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2008年6月27日 (金)

本日発表された経済統計から景気の先行きを考える

今日は、またまた梅雨の中休みで、朝から割合といいお天気でした。昨日が肌寒かったのもあるんですが、今日は気温がグンと上がったように感じます。でも、特に午後は風が強くて、そんなに蒸し暑さは感じませんでした。

今日、いくつか注目すべき経済統計が発表されました。私の注目している順に、鉱工業生産、消費者物価、労働統計です。おそらく、夕刊における取り上げ方を見ても、世間一般では消費者物価をもっとも注目しているように思うんですが、景気動向の観点からは私は鉱工業生産の方に着目していたりします。月末の閣議日である金曜日ですから、ほかにも、家計調査や商業販売統計なんかも出たんですが、そこまでは手が回りません。シンクタンクや金融機関などから大量のリポートを受け取りました。知り合いのいる外資系の証券会社なんか、チーフエコノミストとシニアエコノミストの2人で手分けしてリポートを書いていたりしました。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインに関する報道をそれぞれ最初のパラだけ引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産、2.9%上昇 基調判断を下方修正
経済産業省が27日発表した5月の鉱工業生産指数(速報値、2005年=100)は109.4と前月より2.9%上昇した。新車販売効果で自動車などが伸びて上昇したものの、先行きは欧米経済の減速や原油高の影響で下振れリスクが強まっている。同省は生産の基調判断を「横ばい傾向であるが弱含んでいる」と5カ月ぶりに引き下げた。
5月の消費者物価、1.5%上昇 10年ぶり伸び率
総務省が27日発表した5月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除くベースで前年同月比1.5%上昇し、消費税率引き上げの影響が出て以来、ほぼ10年ぶりの高い水準になった。ガソリン価格の上昇と食料品の値上げが影響した。
5月の失業率、横ばいの4.0% 有効求人倍率は0.01ポイント低下
総務省が27日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は4.0%と前月比横ばいだった。同日厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率(同)は0.92倍となり前の月から0.01ポイント低下。6カ月連続で1倍を下回った。厚労省は雇用情勢について「注意を要する状態」との判断を据え置いた。

鉱工業生産の推移

ということで、鉱工業生産を最初に取り上げたいと思います。引用した記事にある通り、季節調整済み前月比で+2.9%増と、市場コンセンサスの2%台を少し上回りましたが、サプライズというほどではありませんでした。先行きの製造工業予測指数は6月が▲0.9%減、7月が+2.2%増と、ほぼ横ばい圏内で推移する見通しとなっています。ただし、私が考えるように輸出が生産に少し先行しているとすれば、先行きは楽観できないように思いますし、予測指数から見て、1-3月期に続いて4-6月期も2四半期続けてマイナスの可能性は高まったように見受けられます。単月では回復したにもかかわらず、経済産業省が基調判断を「横ばい傾向であるが弱含んでいる」と5カ月ぶりに引き下げたのも、このあたりが根拠になっているんだろうという気がします。もっとも、3-4月に大きく落ち込んだ生産がやや回復して来ましたので、少なくとも、昨年10-12月をピークに足元は景気後退に入っている可能性は少し小さくなった気がします。その代わり、というわけでもないんでしょうが、調整が長引く可能性が高まったように私は捉えています。

消費者物価の推移

次に、消費者物価(CPI)です。引用した記事にあるように、前年同月比で+1.5%のインフレ率と、ほぼ10年振りの水準に達しました。原油や穀物などの商品市況が高騰を続け、さらに、暫定税率が元に戻されてガソリンなどが値上がりしているんですから当然です。少なくとも、このコアCPIのヘッドラインにはサプライズはありませんでした。また、相変わらず同じ状況なんですが、エネルギーと食料品の寄与度が大きくなっています。むしろ、私のサプライズは酒類以外の食料とエネルギーを除く、いわゆるコアコアCPIが3月に一瞬プラスを付けた後、4月からマイナスを続けていることです。でも、6月中旬の東京都区部の速報ではコアコアCPIが前年同月比で+0.3%ですから、全国のコアコアCPIもそろそろプラスに転ずるのかもしれません。上のグラフは、コアCPIが青の折れ線、コアコアCPIが赤の折れ線、棒グラフがコアCPIに対する寄与度で、黄色がエネルギー、緑が食料、水色がその他になっています。すべて前年同月比のパーセント単位です。エネルギーと食料の寄与率が100%を超え、その他がマイナスになっていて、コアコアCPIもマイナスなのが見て取れると思います。なお、念のためなんですが、通常、物価関係の統計は指数や上昇率が小数点以下1桁、寄与度は2桁で示すんですが、私はラウンドするのがメンドウなので Excel のデフォルトでかなり深い桁数まで計算しています。もしも、新聞なんかのグラフと少し印象が異なるとすれば、この有効数字の関係だと思いますのでご容赦下さい。

失業率と有効求人倍率の推移

最後は労働統計です。上のグラフは赤いラインが左目盛りの失業率で単位はパーセント、青いラインが右目盛りの有効求人倍率で単位は倍です。鉱工業生産や消費者物価より長い期間を対象にグラフを書いており、影を付けた部分は景気後退期です。有効求人倍率のグラフなんかは景気後退局面に入っているといってもおかしくないような下がり方だという気がします。何度かこのブログでも書いたんですが、労働市場はかなり需給が緩和しているように見受けられます。有効求人倍率はすでに反転し、失業率も反転の兆しが見えます。なお、景気動向指数との関係でいうと、上のグラフの有効求人倍率は一致系列、失業率は遅行系列に採用されています。労働統計で先行系列に採用されているのが下のグラフの新規求人数です。これも少し長めにデータを取って、景気後退期に影を付けてあります。この新規求人数の場合、すでに反転し切っているようには見えても、昨年の建築基準法ショックをモロに受けている可能性があり、判断は難しいところなんですが、それにしても、2007年末くらいがピークでしたから、建築基準法ショックの前だったということも出来ます。商品市況の高騰から原材料価格が上昇すれば、企業収益が悪化して雇用にしわ寄せが来るだけに、来週発表される日銀短観の雇用判断DIを私は注目しています。

新規求人数の推移

今夜はかなり熱心に4枚もグラフを書いてしまいました。この週末はゆっくりしたいと思います。

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