景気ウォッチャー調査はどうして2ヶ月連続で改善したのか?
今日も、朝から雨が降りました。一時は風も強くなり、ミニ台風のような荒れたお天気でした。気温は上がらず肌寒かったです。
内閣府から3月の景気ウォッチャー調査の結果が公表されました。上の図表の通りで、今年1月に急落してから、2月3月と2ヶ月連続で改善しています。直近の3月調査では現状判断 DI が前月比で3.3ポイント改善して36.9と、昨年12月の水準を回復しています。まず、asahi.com のサイトから短い記事を引用すると以下の通りです。
内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査によると、飲食店主やタクシー運転手らの景況感を示す指数が前月より3.3ポイント上がって36.9となった。上昇は2カ月連続だが、横ばいを示す「50」を大きく割る状況は続いている。
記事の最後の「50割れ」は、内閣府の公表資料に「横ばいを示す50を12か月連続で下回った。」とあるんで仕方ないんですが、2月11日のエントリー「マインド調査のバイアスは何から生じるか?」で指摘した通り、専門家以外は下振れのバイアスを持つ場合がありますから、特に気にする必要はないと私は考えています。DI なんですから水準よりも方向が重要だという気がします。
本題に戻って、2ヶ月連続の改善となりましたが、先月発表された2月調査の結果については、昨年の異常なほどの暖冬と違って今年は普通に寒かったために、鍋物や衣料など冬物商品の売行きが比較的好調だったとか、中には、ギョーザ事件に伴う食の安全志向の高まりで比較的高額な国産食材の人気が高まったとか言われていて、内閣府も慎重な見方をしていたように記憶していますが、3月も引き続き改善しました。今日の発表資料によれば、「春物衣料が好調」以外は実態がよく分からないんですが、上の図表1に出ている通り、家計動向関連が改善に寄与しているように見受けられます。すなわち、単月の結果ではありますが、全体で前月比3.3ポイント改善した内訳を見ると、家計動向関連が4.3ポイントの改善、企業動向関連が1.6ポイントの改善、雇用関連が0.5ポイントの改善となっています。
昨夜も先月3月28日付けのエントリーとともに、雇用関連指標は反転した可能性が高いと指摘しましたが、この景気ウォッチャー調査の結果もそれを裏付けています。逆に、雇用がよくないにもかかわらず、家計の消費が景気を下支えしている構図が浮かび上がって来ます。もちろん、かなり前からこのブログで指摘している通り、今年はうるう年効果がありますから、消費は底堅い動きを示しています。所得の方が冴えない割には、家計が消費性向を引き上げる形で少し無理をして消費しているとも考えられます。このブログでも何度か年央くらいまで消費は底堅いと指摘しました。他方、企業部門はニュートラルで相変わらず渋いままです。そうすると、景気の先行きを考える上では消費のサステイナビリティが重要になります。先週4月3日付けのエントリーで取り上げたように、今夏もボーナスは減少するとの予想が支配的ですし、いつまでも所得にサポートされない消費の景気下支えが続くハズはありません。北京オリンピックなど年央までは消費機会もあることですから、それなりの消費は出ると私は考えていますが、その先の秋口以降の消費動向は極めて不透明です。
日米で景気波及のシークェンスが異なります。米国は家計の消費から企業部門に波及するのに対して、日本は企業から家計に波及します。景気がよくなる時も悪くなる時も同じです。表現は悪いんですが、従属変数の家計部門が独立変数の企業部門を差し置いた形で景気の下支えをしている現在の構図がどこまでサステイナブルなのかは、先週4月3日付けのエントリーの結論と同じで、まったくの未知数です。
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