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2007年11月 1日 (木)

米国経済の動向を占う

今日は、朝のうちは晴れ間も見えましたが、昼前から雲が広がり、午後にはが降りました。陽射しがなくて気温が上がらず、かなり寒かったです。

U.S. Real GDP Growth

Recipe for Growth

米国時間の昨日、米国商務省から GDP 統計が発表されました。上のグラフは最近3年間の四半期別経済成長率の推移と本年7-9月期の成長率への寄与度です。時間的に少し遅れて、米国の連邦準備制度理事会 (FED) が連邦公開市場委員会 (FOMC) において政策金利である FF レートと公定歩合を25ベーシス引き下げることを決めました。これらを受けて、昨日の NY 市場では株価も原油も大幅に上げました。ついでに、今日の東証の日経平均も続伸しました。まず、WSJ.com のサイトから、GDP 統計FED の政策金利引下げの報道について、それぞれ、タイトルと最初の2パラだけを引用すると以下の通りです。どうでもいいことですが、WSJ.com からの引用はこのブログでは初めてかもしれません。

GDP's 3.9% Surge May Be Tough to Match
The U.S. economy weathered the summer credit crunch surprisingly well as strong export performance offset the drag from housing, but it will be hard-pressed to repeat that growth in coming months.
Gross domestic product, the value of goods and services produced in the country, expanded by a seasonally adjusted 3.9% annual rate in the third quarter, the Commerce Department said. That topped most forecasts and bested second-quarter growth of 3.8% and first-quarter growth of 0.6%.

Fed's Rate Cut Could Be Last For a While
The Federal Reserve cut interest rates by a quarter point, but with an eye on surging energy prices and other inflationary threats, it strongly discouraged expectations of further cuts.
The decision, following a half-point cut six weeks ago, shows Fed Chairman Ben Bernanke is grappling with risks on two fronts: Plunging home construction and eroding real-estate values could hit the broader economy, while rising oil and commodity prices, combined with a falling dollar, could spoil the Fed's hopes to contain inflation.

7-9月期の GDP 統計の速報値は季節調整済みの年率換算で前期に比べ3.9%の成長となりました。サブプライム・ローン問題などで住宅投資の不振は続いているんですが、個人消費や輸出が好調で、4-6月期の3.8%成長に続いて2四半期連続で年率4%近い成長を記録しました。マーケット予想は3%を少し上回るあたりとのことだったんですが、これよりもずいぶんと高くなり、改めて米国経済の底堅さを見せ付けた内容となりました。グラフに見られる通り、住宅投資を除けば、他の需要項目は成長が加速している観すらあります。もっとも、Government は国防費の伸びらしいですから、このあたりはご愛嬌です。サブプライム・ローン問題をきっかけにした欧米の金融市場の動揺は収まりつつありますが、今のところ震源地である米国では実体経済に大きな影響は表れていないわけで、逆に見ると、これから減速が本格化する可能性も秘めていると言えます。いすれにせよ、住宅ローン問題は少なくとも来年いっぱいの調整期間を要すると私は考えています。
商務省から発表された成長率は高いんですが、連邦準備制度理事会 (FED) は公開市場委員会 (FOMC) において、政策金利である FF レートと公定歩合をそれぞれ25ベーシス引き下げて、4.5%と5%にすることを決定しました。しかも、この引下げにより、リスク判断を中立に戻しました。FOMC 終了後の声明文では、インフレに向かう上振れリスクと成長鈍化の下振れリスクが概ね均衡、すなわち、roughly balance と表現されています。このリスク判断は、金利引下げの決定が全員一致ではなく、カンザス・シティー連銀ホーニッグ総裁が反対票を投じた 9-1 の多数決だったこととも相まって、FED が利下げ終了を示唆しているのかもしれないと受け止められています。今回の FOMC 声明文のポイントだと私は考えています。過去を振り返ってみても、1987年のブラック・マンデーの株価暴落や1998年のロシア危機に端を発する LTCM の破綻などの金融ショックにおいては、FF レートの75ベーシスの引下げで対応して来た歴史的事実があり、9月18日の50ベーシスの引下げに加えて、今回の25ベーシスで合計75ベーシスとなるわけですから、確かに、打止め観が出てもおかしくはないと考えられます。しかし、足元は4%成長で走っている米国経済ですが、実体経済の成長率が本年末から来年初にかけて潜在成長率水準を割り込む可能性は十分ありますから、FED がインフレ警戒から金利上昇を志向するのはせいぜい来年後半であろうと考えられます。さらに、12月の決算期末を迎えて、金利引下げではないかもしれませんが、何らかの流動性供給に踏み切る可能性は十分残っています。別の方向感で、インフレ圧力が高まるひとつの要因として原油高が上げられますが、昨夜のエントリーで私が楽観している旨を取り上げましたので、重複を避けるために今夜はパスします。
米国経済の今後の先行きを占う大きなポイントはサブプライム・ローン問題と言われていますから、12月の決算期末の金融市場が注目となります。もちろん、金融機関の決算が出る年明けも注目です。金融市場の動向は基本的には株価による資産効果を左右しますから、実体経済にどのような影響を及ぼすか注目されます。しかし、時期的にも影響力の点からしても、今月下旬からのクリスマス・セールの動向が私は大いに気になります。昨年は、ガソリン価格の引下げに時期が重なったものですから、家計の懐に余裕があって、お買い物も進んだようなんですが、今年は逆に原油価格の上昇が進んでおり、この要因だけを考えると、冴えないクリスマス・セールになる可能性も十分あります。もちろん、今週金曜日に発表される雇用統計などから雇用と所得の方向性を見極める必要があります。

今日から11月に入り、中旬には我が国の4-6月期の1次 QE が発表され、12月の2次QEのころからエコノミストの業界では来年度経済見通しの季節になります。日本経済の見通しを考える上で、米国経済の情報は欠かせませんから私も注目したいと考えてます。

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