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2008年2月22日 (金)

下方修正の続く経済見通しはエコノミストが間違っていたからなのか?

今日も、朝からいいお天気で、気温も引き続き上がったような気がします。今日はランチの後に日本経済研究センターの講演会に行きましたが、コートはまったく必要ありませんでした。東京では明日まで暖かな日が続くとの天気予報です。

A Swirling Crystal Ball

経済見通しの下方修正が続いています。米国の連邦準備制度理事会 (FED) が上の表のように、10月時点での成長率見通し1.8-2.5%から1月には1.3-2.0%へと約0.5%ポイントの下方修正をしました。 FED の水晶玉は渦巻いているようです。米国に続いてでもないんでしょうが、欧州委員会でも2008年は1.8%の見通しと発表しました。11月時点では2.2%と予想していたものを0.4%ポイント下方修正したことになりますし、2007年の成長率2.7%からは大きな景気減速です。これらの傾向について、経済協力開発機構 (OECD) のグリア事務総長が以下のように述べたとロイター通信のサイトに報道されています。

経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は20日、世界経済の成長率はOECDや多くの予測機関が2-3カ月前に見込んでいたよりも低水準になりそうだ、との見方を示した。
OECDの移民リポートに関する記者会見で述べた。
同事務総長は、世界の中央銀行は2-3カ月前に成長へのリスクよりもインフレを懸念していたのに対し、現在は成長とインフレ懸念のバランスを取ろうとしていると指摘、「成長とインフレについての金融当局の関心はバランスが取れているようだ」と述べた。
OECDが昨年12月に発表した見通しでは、2008年の成長率を米国は2.0%、日本は1.6%、ユーロ圏は1.9%と予測していた。

すでに、1月30日付けのこのブログのエントリーで取り上げたように、国際通貨基金 (IMF) では▲0.5-1.0%くらい下方修正した経済見通しを発表し、日米欧とも今年2008年の成長率は1%台半ばで予想しています。カレンダー通りの歴年と財政年度とで微妙な違いはありますが、例えば、2008年度の政府経済見通しは2.0%程度とされている一方で、今日、私も講演会に行きましたが、今日の日経新聞朝刊の経済教室に掲載されていた日本経済研究センターの予測では1.6%成長となっていたりします。時期の違いで下方修正されたのか、基本的な見方の違いなのか、いずれにせよ、少し差があるように感じないでもありません。いずれにせよ、昨年末から今年の年初にかけて、あるいは、現時点まで、日米欧の景況感が急速に悪化したのは事実だろうと思います。どうでもいいんですが、もらったり、図書館で借りたりして、私は少し前に出版された本を読んでいて、例えば、野村證券金融経済研究所「日本経済活力維持の条件」(東洋経済新報社)とか、三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2008年日本はこうなる」(東洋経済新報社)とか、みずほ総研「日本経済の明日を読む 2008」(東洋経済新報社)なんかを読んでいると、エコノミストがラクをしていたころを思い出してしまいます。
話を本題に戻して、2月11日付けのエントリーで紹介したように、経済学の専門教育を受けて来なかった一般の方に悲観バイアスがあるとすれば、逆の見方をして、エコノミストに楽観バイアスがある可能性は否定しませんが、ここ1年ほどの経済見通しで、エコノミストが間違い続けてきたのかというと、それはちょっと酷な気がしないでもありません。一応、経済学は陰気かもしれないし、不正確であることは明らかなんですが、科学ですから、例えば、昨年9月13日付けのエントリーで取り上げたように、トムソン・サイエンティフィックでは科学部門のノーベル賞として物理学賞や化学賞や医学・生理学賞と並んで経済学賞の有力候補者を予想していたりしますし、科学ですから、因果関係を明らかにし、原因が違えば結果も異なります。やや強引に関数形で表せば y=f(x) ということになります。右辺の x に従って 左辺の y も違ってくるのは当然です。
先日、職場の同僚と笑い話をしていたんですが、ある講演会に行ったら講師について「1ドル100円を予測したエコノミスト」との紹介があったそうです。固有名詞は出しませんが、中部圏の昔の都市銀行系のシンクタンクのエコノミストです。今はどこかの大学の学長さんをしているらしいです。分かる人は分かると思います。しかし、私が記憶している限り、そのエコノミストが「1ドル100円」を言い出したのはプラザ合意後の1986年くらいで、実際に「1ドル100円」が実現したのは1990年代半ば近くですから、この方の予測が当たったという言い方は受入れられても、その他のエコノミストが全部外したかと言うと、これはやや抵抗があります。後付けかもしれませんが、私の目から見て、予測の実現に10年近くかかったわけですし、このエコノミストが「1ドル100円」と言い続けて来たのであれば、関数の右辺の x に何を代入しても、左辺の y が「1ドル100円」だったわけですから、科学的な見通しなのかどうかは少し怪しい気がしないでもありませんし、ましてや、右辺の x に従って、「1ドル100円」以外のいろんな y を算出して来た他のエコノミストが外したと言うのは酷な気がしないでもありません。それと同じことで、昨年年央まで、より正確には8月初のパリバ・ショックまでゴルディ・ロックス経済について語って来たエコノミストが愚かかと言うと、ちょっと違うと思います。

いずれにせよ、景気が減速したり、ましてや、景気後退局面に入る時期にはエコノミストの経済見通しがジリジリと下振れするのは自然なことのように思います。右辺のすべての x に対して、常に、左辺の y が「景気後退」であるなら、科学を超えて宗教の域に入っているような気がしないでもありません。

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