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2008年6月21日 (土)

朝日新聞夕刊「素粒子」コラムの「死に神」表現の帰結

昨日で梅雨の中休みも終わって、梅雨空が戻ったと思ったんですが、昨日も今日もそんなに雨は降りません。今日の明け方に少し雨が降ったようですが、日中はほとんど雨もなく、夕方になってポツリポツリと降り出し、夜に入って本格的な雨になりました。でも、やっぱり蒸し暑いです。

今日の朝日新聞夕刊の「素粒子」を見ました。例の「死に神」との表現に対して、鳩山法務大臣に対して全面的に謝罪しているように読めました。描きだしは「鳩山法相の件で千件超の抗議をいただく。」で始まり、締めくくりは「表現の方法や技量をもっと磨かねば。」で終わっています。まず、朝日新聞自身がこの件について報じている記事を引用すると以下の通りです。昨日の夕刊だったと記憶しています。

鳩山法相は20日の閣議後の記者会見で、朝日新聞の18日夕刊1面の時事寸評コラム「素粒子」で死刑執行に絡んで「死に神」と表現されたことについて「大変な問題だ。そういう軽率な文章を平気で載せるということ自体が、世の中を悪くしている」と批判、「司法の慎重な判断、法律の規定により、私も苦しんだ揚げ句に執行した」などと述べた。
「素粒子」では「2カ月間隔でゴーサイン出して新記録達成。またの名、死に神」などと表現した。
法相の発言について、朝日新聞社広報部は「『素粒子』は、世の中の様々な出来事を題材に、短い文章で辛口の批評をするコラムです。鳩山氏や関係者を中傷する意図は全くありません」としている。

さらに、意図的でかもしれないんですが、昨日20日の夕刊の4コママンガで、山上たつひこさんの「がきデカ」のギャグ「死刑」のポーズをする、鳩山法務大臣と見られなくもない似顔絵が掲載されていました。これはそれほど取り上げられていませんが、これもどうかという気がしないでもないです。また、産経新聞のサイトでは、民主党の鳩山幹事長もこの論争に加わり、今日の兵庫県加古川市の講演で、弟の鳩山邦夫法相を朝日新聞が「死に神」と表現したことに関し「弟は死に神ではない。わたしは『死に神の兄』といわれたくはない」と擁護し、同時に「法律上の責務に基づいて行動しているだけだ。死刑を執行したいと考えているわけではないと思う」と強調したと報じています。
今の出向中の官庁はそうでもないんですが、私の親元官庁は日比谷公園から国会や総理大臣官邸へ向かうデモの通り道になっています。昨今ではデモも減りましたが、その昔はデモも多くて、霞が関の中で別の役所に打合せに行く時に、交差点を渡るのに延々と時間がかかったり、今のような季節に窓を開けているとシュプレヒコールがやかましかったりして、それでも、表現の自由を守るために必要なコストと考えていたことを思い出します。思想信条や表現の自由が保障された現在の民主制は、歴史上で唯一、自らの体制を否定する思想信条や表現を許容する体制であるだけに、第4の権力と呼ばれるメディアは、思想信条や表現の自由などの基本的人権により敏感であるべきと言えます。

我が吉岡家は、私が物心ついたころから、すなわち、私の親の代から朝日新聞を購読しています。ここ数年の「よいデフレ」報道で毎日新聞の経済的なセンスを疑い、ジャイアンツの親会社である読売新聞には阪神ファンの矜持が許さず、反権力の精神あふれる京都大学を卒業した私には産経新聞の論調には賛成しかねる部分があります。決して消去法ではなく、今回の「死に神」事件でも朝日新聞に対する基本的な信頼は揺らいでいないものの、新聞やメディアが守るべき表現の自由について、少し考えさせられるところがありました。

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