雇用統計から米国の金融政策を考える
今日は、朝から少し晴れ間が見えた後、昼前から雲が広がりました。夕方にはにわか雨も降りましたが、すぐに止みました。陽射しはなかったんですが、気温はそこそこ上がったような気がします。先週の金曜日4日から正月明けだったんでしょうが、新年の挨拶回りなどもありましたから、今日から本格稼働のサラリーマン諸氏も多かったんではないでしょうか。私は今年もがんばってお国のためにお仕事します。
先週末に発表された12月の米国の雇用統計で単月統計ながら実体経済の大幅な減速が確認されました。非農業部門の雇用者数の増加は1.8万人に止まり、失業率は5.0%にハネ上がりました。いつもの通り、 NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
米労働省が4日発表した昨年12月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は前月に比べて1万8000人増えた。増加幅は雇用回復の目安といわれる10万-15万人を大幅に下回り、2003年9月以降の雇用拡大局面では最も低い伸びとなった。失業率(軍人を除く)は5.0%。前月より0.3%上昇し、2年1カ月ぶりの高水準を記録した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端とする金融不安が響き、雇用の減速も鮮明になってきた。
昨年12月の雇用者数は52カ月連続で増加したが、増加幅は市場平均予測の7万人を大きく割り込んだ。昨年10月の増加幅は17万人から15万9000人に下方修正、昨年11月の増加幅は9万4000人から11万5000人に上方修正された。
まず、引用にもある通り、10月15.9万人増、11月11.5万人増を受けての12月1.8万人増となり、四半期でならしてみると月平均で9.7万人増を少し上回る水準ですから、12月の雇用統計だけを見て大騒ぎすることは差し控えたい気がします。特に、8月の雇用者が▲0.4万人減と発表された後で、翌月には9.3万人増と修正されていますからなおさらです。しかし、官民で分類すると、政府サービスが12月は3.1万人増となっていますから、民間部門では純減に転じているわけで、公共部門が雇用を下支えしている構図は好ましくないと見る向きもあるかもしれません。
さらに、セクター別にいくつか注目すべき業種については以下の通りです。まず、住宅バブル崩壊の影響をモロに受けている建設業では、10月▲2.0万人減、11月▲3.7万人減に続いて、12月も▲4.9万人減と下げ幅を拡大しています。ある意味で当然かもしれません。住宅を震源にしたサブプライム・ローン問題で収益を大幅に悪化させている金融業も10月▲0.2万人減、11月▲1.6万人減、12月▲0.4万人減となっています。クリスマス商戦がまずまず好調だったと伝えられている小売業も10月▲2.0万人減、11月3.2万人増の後、12月は▲2.4万人減とクリスマス商戦の前倒しと11月増の反動により12月は減少しています。
米国の金融政策当局である連邦準備制度理事会 (FED) はこの雇用統計をマクロ経済指標の中でかなり重視していると言われていますが、今回の統計発表を受けて、次回の連邦公開市場委員会 (FOMC) で利下げに踏み切る可能性が非情に高くなったといえます。Wall Street Journal なんかでも、1月4日付けで "Weak Jobs Data May Spur Rate Cut" と報道されたりしています。注目は引下げ幅なんですが、私の同業者からのニューズレターによれば、FF レートの先物で見た市場の織込みは大雑把に1月3日の時点では25ベーシスが 2/3 で50ベーシスが 1/3 だったんですが、雇用統計発表直後の1月4日の時点ではこの比率が逆転したらしいです。
先月12月12日付けのエントリーで主張した通り、FED は金利引下げに打止め感を出すことなく、金融緩和を継続する方向性を重視しているんだと、12月の FOMC での25ベーシスの利下げについて私は理解しているんですが、今月29-30日の FOMC もやっぱり利下げを続けることは間違いないと予想しています。年央までに3%台半ば、ひょっとしたら、それ以上の低水準に米国の政策金利である FF レートは引き下げられるとの私の予想通りにコトが動いているような気がしないでもありません。
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