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2007年12月18日 (火)

政府経済見通しの来年度2.0%成長は達成可能か?

今日も、朝から冬晴れのいいお天気でした。昨日に続いて今朝も朝の冷え込みは厳しかったんですが、日中は陽射しがあり、12月にしては平均的に気温が上がったような気がします。

予算の財務省原案が明後日の12月20日に内示され、週明けにも政府案が閣議決定される運びとなりました。政府の経済見通しも予算の財務省原案の前提として、内示の直前に決定されます。新聞報道によれば、名目成長率が2.1%で実質成長率が2.0%で調整が進んでいるようです。いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

政府が19日の閣議で了承する2008年度の政府経済見通しの全容が明らかになった。国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前年度比2.0%増、名目で2.1%増。デフレの象徴である、実質が名目を上回る「名実逆転」状態を11年ぶりに解消すると見通している。
経済見通しは、08年度の日本経済は外需主導の07年度から一転、内需主導で成長する姿を描いた。設備投資が増勢を強めるほか個人消費も緩やかに増える。08年度も世界経済が回復を続けることを前提としているが、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した米経済の減速リスクは強い。見通しを達成できるかは不透明。

先日、12月6日付けのエントリーで紹介したように、(財)経済企画協会の取りまとめによる ESP フォーキャストによれば、エコノミストによる来年度成長率の平均は名目成長率が2.11%で実質成長率が1.98%ですから、政府経済見通しはエコノミストの大勢予測とほぼ同じレベルにあると言えます。でも、日経新聞の報道では達成は不透明との表現になっていたりします。スラッと考えると達成は十分可能なような気もしますが、下振れリスクがいっぱいあることも事実です。第1に、引用にある通り、米国をはじめとする世界経済の先行きが不透明です。アジアの新興諸国はまだしも、少なくとも欧米先進諸国については上触れするより下触れするリスクの方が大きいような気がします。第2に、原油をはじめとする一次産品価格の動向です。特に、原油については実需で価格が動くよりも投機的な資金の動向の方がウェイトが高くなっているとも言われており、先行きの価格動向は見通しづらいんですが、横ばいやゆっくりと下降を予想している場合が多いんではないかと思います。この一次産品価格がさらに上昇するようであれば、物価上昇につながり、インフレ警戒感から金利引上げの止むなきに至れば、一気に、世界経済がスタグフレーションに入る可能性もゼロではありません。第3に、日本経済だけの観点ですが、建築基準法改正の影響による建築確認審査の遅れが長期化するリスクです。新しい建築基準法の施行は今年6月からですから、1年がたてば自動的に一巡すると考えられるんですが、引き続き、住宅投資や設備投資の重荷になる可能性は否定できません。ただし、この点は解決が早ければ上振れする要因になる可能性もあります。
日本経済が欧米諸国と比べて相対的に明るく見える、というか、少なくとも来年については米国に比べて潜在成長率近傍の成長率を達成できる可能性が高いのは、米国に端を発するサブプライム問題の影響が小さいからです。本家ともいえる米国については投資銀行も商業銀行もかなりサブプライム問題でダメージを受け、中央銀行が救済に乗り出していますが、クレジット・クランチを生じる恐れすらあります。欧州の場合は広範な金融機関への広がりは見せていませんが、特定の金融機関にサブプライム証券のエクスポージャーが高い可能性を指摘するエコノミストもいます。しかし、日本の場合は、金融技術の発達が遅れていたのが主たる原因で、それはそれで情けない気もするんですが、サブプライム問題のダメージが少なくて済んでいます。逆に、日本の弱点は消費の活性化が遅れていることです。消費のために必要な条件は2つあり、第1に、中小企業でも賃上げが可能になるような生産性の向上を達成することです。第2に、将来不安の解消も重要です。その意味で、世論調査などで年金に重きを置く回答が多いのは理由のないことではないと私は考えています。この2条件がクリアされれば、日本経済はさらに息の長い成長を続けることができるような気がします。

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