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2007年12月14日 (金)

日銀短観はどの国の景気減速を表しているのか?

今日は、朝から冬晴れのいいお天気でした。午後から少し雲が出ましたが、気温も12月にしてはそこそこ上がったような気がします。夕方には風が強くなりました。

日銀短観・業況判断の推移

今朝、日銀から12月調査の短観が発表されました。ヘッドラインの業況判断DIについて、市場では前回の9月調査から▲2-3ポイントの悪化を予想していたんですが、大企業では製造業・非製造業とも▲4ポイントの悪化で、製造業19、非製造業16となりました。3四半期振りの悪化でした。金融市場では予測の範囲の下限くらいと受け止められているように見受けられます。いつもの NIKKEI.NET のサイトから最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

日銀が14日朝発表した12月調査の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス19となり、前回9月調査を4ポイント下回った。悪化は3四半期ぶり。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を巡る混乱で米国経済の減速懸念が強まったことや、原油など原材料価格の高騰が企業収益を圧迫するとの懸念を反映した。

ヘッドラインの業況判断DIについては、引用にある通り、米国経済の減速や原油をはじめとする原材料価格の高騰などにより、かなりの部分の悪化が説明出来ると思います。でも、私が注目したのは設備投資計画で、業況感からしてかなり下方修正されるんではないかと予想していたんですが、本年度の大企業設備投資計画が前年度比10.8%との結果が出ました。土地投資を含み、ソフトウェアを除く全規模全産業の設備投資計画でも1.9%ポイント上方修正され、前年比6.8%となっています。かなり資金が潤沢であるのは知られていますが、企業の設備投資意欲の強さには少し驚きました。もっとも、土地取得がかなりの割合を占めている点は注意が必要です。さらに、規模別産業別で見て、業況判断DIはほぼ軒並み9月調査から悪化しているんですが、中堅企業製造業が変わらずで10のまま、中小企業製造業だけが9月調査より1だけ改善して2になっています。レベルは低いんですが、中堅・中小企業製造業の業況感の悪化に歯止めがかかっている可能性が見て取れます。実は、正午の NHK ニュースで相も変わらず「原油や原材料費の高騰を中小企業は価格転嫁できずに苦しい」といったことを報じていたんですが、統計は少し違う結果を示しているという気がしないでもありません。日銀短観はDIなんですから、ゼロを切る場合は別にして、大企業ではプラス幅が大きくて、中堅・中小企業ではプラス幅が小さいなんて、レベルを見るべきではなく、方向で判断すべきだという常識は通じないようです。もっとも、中小企業製造業と中堅企業非製造業はゼロを切りつつありますから、それはそれで詳細に検討すべきと言えると思います。
さらに、9月調査と12月調査の業種別の業況判断DIを詳しく見ると、素材関連で悪化が目立つんですが、組立加工関連では、造船・重機、自動車、精密機械などで改善していました。これら加工組立関連で業況判断DIが改善した産業分野は、いずれも新興国への輸出が堅調であり、現時点では、米国の景気減速の影響が小さいセクターのようです。なお、中小企業製造業の業況判断DIが改善したのも同様の理由と考えることも出来ます。サブプライム・ローン問題で減速感が大きい欧米に少し偏重した大企業よりも、「地域密着型」とまでは言えないかもしれませんが、中堅・中小企業でも新興国への輸出の比率が高ければ、業況の悪化を回避しているのかもしれません。もっとも、いずれにせよ、製造業をはじめとして外需への依存が高いのは事実です。製造業よりも内需に依存する度合いが高い非製造業は中堅・中小企業でも業況感を悪化させています。国際化が進んでいる度合とともに進んでいる方向により業況感に差が出ている可能性を指摘できると思います。つまり、今回の日銀短観をナナメに解釈すると、表向きは我が国の景気の減速を示しているのは当然なんですが、その背景では米国経済の減速を読み取れるのではないかと私は考えています。

グラフだけを見てものを言うのは危険なんですが、日銀短観もゆっくりと下向きになりつつある印象があります。もっとも、循環のハッキリ読み取れる製造業では景気後退局面に入ると一気に業況判断DIが低下するのがひとつの特徴ですから、そこまでは達していないともいえます。現在の景気局面が2004年後半から2005年前半にかけての踊り場のようなものである可能性が高いと私は考えていますが、米国経済次第ではこのまま一気に景気後退に入る可能性は控えめに言ってもゼロではないと思います。

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