強でした。昨日の土曜日には夕方までお出かけしていたので、その分を取り戻しています。私と下の子が帰った時には、女房にチェックを受けていました。小学生も3年生と5年生ではかなり違います。私と下の子が家に戻ったのを機に、おにいちゃんも休憩に入ります。ニンテンドーDSライトでゲームをしたりします。小学校のクラスメートから借りて来たゲームらしいです。残念ながら、私には詳しいことは分かりません。

下の写真は、毎度おなじみ、理科教室で白衣姿の下の子と、ニンテンドーDSライトのゲームで遊ぶおにいちゃんと見守る下の子です。下の子は元気があり余っていますので、家に帰ってからは半袖で過ごしています。

理科教室で白衣姿の下の子  ニンテンドーDSライトで遊ぶおにいちゃんと見守る下の子

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2007年11月 3日 (土)

筑波大学付属校の文化祭をハシゴする

今日は、朝からまずまずいいお天気でした。薄雲が広がっていましたが、雨が降りそうな気配もありませんでした。気温は上がりませんでしたが、寒いというほどでもありませんでした。

今日は朝から一家そろって外出します。午前中は筑波大学付属中学の学芸発表会に行きます。最初は図書委員会の展示を拝見します。テーマは「魔法」ということで、我が家の子供達も大好きなハリー・ポッターのビデオを上演していたりします。次に、いつもの鉄道研究会です。定番の N ゲージがありましたが、やや物足りない展示でした。続いて、数学科、天文研究会、化学研究会などの部屋に入ります。数学科では、中学1年生の研究発表でモンティ・ホール問題が正しく解説されているのを見て、私は感激してしまいました。大学教授でも間違うことのある確率問題を鮮やかに解説してありました。お勉強のよく出来る学校だと改めて認識しました。それから、下の子のリクエストで囲碁・将棋愛好会に行きます。ひたすら対局するというスタイルらしく、我が家は掲示されていた詰め将棋などを鑑賞してから出ました。最後に、電子電脳でおにいちゃんがゲームをします。なかなか見事な腕前に、中学生が集まって来たりしました。中高一貫制ではないという考えに基づいているのか、中学校だけの学芸発表会でしたので、高校生が参画していない分だけ、他の中高一貫制の学校の文化祭よりも物足りないのは致し方のないところだと思います。
午後からは筑波大学付属駒場中学・高校の筑駒文化祭に行きます。こちらは、文化祭は年中行事の一大イベントと位置付けられている学校らしく、多いに派手な作りになっていました。午後の部は午前と逆に将棋部・同好会から始めます。部員の中高生が我が家みたいに見学に来た小学生5-6人を相手に対局しています。しかも、小学生の方は列をなして並んだりしていました。筑駒では、囲碁と将棋は別のクラブ活動になっていました。それから、生物部に入ります。子供達がクイズラリーに挑戦したり、顕微鏡で蝶の鱗粉なんかを観察したりします。鉄道研究部の N ゲージはとっても立派でした。科学部では下の子がスライムを作ります。定番なんでしょうが、おにいちゃんは「もういい」という感じでした。最後に、パーソナルコンピュータ研究部でゲームをします。午前の部ではネットからダウンロードしたゲームだったんですが、午後の筑駒では校内で開発したゲームでした。自分達のホームページも開設していて、文化祭が終わったらゲームを大量にアップロードするとのことでした。午前の部と違って、筑駒の文化祭は学校の中の位置づけがかなり大きいですし、さらに、中学生に加えて高校生も参加していますので、その差は歴然でした。同じ筑波大学の付属校でも文化祭の位置づけが異なると結果もかなり違うものだと実感しました。

下の写真は、筑波大学付属中学の学芸発表会にて化学研究会の尿素の結晶を見る子供達と筑波大学付属駒場中学・高校文化祭にてパーソナルコンピュータ研究部のゲームで遊ぶ子供達です。

筑波大学付属中学の学芸発表会にて化学研究会の尿素の結晶を見る子供達  筑波大学付属駒場中学・高校文化祭にてパーソナルコンピュータ研究部のゲームで遊ぶ子供達

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2007年11月 2日 (金)

ありそうでなさそうなこと - ゲイのダンブルドアとコカイン中毒のヒンギス

今日は、朝からが広がり、陽射しがないために気温は上がりませんでした。冬に近い寒さだった気がします。カレンダー的に11月に入ったこともあり、そろそろ、私はスーツを夏物から秋冬物に着替えるタイミングを計っていたりします。

今夜は週末前の軽い話題ということで、久し振りに、ハリー・ポッターとテニスのヒンギス選手を取り上げたいと思います。と言うことで、今夜のエントリーでは第7話の「死の秘宝」(仮称)のネタバレがありますので、未読の方はご注意下さい。さて、少し前にファンの間では話題になっていたんですが、ハリー・ポッター・シリーズの作者である J.K. ローリング女史が、10月19日に開催された米国ニューヨークでの Open Book Tour でダンブルドア校長先生のセクシュアリティについて、彼はゲイであり闇の魔法使いのグリンデルバルトを愛していたと発言しました。ハリー・ポッターのファンサイトである MuggleNet.com から該当パラだけを引用すると以下の通りです。なお、引用中で Jo とか JK と略されているのは J.K. ローリング女史のことです。

The most notable news of the night was the revelation of Dumbledore's sexuality. Jo says Dumbledore was gay and in love with Gellert Grindelwald. JK, in response to the audience's reaction, said "If I had known this would have made you so happy, I would have told you years ago."

この Open Book Tour はカネギー・ホールで開催されたらしいんですが、このローリング女史の発言の後、会場は静まり返って、その後に拍手喝采が巻き起こったらしいです。ひとつだけ注釈を加えておくと、もちろん、ダンブルドアがホグワーツ校の校長になるずっと前のお話です。第7話を読んだ方ならお分かりでしょうが、ダンブルドアがホグワーツ校を卒業した直後の17歳だか、18歳の夏休みにダームストラング校を卒業したグリンデルバルトが英国を訪れた機会にいっしょに2-3ヶ月を過ごした、とあります。私はグリンデルバルトをすっかり忘れていたので、我が家のおにいちゃんに「グリンデルバルトとは何者か?」と質問した記憶があります。我が家のおにいちゃんはハリー・ポッター大好きのポッタリアンで頭脳明晰ですから、第1話の「賢者の石」の最初の方のホグワーツ特急でハリーがホグワーツ校に行く時に、車内販売で売っていたカエル・チョコレートだか何だかにオマケでついて来るカードにグリンデルバルトが出て来ると、当該ページを開いて教えてくれました。親バカの私は大いに感心したことを覚えています。
第7話では、日刊預言者新聞のリータ・スキーター記者が "The Life and Lies of Albus Dumbledore" なる本を書いていて、第7話の第18章が丸々これに当てられていたりします。ダンブルドアがグリンデルバルトと交友があったり、マグル抑圧を示唆するようなダンブルドアのメモが本の最後の方に資料として掲載されていたりして、ハリーはダンブルドアに対する嫌悪感を募らせるような展開になっています。あり得ない話ではないですし、話題作りとしては面白いかもしれないんですが、私はハリー・ポッターのシリーズは100年先まで名作として読まれるだろうと考えていますので、どうでもいい話だと思います。芸術作品はある程度は受け手の感受性に委ねられるべきものだと私は考えていますから、作者のローリング女史も自分の文学作品を大事にして欲しい気がします。このブログでも少し取り上げましたが、第7話の発売前からの作者の言動は私にはしっくり来ません。と言いつつ、何度も取り上げている私にも何らかの責任の一端がある可能性も否定しません。

それから、少々びっくりしたのはテニスのヒンギス選手がウィンブルドン大会のドーピング検査の折にコカイン陽性が検出されていた、という今日の夕刊の記事です。いつもの asahi.com のサイトから最初の方の第3パラまでを引用すると以下の通りです。

女子テニスの元世界ランク1位、マルチナ・ヒンギス(27)=スイス=は1日、スイスのチューリヒで記者会見し、今年のウィンブルドン選手権のドーピング検査でコカインの陽性反応が検出されたことを明らかにして、現役引退を表明した。コカイン使用は完全否定し、けがや年齢的な理由も挙げて「数年を無実の証明のために費やしたくない」と説明した。
ヒンギスによると、6月のウィンブルドンで採取された尿検体から興奮作用のあるコカイン代謝物の陽性反応が出た。すぐ個人的に毛髪検査を行ったところ、陰性だったという。しかし、その後ウィンブルドンでの別の検体からも陽性反応が検出された。
ヒンギスの弁護士が検体に不審な点を見つけたといい、取り違えの可能性もあるという。ヒンギスは「失望し、怒っている。自分が完全に100%無実だと信じている」と話す一方、「このような告発があると、一線で試合を続ける意欲がわかない。もう27歳で、現実的にトップクラスのプレーをするには年を取りすぎている」とツアーから身を引く理由を話した。

連日のように、食品や建材や何やの偽装などのインチキの報道に接している身としては、何がホントで何がウソなのか、まったく分からなくなってしまいます。ヒンギス選手がコカイン中毒のジャンキーだったとは思いませんが、ぎりぎりセーフのキワモノに手を出していなかったかどうかは不明ですし、弁護士が見つけたと主張する検体の不審な点と言うのも、私なんかにはサッパリ分かりません。すべての判断を留保せざるを得ません。

と言うことで、週末前の軽い話題をと思って2点ほど取り上げましたが、定時退庁日の金曜日なのでムダに長くなってしまいました。ありそうでなさそう、同時に、なさそうでありそうな2つの話題でした。多くの善良な日本人のみなさんには何の関係もないかもしれません。

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2007年11月 1日 (木)

米国経済の動向を占う

今日は、朝のうちは晴れ間も見えましたが、昼前から雲が広がり、午後にはが降りました。陽射しがなくて気温が上がらず、かなり寒かったです。

U.S. Real GDP Growth

Recipe for Growth

米国時間の昨日、米国商務省から GDP 統計が発表されました。上のグラフは最近3年間の四半期別経済成長率の推移と本年7-9月期の成長率への寄与度です。時間的に少し遅れて、米国の連邦準備制度理事会 (FED) が連邦公開市場委員会 (FOMC) において政策金利である FF レートと公定歩合を25ベーシス引き下げることを決めました。これらを受けて、昨日の NY 市場では株価も原油も大幅に上げました。ついでに、今日の東証の日経平均も続伸しました。まず、WSJ.com のサイトから、GDP 統計FED の政策金利引下げの報道について、それぞれ、タイトルと最初の2パラだけを引用すると以下の通りです。どうでもいいことですが、WSJ.com からの引用はこのブログでは初めてかもしれません。

GDP's 3.9% Surge May Be Tough to Match
The U.S. economy weathered the summer credit crunch surprisingly well as strong export performance offset the drag from housing, but it will be hard-pressed to repeat that growth in coming months.
Gross domestic product, the value of goods and services produced in the country, expanded by a seasonally adjusted 3.9% annual rate in the third quarter, the Commerce Department said. That topped most forecasts and bested second-quarter growth of 3.8% and first-quarter growth of 0.6%.

Fed's Rate Cut Could Be Last For a While
The Federal Reserve cut interest rates by a quarter point, but with an eye on surging energy prices and other inflationary threats, it strongly discouraged expectations of further cuts.
The decision, following a half-point cut six weeks ago, shows Fed Chairman Ben Bernanke is grappling with risks on two fronts: Plunging home construction and eroding real-estate values could hit the broader economy, while rising oil and commodity prices, combined with a falling dollar, could spoil the Fed's hopes to contain inflation.

7-9月期の GDP 統計の速報値は季節調整済みの年率換算で前期に比べ3.9%の成長となりました。サブプライム・ローン問題などで住宅投資の不振は続いているんですが、個人消費や輸出が好調で、4-6月期の3.8%成長に続いて2四半期連続で年率4%近い成長を記録しました。マーケット予想は3%を少し上回るあたりとのことだったんですが、これよりもずいぶんと高くなり、改めて米国経済の底堅さを見せ付けた内容となりました。グラフに見られる通り、住宅投資を除けば、他の需要項目は成長が加速している観すらあります。もっとも、Government は国防費の伸びらしいですから、このあたりはご愛嬌です。サブプライム・ローン問題をきっかけにした欧米の金融市場の動揺は収まりつつありますが、今のところ震源地である米国では実体経済に大きな影響は表れていないわけで、逆に見ると、これから減速が本格化する可能性も秘めていると言えます。いすれにせよ、住宅ローン問題は少なくとも来年いっぱいの調整期間を要すると私は考えています。
商務省から発表された成長率は高いんですが、連邦準備制度理事会 (FED) は公開市場委員会 (FOMC) において、政策金利である FF レートと公定歩合をそれぞれ25ベーシス引き下げて、4.5%と5%にすることを決定しました。しかも、この引下げにより、リスク判断を中立に戻しました。FOMC 終了後の声明文では、インフレに向かう上振れリスクと成長鈍化の下振れリスクが概ね均衡、すなわち、roughly balance と表現されています。このリスク判断は、金利引下げの決定が全員一致ではなく、カンザス・シティー連銀ホーニッグ総裁が反対票を投じた 9-1 の多数決だったこととも相まって、FED が利下げ終了を示唆しているのかもしれないと受け止められています。今回の FOMC 声明文のポイントだと私は考えています。過去を振り返ってみても、1987年のブラック・マンデーの株価暴落や1998年のロシア危機に端を発する LTCM の破綻などの金融ショックにおいては、FF レートの75ベーシスの引下げで対応して来た歴史的事実があり、9月18日の50ベーシスの引下げに加えて、今回の25ベーシスで合計75ベーシスとなるわけですから、確かに、打止め観が出てもおかしくはないと考えられます。しかし、足元は4%成長で走っている米国経済ですが、実体経済の成長率が本年末から来年初にかけて潜在成長率水準を割り込む可能性は十分ありますから、FED がインフレ警戒から金利上昇を志向するのはせいぜい来年後半であろうと考えられます。さらに、12月の決算期末を迎えて、金利引下げではないかもしれませんが、何らかの流動性供給に踏み切る可能性は十分残っています。別の方向感で、インフレ圧力が高まるひとつの要因として原油高が上げられますが、昨夜のエントリーで私が楽観している旨を取り上げましたので、重複を避けるために今夜はパスします。
米国経済の今後の先行きを占う大きなポイントはサブプライム・ローン問題と言われていますから、12月の決算期末の金融市場が注目となります。もちろん、金融機関の決算が出る年明けも注目です。金融市場の動向は基本的には株価による資産効果を左右しますから、実体経済にどのような影響を及ぼすか注目されます。しかし、時期的にも影響力の点からしても、今月下旬からのクリスマス・セールの動向が私は大いに気になります。昨年は、ガソリン価格の引下げに時期が重なったものですから、家計の懐に余裕があって、お買い物も進んだようなんですが、今年は逆に原油価格の上昇が進んでおり、この要因だけを考えると、冴えないクリスマス・セールになる可能性も十分あります。もちろん、今週金曜日に発表される雇用統計などから雇用と所得の方向性を見極める必要があります。

今日から11月に入り、中旬には我が国の4-6月期の1次 QE が発表され、12月の2次QEのころからエコノミストの業界では来年度経済見通しの季節になります。日本経済の見通しを考える上で、米国経済の情報は欠かせませんから私も注目したいと考えてます。

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