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2008年1月15日 (火)

やっぱりデカップリング論は成り立たないか?

今日は、朝から冬晴れのいいお天気でしたが、一昨日ほどではないものの、特に午前中は風が強くて気温も上がらず寒かったです。

今朝の Financial Times (FT) アジア版の1面トップは "US woes spark Asia slowdown warning" と題して、アジア開発銀行 (ADB) の黒田総裁へのインタビューを基にした記事が掲載されていました。また、日経金融新聞でも今日付けの1面右側の記事でデカップリング論が成り立つかどうか、いろんなエコノミストの論調を紹介していたりしました。ということで、取りあえず、 FT.com のサイトから記事の冒頭の3パラグラフだけを引用すると以下の通りです。

Growth in Asia's developing economies is likely to slacken this year because of the US slowdown and higher fuel prices, the president of the Asian Development Bank said on Monday.
Haruhiko Kuroda told the Financial Times that the ADB's next set of forecasts, due to be published in March, would put regional growth - including China but excluding Japan - at "slightly less than 8 per cent."
This compares with a forecast of 8.2 per cent in September, when the Asian lender raised its forecast for 2008 from 7.7 per cent and predicted that the region would weather any slowdown generated by the credit squeeze because of its reduced reliance on international lending.
The ADB's growing pessimism about the regional economy confirms that it has rejected the theory that emerged last year that Asian economies had "decoupled" from the rest of the world and could continue growing even in the face of a US recession.

最後のパラにありますが、米国の景気後退からデカップリングされてアジアの高成長が続くという説が reject されて、3月に公表予定の ADB によるアジアの経済見通しも8%弱に下方修正されるような記事になっています。私がブログで取り上げた範囲だけでも、昨年9月18日付けのアジア開発銀行 (ADB) の "Asian Development Outlook 2007 Update"、同じく昨年9月25日付けの国際通貨基金 (IMF) の "Global Financial Stability Report"、先月12月7日付けの経済開発協力機構 (OECD) の経済見通し "Economic Outlook No. 82, December 2007"、最後に、先日1月9日付けの世銀の "Global Economic Prospects 2008" などで数え切れないほど、国際機関がデカップリング論に立脚する世界経済見通しを展開して来ましたが、その先陣を切ってアジア開発銀行 (ADB) の黒田総裁がデカップリング論を reject したようです。
Recession risk左のグラフは1月11日付けの Wall Street Journal の A2 面の記事、"Odds of Recession Seen Rising" から取ったものですが、米国でもこの先1年間で景気後退に陥るリスクが42%と弾き出されているようです。グラフを見る限り、記事のタイトルにもある通り、この Recession odds は上昇を続けています。気前のいいエコノミストによれば、このオッズは60%くらいに達していたりします。最近では、米国の投資銀行が米国経済見通しに関して、今年第2-3四半期に米国の成長率は2四半期連続でマイナスを記録し、NBER 的な定義の上からも景気後退に入るとするレポートを出したと聞いたこともあります。もちろん、逆のことを主張するエコノミストもいて、日本と違って米国では金利を下げる余地が大きいことや、過去の1987年10月のブラック・マンデーや1998年9月の LTCM ショックの際にも、単純なクレジット・クランチだけでは景気後退には至らず、さらに、何かが加わらないとリセッション入りはしないとの見方もあります。しかし、米国が景気後退に入る可能性も無視し得ないのは事実で、欧州経済は取りあえず別としても、日銀の福井総裁が「アジア経済はへその緒が米国とつながっている」と表現したこともありますし、米国の景気後退からのタイムラグがそんなに長くなく、アジア経済がデカップリング出来ないとなると、当然ながら、外需に依存する度合の高い日本経済は金利の引下げ余地も少ないことですし、内需への景気エンジンの転換が進まないなら景気後退に突入するリスクは高まります。

景気ウォッチャー調査の推移

昨年来、このブログでも日本経済の景気転換について注視して来ましたが、日本のエコノミストの中にも先週1月10日付けのエントリーで紹介したように、すでに、実体上は景気後退が始まっているとする意見もあります。特に、ソフトデータの方ではマインドの悪化が顕著に現れており、上のグラフに見る通り、内閣府が先週発表した「景気ウォッチャー調査」では DI が40を切る水準まで低下して来ています。米国だけでなく、日本でも景気後退に入る確率は無視し得ない水準まで上昇して来ているように感じているエコノミストも少なくないと思います。2年2ヶ月振りに終り値で14,000円を割り込んだ東証平均株価は日本の景気後退を織り込み始めたのかもしれません。

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