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2008年7月18日 (金)

国際通貨基金 (IMF) の世界経済見通し改定版

今日も、朝からいいお天気で気温も上がって、蒸し暑かったです。しかし、午後には雨が降りました。明日はいいお天気との天気予報なので、梅雨明けかもしれません。なお、我が家の子供達の通う小学校は今日が終業式で、通知簿をもらって帰って来ました。明日からいよいよ夏休みです。

昨日7月17日付けで国際通貨基金 (IMF) から世界経済見通し改訂版 "World Economic Outlook Update" が発表されました。"Global slowdown and rising inflation"と題された PDF で6ページのリポートです。まず、少し長くなりますが、リポートの最初に置かれたサマリーを引用すると以下の通りです。

The global economy is in a tough spot, caught between sharply slowing demand in many advanced economies and rising inflation everywhere, notably in emerging and developing economies. Global growth is expected to decelerate significantly in the second half of 2008, before recovering gradually in 2009. At the same time, rising energy and commodity prices have boosted inflationary pressure, particularly in emerging and developing economies. Against this background, the top priority for policymakers is to head off rising inflationary pressure, while keeping sight of risks to growth. In many emerging economies, tighter monetary policy and greater fiscal restraint are required, combined in some cases with more flexible exchange rate management. In the major advanced economies, the case for monetary tightening is less compelling, given that inflation expectations and labor costs are projected to remain well anchored while growth weakens noticeably, but inflationary pressures need to be monitored carefully.

World Economic Outlook Update Projections

上の画像が今回の改定された世界経済見通しの総括表になっています。かなり大きくて少し縮小をかけてありますので、クリックすればオリジナルの大きさの画像が別画面で開くようになっています。リポートのタイトルが "Global slowdown and rising inflation" にしては、今年と来年の成長率見通しは4月時点から上方改定されていたりします。特に、年平均では先進国も新興国・途上国も今年から来年にかけて成長率が減速するように見えるんですが、右のカラムの第4四半期対比で見ると、逆に、来年の方が成長率が加速しており、私はこの第4四半期対比の方が実感に近いんではないかと考えています。特に、米国については、第1四半期のプラス成長に加えて、第2四半期でも減税などの効果で一定の程度の成長が見込まれますから、今年後半にマイナス成長になることが織り込まれていると私は受け止めています。日本についても同様で、第1四半期がうるう年効果も含めた高成長でしたから、4-6月期以降のいずれかの四半期でマイナス成長を記録する可能性を読み取るべきだと思います。

Core Inflation and Oil Price

成長率見通しは上方修正されているわけですから、改定のポイントはインフレということになります。特に、上のグラフで見る通り、コアインフレについては先進国よりも新興国・途上国の方が上昇が大きくなっています。ですから、この IMF のリポートを取り上げていた今朝の "Financial Times" の1面トップの見出しは "Emerging economies warned on inflation" と題されていました。従来通り、政策課題は "The policy challenge, especially for low- and middle-income countries, is therefore to find ways to feed the hungry without also feeding inflation or depleting foreign exchange reserves." ということになって、引き続き、"passing on the full price increases to consumers" が政策の基本になります、しかし、さすがに、何らかの "cushion""multilateral effort" でもって、 "social measures" を考慮すべきであると付け加えられています。
なお、金融市場の動向についても簡単に触れられていますが、"Global Financial Stability Report Market Update""late July" にリリースするので、ソチラでより突っ込んだ議論をするとのことです。

Selected Commodity Prices

今夜のエントリーではリポートにおける出現順で図表を配置しましたので、話が少し前後しますが、IMF が世界経済見通しを改定したのは、市場動向に合わせて、原油をはじめとする商品価格のベースラインを変更したからです。特に、石油価格については4月見通しからベースラインを30%改定した旨が明記されています。石油を含めて、その他のいくつかの商品価格の想定は上のグラフの通りです。先行きについても、商品価格は高止まりすると IMF は見ているようです。
ですから、今回の短いリポートの最後の2ページは "Annex. Surging Fuel and Food Prices: Origins, Prospects, and Risks" と題する分析がなされています。上のグラフもこの付論に置かれていたりします。まず、石油価格高騰の原因については、需要面から、"The rapid growth in emerging and developing economies in particular has catalyzed demand for commodities" であるとし、従って、"Thus, slowing growth in advanced economies has had less impact on commodity prices than in previous business cycles." であると分析しています。他方、金融面では、"Financial conditions have temporarily addeupward pressure on prices of oil and other commodities." としつつも、"Financial variables" の中では為替レートが主要な要因と分析しています。最近の米国連邦準備制度理事会 (FED) のバーナンキ議長の為替介入を容認する発言なんかも同じコンテキストで解釈すべきかもしれません。逆に、投機的な資金の動向については、"there is little evidence that the increasing investor interest in oil and other commodities as an asset class has affected price trends for oil and other commodities" と従来からの立場を堅持しています。我が国の「通商白書」なんかの論調と大きく違っているように見受けられます。次に、食料価格については、箇条書きで、"Unfavorable weather conditions""Rising biofuel production""The rise in oil prices and energy prices""The growing use of export restrictions" の4点を上げています。

今回のリポートでは、そんなに新しい論点が提出されているわけではありませんが、6ページとコンパクトにまとまった IMF の最新リポートですから、ご興味ある方は一読をオススメします。

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