米国雇用統計は景気後退を示しているか?
今日は、久し振りに朝から雨が降りました。でも、午前中のうちに雨は上がり、一時、晴れ間も見えました。気温も昨日より下がり、冷たい雨でした。その代り、花粉が飛ぶ量はグッと減った気がします。
先週の金曜日に米国の雇用統計が発表されました。1月に続いて2月も前月比で▲63千人の減少を記録し、大方のエコノミストは米国経済がリセッションにすでに入っている、ひとつの重要な根拠と捉えています。まず、昨夜のうちに、ウェブ魚拓に保存しておいた "Wall Street Journal" の記事を最初の2パラだけ引用すると以下の通りです。
U.S. employers shed 63,000 jobs last month, the most in five years, reinforcing a widening view that the U.S. is falling into recession. Among economists and politicians, the debate is shifting to how deep the downturn will be and how to ease it.
The jobs dropoff came after the nation lost 22,000 jobs in January, the Labor Department said. In the past, such back-to-back monthly employment declines have occurred only around recessions.
私の知り合いの楽観的なエコノミストも財政金融政策の発動により米国経済の腰折れなしと言っていたのが、この雇用統計を見てすでに米国経済は景気後退に入ったとの見方に修正しました。さらに、同じく私から見たら、かなり強気派のストラテジストであるヤルデニ氏も "Godot has arrived." と表現したそうです。"The New York Times" のサイトで見かけました。もちろん、サミュエル・ベケットによる戯曲 "En attendant Godot" これはフランス語ですので、あるいは英語では、"Waiting for Godot" はたまた日本語では『ゴドーを待ちながら』のゴドーです。ご存じの通り、ベケットの戯曲では最後までゴドーは現れないんですが、米国ではとうとう6年振りに景気後退が来てしまったようです。上の引用にもある通り、景気後退かどうかが話題になる段階をすでに通り越して、エコノミスト間では景気後退の深さや長さについて、あるいは、政治家の間では、いかにして景気後退の影響を緩和するかに議論の中心が移っているようです。私も少し前まで表明していた通り、米国の景気後退の確率は 1/2 を超えると考えていたんですが、4インチほど確率が高まったように思います。
この雇用統計を受けて、来週の公開市場委員会 (FOMC) では、少なくとも50ベーシス、おそらく、75ベーシスの FF 金利の引下げが決まるとの見方が強まっています。来週の FOMC で75ベーシス引き下げられると、4月下旬の FOMC ではさらに75ベーシス、その次の6月の FOMC でも50ベーシスの引下げがあり、FF 金利は1%近くまで下がると見通すエコノミストも少なくないような気がします。ひょっとしたら、この夏の共和党と民主党の米国大統領予備選はリセッションの真っ只中で開催される可能性もあります。
いずれにせよ、今日のエントリーのタイトルである「米国雇用統計は景気後退を示しているか?」に対する回答は、"Definitely, it does." で間違いありません。しかし、他方で、今日発表された日本の統計を見ると、機械受注統計とマネーサプライの銀行貸出でやや強い数字が出ましたので、米国経済がすでに景気後退に入っているとしても、日本経済も急速に景気転換局面を迎えるという確信は持てません。でも、我が国も外需に依存する景気拡大を続けているわkですから、米国の景気後退の深さと長さによっては、米国の道連れになる可能性は十分にあり得ると私は考えています。
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