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2008年5月23日 (金)

エネルギーと食料価格上昇のリスクをどう考えるか?

今日も、朝からいいお天気の五月晴れでした。気温もグングン上がりました。最高気温は30度近くまで上がったんではないでしょうか。

原油価格の推移

とうもろこし価格の推移

グラフは上の方が米国のニューヨーク市場の原油価格で、下の方がシカゴ市場のとうもろこし価格の最近2年間の推移です。"Wall Street Journal" のホームページから取りました。直近は昨日の終り値ベースだと思います。単位は原油がバレル当たりドルで、とうもろこしはブッシェル当たりセントです。今さら、私が指摘するまでもないんですが、グラフの通り、昨年年央ないし10-12月期あたりからエネルギーと食料をはじめとする商品市況が急上昇しています。原油価格なんかはここ2-3週間で加速しているようにすら見えます。日本の足元の景気が低迷して、物価が上昇している大きな要因です。
この商品市況について、私も最近時点では少し意見を変えつつあります。少し前までは新興国の需要にサポートされた価格上昇であるとして、5月9日付けのエントリーでは "Wall Street Journal" が実施した "Economic Forecasting Survey" の結果を引用したりして論じていたんですが、さすがに、ここ2-3週間の特に原油の値動きはバブリーであると評価せざるを得ません。5月9日のエントリーでも、エコノミストのコメントとして、"In last 6 months: speculation." なんかを紹介していたんですが、やっぱり、私もバブリーな値動きを認めざるを得ないと考え初めています。もっとも、すべてが投機というわけでもなく、基本的には新興国の実需に支えられつつ、その値動きを投機筋が増幅しているというのが真実に近いと思います。
とすると、政策対応としてファンドを規制するという方向になるかどうかは別にして、心配なのは価格の上昇とともに急落も問題を生じる可能性があります。まず、価格がこのまま上昇すれば、現在の所得移転がさらに進んで日本経済のマイナス要因となることは明らかです。実は、今日の講演会で、所得移転は企業と消費者がどのように負担させられているかについて質問が出て、講師の人が、通常観察される平均的な労働分配率ではなく、限界的な労働分配率に従うと答えていました。限界的な労働分配率が100%であれば企業がすべて負担し、逆に、0%であれば労働者がすべて負担することになるとの回答でした。私も価格転嫁が進まないとの前提の下ではその通りだと思います。その場で即答できるのがエラいと思ってしまいました。私なら一晩考えるかもしれません。それはともかく、エネルギーや食料の価格が上昇すれば所得移転が生じて、日本などの輸入国で経済がスランプになる方向に作用します。しかし、エネルギーや食料の価格が急落すれば、ジワジワと下落するんではなくて急落すれば、商品市況に資金をつぎ込んでいる金融機関の中にはピンチに陥るところが出て来ます。サブプライム・ローンを原資産にした証券に資金をつぎ込んでいた金融機関と構図はまったく同じです。3月のベア・スターンズ証券の事実上の公的資本注入による救済によりシステミック・リスクは回避されたと私は考えていますが、原油や穀物などの商品市況でサブプライム・ローン問題と同じことが起こらないとも限りません。

いずれにせよ、やっかいな商品市況の急上昇なんですが、原油でいうとバレル125ドルあたりで調整局面に入る可能性を私は考えていました。その後、さらにペースを落として価格上昇するにせよ、下落に転ずるにせよ、2-3四半期くらいの調整期間があればベストではないかと思わないでもないんですが、調整に入るきっかけも見当たりません。米国の利上げなんかが調整に入る格好のきっかけになりそうな気もしますが、当面、米国が利上げするとは考えにくいのも事実です。商品市況が上がったままでは輸入国が所得移転をこうむりますし、上がったあげくに急落すれば金融面の混乱を生じかねません。繰返しになりますが、バブリーな価格の急上昇だけにやっかいな商品市況の動向です。

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