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2008年3月25日 (火)

公示地価に見る地域間格差

今日は、朝からいいお天気で気温も上がり、暖かな春の日和でした。先週から今週や来週あたりにかけては春らしく、お天気の日と雨の日が周期的にやって来るようです。

公示地価の前年比変動率

昨夕、今年1月1日付けの公示地価が国土交通省から発表されました。今朝の新聞各紙の朝刊にも記事が出ていたと思います。概要は上の表の通りです。上の表を取った YOMIURI ONLINE のサイトから記事の最初の3パラを引用すると以下の通りです。

国土交通省は24日、2008年1月1日時点の公示地価を公表した。全国平均は「住宅地」、「商業地」、工業地などを含む「全用途」でいずれも2年連続で上昇した。
上昇幅も拡大し、資産デフレの収束も見えてきた。ただ、昨年後半から大都市圏の中心部で上昇率が鈍った地点が多かった。これは、昨年夏に表面化した米低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き問題の影響で、欧米の金融機関などが日本の不動産投資から手を引く動きが広がったためだ。
全国の調査地点のうち、上昇した地点は、住宅地で48.4%、商業地で49.9%とほぼ半数だった。中でも東京、大阪、名古屋の3大都市圏の商業地は3年連続の上昇で、上昇率は18年ぶりに10%を超えた。地方圏は住宅、商業地とも1%台の下落となった。

08年公示地価(住宅地)の変化右の地図は朝日新聞のサイトから取ったんですが、住宅地だけを取り出して、今年1月1日現在での公示地価の昨年比で上昇、下落幅縮小・横ばい、下落幅拡大に区分して色づけしてあります。一目瞭然で分かりやすいと思います。大雑把に首都圏から京阪神圏まで東海道線の通っている都府県が上昇していて、言葉は悪いですが、西日本のやや周辺部が下落幅を拡大しているのが明らかです。西の住宅地から目を北の商業地に転じると、商業地の上昇率1位は仙台駅前の40.1%だそうです。いわゆる3大都市圏ではなく、上位10地点の半数を仙台や福岡などのの駅前や繁華街が占め、昨年の大都市中心部の上昇の勢いが地方都市に及んでいます。大都市圏でも上昇地点が都心のど真ん中から郊外にも広がりを見せ始め、大阪圏を除き上昇率が拡大しています。ただし、東京都心8区の住宅地など、大都市圏の都心では上昇の勢いが鈍っているようです。大阪、名古屋圏も減速した地点が多く見られました。地方圏は4年連続で下落幅が縮小したものの、住宅地、商業地ともに下落はバブル崩壊後16年連続となり、地域差が広がっているように見られます。なお工業地は全国平均で0.5%上がり、1991年のバブル崩壊以来17年振りに上昇に転じています。国土交通省は「地価の急速な上昇に需要がついて来られなくなった」と分析しており、首都圏のマンション契約率は高値のためもあって、昨年8月から好調の目安とされる70%を切った水準で推移しています。また、地価回復を支えてきた外資などの不動産ファンドはサブプライム問題をきっかけにリスク許容度を低下させて、我が国の土地に対する投資姿勢を慎重にしている面もあります。最後に、地価の最高額は商業地で2年連続トップの東京都中央区銀座4丁目の山野楽器銀座本店だそうです。1平方メートル3900万円となり、バブル絶頂期の1991年当時の銀座と新宿の過去最高額である3850万円をついに塗り替えたようです。
以上が大雑把な報じられている事実関係です。私のこのブログでは、今までも地価と地域間格差について何度か取り上げて来ましたし、今夜のエントリーのタイトルも「公示地価に見る地域間格差」としてみたんですが、今回の公示地価は非常に微妙な結果だという気がします。都心一等地のミニバブルがはじけた、という意見もあります。典型例は読売新聞の今日の社説です。「米国のサブプライムローン問題が発端となった世界的な不動産価格の下落の波が、日本にも及んできたのだろうか。日本の大都市の一部で起きていた前年比40%-30%上昇という地価のミニバブルに、反転の兆しが見え始めた。17、18年前のバブル崩壊で起きた地価の長期下落再来を懸念する声もある。今後の地価動向を注視する必要があろう。」との書出しで始めています。格差の観点から論評すれば、都心一等地の地価上昇率が鈍化し、郊外にも及んで来たのは確かなんですが、それが、都心でないまでも都市部に止まっていて、地方圏まで及んでおらず、周辺部ではまだ地価下落幅を拡大している状態である、ということになろうかと思います。つまり、都市部の内部での格差は縮小傾向にあるものの、都市圏と地方圏の格差は決して縮小していません。もっといえば、私のこのブログのエントリーの中で、もっともリファーされたのが2006年2月2日付けの「デフレが終わってバブルが生じている?」なんではないかと思うんですが、これを書いた2年以上も前と今の状況は控えめにいっても大きく変わっているとはいえません。要するに、デフレが続いているわけです。この意味からも、繰返しになりますが、デフレ脱却に失敗した福井総裁と武藤副総裁の日銀執行部はまったく評価できませんし、5年間の在任期間に合格点を与えられようハズもありません。

今夜のエントリーの最後に強調しておきたいのは、地価は単純に景気の減速を反映しているということです。格差ではなく、これをメインに据えようかと思ったほどです。金融市場の撹乱的なマネーの動きが確かにありますし、限界的に大きな影響を及ぼすこともあり得ます。しかし、米国経済が景気後退に入ると素直に商品市況は下落しますし、円高も進みます。先日2月11日付けのエントリーでジョージ・メイソン大学カプラン准教授の "The Myth of the Rational Voter" を取り上げた際に、anti-market bias に言及しましたが、「アラブの王様とロックフェラー家が原油価格を決めている」というほど荒唐無稽ではないにしても、東京の主婦の円キャリー取引や外資の不動産ファンドの都心一等地への投資など、必ずしもファンダメンタルズに基づかない投機的な資金の動きがマーケットを規定する要因になる場合は少ないと私は考えていますし、控えめにいっても、過大評価するべきではないと思います。

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