金曜日に発表される1-3月期GDP統計は年率3%を超える高成長か?
今日は、朝から雨が降ったり止んだりでした。台風2号が関東南岸に接近しているらしいです。
今週金曜日5月16日に今年1-3月期のGDP統計が発表されます。エコノミストの業界で1次QEと呼ばれているものです。この統計について、シンクタンクや金融機関各社の予想が出そろいました。金融機関などでは顧客向けに出しているニューズレターで公表する形式の機関もありますし、私もメールなんかに添付してもらっているリポートもあるんですが、今夜のところはネットにPDFファイルなんかで公表している機関に限っています。前回の2月12日付けのエントリーでは成長率の低い順に並べたんですが、今夜の順番は単純にダウンロードしたPDFファイルのファイル名順で、特段の意味はありません。もしも、私のこのブログで上位に並べてほしい機関があれば、ファイル名が上に来るように工夫されるといいでしょう。冗談はさて置き、ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。なお、詳細な情報にご興味ある方は左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"PDF" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別画面が開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
日本総研 | +0.5% (+2.1%) | 外需に支えられてプラス成長維持 |
みずほ総研 | +0.8% (+3.3%) | 2四半期連続で年率3%を超える高成長 |
三菱UFJ証券 | +0.2% (+0.8%) | 輸出が増加、うるう年効果で消費の伸びも高まる |
第一生命経済研究所 | +0.8% (+3.1%) | 外需主導で高めの伸びに |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +0.8% (+3.4%) | 3四半期連続のプラス成長となり、伸び率も前期に続き高い水準 |
ニッセイ基礎研 | +0.9% (+3.8%) | 消費、輸出の高い伸びで2四半期連続の高成長 |
簡単に概観すると、三菱UFJ証券以外は潜在成長率である1.5-2%を超える成長を予測し、そのうち、年率2.1%と見ている日本総研を除く各機関は年率3%を超える高成長を予測しています。三菱UFJ証券のリポートではヒストリカルDIの動向から、昨年11月をピークにしてすでに景気後退局面入りしている可能性が指摘されています。4月30日付けのエントリーで鉱工業生産指数を取り上げた際にも指摘しましたが、私もこの可能性は排除できないと考えています。それはともかく、三菱UFJ証券を除く各機関の予想はかなりの高成長で、押並べて、うるう年効果もあって消費と外需が成長を押し上げたとの見方が主流となっている気がします。これは、三菱UFJ証券についても同じことです。逆に、設備投資はマイナスを記録するとの見方が多くなっています。ですから、違いは住宅投資にあります。みずほ総研や第一生命経済研究所とニッセイ基礎研は前期比年率で2桁の高い伸びを予想している一方で、三菱UFJ証券はまだマイナスが続くとの見方をしていたりします。新規住宅着工戸数を季節調整済の年率で見ると、昨年年央にほぼボトムアウトし、2007年7-9月期80.9万戸から10-12月期には95.5万戸、今年2008年1-3月期は114.2万戸へと順調に回復しているように見えますが、実は、今年に入って、1月118.7万戸から2月115.0万戸、さらに、3月は108.8万戸と、早くも息切れ気味です。この新規住宅着工からラグを伴ってGDPベースの住宅投資に波及しますから、このラグをどのように見込むかでGDPの住宅投資の見方が変わって来ます。
景気転換点との関係を考えると、確かに、三菱UFJ証券の見通しのように、すでに景気後退局面入りしている可能性は排除できないと私も考えていますが、もしも、1-3月期のGDP統計で潜在成長率を上回る結果が出れば、景気転換点を認定するのは難しいだろうと見られます。でも、景気転換点が後ズレした可能性もあり得るんではないかと私は考えています。
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