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2008年3月14日 (金)

円高の経済的帰結

今日は、朝からが降り、昼ころには一時止んだ時もありましたが、夕方からまた降り出して、夜にはかなり強く降りました。でも、気温はそれなりに上がって、夜に入っても下がっていません。午前中に外出した時、信号が変わりそうだったので交差点で走ると汗ばむくらいでした。

円の実質実効為替レートの推移

円高が止まりません。今日は1ドル100円を少し超えた水準で一服しているようですが、昨日は12年振りに米ドルに対するレートで100円を割り込んだりしました。今日の朝刊各紙の1面トップはこのニュースだったような気がします。日本の新聞だけでなく、私が見た範囲では "Wall Street Journal" の A1 面でも "Japan Economy Quakes Anew As Yen Soars Against Dollar" と題して取り上げられていました。まず、上のグラフを取ったasahi.com のサイトから記事の最初の3パラを引用すると以下の通りです。

13日の東京金融市場は円高ドル安が急速に進み、95年11月以来12年4カ月ぶりに1ドル=100円を突破、一時99円77銭まで円が買われた。円急騰で輸出企業の業績が悪くなる心配が広がり、株式市場では日経平均株価の終値が2年半ぶりの安値になった。米国景気の先行き不安は衰えず、ドル安の流れが止まる兆しは見えていない。
東京外為市場の円相場は、ドル売りが進んだ海外市場の流れを引き継いで朝方からドルを売って円を買う動きが強まり、前日に比べて一気に3円以上も円高が進んだ。
午後5時時点は、前日同時刻と比べて2円90銭円高ドル安の1ドル=100円17-20銭。ロンドン市場が開いた午後5時過ぎには、1ドル=99円77銭まで値を上げた。ニューヨーク市場でも一時99円台に入ったが、正午(日本時間14日午前1時)時点は、1ドル=100円58-68銭。ドルは対ユーロでも売り込まれ一時1ユーロ=1.56ドル台をつけ、史上最安値を更新した。

円高の経済的帰結は一言で言えば交易条件の悪化です。ごく分かりやすい例で言うと、一定の量の原油を輸入するのに自動車を輸出する台数を増やさねばならないわけです。もちろん、これは一例であって、小麦と大画面テレビでも何でもいいんですが、要するに、輸入品に対して輸出品がディスカウントされるわけです。ですから、輸入物価に対して輸出物価、あるいは、国内物価がディスカウントされて、価格面からデフレ的な圧力が強まります。直感的にも、輸入品価格が下がりますから物価下落圧力があることは理解できると思います。これに関係して、よくある少し誤解した意見は、円高になれば原油価格をはじめとする輸入原材料価格の上昇の影響が緩和されるのではないか、との見方がありますが、これは私は間違いだと考えています。輸入品は円建てでディスカウントされるのと同じ割合で輸出品が外貨建てでディスカウントされますから、日本経済全体として一方の果実だけを受け取れるハズがないからです。
もうひとつは純輸出、すなわち外需への悪影響です。良し悪しは別にして外需に依存した成長を続けていた我が国経済への悪影響があります。要するに、需要が減少するわけですから、直接的には輸出企業の収益が悪化し、設備投資や株価にも影響が及ぶには当然です。ただし、上のグラフに見るように、実質実効為替レートはまだかなり円安の水準にありますから、逆に言えば、ドル建て輸出比率の低下や輸出先の多様化などが寄与していますから、心理的な1ドル100円割れの影響は決して小さくないんでしょうが、実体経済面からの影響は昔ほどは大きくない可能性も考えられます。ただ、あくまで昔と比べての議論ですから、需要面からもデフレ圧力が強まることは言うまでもありません。

私が今回の円高局面で少し不思議に思っているのは、いわゆる円キャリーの巻戻しがどれくらいあるのかです。一時は、円キャリーの巻戻しの影響を緩和するために、早期の金利引上げを正当化する議論があったのは事実で、現在の円高にどの程度寄与しているのか、私にはやや不明です。さらに、すでに大部分は織込み済みとは言うものの、来週には米国の連邦公開市場委員会 (FOMC) で金利引下げが予想されているんですから、従来の議論のラインに沿ってさらに円キャリーの巻戻しがあってもおかしくないと考えられます。他方、別の話ですが、原油などの一次産品市場に大量の投機マネーが流入しているとの説もありますが、円キャリーも含めて、これらの市場撹乱的な要因を過大に評価するのは疑問を感じてしまいます。

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