欧州経済はデカップリング論の最後の望みの綱か?
今日も、朝からいいお天気で、朝のうちは寒かったんですが、昼前から気温も徐々に上がったように感じます。
昨年末から、世界経済のデカップリング論がほぼ破綻を来たして、新興国では世界経済をデカップリングすることは出来ないとの認識が高まっていますが、同時に、日米経済が大幅な減速、もしくは、すでに景気後退に入っている可能性がある中で、そんなに馴染みがないながらも、私は欧州経済に注目していました。でも、やや欧州経済もピンチのように見受けられます。
例えば、上の2枚のマンガは欧州の経済誌である "The Economist" から取っているんですが、上の方が今年の1月5日号、下のが最新の2月16日号です。上の方のマンガが英米の土砂降りに対して、ユーロ圏は小雨程度だったのが、1ヵ月半後の最新号のマンガでは、すっかりくたびれ果てた米国の前をニヤニヤしながら通り過ぎる欧州の足元にもマンホールが口を開けている、という構図になっていたりします。経済見通しから考えると、このブログの1月30日のエントリーで取り上げたように、国際通貨基金 (IMF) の世界経済見通しの改訂版では、ユーロ圏の2008年成長率を1.6%と見ており、1.5%の日米とほぼ同じ水準まで引き下げています。引下げ幅は日米よりも欧州の方が大きかったりします。
私が従来からデカップリング論に疑問を呈していたのは、唯一、ラグが長い可能性を除けば、新興国輸出の最終需要地が米国であるためであり、その意味から、もしも、世界経済を本格的にデカップリングすることが可能な経済圏があるとすれば、新興国ではなく欧州しかないだろうと考えていました。デカップリング論の最後の望みの綱と言えます。もっとも、デカップリング論もすでに死語になったのかもしれません。それはともかく、欧州経済に注目していたんですが、最近の経済指標を見る限り、やや減速を示して来ているように思います。総合的な指標としては、下のグラフに見られる OECD の景気先行指数なんかが典型なんだろうと思います。最新のデータは2月8日の発表ですが、一応、OECD では米国の Downturn や日本の Slowdown よりも少し評価を緩くして、ユーロ圏の場合は Moderate Slowdown と表現していたりします。
日米経済がほぼ時を同じくして景気後退のリスクを高め、新興国に世界経済をデカップリングするほどのパワーがないとすれば、繰返しになりますが、欧州経済が最後の頼みの綱なのかもしれませんが、この綱は決して太くないような気もしないでもありません。
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