日本の株価はこのまま下がり続けるのか?
今日も、朝からまずまずいいお天気になりました。気温も昨日よりさらに少し上がって、少なくとも日中については、寒いというほどではありませんでした。

東証の株価が下げ続けています。昨日は少し反発しましたが、今日は米国景気がサブプライム・ローン問題などから下振れするとの懸念から、円買い・ドル売りが広がり為替相場が円高に振れたため、とうとう、後場に入って日経平均でアッサリと15,000円を割り込みました。結局、終り値ベースでは14,837円66銭で引け、昨日から▲373円86銭下げました。上のグラフの通りです。昨日は後場になってかなり回復したんですが、今日は逆のパターンでした。米連邦準備理事会 (FED) が2008年の米国経済成長率見通しを下方修正したことから米国景気の減速懸念が強まったほか、アジア株が全面安の展開となり香港株式市場でハンセン指数が大きく下げたことも悪材料になっているようです。
FED の経済見通しは上の通りです。Wall Street Journal のサイトにあったものです。なお、公表された10月末の FOMC のミニッツの10ページに詳細な表があります。年央の時点では2008年の成長率は2.5-2.75%と見通していたんですが、1.8-2.5%に下方修正したようです。この見通しを見る限り、2007年の予測は年央時点の2.25-2.5%から、今回の2.4-2.5%とほとんど変化がない一方で、来年2008年は今年よりも成長率が低下する形になっています。この違いの原因の大きな部分が夏のパリバ・ショックから始まったサブプライム・ローン問題と金融市場の混乱から波及した住宅投資や個人消費の鈍化でしょうから、これらの影響はラグを伴って、来年により大きな影響を及ぼすと FED は判断しているようです。
日本の経済指標を振り返ると、今朝、財務省から発表された10月の貿易統計速報はそれなりに強い数字でした。輸出額は前年同月比で13.9%増の7兆5155億円、輸入額は8.6%増の6兆4969億円で、輸出額から輸入額を差し引いた輸出超過額である貿易黒字はは66.1%増の1兆186億円でした。もっとも、市場の事前予想にほぼミートし、相場の材料とは見なされなかったようです。基調はここ2-3ヶ月でそんなに変わらず、米国への輸出が▲1.5%と2ヶ月連続で減少し、対米国の貿易黒字でも▲8.5%減となる一方で、それをカバーするような欧州向け輸出23.7%増、アジア向け輸出12.9%増となっています。なお、輸入が増加しているのは日本の景気減速で輸入数量が減少しているのを上回るテンポでエネルギー価格の高騰が進行しているためであると考えられます。ですから、金額ベースでなく、数量ベースで見ると、10月の輸入は▲2.4%減と5ヶ月連続で減少しており、日本経済の減速を見せつける結果となっています。他方、原油価格は現在進行形で上昇しており、昨日、NY 原油は時間外取引で最高値を更新してバレル当たり99ドルを付けたと夕刊で報じられています。10月の貿易統計でも原粗油は20.2%増、液化天然ガスは25.9%増と急増しています。いずれにせよ、エネルギー価格の動向は不透明なんですが、外需は見事にデカップリングされていて、引き続き、欧州とアジア諸国は日本経済を牽引する力が残っているように見受けられます。
為替相場の円高に引っ張られた株式相場は、今のところ、行方が見えません。為替と株と二重の相場ですから、私のような官庁エコノミストの出る幕ではないような気がしないでもありません。しかし、欧州はまだしも、日米経済は着実に減速を示していることから、その先行指標としての株価に注目する意味はなくもないような気がします。
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