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2008年2月20日 (水)

カストロ議長の引退報道

今日も、朝からいいお天気で、最高気温も久し振りに10度を上回ったようです。2月も下旬に入り、春の訪れを感じました。

Fidel Castro and Che Guevara - 1959

キューバの元首である国家評議会カストロ議長が引退を表明しました。上の写真は、日本でも馴染みの深いキューバ革命の英雄カストロとゲバラのツーショットで "New York Times" に1959年に掲載されたものです。今回の引退について、報道によれば、カストロ議長は声明で、「議長と軍最高司令官の地位を自ら望むことはないし、(要請されても)受け入れることもない。繰り返す。望みもしないし、受け入れもしない」と述べたとされています。まず、"New York Times" のサイトから最初の3パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

MEXICO CITY - Fidel Castro stepped down Tuesday morning as the president of Cuba after a long illness, ending one of the longest tenures as an all-powerful, communist head of state in the world, according to Granma, the official publication of the Cuban Communist Party.
In late July 2006, Mr. Castro, who is 81, handed over power temporarily to his brother, Raúl Castro, 76, and a few younger cabinet ministers, after an acute infection in his colon forced him to undergo emergency surgery. Despite numerous surgeries, he has never fully recovered but has remained active in running government affairs from behind the scenes.
Now, just days before the national assembly is to meet to select a new head of state, Mr. Castro resigned permanently in a letter to the nation and signaled his willingness to let a younger generation assume power. He said his failing health made it impossible to return as president.

なお、英文ですが、"Dear compatriots:" との書出しで始まるカストロ議長の "Full Text of Fidel Castro's Resignation Letter" が "Washington Post" のサイトにあります。でも、これを見るためには subscribe することが必要です。まず、ややナナメに見る私の感性で、上の引用にもある通り、"New York Times" はメキシコ・シティ特派員からの報道です。日本の新聞では、朝日新聞のサイトには明示されていませんでしたが、日経新聞と読売新聞がサンパウロ特派員、毎日新聞が "NewYork Times" と同じメキシコ・シティ特派員、産経新聞は何とニューヨーク特派員でした。私が在チリ大使館に勤務していたころは、日経新聞の南米担当はリオデジャネイロ特派員で、年に1回か2回くらいサンティアゴにも取材出張があり、大使館では私が対応していたように覚えています。私のサンティアゴ在任最後の方で日経新聞もリオデジャネイロからサンパウロに特派員事務所を移転し、大使宛てか私宛てか忘れましたが、ごていねいに移転記念パーティーの招待状が届いたようなことを記憶しています。もっとも、10年以上も前のことですから記憶はとっても不確かです。
カストロ議長引退後のキューバ内政についても、外交上のインパクトについても、私は専門外なのでよく分かりませんが、カストロ議長について覚えているのは、私の知る限り最高の演説者の一人だったことです。雄弁で滔々と演説できることがラテン世界の美徳のひとつと考えられているんですが、カストロ議長はその最高峰の一人とも言えます。私はスペイン語の勉強と称してサンティアゴの大使館でビデオを見ただけなんですが、そんなにスペイン語の理解が深くない私でさえ感動を覚えましたし、日本人的には大げさと感じかねない身振りと手振りも、例えば、カストロ議長がアチコチを指差して「あなただ!」と叫んだ時には私自身が指差されているようにすら感じました。私の直感なんですが、感情的なキューバ人の中には演説を聞いただけで涙を流してカストロ議長に忠誠を誓う人も少なくなかったんだろうことが容易に想像されます。
私が在チリ大使館に勤務していた1990年代初頭は、さすがに、1970年代の中南米債務危機も終了し、その昔のブラジルはコーヒー、キューバは砂糖のモノカルチャーから脱して、キューバでは文豪ヘミングウェイも愛した風光明媚な観光資源を活かして、外貨獲得のために観光に力を入れていたころでした。だからと言うわけでもないんでしょうが、私の知り合いだったチリのエコノミストも何人か新婚旅行でキューバに行った人もいたりしました。

今夜は帰りが遅くなり、取りとめのないブログになってしまいましたが、2006年12月11日のエントリーで取り上げたチリのピノチェット将軍の死去や最近1月27日のエントリーで取り上げたインドネシアのスハルト元大統領の死去などとともに、ひとつの時代が幕を下ろしたことを実感させられました。一応、チリのころのお話だったりしますので、海外生活の思い出の日記に分類しておきます。

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