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2008年4月 2日 (水)

アジア開発銀行の経済見通し "ADO 2008"

今日も、朝からいいお天気で、昨日よりもさらに気温が上がった気がします。特に、昨日より風が弱まったので、体感気温はグンと上がりました。段々と春から初夏の気候に向かっているようです。

アジア開発銀行から "Asian Development Outlook (ADO) 2008" が発表されました。2007年の実績の8.7%成長より少し落ちるものの、日米欧の景気減速や原油価格の上昇などをものともせずに、2008年も7.6%成長するとの見通しです。まず、いつもの NIKKEI.NET のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

アジア開発銀行(ADB)は2日、アジア地域(日本など域内先進国を除く)の2008年の実質国内総生産(GDP)が前年比で7.6%成長するとの見通しを発表した。昨年9月に上方修正した見通しを今回0.6ポイント下方修正した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した米国など先進国の景気減速や、原油や食糧価格の高騰に伴うインフレ加速などの影響を織り込んだ。中国とインドがけん引役となる形で全体としては堅調さを保つともみている。
今回の見通しは、07年実績(8.7%)も1.1ポイント下回る。日本、米国、欧州の先進国の08年の成長率は1.5%と前年より0.8ポイント低くなると予想。先進国経済の減速で、世界の貿易量は07年の7.5%増から7%増に鈍化する。これに伴い、アジアから先進国などへの製品輸出は13.1%と前年に比べ4ポイント伸びが低下、アジア経済の成長率に影響するとみている。サブプライム問題の影響は「09年初めまで続く」と指摘した。

アジア開発銀行経済見通し

リポートの最初に登場するサマリーのグラフは上の通りです。さらに、章別構成は以下の通りです。

  • Highlights
  • Part 1: The Global Slowdown and Developing Asia
  • Part 2: Workers in Asia
  • Part 3: Economic Trends and Prospects in Developing Asia
  • Part 4: Technical Note

もちろん、これに統計表などが付属します。全部で300ページ近い英語のリポートですから、私も全部読もうとは思いませんが、いずれにせよ、結論としては、先進諸国が米国に端を発するサブプライム・ローン問題から成長を大きく減速、あるいは、景気後退に入ったとしても、アジアへの影響はそれほど大きくない、との見通しのようです。ただし、うえのぐらふからは不明瞭なんですが、引用にある通り、2008年の成長率は2007年よりも1.1%ポイント低下しますし、昨年9月に発表した前回の見通しよりも0.6%ポイント引き下げていることも事実です。また、2009年は今年よりも少し成長が加速して7.8%になるとの見方です。
今年1月15日付けのエントリーで紹介した通り、アジア開発銀行の黒田総裁は "Financial Times" のインタビューに答えて、明らかにデカップリング論を reject していたわけですから、米国経済が明らかに景気後退に入った現時点でも、アジア経済だけは高成長が続くとの見通しには疑問がないでもないんですが、かなり見通しを引き下げていますから、先進国の景気減速や景気後退を織り込んで、なお、少年期にあるアジア経済は何があっても成長するのかもしれません。その証拠というわけではありませんが、Part 1 には "The uncoupling myth: The G3 slowdown and developing Asia" と題する節を設けて、VAR モデルを組んで、先進諸国の小売販売が減少した場合のアジア新興国の輸出へのショックを計測したりしています。米国の小売販売の減少は中国にもっとも大きな効果を持ち、ユーロ圏は台湾、日本はインドネシアとの結果を得ています。とっても likely な結論だという気がします。そして、結論として、"Evidence suggesting that Asia has 'uncoupled' from the global economy is scant." としています。もっともです。また、Part 1 の最後では先行きリスクとして、一次産品価格の高騰とそれに由来するインフレを上げています。Part 1 に続く Part 2 では "Workers in Asia" と題して、アジア労働者のスキルなどを分析しているようですが、今日のところはそこまで目が届きませんでした。

何かの折に取り上げたかもしれませんが、かつての日本と同じで、今は中年を過ぎてしまった日本や老齢期に入りつつある欧州なんかと違って、アジアはまだまだ少年期にあり、政府や中央銀行の政策動向、あるいは、多少の外的条件をものともせずに成長を続けるのかもしれません。

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