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2008年3月28日 (金)

本日発表された経済指標について

今日も、少し雲は多かったものの、朝からまずまずいいお天気でした。気温もそこそこ上がって、日中は暖かな春の陽気でした。でも、夕方ににわかに雲が広がって風も強くなり、パラパラと雨が落ちて来ました。夜には本格的な雨になりました。なお、桜は満開を迎えたような気がします。

今日はいくつか2月の経済指標が発表されました。総務省統計局から家計調査、消費者物価と失業率が発表され、厚生労働省から有効求人倍率をはじめとする一般職業紹介状況が発表されました。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

家計調査
総務省が28日発表した2月の2人以上の世帯の家計調査によると、一世帯あたりの消費支出は27万5827円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.0%増と3カ月連続のプラス。ただ低温の影響で春物衣料が不振だったことや、中国産ギョーザの中毒事件に伴う関連食品の売り上げ減もあり、1月に比べ伸び率は低下した。
総務省は「12月からの推移をみれば、消費はおおむね横ばいと評価するのがふさわしい」とみている。1月は増加率が3.6%増と高く「消費は堅調」との判断を示していたが、2月の結果をもとに総括的な見解をやや引き下げた形だ。
2月は寒い日が続いたため、エアコンや灯油の購入費用、電気代などが支出を押し上げた。薄型テレビやパソコンなどの耐久消費財も堅調。一方で被服・履物は春物の不振でマイナス、自動車の売れ行きも悪かった。1月末に発覚したギョーザ中毒事件も消費に波及。ギョーザは40.7%減、冷凍調理食品も30.0%減と、大きく落ち込んだ。
消費者物価
総務省が28日発表した2月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合が100.4と、前年同月比1.0%上昇した。上昇は5カ月連続。項目別で価格の上昇幅が大きかったのは光熱・水道(4.0%上昇)だった。生鮮食品を含む総合では100.5と、1.0%上昇した。
生鮮食品を除く総合は、日経QUICKニュース社がまとめた市場予測平均値(0.9%上昇)を上回った。
同時に発表した3月の東京都区部の消費者物価指数(中旬の速報値、2005年=100)は生鮮食品を除く総合で100.3と、前年同月比0.6%上昇した。
失業率
総務省が28日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は3.9%となり、前月に比べ0.1ポイント上昇した。完全失業者数は前年同月比4万人減少の266万人となり、27カ月連続で減少した。また就業者数は6292万人となり、前年同月より10万人減少、4カ月ぶりの減少となった。
完全失業率を男女別にみると、男性が前月比0.1ポイント上昇の4.0%、女性が0.1ポイント上昇の3.8%だった。また完全失業者のうち、勤務先の人員整理や倒産などで失業した「勤め先都合」は61万人、「自己都合」は103万人だった。

家計調査

家計調査結果は実質で見て前年同月比でプラス・ゼロ、季節調整済みの前月比で▲2.9%減だったんですから、うるう年効果を考え合わせると、一見、振るわないように見えます。すなわち、総務省統計局はうるう年の調整をしておらず、昨年の例から見て前年同月比で2.3%ポイント程度の上振れが生じている可能性があることを公表しています。これを考慮すると、2月の実質家計消費はかなりのマイナスだった可能性があります。しかし、少し見づらいんですが、上のグラフでも見られる通り、詳しく見ると、減少しているのは住居費で、逆に、破線のグラフの住居費を除く家計消費は1月の3.1%増に続いて、2月も2.4%増となっています。技術的なことをいえば、GDP の個人消費には住居費は含まれませんから、この住居費を除くベースの家計消費が景気を計る目安となる可能性が十分にあると言えます。

消費者物価

消費者物価は生鮮食品を除くコア CPI が前年同月比で1.0%の上昇になりました。上の引用にもある通り、5ヶ月連続のプラスなんですが、前年同月比で1%に達したのも久し振りだという気がします。もう毎月同じことを書いていて、ハッキリ言って、飽きてきたんですが、原油価格などの一次産品価格の高騰に起因するコスト・プッシュの物価上昇です。でも、一昨年に5年おきの基準改定が実施された際には、▲0.5-0.6%ポイントも下方改定されたんですから、基準年から3年たった現時点に引き直すと▲0.3%ポイントくらいの上方バイアスがすでに生じていても不思議ではないわけですから、計測誤差の範囲内ともいえるかもしれません。特に、上の表に見る通り、欧米タイプの食料やエネルギーを除いたコアコアの CPI が依然として▲0.1%の下落を続けているんですから、この程度の物価上昇は歴史的に見れば無視出来る範囲だという意見もあり得ると思います。ただし、わずかとはいえ、所得が伸びない中での物価上昇は家計に響く可能性は否定できません。また、今月のトピックは連日報道されているように、ガソリンの暫定税率廃止に伴う値下げが4月以降に実現される可能性が高まったことで、もしも、リッター当たり25.1円の値下げが実現すれば、CPI には▲0.5%程度の引下げの寄与となります。

失業率

最後の失業率などの雇用統計は、景気減速とともに反転した可能性が指摘できます。季節調整済み完全失業率は2月には3.9%と、1月より0.1%ポイント上昇しましたし、就業者数が前月比▲22万人減と2ヶ月連続減少する一方、完全失業者数は引用にあるように前年同月比では減少していますが、前月比では6万人増と3ヶ月連続で増加しています。加えて、新規求人数は2007年以降は明確に増加率の反転が見られますし、最初の引用にはなかったんですが、下のグラフに見られる通り、有効求人倍率も1月の0.98倍から2月には0.97倍に、わずかとはいえ低下しています。特に、新規求人倍率は1月の1.49倍から2月は1.40倍に低下しています。春闘相場が盛り上がらなかった背景として指摘できそうな気がします。労働市場では景気の減速が確認されたように私は捉えています。でも、これが消費に現れるには一定のラグを伴うことになりそうな気がします。

求人倍率

毎月のように指標を見ているわけですから、同じような状況が続いていて、景気が減速している以上に決定的な景気転換局面に入ったとの気配は現時点では感じられません。日米の温度差の違いかもしれません。なお、新味を出そうとして、今夜のエントリーは総務省統計局や厚生労働省からのプレスリリースから図表を取ってみました。かなり縮小をかけたことも悪かったのかもしれませんが、我が同業者のエコノミストから送られて来るニューズレターの出来栄えに比べて、別の意味の同業者である公務員が作っている役所の図表は見づらいということがよく分かりました。

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