経済成長は自殺を減らせるか?
今日は、朝から少し雲が多くて、夕方にはさらに雲が厚くなりましたが、結局、雨は降りませんでした。気温もそれほど上がりませんでしたが、私の役所のオフィスはとっても蒸し暑いです。
今日の朝日新聞の夕刊で自殺に関する記事が取り上げられていました。上のグラフを引用した記事です。まず、この記事を朝日新聞のサイトから最初のパラだけ引用すると以下の通りです。
昨年1年間に全国で自殺した人が前年比2.9%増の3万3093人で、統計が残る78年以降では03年に次いで過去2番目に多かったことが19日、警察庁のまとめでわかった。60歳以上の高齢者や、働き盛りの30歳代がいずれも過去最多だった。自殺者が3万人を上回ったのは98年以降10年連続。
痛ましい結果だと思います。最初のグラフに示されている通り、自殺者のうち、原因・動機を特定できた2万3209人を見ると、健康問題が1万4684人で最も多く、経済・生活問題が7318人、家庭問題が3751人、勤務問題が2207人と続いています。経済・生活問題と勤務問題を合計すると1万人近くになります。ある意味では、これらは経済問題と分類できると思わないでもありません。
今日発表のデータは含まれていませんが、少し前に私が作成したグラフが上の通りです。経済成長率が左目盛りの赤い棒グラフ、男性の自殺率が右目盛りの青い折れ線グラフで示してあります。エコノミストの目から見るのが正しい問題の把握につながるかどうかは少し自信がありませんが、それでも、バブル経済を謳歌した1980年代後半には自殺率が低下し、バブル崩壊とともにジワジワと上昇を示した後、山一證券の破綻などの金融危機があった直後の1998年に大きく急上昇しているのが見て取れると思います。その後、力強さに欠ける経済成長が続いて、自殺率はなかなか低下してくれません。なお、東京新聞のサイトに見られるグラフでは、なぜか、女性の自殺者は1998年の急上昇が見られません。男性の方に経済的な負担が大きいのかもしれません。それから、別の観点なんですが、同時に発表された硫化水素による自殺は、今年1-5月で489件、517人にのぼり、昨年1年間の27件、29人から急増しているようです。報道でもよく見かけるように思わないでもありません。
10年連続で3万人を超えた自殺は大きな社会問題ですが、残念ながら、私にはそれほどの知見はありません。しかし、経済社会環境を改善することは微力かもしれませんが、自殺を減少させる効果があるんではないかと思わないでもありません。今夜のタイトルの疑問文に対しては、"Partly, it does." であると信じたいと思います。その意味で、今夜のエントリーは「経済評論の日記」に分類しておきます。
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