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2008年2月29日 (金)

日米経済は景気後退局面に入るのか?

今日も、朝からいいお天気でした。昨日よりも気温が上がり暖かくなって来ました。昨日から花粉も多くなり、ヘンなところから春の訪れを感じました。

鉱工業生産

消費者物価

失業率と有効求人倍率

昨日から今日にかけて、いくつか重要な経済指標が発表されました。昨日の鉱工業生産統計、今日の消費者物価統計と雇用統計です。上のグラフは鉱工業生産と失業率・有効求人倍率と消費者物価です。いろいろなところからグラフを取って来ています。まず、いつもの通り、NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の鉱工業生産2.0%減、電子部品が不振
経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数(速報、2000年=100、季節調整値)は前月を2.0%下回る109.8で、2カ月ぶりの低下となった。2%台のマイナス幅は昨年1月以来。主要金融機関や調査会社の事前予測の平均マイナス0.6%(日経QUICKニュース社調べ)を大きく下回った。IT機器の部品となる半導体など電子部品・デバイスの不振が響いた。
大企業の今後の生産見通しを示す製造工業生産予測によると2月は2.9%の低下、3月は逆に2.8%の上昇となる見通し。1-3月期は1年ぶりに前四半期比マイナスとなる公算が大きくなった。経産省は「米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を懸念する声は少なく、生産に大きな変調もない」と指摘。「横ばい傾向」との基調判断を据え置いた。
生産指数を業種別にみると、メモリーカードやデジタル家電用の半導体関連が国内外向けとも振るわなかった影響で、電子部品・デバイスが3.5%低下した。
1月の消費者物価0.8%上昇・エネルギーや食品が押し上げ
総務省が29日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の激しい生鮮食品を除くベースで100.5となり、前年同月と比べ0.8%上昇した。4カ月連続のプラスで、ガソリンや食品の値上がりが物価を押し上げている。景気の先行きに不透明感が増す中、物価の上昇基調が続けば消費に悪い影響を与える可能性がある。
大田弘子経済財政担当相は同日の閣議後の記者会見で「エネルギーと食料による物価上昇の状況は先月と変わらず、デフレ脱却に向けて足踏みが続いている」と指摘。「物価上昇は消費者心理の悪化や中小企業の収益圧迫を招く。消費はこれまでの数値は堅調だが、決して強くはない」と警戒感を示した。
1月の失業率と求人倍率、前月比横ばい
総務省が29日発表した1月の完全失業率(季節調整値)は3.8%と前月比横ばいだった。厚生労働省が同日発表した1月の有効求人倍率(同)も前月と同じ0.98倍。厚労省は雇用情勢について「このところ改善の動きが弱まっている」との表現を5カ月連続で据え置いた。
今回の発表では季節調整の再計算で過去の数字を一部修正した。

まず、鉱工業生産は前月比▲2.0%と市場の予想を下回り、先行きの予測指数も2月▲2.9%、3月+2.8%となっています。今まで、生産統計は余り注意を払っていなかったんですが、景気転換を考える上では生産統計の占めるウェイトは高いので重要な指標といえます。一方で、在庫率が▲4.0%と大きく低下した点を明るい動きとして捉える向きもありますが、3月生産の予測は下方修正される可能性も十分にありますし、1-3月期で前期比▲2.0%くらいを記録すれば、4月以降にかなり大幅なリバウンドがない限り、昨年10-12月期を景気循環的な観点からのピークとなる可能性が高まった気がします。でも、他方で、生産がタラタラと10-12ヶ月くらいマイナスを記録しないと景気転換を認定しづらい可能性もあります。実に微妙な点に差しかかった気がしないでもありません。
消費者物価は前年同月比で0.8%の上昇となりました。原油や食料品の値上がりによるコストプッシュであることは明らかです。実質ベースの消費に対するマイナス要因と考えられますが、この程度の1%にも満たない水準であれば、私はそんなに否定的に捉える必要はないと考えています。東京都区部の2月中旬は0.4%ですから、先行き、消費者物価が大きく上昇する可能性は小さいと言えます。また、欧米流のコアコアでは前年比▲0.1%とマイナスを続けている点も見逃せません。
雇用は引用にもある通り、失業率・有効求人倍率ともに前月比横ばいとなり、大きな変化は見られません。季節調整されていないので何とも言えないんですが、新規求人は2ヶ月連続で増加し、増加基調にあると言えるのかもしれません。上のグラフにある通り、完全失業者数は着実に減少しているんですが、有効求人倍率が景気動向指数に一致系列として採用されているのに対して、失業率は遅行系列ですから動きは遅れます。また、総務省の発表によると、パートやアルバイトなどで働く15-34歳のフリーターの2007年平均の人数は、前年より6万人少ない181万人で、4年連続で減少した一方で、同じ年齢層における仕事や通学、家事をしていないニートは前年と同じ62万人でした。私はフリーターとニートは分けて考えるべきだと思うんですが、少なくとも、景気拡大の長期化でフリーターが減少傾向にあることは評価すべきだという気がします。

今日のランチで知り合いのエコノミストとお話していたんですが、結局のところ、日米経済は景気後退局面に入るのかどうか、については、他のエコノミストとの意見交換の感触から、私は大雑把に半々と答えておきました。でも、直感的には、日本は半々よりも少し低い確率で、米国は半々よりも少し高い確率だという気がしないでもありません。金融面でのダメージの差があることに加え、指標面では、日本の1次QEの設備投資の強さとマイナスに突っ込んだ米国の雇用統計を見ていると、このような結論にならざるを得ないと考えています。ですから、来週、米国の雇用統計が出て過去の統計が改定されたり、同じく来週、2次QEの基礎となる日本の法人企業統計が出たりすると、私も意見を変えることになるかもしれません。それにしても、日銀総裁はいつになったら決まるんだろうか、ということでランチを終えました。

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